ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

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BIRDER (バーダー) 2013年 07月号 この夏こそ! 島でバードウォッチング  

BIRDER (バーダー) 2013年 07月号 この夏こそ! 島でバードウォッチング



ああ島に行きたい。
鳥見がメインで行った島といえば、舳倉島、石垣島、与那国島。
よく考えればどの島でも天候には恵まれなかった。
舳倉島は雷雨の時もあったし、
石垣・与那国は大雨もあった。
それでも、やはり一日中島をめぐって、野鳥を探すのはとても楽しい。

今回は、そんな島を特集。ある程度の鳥屋なら行きたいと願っている島々について、
簡単な紹介と、アクセス、鳥見に適した時期などのデータを掲載している。ただ多くは1つの島について1ページなので、これだけで情報が十分とはいえない。
本気で行くなら、まだまだ多くの情報が必要だろう。
それでも、島々に思いを馳せるには十分である。

ただ昔から、島という狭い空間では、マナーや鳥屋と写真屋の軋轢など、あまり楽しくない話題が多かった。
それでも島まで行く人間の多くは、ある程度野鳥に詳しいのでそれなりに話は通じるところがあったのだが、
最近はとても皆気軽に出かける。
悪いことではないが、そのためかなり様々な噂も聞く。
それだけのストレスを覚悟してまで、舳倉島クラスの小さい島で鳥見がしたいかと問われれば、
正直なところ僕は行きたくない。

これから島に行こうと思っている方々は、本特集でも何度も語られているが、
地元の人にも嫌がられないマナーを守っていただきたいと願う。


さて、あと気になったのはYoung Gunsの野鳥ラボ。
この連載はとても興味深くおっかけているが、今回は[非生殖羽のシラサギ類の識別]。
具体的には、
・ダイサギ亜種
・ダイサギ亜種チュウダイサギとチュウサギの識別
・アマサギ幼鳥とコサギの識別
・カラシラサギとコサギ、クロサギ白色型の識別
である。
うーん、確かに非繁殖時期のシラサギ類は難しい場合もあるけれど、
実際はここまで細かいポイントをチェックするまでもなく、識別可能なんじゃないかな、と思う。
まあ、識別の「詰め」としては必要な知識かな。

ただ、亜種ダイサギについて、
まず
・亜種ダイサギ    跗蹠(ふしょ)の後縁部が白色で、アオサギと同大
・亜種チュウダイサギ 跗蹠(ふしょ)全体が黒く、アオサギより小さい
という識別点を挙げたうえで、

「亜種ダイサギと考えられるアオサギより大きく見える個体にも、跗蹠(ふしょ)全体が黒いものはいるようだ」
として、どうも
アオサギよりも大きく見える
→亜種ダイサギと思われる
→その個体の跗蹠(ふしょ)全体が黒い
→跗蹠(ふしょ)の色は決め手にならない
と展開しているようだ。

しかし、アオサギだって性・齢・個体差によってサイズは変わる。
比較対象が絶対値でない以上、アオサギよりも大きく見えるという特徴は、
参考条件でしかないだろう。

跗蹠(ふしょ)の色という明瞭に異なる外部形態がある以上、そちらが検討条件としては優位なはずで、
これ、単に亜種チュウダイサギの可能性の方が高いのではないだろうか。

少なくとも、こうした事例をベースに、跗蹠(ふしょ)の色という形態差の特徴を否定するのは、
かなり危険だろう。
少なくとも僕は、野鳥の識別ではサイズは決め手としていない。

また、そう考えると、
「筆者は2011年7月に茨城県のコロニー内で亜種ダイサギと考えられる個体を観察している。」
という記述もちょっとそのまま受け取れない。
これは跗蹠(ふしょ)の色で亜種ダイサギと考えたのか、
それてもサイズで亜種ダイサギと考えたのだろうか。
ちょっとこの記事だけでは、筆者の主張の根拠がよくわからない。

僕は、夏季に亜種ダイサギがいる可能性はあると思うし、
今後繁殖する可能性も否定しない。
また、跗蹠(ふしょ)の色にも個体差はあるかもしれない。

しかしそれほどの主張をするなら、もっと多くの資料写真や丁寧な検討が必要だろう。
少なくとも、「Young Guns」という匿名記事において
あまり安易かつ簡単に、既存の識別点を否定する記述をするのは無責任ではないかなと感じた。


本記事を読んだ初心者は、亜種ダイサギの識別を跗蹠(ふしょ)の色よりも大きさを重視するだろう。
そうすると、
アオサギよりも「大きそうな」跗蹠(ふしょ)の黒いダイサギは、全て亜種ダイサギとされかねない。
結局、今後の記録が混乱するだけである。
それはYoung Gunsも望んでいないだろう。

【目次】
[特集]この夏こそ!島でバードウォッチング
・「島の鳥」ってどんな鳥?  文・写真●高木昌興
・島の「鳥見計画」の立てかた  文・写真●田仲謙介

【北海道の島】
・利尻島(北海道) 文・写真●小杉和樹
・礼文島(北海道) 文・写真●宮本誠一郎
・天売島・焼尻島(北海道) 文・写真●寺沢孝毅

【日本海の島】
・飛島(山形県) 文・写真●簗川堅治
・粟島(新潟県) 文・写真●斉藤一也
・佐渡島(新潟県) 文・写真●中津 弘
・舳倉島(石川県) 文・写真●♪鳥くん
・見島(山口県) 文・写真●久下直哉

【九州の島】
・対馬(長崎県) 文・写真●川口 誠
・福江島(長崎県) 文・写真●出口敏也

【南西諸島】
・屋久島(鹿児島県) 文・写真●尾上和久
・平島(鹿児島県) 文・写真●所崎 聡
・奄美群島(鹿児島県) 文・写真●鳥飼久裕
・沖縄島と周辺の島々(沖縄県) 文・写真●嵩原建二
・大東諸島(沖縄県) 文・写真●嵩原建二
・宮古島(沖縄県) 文・写真●本若博次
・石垣島(沖縄県) 文・写真●本若博次
・西表島(沖縄県) 文・写真●本若博次
・与那国島(沖縄県) 文・写真●本若博次

【伊豆・小笠原の島】
・三宅島(東京都) 文・写真●江崎逸郎
・八丈島(東京都) 文・写真●高須英之
・父島・母島(東京都) 文・写真●栄村奈緒子
・島旅が3倍楽しくなる!航路探鳥のススメ  文・写真●石田光史

【番外:近郊の島】
・江の島・城ヶ島(神奈川県) 文・写真●志賀 眞

【海外の島
・バリ島・ランカウイ島  文・写真●園部浩一郎


・BIRDER Graphics[立山室堂のライチョウたち] 文・写真●戸塚 学
・Field Report[爽やかな5月の風に吹かれて] イラスト●水谷高英
・Young Gunsの野鳥ラボ[非生殖羽のシラサギ類の識別] 構成●Young Guns
・鳥の形態学ノート[オオコノハズク耳] イラスト・文●川口 敏
・Bird Tracking[センダイムシクイ] イラスト●赤勘兵衛
・ぶらり・鳥見 散歩道[干拓地にコシジロウズラシギがやってきた!(新潟県新潟市)] 文・写真●♪鳥くん
・野鳥圖譜[シロガシラ] 画・文●佐野裕彦
・どこでもバードウォッチング[里山(実践編)] 文・写真・イラスト●神戸宇孝
・伝説の翼[迦陵頻伽(karyoubinga)] 画●長島 充 文●斉藤ヒロコ
・唐沢流・自然観察の愉しみ方[白山山麓の限界集落を巡る] 文・写真●唐沢孝一
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