ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

わっ! ヘンな虫 探検昆虫学者の珍虫ファイル  

わっ! ヘンな虫 探検昆虫学者の珍虫ファイル
西田賢司




タイトルと体裁で損をしているのではないか。
「ヘンな虫」という言葉が強調され、昆虫写真が散らされた表紙。
一見、珍虫を集めた児童向け本のような感じもする。少なくとも僕はそう感じて、長い間手に取らなかった。
実際は予想を裏切る良書だった。
珍虫情報を求める方には期待外れだろうが、
ワクワクしながら生物多様性を実感できる、地に足の着いた本である。

まず本書は、擬態、構造色、寄生バチ、アリ、甲虫といった様々なテーマについて、
コスタリカで著者が採集・撮影した確認・採集した昆虫を紹介しながら、
種の多様性を見事に実感させる。

また著者は、「虫こぶ」の専門家でもある。
「虫こぶ」なんてどうでもいいもの、と見過ごしがちだ。
しかし実際は、昆虫と植物の密接な関わりが見えるものであり、
それが外来種対策にまで有効であるという。
こんな視点は、今まで知らなかった。

何よりも、本書はコスタリカに腰を据えて活動する「探検昆虫学者」である著者の活動記録である。
具体的な苦労と工夫が伝わる雲霧林での昆虫採集の状況などは、読んでいて興奮すら覚える。

そう、本書はExploratory Entomologist -「探検昆虫学者」の冒険譚なのだ。


著者はまだ40代前半。今後の活躍も楽しみであり、引き続き日本へも紹介してほしい。

なお、著者のホームページはこちら 。

WEB版ナショナル・ジオグラフイックでの連載もある。
コスタリカ昆虫中心生活

「情熱大陸」でもとりあげられてたらしい。こちら


【目次】
序章 1日で夏から冬まで体感できる国
第1章 コスタリカの「ヘンな」虫たち
第2章 「虫こぶ」の未知なる世界
第3章 「バッグマン」と呼ばれる探検昆虫学者
第4章 昆虫たちが教えてくれる未来の地球

【メモ】
p18・174
ハワイにおける外来植物のうち、生態系に悪影響を与える植物=侵入植物
侵入植物が自生していた地域において、その侵入植物だけを食べる昆虫を探している

特に、ノボタンの仲間「ミコニア・カルベセンス」と
ケシの仲間「ボコニア・フルテセンス」は、中南米原産だが、ハワイの生態系を脅かすほど拡大している。

既にタヒチでは、原生林の70%がミコニアによって失われたと報告されている。


p50 構造色について言及
中米を代表するメタリックな昆虫=プラチナコガネChrysina chrysargyrea

p57
ハカマキリの擬態=植物の葉のような色・形
葉の痛んだ部分のような(茶色の円染み)模様まである
(→こんな模様の有無にまで選択圧がかかっているのだろうか?)

p102
虫こぶ
=栄養価が高く、タンパク質と脂肪たっぷりの幼虫も入っている
=中米では、リスやサルが好んで食べる~

p122
ハモグリガ:
卵から成虫になるまで2週間~1カ月程度

虫こぶを作るガ:
卵から成虫になるまで3~6カ月、中には2年もある

p132
虫こぶを作る昆虫は、特定の植物に特化している
=特定の侵入植物に対する生物防除役としてより安全と考えられる

p148
アカカミアリ:硫黄島にも侵入している
体長数mm、すぐに噛みついて尻の毒針でアルカノイド系の毒を注入
瞬時に違和感がある激しい(焼けるようなヒリヒリとした)痛み、1週間以上痛痒い

同じようなアリに「ヒアリ」南米原産で拡大中、香港や台湾に侵入

p150
グンタイアリ
「野営の巣」を作り、前日行った方から113度の方向へ進む。3週間続ける。
角度を変えるため、一度行った方向に重ならない。
3週間続けると、別の場所へ移動する。

p151
サシガメ(トゥリアマ・ディミディアタ)、コスタリカの低地~標高1000m
脳膿瘍や心筋障害を引き起こす「シャーガス病」の原因である原虫を持っていることが多い
シャーガス病=現在は治せない
刺しただけでは問題なく、その時に潰してしまうと糞が飛び散る。
この糞の中に原虫がいる。

p178
ホノルル近郊の森:緑豊かだが外来種ばかりで昆虫がおらず、静か。

p194
サン・ホセ市の学校で、オープン・バタフライガーデン(原生種による)を作る試み
JICAの有機農法推進のコンセプトも加味
→空き地が緑園に生まれ変わった。
また2006年度のコスタリカにおける教育革新プログラムのコンクールで最優秀賞。
詳細:http://www.lrsarts.com/plas/index.html


関連記事
 このエントリーをはてなブックマークに追加

category: 昆虫

thread: 読んだ本の紹介 - janre: 本・雑誌

tb: 0   cm: 0

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://birdbookreading.blog.fc2.com/tb.php/236-c1cbbefd
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

中の人

アクセス

RSSリンクの表示

最新記事

カレンダー

アクセスランキング

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム