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森のふしぎな生きもの 変形菌ずかん  

森のふしぎな生きもの 変形菌ずかん
川上新一



菌のくせに動くとは、なんだ。

一度見てみたい生き物というのは、たくさんある。

しかし、身近にいるらしいが、自分の「目」が見つけられていない生き物というのも多い。
そういう場合、せっかくのチャンスを逃しているわけで、
損をしていることになる。

せっかく同時代・同時期に生きているのなら、とにかく様々な生き物を見たい。
全ての生き物には、地球と生物の歴史が閉じ込められているからだ。

で、そういし気になってるものの、一向に見つけられていないのが粘菌である。
ただ、自分がきちんと気にして探しているかというと、そうでもなく、
偶然の出会い任せにしている。
たぶん粘菌は、それでは出会えないのだろう。

フィールドで見つけるには、まず「目」を慣らす必要がある。
色、形、雰囲気を掴んでいれば、自ずと気づく場合も多い。

本書は、そんな事前の準備に最適である。
粘菌とは何か。その生活史はどうなっているのか、という基礎知識とともに、
79種の粘菌がカラーで掲載されている。とてもお手軽な一冊である。

なお、単純にいうと粘菌は移動している変形体と、胞子を出すための子実体の2時期があるが、
本書の図鑑部では、特徴が多い子実体の写真を採用している。
もしじっくり粘菌と付き合う気なら、もっと詳しい図鑑を探した方が良いかもしれない。

それにしても、多種多様な形、中にはメタリックな色を持つものもあったりと、
本当に不思議な生き物である。

しかし、粘菌の存在が、不植物の分解スピードの抑制を担っているというあたり、
自然のバランスというのは絶妙なものだ。

【目次】
1 知る―どんな生きもの?変形菌
2 探す―森へ探しに!変形菌
3 見る―いろいろいるよ!変形菌ずかん
 ツノホコリのなかま(原生粘菌)
 クビナガホコリのなかま
 アミホコリのなかま
 フンホコリのなかま
 ハシラホコリのなかま
 ドロホコリのなかま
 ウツボホコリのなかま
 ケホコリのなかま
 モジホコリのなかま
 カタホコリのなかま
 ムラサキホコリのなかま
※変形菌図鑑の掲載種=11グループ79種

4 楽しむ―おたのしみ的変形菌

【メモ】


p8-9 変形菌の一生
胞子
発芽
粘菌アメーバ
分裂 → 休眠体(シスト)
接合
若い変形体
変形体 → 休眠体(菌核)
子実体形成
未熟子実体
成熟した子実体
胞子

p22
粘菌アメーバの好物=バクテリア
変形体=バクテリアやカビ、酵母、キノコ
※変形体を飼っている人は、オートミールを与えている

p24
子実体は虫、カビなどに食われる。
特にマルヒメキノコムシ。
また、小さな甲虫、トビムシやダニなども子実体を食べる。
ただしそれらによって、胞子が運搬されている。

p26
変形菌は、バクテリアや菌類といった「分解者」を食べることによって、
落ち葉や倒木の分解スピードを抑える役目を果たしている。

p28
変形菌などのアメーバ類が、植物に窒素を供給していると考えられる研究結果がある。
また、ミネラルも体内に保持している。
ex)モジホコリやカタホコリなどの子実体に見られる白っぽいかたまりは炭酸カルシウム。
これはアメーバ運動に必要だが、これが土壌や朽木に溶け込んでいく。

p31
昭和天皇は新種(新変種を含む)としてオオミマルウツボホコリ、アミクビナガホコリなど8種を、日本新産としてチョウチンホコリ、カワリモジホコリなど5種を発見した。
南方熊楠は、キャラメルの空箱に変形菌を入れて献上した。

p34
多くの変形菌は、高温多湿の梅雨時に成長。
梅雨明けに子実体をつくり始める。
一方、気温の低い冬は苦手。

見つかりやすい場所は、腐りつつある倒木、落ち葉、枯れ木など。
変形体は手のひらくらいの大きさがあるので見つけやすいが、子実体は小さいものが多い。
10-20倍のルーペが便利。
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