ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

一週間はなぜ7日になったのか  

一週間はなぜ7日になったのか
柳谷 晃





なぜ7日のうち土日しか休みでないのか。
もっと休みたい…というのは違う問題。

本書は、歴史時代における数字の取扱いに関する本である。
なぜ60進法があるのか。なぜ3・4、7・12が神聖なのか。
また、様々な文明における数字や数に対する考え方、暦への認識など、
数と歴史にまつわる様々なテーマが紹介されている。

表題の、「なぜ一週間は7日と規定されたのか」という話はわりとあっさり解説されており、
様々なトリビアを楽しむ本とみなすのが適当だろう。
内容とタイトルの守備範囲はかなりかけ離れているので、
タイトルで買わなかった人は、あらためて目次をチェックして、
読むか否かを決定されたい。

さて、当たり前と思っている事実が、そうではなかったと分かる時ほど面白いものはない。

日本だと、暦は大きく明治5年に採用された西洋歴(グレゴリオ暦・太陽暦)と江戸時代以前の和暦に分けられる。グレゴリオ暦導入のきっかけは明治維新である。
だから、それは西洋標準の導入であり、
当然ながら「西洋は既にグレゴリオ暦を採用している」と思っていた。

ところが、グレゴリオ暦にカトリックとプロテスタントの対立が反映され、
イギリス・ドイツは日本に先行して導入しているものの、
グレゴリオ暦が完成され、カトリックの国々に導入された時代からすると200年程遅い導入だった。
それどころか、ロシアやギリシャでは、日本以降に導入されたという。

また、もう1点嬉しかったこと。
中学生以降謎だった、

なぜOctoberはOcto、すなわち8なのに(Octopusタコの脚は8本、単語構成では同じ)、
月の名前では10月なのか

という疑問にすっきり回答が得られた。
暦が造られていく変遷の中で、1年スタートが3月から1月に変わったためなのである(【メモ】参照)。
言われてみれば、これほど簡単なことはない。
しかし、思いつきもしなかった事実だった。




【目次】
第1章 ピラミッドに秘められた“黄金比”と“宇宙観”
 ―抜群の観察眼と数学思考から生まれた建築技術
 ピラミッドは数学的に見ても神秘の遺跡
 “自然の仕組み”を考える二つの流れ
 アラビア数字が世界を変えた
 なぜ古今東西。奇数が大切にされるのか
第2章 中世ヨーロッパで、科学や芸術が遅れた本当の理由
 ―アラビア世界にあって、キリスト教世界にはなかった数字と発想
 キリスト教と縁起の良い数・悪い数
 自然界に共通する聖なる数と形
 神と対立する科学
第3章 ルネッサンスはアラビアのおかげだった
―古代ギリシャ、エジプト、アラビアを経て花開いた数学発の文化
 十字軍の遠征がヨーロッパの科学を発展させた秘密
 ルネッサンスの担い手が科学者だったもっともな事情
第4章 一週間はなぜ7日になったのか
―人の一生を大きく左右した、天体運動の計算と暦
 一週間は古代から7日だった?
 コペルニクス的転回の真相と暦づくり
 占星術・錬金術が発展させた科学)
第5章 心の中に生きる数学
 ―信仰から音楽、絵画まで、いまにつながる数学的成果
 生活に根づく月名や時間の由来をたどると…
 数学者たちが愛した芸術

【メモ】
p54
60進法がなぜできたのか、バビロニアがなぜ60進法なのか、まだ解明されていない。
1年の日数が360に近いので、その1/6の60が使いやすかったのではないかとの理由が考えられているが、不明。

p60
アラビア数字は記録用かつ計算用という、例外的な数字。
他の数字は記録用(漢数字、ローマ数字等全て)。

p65
アラビア数字で10進法の小数点以下の表現方法が確立し、本に出るのは15世紀以降。
それまでは小数点以下の記載方法があった60進法を天文学者や数学者は使用していた。

p82
ピタゴラス派にとって、3(三角数)と4(四角数)を足した7と、掛け合わせた12は非常に重要な数字だった。

p92
古代ギリシャ 60進法と10進法を併用
10進法の場合、最初の9つのギリシャ文字を、そのまま1-9までに充てていた。
これにより、文字と数字が対応し、言葉と数字も対応する。
これを用いた考え方がゲマトリア、数占術。

p106
フィボナッチ数列
葉の枚数と周回数が、この数列の比になっていない植物は見つかっていない。

p113
「現代につながる科学思想は、人間と自然の間に神を置かない。神を仲立ちにせず、人間が直接、自然と対話する。特に実験科学は現実を観測する。すなわち自然がどのような仕組みになっているかを、人間自身が考える。」
→ローマ教会の権威とは別に、この世の中を科学で理解する別の基準ができる。
 自然を支配するのは神ではなく自然の仕組みとなり、ローマ教会の威信が不安定になる。

p126
イスラム教で大切にされいる数:5と6
イスラム教でお祈り等の行為:五行(五柱)
・信仰告白(シャハーダ)
・礼拝(サラー)
・喜捨(ザカート)
・断食(サウム)
・巡礼(ハッジ)

p161
月:ほとんど見えない時・右側のみ明るい・満月に近い・左側の明るい と四つに区切れる。
日本:朔(新月)・上弦・望(満月)・下弦
1カ月(月周期29.5)を4つに割ると約7。

p180
1520年 ルター『キリスト者の自由』宗教改革
1582年 グレゴリオ暦施行

1584年 カトリック国は採用
 → プロテスタント国はなかなか採用しない
1775年 ドイツ採用(プロテスタント国)
1753年 イギリス採用(イギリス国教会)
1873年 日本採用
1918年 ロシア採用(ロシア正教)
1949年 ギリシャ採用(ギリシャ正教)
1971年 東方正教会がグレゴリオ暦を拒否(ユリウス暦を維持)  

p200
ラテン語
7 septem
8 octo
9 novem
10 decem

英語
9月 September
10月 October
11月 November
12月 December

最初のヌマ暦では、年の最初は3月(農耕周期にあわせている)
1 3月
2 4月
3 5月
4 6月
5 7月
6 8月
7 Septem 9月
8 octo 10月
9 novem 11月 
10 decem 12月

この後、月の初めは1月になったが、月の呼び名はそのまま残ったためズレが生じている。
 

  



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