ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

謎の蝶アサギマダラはなぜ海を渡るのか?  

謎の蝶アサギマダラはなぜ海を渡るのか?
栗田 昌裕



僕も鳥類標識調査員(の端っこ)として野鳥の渡り調査に携わっているが、
かつてある山で調査していた時、アサギマダラを捕獲調査していた人がいた。

アサギマダラのマーキング調査は知っていたが、その方も捕獲に忙しいそうだったので、
つい声をかけそびれた。
今から考えると、同じ生き物の渡りを調査している者として、話をしておけばよかったと思う。

本書は、その「渡りをする蝶」アサギマダラを精力的に調査している方によるもの。
本業は医師とのことで、専門の研究者のような各種論文を引用してきてどうこう、という内容ではない。
かといって物足りないないようではない。
なんと年間1万頭を調査するという、膨大なフィールドワークに裏付けされた見解が、滔々と綴られている。飛び方だけでも24パターンある、という見解は、ちょっと細分化しすぎじゃないのとも思ってしまうが、著者のフィールド経験から導かれた見解を否定するのは簡単ではない。
様々な独自見解もあるが、著者がいうとおりそれはそれとして、
アサギマダラがまだまだ謎に満ちた蝶であり、調査に値するロマンを秘めていることは確実に伝わってくる。

そのアサギマダラ、やはり近年は減少傾向にあるらしいとのこと。
野鳥の渡りでもそうだが、渡る生物が利用する環境は、ある特定の時期のみ、その生物に利用される。
そのため、その生物がいない時期には、まったく利用されていない(ように見える)。
それが「この環境は、野生生物は利用していない」という誤解となり、安易に破壊されてしまう。

様々な環境を、どれだけ残すことができるか。単純なようだが、人間の節度が問われていると思う。

さて、本書にはアサギマダラのマーキング方法なども詳しい。
興味がある人は、本書や、本書でも紹介されている
大阪市立自然史博物館の「アサギマダラを調べる会」(ホームページはこちら)などを参考にしていただきたい。

【目次】
第1章 不思議な蝶アサギマダラ
第2章 南の島にアサギマダラを追う
第3章 アサギマダラの不思議な旅
第4章 アサギマダラの謎

【メモ】
p50
秋に南下しながら、途中の食草があるところで産卵する。冬の間は幼虫で過ごす。
主に関東・中部・近畿、四国の太平洋側、瀬戸内海の一部、杞憂集、南西諸島から台湾。
代表的な食草のキジョランの分布にほぼ一致。
積雪しないことが条件。
→香川ではどうなんだろう? 繁殖してるのだろか?

p54
アサギマダラが集まる花にはピロリジジンアルカロイドという物質(略称PA物質)が多く含まれている。
→こういう知見が分かるのは楽しい。生き物って深い。
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