ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

新版 邂逅の山 (平凡社ライブラリー)  

新版 邂逅の山 (平凡社ライブラリー)
手塚 宗求
【一度は読んでおきたい度】★★★★ 【殿堂入り】



この本を手にしたのは、もう20年ほど前になる。
まだ学生だったと思う。
帯には、「若き日の山への追憶と思慕 そして山小屋暮らしの星霜」とある。
若い頃、山屋に憧れたが、踏み出す勇気がなかった。
同時に、社会にでる直前の悶々とした状況だった。
その葛藤が、この本を手にとったような気がする。
そして一読後、どんな道であっても、しっかり歩いて行こう、という気になった。
以来、時々思い返すように読んでは、日頃の自分の生活を反省させられる。

本書は霧ヶ峰の山小屋コロボックルヒュッテの主人である、手塚氏の随想録である。

筆者は、1956年に山小屋を創設。収録された作品はその頃の話であるから、
携帯はおろか今と比べれば何もない時代の、山小屋での生活、思索の記録である。
雪に囲まれた山暮らし。
孤独。
水運び。
台風による山小屋の倒壊、
そして山小屋での子育て。

抒情的な文章と、厳しい自然と生活の記録。
真摯な、という言葉が最も似合うと思う。
ぜひ、可能なら入手して読んでみてほしい。
随筆として、また心を洗う一冊として、本当に貴重な本である。

物が溢れ、携帯電話が普及した今、もうこんな暮らしはできないだろう。
だからこそ、山好きというか、山に憧れを感じている方に、
ぜひ読んでいただきたい。

なお、僕の本は1991年初版だが、「新編」とある。
これは、本書の元となる諸作品は「アルプ」(創元社、1958-1983)に発表されたものであり、
1980年に「邂逅の山」として出版されているからだ。

ちなみに、僕の持っている版はこちら。ハードカバーで、丁寧に読める喜びがあるので、
古本になるだろうけど、本当はこちらをお勧めしたい。
邂逅の山
新編 邂逅の山

ところで、今も「ころぼっくるひゅって」はある。
http://homepage2.nifty.com/koro-1956/index.html
お時間があれば、「ヒストリー」のページをご覧いただきたい。
ここに掲載されている写真の時代が、本書の時代である。

最後になるが、
手塚氏がご存命のようなので、いつかお伺いしたいなあと夢見ていたのだが、
今日、同ホームページからブログを辿って、
手塚氏が、2012年9月12日にご逝去されたことを知った。
心からお悔やみ申し上げたい。

手塚氏の著書ら若い頃に出会うことができ、心の糧、いや、背骨になった。
直接、感謝をお伝えしたかった。
ありがとうございました。

【目次】
花のワルツ
白い風土記
一本の樅
井戸

山彦谷
山への道
平民、遠山某
山の小道具屋
風と山小屋
蓬のピッケル
海豹の皮の栞
邂逅の山
樅の森
夜の断章
時計
蓄音機
またたく灯
挽歌、白樺と水楢の木に寄す
軌跡の森
あとがき
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