ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

切腹の日本史  

切腹の日本史 (じっぴコンパクト新書)
大野 敏明



切腹という死のかたち。殉死もあれば、責任をとってというのもある。
おそらく多くの日本人は、歴史上(実際は近現代もあるが)の切腹に対して、
その選択について賛否両論はあるにせよ、
そもそも「切腹」という死のシステム自体がおかしいとは感じないだろう。

極めて日本独自のものでありながら、そうとは感じないほど「当たり前」のシステムである。

しかし本書では、改めて
くの者が立ち会う「自殺」、
また介添え人がいる「自殺」というのは、世界的に非常に珍しいものだ、と指摘する。

なるほど確かに、思い当たるものはない。

こうした自殺システムがどのように歴史上運用され、
その結果、どのような「価値観」が付随し、現代にまでつながっているか。
そうした観点から、主要な切腹事件を収集・整理したのが本書である。
全部で第28章。「赤穂浪士」や「新選組」などの章もあるため、人数ではもっと多くなる。

「○○の日本史」というのは良くあるが、その「○○」というテーマ、
目の付けどころが最も重要である。
その点、本書はこれまで見過ごされていた、しかし極めて日本的なモノを見つけ出した。

惜しむらくは、事例集と著者の知見メモという範疇にとどまり、
文献や先行研究を踏まえたものには至ってはない。

それでも、切腹というシステムの不思議さと、
そこに存在する作法、
そして長い日本史の中で、切腹に様々な思いを込めた人々が存在することを改めて認識させられる、なかなか珍しい視点の本である。歴史・通史好きの方には、ぜひお勧めする。

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