ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

カビの科学 (おもしろサイエンス)  

カビの科学 (おもしろサイエンス)
李 憲俊



人類とカビの歴史 闘いと共生と」(レビューはこちら)に続き、またまたカビの本である。

副題で感じられるように、本書の方が親しみやすい。
トピックごとに数ページにまとめられており、隙間時間に読み進めることができる。
取り上げているトピックも充実しており、「人類とカビの歴史 闘いと共生と」とほぼ同トピックを網羅する。あちらは研究現場を踏まえた記述であり、本書は第三者的なまとめ方である。
好みにもよるが、おそらく本書を読めば、多くの方は知りたい情報が得られると思う。

それにしても、カビの爆発的な成長力には驚かされる。
これだけの成長力だからこそ、極めて小さな存在にもかかわらず、分解者として役割が果たせるのだろう。

また、チーズ、酒、カツオブシ等々、食生活にも有用である。

住居ではどうしても厄介者だが、カビという存在もまた、長い歴史によって育まれた生命なのだと感じた。

ところで、本書ならではのトピックとして気になったのは、温暖化の影響だ。

一つは、熱帯性のカビが北上してくる危険性。
もう一つは、温帯性のカビの生態が変化する危険性。

まだ具体的な話はなく、可能性の範疇ではあるものの、いつ具体化してもおかしくない。
引き続き、注目しておきたいテーマである。



【目次】
第1章 地球に生きる生物としてのカビ―カビとはどういう生き物なのか
第2章 カビの生理と生態―生きるためのシステムと発育条件
第3章 カビによる健康被害―カビは怖い生物なのか
第4章 生活の中のカビ対策―こうしてカビは防ぐ
第5章 カビと生きる―カビと人間の深い関係
第6章 住環境にみる主要カビ―身近なカビたちの素顔と生活
第7章 カビの調べ方―カビの検査の手法あれこれ

【メモ】
p4
カビ、キノコ、酵母の共通点
・細胞核が膜を持つ(真核生物)
・葉緑体がない(光合成しない)
・キチンを細胞壁の骨格とする
・単細胞(酵母型)または菌糸形を基本とする
・細胞外で栄養を分解して吸収する
・無性生殖または有性生殖をする

p12
細菌の増加の仕方
1個が2つに分裂する(二分裂法)
分裂のスピードは温度・湿度や栄養で異なる。
大腸菌の場合、最適環境では1回/20分可能と言われている

ex)洗った雑巾に200個の細菌が残っている
→1回/30分で分裂した場合、10時間後には1億個になっている。
もし1回/20分だと1000億個を超える。
これの排泄物が臭う。

p34
クロコウジカビ:5ミクロン程度
1週間で6cmの円形の集落に成長する。

1000倍サイズにすると、
クロコウジカビの分生子5mmから、直径60mの群落に育つことになる。

カビの培養:「巨大培養」(ジャイアントカルチャー)

p50
浴室の天井のクロカビ:
少しずつ成長するため、黒く見えない

p58
温暖化の影響

1)暖かい地域のカビの拡大
ex)アスペルギス・パラジティカスはカビ毒の一種(アフラトキシン)を出す
暖かい地域の土に住んでいる
これが日本全土に広がれば、国産の作物がアフラトキシンに汚染される機会が増加する

2)温帯地域のカビの変化
温帯地域のカビは30℃を超えると活発に増加できないが、
より高音域に適応する可能性がある
もし36-37℃で増殖できるようになれば、人間の体内を住みかとする道が開け、新たな脅威となりうる




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