ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

国境なき医師が行く  

国境なき医師が行く (岩波ジュニア新書)
久留宮 隆



「国境なき医師団」http://www.msf.or.jp/のCMを、近くのイオンでよく見かける。

また、名簿業者から得た情報で、ダイレクトメールを打っているようだ(別に違法ではない)。

こうしたCMや積極的な寄付促進は、ちょっと日本では馴染みが薄く、
どうしても敬遠されがちである。
しかし、自ら獲得した資金で、独立的な活動を行うというスタンスは、欧米では一般的なスタイルだろう。

こうした積極性のみに対して批判的になるのではなく、
その活動内容を見て賛同するか否かを判断するべきである。

そのためには、実際の活動を知ることが一番である。

本書はその一助となる。
初めて「国境なき医師団」に参加した医師が、
最初の任期を終えるまでを綴ったもの。

こうした活動に参加する医師は、いわば何でもできるヒーローかと思いがちである。
しかし実際には、ごく普通の(熱意は別として)医師であり、
様々な悩みや苦しみを抱いていたということは、
考えてみれば当然であるものの、
僕としては新鮮な驚きであった

いわゆる紛争地で活動することは多くの困難を伴う。
また、赤十字よりもより危険な地域で活動することも多いらしく(これは僕の伝聞であって、
明確な出典はない)その活動方針について、賛否両論もあるように聴いている。

しかし、実際の紛争地では、「国境なき医師団」への期待は高い。

日本という安全な場所において、資金提供も何もしない立場において、
「国境なき医師団」の活動を否定すること自体、実は紛争地での医療機会を損なっているのかもしれない。

もっと大規模な医療活動もありかもしれないが、
現実の活動選択肢として、「国境なき医師団」というスタンスは評価されるべきと僕は思う。

少なくとも、本書をはじめ、その活動を知らず否定するというのは、フェアではないだろう。
今後も追いかけていきたい活動である。


【目次】
プロローグ
1章 ミッションはじまる
2章 痛い経験
3章 スタッフの面々
4章 リベリアでの生活
5章 体調を崩す
6章 忘れられない患者
エピローグ

【メモ】
国境なき医師団
1971年設立
1999年ノーベル平和賞
本書時点で、世界19ヶ国に支部を持ち、約70ヶ国に年間約4,700人以上の医師や看護師、助産師、ロジスティシャン(物資調達管理調整員)、アドミニストレーター(財務・人事管理責任者)らを派遣している。
日本支部は1992年設立。
2004年からは、オランダやスイスなど5つあるオペレーション支部の中のフランス支部のパートナー支部(東京デスク)として活動を続けている

p173
ナイジェリアで驚いたのは、「国境なき医師団」の認知度の高さ。

また、この国際医療ボランティアに参加し、帰国した医師やその他スタッフに対しても欧米ではその志を高く評価し、就職に関しても広く門戸を開放している。活動に対する社会的認知度も非常に高い。

しかし、日本ではまだまだそのような状況にはない。

※著者は勤務していた病院の外科医長の職を捨てた。

まだ医師は非常勤で勤めたり、医療関係専門の派遣登録もできるらしい。

「しかし、ロジスティシャンやアドミニストレーターといった、一般企業に属していたスタッフは、アルバイト先を探すことさえ難しい。現在、日本のスタッフで一般企業に勤めながら「国境なき医師団」に参加している者はいない。」

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