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神道はなぜ教えがないのか (ベスト新書)  

神道はなぜ教えがないのか
島田 裕巳

神道はなぜ教えがないのか (ベスト新書)神道はなぜ教えがないのか (ベスト新書)
(2013/01/09)
島田 裕巳

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正直なところ、神道はよくわからない。
多くの神社で、古事記や日本書紀で語られる神々を祀っているのはわかるが、
初詣や何かで、その神社の祭神を確認して訪れているわけではない。
また、確認して「ここは行かない」なんて思うものでもない。

また、子供の頃に初詣に行った神社は八幡神社だったし、
現在最も身近なのは天満宮である。

様々な入門書もあるが、その本質をうまく説明してもらえるものは
出会えていなかった。

その点、本書は、「神道とは『ない宗教』である」という認識を示してくれる。
これが全てではないとしても、他宗教と比較するうえで、
かなり重要な手掛かりとなる。

何が「無い」のか。

p20
教祖も、宗祖も、教義も、救済もない宗教が神道である。

そして筆者は、
神道が「ない宗教」であるから「ある宗教」の仏教との親和性が良かったと説明する。
そして神道が豊穣などの現生利益に、一方仏教が悟り=成仏=死にかかわることで、
日本では神道が生、仏教が死と役割分担したと説明する。
いわゆる「葬式仏教」がどうして成立しえたのか、またなぜ日本では「葬式仏教」とならざるを得なかったのかを見事に解き明かしている。

また、神道と仏教が混じったと言っても、
キリスト教や仏教に現地宗教が溶け込むような、
一方が他方を圧倒し、吸収するような取り込み方(諸教混淆、シンクレティズム)ではない。

p78
むしろ、明治の「神仏判然令(神仏分離令)」が施策として可能だったように、
両者は集合しつつも、それぞれが分離可能な独立性を保っていた。

というのも、日本の仏教と神道の関係をみるうえで重要な指摘だろう。

日本の神道は、一般的・世界的な宗教とはかなり異なるというのは、
今後自分の宗教観を整理するうえでも非常に役に立つと感じた。

諸々のレビューを見ると、「これでは神道はわからない」というスタンスのものもあったが、
本書は「神道入門」ではなく、
「神道『学』入門」というものだろう。

この一冊で神道の歴史や成り立ちが全てわかるものではないが、
神道の本質を考える上では、非常に欠かせない視点を提供している。


【目次】
「ない宗教」としての神道
もともとは神殿などなかった
岩と火 原初の信仰対象と閉じられた空間
日本の神道は創造神のない宗教である
神社建築はいつからあるのか
「ない宗教」神道と「ある宗教」仏教との共存
人を神として祀る神道
神道とイスラム教の共通性
神主は、要らない
神道は変化を拒む宗教である
遷宮に見られる変化しないことの難しさ
救済しない宗教
姿かたちを持たないがゆえの自由
浄土としての神社空間
仏教からの脱却をめざした神道理論
神道は宗教にあらず
「ない宗教」から「ある宗教」への転換
神道の戦後史と現在

【メモ】
p20
教祖も、宗祖も、教義も、救済もない宗教が神道である。

p47
日本には、火を用いた火祭りというものが多い。
他の国にも火祭りがないわけでないが、火そのものが神聖視されるような祭りはほとんどない。

p51
御神体は、あくまで神が一時的に宿るもので、神そのものではない。
その点では、ご神体以上に閉じられた空間、つまり何もない空間が重要だともいえる。
姿形を持たない神を祭祀の対象として祀り上げるためには、閉じられた空間という装置が不可欠。

p66
日本最古の神社建築はどこか。その創建はいつか→明確な答えがない。

神道の場合、初期は屋外で祭祀を行うので、社殿が不要だった。

仏教の場合、仏像を本尊として安置したり、
仏舎利をおさめるため、どうしても建物が必要となる。

また仏教では、教えを学ぶ僧侶が説渇する場としての建物も必要となる。

p78
宗教の平和的共存という事態は、世界的にみるとかなり珍しい。

キリスト教やイスラム教に民族宗教が取り込まれる(諸教混淆、シンクレティズム)。
神道と仏教による神仏習合もこの一種だが、一方が他方を圧倒していない。

むしろ、明治の「神仏判然令(神仏分離令)」が施策として可能だったように、
両者は集合しつつも、それぞれが分離可能な独立性を保っていた。

神道は「ない宗教」、仏教は「ある仏教」なので、相性が良かった。

p83
神道:死語の世界として黄泉の国の存在が肯定されているが、それは生者の世界と地続き。
   日常生活、作物の栽培などの守護などに役割。
仏教:悟りをひらき、仏になること、浄土に生まれることに共通性を見出し、
   両者を共に「成仏」ととらえたことで、死の領域に深くかかわる。
→神道は生の領域、仏教は死の領域で役割分担
 よって子供の成長、結婚などは神道が担い、葬式から死後の世界は仏教が担う。

p95
人を神として祭る→他の宗教でもある。
キリスト教やイスラム教:聖人崇拝、聖者崇拝
ただしむやみに聖人崇拝が拡大されるのを恐れてか、
カトリックでは教会が誰を聖人とするかの主導権を握り、
聖人として認めるための手続き、儀式「列聖」が定められている。

p102
世界の宗教の中で、出家が制度化されているのは仏教とキリスト教だけ。
この二つは、現実の世界とは根本的に異なる聖なる世界の存在が前提となっている。

p122
神社:社家という神職を世襲する家がある場合がある
出雲大社:千家と北島家=出雲国造

p146
仏教:修行がある
神道:禊はあるが修業はない。滝行などは修行としてもとらえられるが、
   あくまで重要なのは身を清めること。

p154
日本で最も多い神社
八幡、伊勢、天神、稲荷、熊野、諏訪、祇園、白山、日吉、山神

p188
日本の歴史では、天皇家が仏教推進にかかわっているが、
明治になると、天皇家から仏教関係の信仰が一掃される。
皇室は信教の自由を奪われている。

ただし、神道は国家全体の祭祀であり、宗教ではないともされ、
多くの国民に受け入れた。
それは神道が宗教的な構成要素を欠いており、
伝統的に受け継がれた社会的慣習という側面があったため。

そのため、宗教ではない神道と、宗教である仏教の併存が個人の中で可能になる。
しかしそれは他の宗教、キリスト教やイスラム教からは認めがたく、
日本人は無宗教という選択になっている。

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