ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

ワクチン新時代-バイオテロ・がん・アルツハイマー  

ワクチン新時代―バイオテロ・がん・アルツハイマー
杉本 正信,橋爪 壮



鳥インフルエンザやウエストナイル熱、SARSなどのウイルス関係の本を読んできたので、
その対抗策であるワクチンに関係するものとして選択。
ポリオワクチンでは、生ワクチンと不活化ワクチンの違い、そしてそれが選択された歴史を紹介。
がんやアルツハイマーに対するワクチン開発など、最近の動向も盛り込む。

またワクチン史というものがあるとすれば、その一大成果である天然痘の撲滅にいて一章を割いて説明。
ただ一方では天然痘がバイオテロに用いられる可能性を具体的に説明する。
ただ救いとして、著者らが開発したLC16m8ワクチンの存在が紹介される。天然痘が撲滅された時点では不要になったのだが、バイオテロに備える防備として活用されるようになったのは歴史の皮肉だろう。

全体にやや専門性が強いが、ワクチンとは何ぞや、ということを学ぶのには良い一冊である。

【目次】
1 ワクチンとは何か-歴史と原理
2 高病原性インフエンザの脅威
3 ポリオ-生ワクチンと不活化ワクチン
4 高齢者の大集団の出現-がん・アルツハイマー
5 拡散するウイルスとバイオテロの脅威
6 天然痘、その惨禍から根絶、そして復活
7 天然痘バイオテロワクチンの切り札LC16m8
8 ワクチンの理論と今後の課題
おわりに
参考文献


【メモ】
p15
従来の季節性インフルエンザ=気道の粘膜細胞でしか増殖せず、ウイルスが直接肺炎を起こすことも稀で、他の臓器にも感染しない
高病原性インフルエンザ=全身の細胞で増殖

p21、39
インフルエンザ、エイズウイルス、ポリオウイルス=RNAウイルス
DNAウイルスに比べて遺伝子が一般に不安定で、遺伝子変異を起こしやすい

ポリオウイルスのような一本鎖RNA遺伝子の変異率:1000分の1~1万分の1
DNA遺伝子の変異率:1億分の1~1000億分の1

p25
インフルエンザに対する抗ウイルス薬
=ノイラミニダーゼ阻害薬であるオセタビル(商品名「タミフル」)をはじめとする薬

市販されたノイラミニダーゼ阻害作用を持つアマンタジンは比較的安かったため、
中国では2004年以降鳥インフルエンザ対策としてニワトリの飼料に大量に混ぜた。
その結果、ほとんどのA型インフルエンザウイルスが薬剤耐性になった。
→CDCはインフルエンザの予防と治療にアマンタジンとその類似薬リマンタジンを使用しないよう勧告(2006.1.18)

p33
ポリオウイルスに対するワクチン
1955、ソークによる不活化ワクチンの開発
1960はじめ、アルバート・セービンによる生ワクチン開発、安価で免疫が長く持続するため、北欧諸国を除くほとんどの国で生ワクチンに移行

p35
日本:最初はソークワクチン(不活化ワクチン)、1960年代にポリオの大流行があり、
生ワクチンの緊急輸入が望まれ、1961年に経口ポリオ生ワクチン1300万人分を緊急輸入

p46
細菌成分を接種し、体の免疫機能を活性化させるがん療法
・溶血性連鎖球菌を用いたピシバニール
・結核菌の多糖体を用いる丸山ワクチン
その評価は定着していない

p47
免疫系はがん細胞の発生を常に監視し、新たに生じたがん細胞を破壊している「免疫監視説」1909、P.エールリヒ

ナチュラルキラー細胞といったリンパ球によるがん細胞の破壊、
ヘルパーT細胞やキラーT細胞といったリンパ球もがん細胞の破壊に関与
→次第に「免疫監視説」を裏付け
ただし、これらの細胞が認識するがん抗原は原則として正常な細胞にも存在するため、ウイルスや最近と言った外来の抗原とは異なるため、強い免疫反応を誘導できない

p57
水痘ワクチンは、帯状疱疹予防のため高齢者にも接種されるようになっている
アメリカ:
 60歳以上の約3万6000人対象=帯状疱疹の発生頻度を約半分、帯状疱疹後神経痛が66%減少
 帯状疱疹予防のための水痘ワクチンの使用承認

p63
天然痘ウイルス、ボツリヌス毒素、鳥インフルエンザウイルス
=製造が安価、危険性の高いものに遺伝子操作することが容易

p67
公式にはごく少量の天然痘ウイルスしか保持していないことになっていた旧ソ連では、
モスクワ北東部近郊のザゴルスク(現セルギエフポサド)にある粗密実験室で、何トンもの
天然痘ウイルスを製造していた
細菌兵器=L、L1=ペスト菌
ウイルス兵器=N、N1=天然痘

p81
日本では1946年に18,000人近い天然痘の流行があり、約3,000人が死亡
1956年以降には発生がない

p83、86

第1世代ワクチン
天然痘予防のためのワクチン
ウシで製造、=100万人あたり20-30人の脳炎・脳症、てんかん、全身性ワクチニアウイルス感染症などの重篤な副作用があった

第2世代ワクチン
第1世代と同じだが細胞培養技術を用いて製造

第3世代ワクチン
弱毒化して細胞培養技術を用いて製造
LC16m8ワクチン=著者らが1975に開発、臨床試験済み、当時の厚生省による製造認可あり、副作用がない(製造の)
MVA、NYVAC 21世紀に開発
関連記事
 このエントリーをはてなブックマークに追加

category: 感染症

thread: 読んだ本の紹介 - janre: 本・雑誌

tb: 0   cm: 0

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://birdbookreading.blog.fc2.com/tb.php/184-a06b9673
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

中の人

アクセス

RSSリンクの表示

最新記事

カレンダー

アクセスランキング

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム