ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

日本動物大百科(平凡社) 鳥類Ⅰ、鳥類Ⅱ  

日本動物大百科(平凡社) 鳥類Ⅰ、鳥類Ⅱ
樋口 広芳

【鳥類Ⅰ】


【鳥類Ⅱ】



野鳥図鑑はよく売れるようだが、あれはあくまで識別のためのもの。
識別=名前を知るということは、実は動植物とのつきあいの入口にすぎない。

その先にある生態、形態の妙こそが面白いのだが、
昨今、識別できたら珍鳥・迷鳥に流れる人ばかりで、嘆かわしい限りである。

スズメにしても、一腹卵数、抱卵日数、育雛日数なんてベーシックな情報をはじめ、
分散、つがい形成、営巣場所、イエスズメとの競合等々、
楽しいテーマがいっぱいである。

しかも、種ごとにそのトピックは異なる。

セグロセキレイとハクセキレイの競合。ここには古いセグロセキレイの存在と、
分化の流れを見る面白さがある。

セグロといえばセグロカモメ。分類学の最前線。

コゲラの縄張り範囲は。なぜホオジロは秋にさえずるのか。カワラヒワのつがい形成はどのような流れなのか。エナガのヘルパー性とは。オオヨシキリのメスによるオス選択とは…。

こんなに面白い世界が待っているのに、種名だけでいいの、と思いながら観察会を開催し、
できるだけ楽しいトピックを提供できるようにしている。

ただこうした識別重視・生態軽視の風潮は、
おそらく、世に識別図鑑は溢れているが、
こうした生態学を含んだ分野では、「そもそもどれを読んだら良いのか、分からない」のも一因だろうと最近思う。

そこで、まず基礎文献として紹介したいのが本書である。
2冊で当時の日本産種をほぼ網羅。
全種について、分布、サイズ、特徴、生態を解説しているほか、
主要な種については、各研究者による解説が掲載されている。
これが結構詳しくて、非常に役に立つ-いや役には立たないけれども、
その種の生物としての「生き様」を教えてくれる。

珍鳥マニアでない野鳥好きであれば、とても楽しい一冊になるだろう。
また、観察会の案内をするような立場の方は、持っておいて損はない。

(なお、上記の各野鳥のトピックが、全て本書で解説されているわけではありません。念のため。)
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