ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

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ミドリムシ大活躍! -小さな生物が創る大きなビジネス  

ミドリムシ大活躍! -小さな生物が創る大きなビジネス
石川 憲二


世の中、名前は重要である。
例えばクロレラ。少なくとも怪しい生き物という響きではない。

一方、ミドリムシ。
あれは石垣島だったのだろうか。どこかで、ミドリムシジュースだかソフトクリームだが、
そんなモノを販売している店を見かけた記憶がある。
ムシの仲間っぽいと思って通り過ぎた。残念な出会いである。

ミドリムシは、ムシではない。
鞭毛によって動く動物的なところがあるが、葉緑体を持ち光合成を行う単細胞生物。
ミドリムシ属はEuglenaと言うそうだが、
最初からこのユーグレナという名前であれば、一般受けも早かったと思う。

この動物的でもあり植物的でもあるという生き物は、
栄養学的にも双方の栄養素を豊富に含んでいるらしい。
また、種類によっては体内で油脂成分を生成するため、バイオ燃料としても有望とのこと。
次世代の資源として、現在注目を浴びている。

本書はそのユーグレナについて、いかなる生き物で、いかなる研究がなされているかを紹介する。
様々なプロジェクトの中で、特にユーグレナ社の取り組みにスポットを当てすぎの感はあるけれど、
既に大量生産技術を獲得した同社が取り上げられるのは仕方がないところ。

今後新興国が台頭したり、資源競争が激しくなる中で、
ユーグレナは次世代バイオ資源として期待できる。
ただ、それを本当に活かし、競争力あるところまで引き上げるには、
日本全体のシステム―例えば農地転用や流通の世界でも変革が必要だろう。
しかしながら、日本では国としての取り組みにいまひとつ迫力がない。

このままでは、諸外国における大きな取り組みが進んでいる中、
iPS細胞のように、一研究者(または一企業)が諸外国そのものと競争しなければならない事態になるのではないだろうか。

ユーグレナ(ミドリムシ)は、少なくとも研究しがいがある資源である。
今後の動きにも注目したい。

ミドリムシのリーディングカンパニー、
ユーグレナ社のホームページはこちらhttp://www.euglena.jp/

【目次】
序章 ミドリムシ、あなたの隣のすごいやつ
第1章 ミドリムシと米さえあれば人は生きられる―完全栄養食品としての可能性
第2章 ミドリムシがジェット機を飛ばす日―開発が進むミドリムシ燃料の現状と未来
第3章 地球温暖化や水の汚染を防止する切り札―二酸化炭素固定から水質浄化プラントまで
第4章 石油を使わずにプラスチックをつくる―ミドリムシを原料にしたバイオ素材開発
第5章 日本は藻類バイオマスの先進国―ミドリムシそして藻類による新ビジネスの創生へ


【メモ】
ミドリムシ
・単細胞生物
・葉緑素をもち、光合成する
・鞭毛を動かし、動物のように移動する
・植物質と動物質の両方の栄養素を含む
・クロレラは細胞壁をもつが、ミドリムシには無いため、栄養素を無駄なく吸収できる

 
p46
 ミドリムシ:高タンパク質であるだけでなく、アミノ酸をバランスよく組むうえ、植物性の栄養素も豊富→草食の家畜向け資料としては、肉骨粉や魚粉より適していると考えられる。

p80
ジェット燃料の高値傾向が続く理由として考えられるもの
・原油価格は2011年以降、1バレル100ドル程度の高値安定。
・今後も新興国の経済成長が続き、航空需要は増大。
・LCCの台頭による新たな顧客の増。

p89
また、厳しい温室効果ガス排出規制に対応する必要がある一方、
石油の高騰が起こると利益率の高いディーゼル燃料が生産されがち(ジェット燃料は減産)なため、
工業的に安定生産できるジェット燃料が望まれている。

p110
日本国内には約100種のミドリムシが生息。ユーグレナ社ではデータベース化をしているという。

p161
石油のケロジェン根源説
・水中のプランクトンや藻類が大量に沈み、有機物の堆積層を作る
 →堆積物が埋没し、地圧・地熱による化学反応でケロジェンという高分子物質の集合体ができる
 →さらに深く埋没し、ケロジェンが分解されて石油や天然ガスになる

近年、これ以外にも生成ルートがあるのではないかと考えられている。
・天然ガスの主成分であるメタン:嫌気性のメタン菌でもつくられる
・Oleomonas sagaranensis HD-1という細菌は、通常は石油を分解するが、酸素も石油もない環境では周囲の有機物を吸収して細胞内に石油(炭化水素)を作る(=石油分解菌)

ミドリムシも酸素がある環境では多糖類パラミロンを生成し、酸素がすくない環境ではそれを分解して油脂成分のワックスエステルにする。
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