ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

僕の死に方 エンディングダイアリー500日  

僕の死に方 エンディングダイアリー500日
金子 哲雄




ある時期から、TVのトレンド情報で金子哲雄氏を見かけるようになった。
その独特の雰囲気と語り口は、正直僕は合わなくて、申し訳ないが氏の情報を見よう、という気にはならなかった。

しかし本書を読むと、金子氏が意識的に主婦目線からの分析・解説を行っていたため、
嗜好性が主婦と全く異なる僕は合わなかったのかな、と思う。


そして「主婦目線」はもとより、メディアへの露出、自分の立ち位置、そうした諸々のことについて、
金子氏が周到に準備し、出るべくして世に出てきたのだということを、初めて知った。

金子氏は 2012年10月2日に肺カルチノイドで死去したが、
それまで闘病生活にあることは一切公表せず、
自身の死に向き合い、死の準備をやりとげてから亡くなった。

死への準備についても驚かされるが、
何よりも「流通ジャーナリスト」として世に出てくるまでの努力と工夫である。
自らの強みを分析し、それを最も有効に活用できるよう努力と工夫をかさね、
そして思い描く未来に向かって進んでいく。
その姿からは、イチローにダブるストイックさを感じるくらいである。

「お得情報」という「使い捨て」の情報を追い続ける仕事ではあるが、
金子氏はそれを天職として見抜き、天職として全うしていた。
その生き方は、日々に迷う僕らに対して、大きな励みとなる。

金子氏が生きていたときに、その隠れた努力と工夫はほとんど知られなかったが、
本書を残してくれたおかげで、希有な生き方を後世に示してくれるだろう。

TVのイメージだけで敬遠していた僕のような方にも、
ぜひ一度読んでみていただきたい。
人はこれほどまでに強く、やさしく、謙虚になれるのだなと、改めて思い知らされた。


【目次】
第1章 流通ジャーナリストと名乗って
第2章 昼も夜も時間が足りない
第3章 発病。あふれてしまう涙
第4章 最後の仕事は死の準備

【メモ】
p21
「やっぱり好きなことで勝負しないと勝てないんだな。
高校2年生の私は、その時はっきりと悟ったのだ。」

p36
「私は喜ばれるにはどうしたらいいか、といつも考えている。それは今でも変わらない。」

p54
女性週刊誌に初めての記事、掲載ページに付箋をつけ、TV局の喫煙室に置いた。
「『喫煙室は手持無沙汰』という読みがあったからだ。」
「記事を読んでもらえれば、面白いと思ってもせえるという自信があった。」

p58
「私はそんな中で、主婦の視線で話ができ、かつビジネスに関連する話題も発信していける。こういう希有なポジションを獲得できたのだ。」

p60
スーパー、最初にチェックするのは牛肉の値段(トップとボトム)
牛肉の値段は地域の商圏の経済力を反映
鶏肉や豚肉はさほど変わらない
経済力が高ければ高い肉が売れる。庶民の街ではリーズナブルな値段が人気商品となる。

p65
4白(牛乳、食パン、卵、とうふ)が安い店を探す
これらが安く、品ぞろえが良いのが良いスーパー
カレーの食材も同じ

p78
「大学病院の医師は、治癒率を気にかける。それが業績や評判に直結するからだ。」

p80
「妻も働く身だ。決して時間に余裕があるわけではない。睡眠時間を削って、私の闘病を支えてくれた。『申し訳ない』何度もこの言葉が口から出かかり、慌てて飲み込んだ。言って済む話ではない。謝られても、向こうが困るだけだ。その代わり、『ありがとう』と言おう。」

p126
「死んだ人を悼む気持ちは同じなのに、お金で争ってしまう。争いたくなくても、そこがはっきりしなければ、揉める可能性がないとは言いきれない。
それがわかっているのに、当人である自分が何もしないのは、やはりおかしい。そのための遺言-エンディングノートにしたかった。」

p130
「『感謝の全国キャラバン』なんて、くだらないことを考えていると思われるかもしれないが、これは今の自分にできる、最大限のことなのだ。相手を喜ばせるための仕事を、今、私はできていない。その代わりに、葬儀と葬儀後をプロデュースすることで、相手に喜んでいただきたいのだ。」

p146
「そもそも私は、流通業界を切り口に、情報番組や情報誌という媒体で、いわば使い捨ての情報を追いかけることを生業としていた。使い捨ての情報は、報道やドキュメントとは異なり、何かを社会に対して提言し、世の中を変える一端を担うものではない。どちらかと言えば、暇つぶしみたいなものかもしれない。
しかし使い捨ての意地もある。
だから最後まで妙な格好をつけたくない。」
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