ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

江戸創業金魚卸問屋の金魚のはなし  

江戸創業金魚卸問屋の金魚のはなし
吉田 智子



熱帯魚を飼いたいな、と長らく思っている。
しかし、ほぼ毎夏、金魚とカブトムシが来訪するので、その世話で手一杯なのである。
その金魚すら、どうしても1年を超えて生存しない。自分の指先から毒が出ているのかと疑うほどである。
また殺してしまうから、と積極的に購入はしないのだが、
やはり金魚を飼っている間は楽しいので、子どもが縁日で金魚すくいをするのも大目に見ている。

その金魚。本屋に行くと飼育本は多いので、それらは見ていた。
スタンダードな和金以外にも様々な品種があることなどは、店頭でも知っていた。
ただ、これほど日本人に馴染み深い(と僕は思っている)金魚だが、その生産者側の思い、歴史となると気にしたことがなかった。何でも知ったつもりでいるものだなと反省。

本書は、東京で唯一金魚卸問屋である「吉田晴亮商店」の7代目女将による、金魚誌である。
金魚の来歴、問屋や日本人の愛で方、品種、飼い方等々が、愛情溢れる眼差しで書かれている。
レイアウトもゆったりとしているし、読んでいて気持ちが良い一冊である。

金魚が高嶺の花だった時代。桃の節句に金魚を一緒に飾る習慣があったこと。
戦時中、金魚がいると焼夷弾が落ちないという流言があったこと。
「金魚~え~金魚~」という金魚売りのあの桶は、とても薄くて、内部が漆塗りだったこと等々、
日本人と金魚の関わりは、とても興味深い話である。

日本人にはとても身近な観賞魚となったけれども、
どのように、またなぜ身近になったのか、という観点では、考えたこともなかった。
日本人の生活史を振り返る、とても興味深い視点になりうると思う。

この金魚問屋、すでに東京では「吉田晴亮商店」のみ。
近年ではカフェ「金魚坂」も併設し、金魚の魅力を伝え続けていくれている。

今でも多くの人が、金魚すくいから、金魚との付き合いが始っていると思う。
原風景とまで大げさなものではないが、
セミ採り、花火、金魚すくいといった、多くの日本人に共通する風景は、やはり今後も残していきたいと思う。
またそうした身近な金魚だからこそ、大人になっても気軽に楽しみたいものである。
金魚が飼いたくなっちゃったな。

カフェ「金魚坂」の公式ホームページはこちら。
http://www.kingyozaka.com/
東京都文京区本郷5-3-15

遠くて僕はいけないので、お近くの人はぜひどうぞ。


【目次】
1章 金魚のひみつ
2章 なつかしの金魚
3章 今の金魚
金魚坂 金魚コレクション
4章 金魚を飼う
終章 金魚を守り続ける

【メモ】
p18 3月3日は金魚の火
江戸時代後期、東北では雛段に金魚を一緒に飾る風習があった。
江戸初期は金魚は高級品であり、ステータスであったため・
1990年(H2)に日本観賞魚新興事業組合によって指定

p55
金魚の年齢 数え年でカウント
当歳…1歳
以降、正月ごとに1歳加算
明け2歳…数えで2歳 「明け」は数え年であることを明確にするため
成長期は2-明け5歳頃
平均15歳
最長はイギリス 45年 2005年に死んだもの

p59
日本 10年単位で安定して作り出せるものが品種
中国 遺伝的に固定されていなくても品種とする→何千品種もある

p60
金魚は1502年に大阪堺市に渡来したという
(「金魚養玩草」きんぎょそだてぐさ、安達喜之、1748(寛延元年))
著者の安達喜之は大阪・堺の人という以外分かっていない

p84
戦時中、金魚を飼っている家には焼夷弾が落ちないという流言が東京に広まった。
しかし生きた金魚を購入するのは困難だったため、陶器の金魚のおもちゃなどが売れた
(「夢声の戦争日記」徳川夢声)

p90
金魚人気は昭和30年代に復活 金魚売りも盛ん 
桶の内側には水が入るところまで漆塗り、特別に薄かった
歩きながら水が揺れるため酸素をとりこめた

p100
現在の三大産地
・奈良県大和郡郡山市、愛知県弥富市、東京都江戸川区
金魚に適した水があった

・奈良県大和郡郡山市 最古の養殖産地
1724年(享保9)に藩主となった柳沢吉里が甲斐国から来た時に、家臣の横田又兵衛が観賞用に金魚を持参していた

・愛知県弥富市
郡山の金魚商人が、弥冨の宿場町で金魚を休ませるために池に放した
それを見た寺子屋の権十郎が飼育を開始したのが始まり(という説) 現在日本一


p108
350年前に吉田養魚場開始
1951(昭26)6代目が次いで「吉田晴亮商店」
昭和30年代に協同飼料と金魚用の餌「エンゼル」、「スイミー」販売開始
1963(昭38) 吉田飼料 設立

p112
昭和の中頃 東京23区内に21軒 金魚卸問屋があった
現在 金魚坂1軒のみ → 現在7代目

p126
ニュージーランドでは地震から4カ月後、福島県浪江町では震災から2か月半後にがれきの下から金魚鉢が見つかり、生きていた

p185
正常時は黒いふん、消化不良は白いふん

p208
現在は問屋だけでなく、喫茶店「金魚坂」も併設
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