ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

立花隆の書棚  

立花隆の書棚
立花 隆



正直なところ、あまり立花隆氏に興味はない。
ただ、「知の巨人」とか言われているし、
ブックガイド的な本も結構出している。
良い本に出合うにはたくさん読んでいる人に聞くのが良い方法の一つなので、
そういうスタンスで、機会があれば見ている。

で、そういう方の蔵書はいかなるものなのか、という興味から手に取った。
もう一つは、色々なレビューでも触れられているが、
本書の潔い「太さ」に惹かれた。厚さ6cm弱あります。国語辞典とか英和辞典とかより厚い。

内容は、立花氏の書棚の写真と、それぞれの書棚にある本、カテゴリについて、
立花氏が思いつくままに語るというもの。

共産党史とか東大紛争とか政治史に興味がある方なら、
良いブックガイドになるかもしれない。

僕は生物関係に興味があったので、頑張って全部読んだが、まあそこそこでした。

気になる本としては、ヨーロッパの聖者の伝説を集めた本「黄金伝説」。


「名画でたどる聖人たち もう一つのキリスト教世界」(レビューはこちら)でもよく引用されている。

いつか読んでみたいものである。


あと、ちょっと納得がいかない点があるので述べておきたい。

①ホンダのアシモについて
立花氏は人工知能的観点からアシモを例に出して、けちょんけちょんに述べている。

p75
「人工知能でせいぜい可能なのは、ホンダの作ったアシモのようなロボットでした。けれども、アシモは見かけ上は、いかにもロボット自身が自発的にアクションしているように見えるけれども、実は全て舞台裏で人間が操作しているのと同じ。言ってみればラジコンと同じです。もちろんラジコンよりは、レベルの高いことをしますが、原理的には同じです。舞台の上でロボットが動いていても、それはロボットが自発的に動いたのではない。」

いや、アシモは人工知能ではなく、二足歩行ロボットであり、
運動能力、反射能力、バランスなどでの技術追求ではないのか。
ホンダのホームページでアシモのコンセプトを見ても、
どこにも人工知能なんて言ってない。
ちなみに記載されているコンセプトは以下の通り。
・親しみやすいデザイン
・小型軽量化
・より進化した歩行技術
・より柔軟で速い動き
・簡単な操作性
僕もアシモのショーを見たが、確かに「人工知能」っぽいショー仕立てではあった。
しかし、誰もアシモの売りが「人工知能」だなんて考えてないだろう。
立花氏の批判というロボット限界論は、何だかかなり的外れであり、
F1マシンにカーナビがないと文句を言っているようなものである。
何だかよくわからない。

②原発について
原発に関する立花氏の他の著作は読んでないので、正しい立場や主張は知らない。
ただ本書に限れば、
・福島原発は古いタイプであり、人為ミスと設計ミスが事故原因。
・最新の原発は安全である。
・他国では原発研究が推進されている。
・日本だけ原発から撤退するのは損である。
というものと思う。

しかし、福島原発事故で立証されたのは、福島原発が古いタイプの原発だったかどうかではなく、
「原発にも人為ミスと設計ミスはある」
「事故が起きれば、その被害はコントロール困難」
ということできなかったか。

立花氏がいうように、最新の原発は二重三重に安全なのかもしれない。
しかしそれも、正しい設計と正しいコントロールがあってこそである。
いかなるモノにも「人為ミスと設計ミスはある」、そして
一度破綻すれば「その被害はコントロール困難」であれば、
少なくとも国土に余裕がない日本では、商業原発は困難と考えざるを得ない、と僕は思う。

もちろん、色々なご意見はあるだろうが、
ちょっと立花氏の主張は、無邪気に技術を信頼しすぎているような気がした次第である。


なお、僕がこのシリーズで見てみたいのは
刊行されていないが「荒俣宏の書棚」である。


【メモ】
p57
中央公論社の「自然選書」シリーズは、いい本が多かった。

p146
「黄金伝説」は、ヨーロッパの聖者の伝説を集めた本。
カトリックの聖人伝説は、ギリシア・ローマ神話が古典古代において果たしたのと同じ役割を、中世・近世ヨーロッパにおいて果たしている。そのため、ヨーロッパ文化を深いレベルで知ろうと思ったら、「黄金伝説」は欠かせない。

p348
国外に離散状態でいるユダヤ人(デイアスポラのユダヤ人)は、みな潜在的にイスラエル国民であることになっているため、国籍が欲しければいつでも獲得できる。

中東で戦争が起これば、ユダヤ系アメリカ人は義勇軍として参加することが法的に認められている。


p75
「人工知能でせいぜい可能なのは、ホンダの作ったアシモのようなロボットでした。けれども、アシモは見かけ上は、いかにもロボット自身が自発的にアクションしているように見えるけれども、実は全て舞台裏で人間が操作しているのと同じ。言ってみればラジコンと同じです。もちろんラジコンよりは、レベルの高いことをしますが、原理的には同じです。舞台の上でロボットが動いていても、それはロボットが自発的に動いたのではない。」

p115
「原発不要論というのは、つまり『原発というのは人間にはコントロールしきれないメカニズムなのだ』という主張ですが、現実には、とっくの昔にそうではなくなっています。人間のコントロールが及ばないのは、むしろ今回福島で事故を起こした、あの旧タイプの原発ぐらいのものなのです。」
・設計者がアメリカの竜巻を念頭に置き、地下に予備電源を配置した。

p117
「今回の事故は、東電の様々な事後処理ミスやGEの設計ミスがなければ、むしろ原発の安全性を証明することになりえた事件だった。」

p123
福島の原発 第二世代
完全安全体制をとったものを三・五世代、もしくは第三世代+
第三世代++にはAP-1000という非常に有名なシステムがついていて、現在はこれが基本
第四世代 緊急時に多重防護システムが電源なしで働く

p128
「原発が怖いといっても、周囲の国はすべて原発大国を目指しているわけです。日本だけが脱原発をしたところで、完全に原発のリスクから逃れられるわけではありません。そうであるなら、少なくとも自分たちでコントロールできる技術を持っておいた方がいい。今後の原発政策は、国内事情だけでなく、国際的な視点を持って決めるべきだと、ぼくは思います。」

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