ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

生物進化を考える (岩波新書)  

生物進化を考える
木村 資生
【学び度】★★★★

生物進化を考える (岩波新書)生物進化を考える (岩波新書)
(1988/04/20)
木村 資生

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 進化論続きで読む。

 著者は、生存に有利な(個体または群の)形質が、自然により選択されることが進化である、といった自然淘汰万能説に対し、分子生物学のレベルでは「中立」な変異が常に起こっているという中立説を提示した(かなり乱暴な要約ですいません)。

 本書は前半で様々な進化論の概説を行い、後半では中立説を詳しく紹介する。かなり専門的な内容もあるが、分子生物学の視点、中立説の概念、そして進化論史における中立説の位置について提示者本人からレクチャーしてもらえるわけであり、非常に有益な書である。

 特に著者は、各種における分子進化の速度は一定であるということを実証し、分子レベルでの変異速度から「分子(進化)時計」という概念を導き出した。これによって、各種の分子的な変異度から、その系統上の分岐時期を特定することが可能となるが、既に鳥類の分野でも、その分類は分子生物学の知見を無視することはできなくなっている。本書では、その概念を基礎から学ぶことができる。

 かなり濃密な内容であり、じっくり何度も復習したい。そう、本書はまさに中立説の教科書といえるだろう。

【目次】
第1章 生物の多様性と進化の考え
1 生物の多様性
2 事実としての生物進化
3 進化論発達の歴史

第2章 遺伝学に基づく進化機構論の発達史
1 波乱の幕開け
2 集団遺伝学の形成
3 進化総合学説と淘汰万能主義
4 分子進化の研究と中立説
5 その他の進化理論

第3章 進化の道すじをたどる
1 生命の歴史のあらすじ
2 脊椎動物の進化
3 哺乳類の進化
4 霊長類の進化と人類の出現

第4章 進化要因としての突然変異
1 遺伝学的生命観
2 突然変異の性質と種類
3 遺伝子突然変異の本質
4 遺伝子突然変異の表現効果

第5章 自然淘汰と適応の考え
1 ダーウィンによる自然淘汰の考え
2 自然淘汰説の近代的発展

第6章 集団遺伝学入門
1 集団遺伝学とは
2 遺伝子頻度と交配様式
3 遺伝的な平衡について
4 遺伝的浮動について
5 集団中における突然変異遺伝子の行動

第7章 分子進化学序説
1 分子進化研究の前夜
2 分子進化を理解するための基礎知識
3 分子進化の速度の推定
4 分子進化の特徴
5 突然変異の種内への蓄積過程

第8章 中立説と分子進化
1 中立説による説明
2 分子レベルの種内変異
3 分子進化時計と分子系統学
4 中立進化に関連した他の話題
5 分子進化と表現型進化の橋渡し

第9章 進化遺伝学的世界観
1 進化の産物としてのヒト
2 優生の問題を考える
3 積極的優生と人類の未来
4 人類の宇宙的発展と進化

参考文献
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