ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

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医者が末期がん患者になってわかったこと―ある脳外科医が脳腫瘍と闘った凄絶な日々 (角川文庫)  

医者が末期がん患者になってわかったこと―ある脳外科医が脳腫瘍と闘った凄絶な日々
岩田 隆信

医者が末期がん患者になってわかったこと―ある脳外科医が脳腫瘍と闘った凄絶な日々 (角川文庫)医者が末期がん患者になってわかったこと―ある脳外科医が脳腫瘍と闘った凄絶な日々 (角川文庫)
(1999/06)
岩田 隆信

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昭和大学医学部脳神経外科助教授として、脳神経外科の最前線で活躍していた著者、岩田氏。
その岩田氏が、悪性脳腫瘍となってしまう。
本書はその病状の進行とともに、著者の考え、思いなどを、日々の日記を織り交ぜながら赤裸々に記している。

表題のとおり、医者が患者になって初めてわかったこと、
検査の段取り、入院生活、手術の影響、後遺症などが細かく綴られる。
それは自分をひとつのケースとして、後の医学に役立てたいという、
職業人である岩田氏の熱意がさせるものだ。

p122
「この日の眼科の検査では、医師が医療に対して一生懸命になればなるほど、視野が狭くなるという体験をしました。それは、自分が患者さんを診るときには意識もしないでやっていたことであり、自分自身も反省させられることとなりました。」

しかし一方、
仕事一筋に進んできた人が、患者になって初めてわかったことも綴られる。

p57
「医師として、精一杯努力してきたことになんの悔いもありません。しかし、妻と子供に対して、夫らしいこと、父親らしいことを、何もしてやれなかったことは、今の私にとっては大きな心残りだとしかいいようがないのです。」

p218
「それにしても……と思うのは、やはり人にとって、家族が一番だということです。それは、私自身、病気になって改めて感じたことでした。」


著者岩田氏は、脳神経外科の第一人者となるために、家族との時間を犠牲にして邁進してきた方である。
そのため本書前半では、その努力、苦労が、病気のために水の泡となってしまう、
仕事に復帰できなくなってしまう、という葛藤が綴られている。

しかし1回目の手術を終えたあとは、むしろご家族との関係が中心となっていく。
そのウェイトは少しずつ変化していく。
それはやはり、復帰が困難と見えた時点で「医者」としての岩田氏は一旦終了してしまうのだけれども、
「個人」としての岩田氏は、当たり前ながら最後の瞬間まで生きていくためだろう。

本書後半は3回目の手術のあととなり、口述筆記となる。
そして、一旦本書は終了する。
その後の経緯は、後書きに詳しいが、岩田氏は1998年12月、ご逝去された。
ご冥福を祈りたい。

【目次】
第1章 脳外科医が脳腫瘍になったとき
第2章 脳外科医への階段
第3章 逡巡の日々
第4章 患者になって初めてわかったこと
第5章 運命の日
第6章 回復
第7章 再発
第8章 最後の挑戦

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category: 医学

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