ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

カカトアルキのなぞ―世紀の発見88年ぶりの新昆虫  

カカトアルキのなぞ―世紀の発見88年ぶりの新昆虫 (ドキュメント 地球のなかまたち)
東城 幸治




昆虫の新目発見、というニュースには覚えがあった。
「マントファスマ目」。
新しい目だけあって、海外の研究者のつけた目名をそのまま持ってきたんだなあ、
もうちょっと日本語の目名にすればいいのにな、と思った記憶がある。

そしたら、現在は「カカトアルキ目」となっていた。
分かりやすさ抜群だが、一方でなんじゃそりゃ感も満載である。

この目が新記載されたニュースは、2002年4月だったようだ。
1914年にガロアムシ目が発見されてから、新しい目レベルの発見は88年ぶりとのこと。

なお、ちょっともったいないな、と思うは、
この大発見をタイトルでも「88年ぶり」と書いていること。
「○○ぶり」という表記は、基本的に繰り返す可能性があるものに使う。
しかし、昆虫の新目発見なんて、現実的には「ほとんど無い」と考えられていたものだ。
約100年たてばまた発見できるというものでもない。
もうちょっと良い書き方はなかったのかな、と思う。


さて、カカトアルキ。もう名前の通り、カカトで歩く変な虫である。
分類的な類縁関係とかは本書でお読みいただくとして、
今回の発見は、ヨーロッパの標本研究が端緒であった。
そして新目として記載されてから改めて調査すると、
アフリカ南西部に数種が生息していることなどがわかっている。
見る「目」と見る「気持ち」がなければ、発見できないものがあるという良い例である。

また、カカトアルキは極めて乾燥したシビアな場所に生息している。
これはカカトアルキがそこを好んでいるのではなく、
他の生物種との競争の結果、そこに残ったということのようだ。

さらに化石の調査結果から、この小さな虫が、大陸移動の生き証人でもあることが明らかとなっている。
生物分布とは、本当に面白いものだと感じた。

本書では、こうした発見の経緯から、現在の研究状況までが
コンパクトにまとめられている。
大判で子ども向けに書かれているので、図書館でも児童書のコーナーにあった。
もっと詳しく知りたいと思ったのだが、
Amazonで検索しても、「カカトアルキ」または「マントファスマ」でヒットする本は本書しかない。
つまり、本書はカカトアルキについて書かれた一般書としては、おそらく日本で唯一のもの。

生き物好きなら、確実に押さえておきたい一冊である。
関連記事
 このエントリーをはてなブックマークに追加

category: 昆虫

thread: 読んだ本の紹介 - janre: 本・雑誌

tb: 0   cm: 0

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://birdbookreading.blog.fc2.com/tb.php/246-5d20440e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

中の人

アクセス

RSSリンクの表示

最新記事

カレンダー

アクセスランキング

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム