ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

連合艦隊・戦艦12隻を探偵する  

連合艦隊・戦艦12隻を探偵する
秦 郁彦,戸髙一成 半藤一利




「戦艦12隻を探偵する」というタイトルに惹かれて読む。
各戦艦の概要や戦史等が冷静に深掘りされているのかと思ったら、違った。

秦 郁彦・戸髙一成・半藤一利の三者による、戦艦よもやま話といった趣。
様々な薀蓄が語られているが、各戦艦について統一的に紹介されてるわけでもなく、
全体を突き通すテーマがあるわけでもない。
「探偵する」というタイトルはちょっとミスリードである。

内容としては、戦艦なんて「大和」と「武蔵」しか聞いたことないよ、という層にとっては、
日本がどのような思想で戦艦を建造し、どのように運用したか(運用しなかったか)という
アウトラインを知る手掛かりになるだろう。
また各氏の説明によって、
当時の海軍上層部がどのような愚かな、ムダな運用をしたのか、ということが実感できる。

ただその一方で、
各氏は「戦艦」そのものに思い入れがあるために、
「いかに戦艦らしくあるべきか」という思考に進むときがある。
また、「この局面なら、こう運用すべきだった」という論になる時もある。
正直なところ、各戦艦に乗っている人命に配慮した言と思えず、違和感を感じる。
もちろんそういう仮想戦はを否定するものではないが、
それはそういう文脈・立場で披露すべきか、
ごく個人の話で留めておけばよい。

しかし本書は、「探偵する」という客観的にタイトルでありながら、
結局3氏の個人的趣味を読まされている感が強い。
その点、かなり残念であった。

【目次】
第1話 海軍の象徴、戦艦について
第2話 金剛型戦艦四隻の戦い
第3話 よく戦った扶桑型四隻の戦艦
第4話 海軍の象徴・「長門」と「陸奥」
第5話 世界一の巨大戦艦・「大和」と「武蔵」

【メモ】
p21
・帝国海軍の戦艦は、
 「長門」「陸奥」「扶桑」「山城」「伊勢」「日向」「金剛」「榛名」「比叡」「霧島」
 と五七調で覚えていた。

p52
・日本の魚雷は40km射程がある。しかしそれだけ標的の移動時間があり、命中しない。

p66
・日露戦争後の艦隊整備計画=八八艦隊。
艦齢8年以内の戦艦8隻、巡洋艦8隻をそろえる計画。
そのままだと、国家予算を圧迫しかねなかった。ワシントン海軍軍縮条約で破棄。

p113
戸髙氏/海上自衛隊の護衛艦「はるな」のタイムベル(時鐘)が、竣工時にも古いもの(「はるな」と書いている)が架かっていた。戦艦榛名のものを持ってきたのかと想像している。

p244
戦後、空襲については詳しく調査されたが、艦砲射撃による被害はあまり記録されていない。
しかし、艦砲射撃を受けた都市は案外多い。

p252
「長門」「陸奥」を作りだしたのは大正初期。明治維新から40年程度。ヨーロッパの造船技術を学び出してから20年程度。
しかし積んでいたのは世界最大級の主砲だった。

p254
戸髙/
かつて日本はいかに沈まない軍艦を作るかを考えていた。「弾が当たっても穴があかない設計」だから、「あいたときの事など考える必要がない」という論理になってしまう。

p270
「大和」「武蔵」は魚雷が命中してどんなに傾いても、五分以内に傾斜四度まで持ち直す。
二本当たると30分以内に傾斜四度まで持ち直す。
しかし3本以上は計算外・想定外だった。

p296
「大和」は作戦中止命令を出したので、同行した駆逐艦4積は沖縄に突っ込まず命拾いをした。
しかし中止命令のため、それまでに死んだ人は「特攻戦死」にならなかった。

p303
日本人が作ったもので、未来まで世界一が保証されているのは「大和」だけ。



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