ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

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ぼくが遺骨を掘る人「ガマフヤー」になったわけ。: サトウキビの島は戦場だった  

「ぼくが遺骨を掘る人「ガマフヤー」になったわけ。: サトウキビの島は戦場だった」

【良かった度】★★☆☆

ぼくが遺骨を掘る人「ガマフヤー」になったわけ。: サトウキビの島は戦場だったぼくが遺骨を掘る人「ガマフヤー」になったわけ。: サトウキビの島は戦場だった
(2012/08/31)
具志堅 隆松

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 「散るぞ悲しき」繋がりではないですが、先の第二次世界大戦関係の書を手に取りました。本書は沖縄で、戦没者の遺骨収集を行なっている方による、自らの活動・理念紹介の本です。

 日本政府が成没者の遺骨収集に熱心ではない、ということは、野口健氏の活動でも知っていました。しかしながら、沖縄ではまだこれほど「放置」されているということは知りませんでした。著者は日本政府が業者に委託すること、そして業者の作業方法が非常に乱暴なものであり、遺骨を遺族に返すことを目的としていないことに、憤りを感じています。

 その「作業方法」に対する批判はもっともです。また、筆者の丁寧な作業により、遺骨と遺族がついに出会うことができた、という事実を見ると、著者の活動方針は誤っていないと感じました。

 ただ、著者は業者に委託するというスキームを、「遺骨収集を金儲けにした」と非難し、全く検討していません。これはちょっと理想的過ぎるかなと思います。もちろん遺骨収集は国が責任もってすべき事業です。しかし公務員だけで実施できず、民間人に作業を依頼するのであれば、それは当然「委託事業」となり、経費は作業員の日当だけではなく、労務管理や書類作成者の人件費や事務費も含まれます。それが当然です。また当該企業が継続し、翌年度も事業を受注しようと思うのであれば、それなりの利益を得ることも必要です。これを悪と断じるのは、あまりにも理想主義すぎると思いました。
 実際、筆者の作業でも、ボランティアだけでは作業が完了できず、筆者(NPO)が厚生省の緊急雇用創出創出事業を利用し、ホームレスや失業者を雇用して作業を終えました。この事業主体である「筆者(NPO)」が「企業」になるだけで、「金儲け」として否定すべきでしょうか。
むしろ別の一面から見ると、NPOが事業主体となるということは、事業の継続性や労務管理(労災発生時)などの面で、企業よりも不安が残ります。善意発がいけないとは言いませんが、善意発が全て正しいというわけではありません。

 ではどうすればよいのか。

 本書を読みながら感じたのは、この丁寧な遺骨発掘作業は、埋蔵文化財の発掘と同じだ、ということです。
 ですから、国が遺骨収集に関わる公益法人を設立し、その法人が埋蔵文化財の発掘知識のある人を雇用し、そこが中心となって国内外の遺骨収集にあたるのはどうでしょうか。その公益法人が、個々のNPOと協力しながら事業を行なうわけです。こうした公益法人を作れ、と国に呼びかけ、適切な団体を作らせることこそ、筆者(NPO)の重要な仕事ではないのか、と感じたしだいです。
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category: 戦争

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