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ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

身の回りを丁寧に見続ける、楽しみ。「やくみつるの昆虫図鑑」  

やくみつるの昆虫図鑑
やくみつる



哺乳類、魚類、鳥類、昆虫と様々な分類群があるが、
それぞれで楽しめる地域レベルは、かなり違うんじゃないかと思う。

例えば鳥類では、香川在住の僕としては、記録の有無という点を除けば、
例えば「高松市の鳥類」「坂出市の鳥類」という本が有っても、さほど魅力を感じない。
そこに記載される種や生息状況に、大きな差はないためだ。
少なくとも県域を超えないと、環境の違いと鳥類相の違いは感じにくい。
また哺乳類だと、「四国」「本州」というレベルではないかと思う。

ところが昆虫だと、市町域レベルでも、かなり生息種が変わってくる。
やはり体サイズが小さければ、利用する環境のニッチも細かくなり、
小さな市町域であっても、生息種に環境の影響が出やすいのではないだろうか。

さて、本書はコメンテーターや漫画家として見かけることが多い、
やくみつる氏の昆虫本。
氏が本書のような昆虫好きであることは、以前から何かで知っていた。
(そして確か、トイレットペーパー蒐集家でもあった筈。)

図鑑と銘打たれていて、掲載種も五十音順、日本の分布図や出現時期、
餌などのデータも記載されているが、
実のところ、図鑑ではない。
これは、世田谷南部の昆虫記録に関するエッセイである。

だから無意味なのかというと、そうではない。
むしろ上述のように、「世田谷南部」という細かな地域における
昆虫相やその時代的な変遷を記載しているがゆえに、
資料的価値や楽しさが、十分にある。

こんな種が世田谷にいるのか、とか、
この時代にはいたのか、とか。

そうしたローカルな記録は、確かな眼と、長い観察記録がなければ描けるものではなく、
著者が日常的に昆虫を楽しんでいるがゆえに書けたものである。
しかも、漫画家であるため、(本文に重複するネタが多いが、)
各種にちょっとした4コマ漫画付き。
見開き1ページで1種を楽しめる、良質の昆虫エッセイである。
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category: 昆虫

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