ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

BIRDER (バーダー) 2013年 12月号 望遠レンズにこだわりたい! /モズ類ウォッチングガイド  

BIRDER (バーダー) 2013年 12月号 望遠レンズにこだわりたい! /モズ類ウォッチングガイド




今月のBIRDER、僕の好きなモズ特集であった。
モズっていいよね。
スズメ目のくせに強いし、
でも一見丸々として可愛い。
田畑や公園、自宅などでも出会うことができるし、
キチキチキチ…と高鳴きしつつ、目立つ場所にいてくれる。
でも、じっと見てると立ち去るプライド。
いいよな。

本号では、そのモズ類について、
日本で記録がある種をカタログ形式で紹介。最新の記録も多く、
なかなか楽しめる。

ただ僕としては、香川県のセアカモズだけ「セアカモズ?」となっていたのが納得できない。
確かにセアカモズ、雑種が生じやすいし、
特にユーラシア大陸東部の情報が少なくて、
純粋なセアカモズが雑種セアカモズかは、わかりにくい。
でも香川の個体は、羽色も純粋なセアカモズタイプ、
また類似種との識別点となる翼式(翼の各羽根の長さの関係)もセアカモズだった。
だからこそ僕らはセアカモズとして鳥学会誌に投稿し、査読を経て掲載されている。

・セアカモズの記録が掲載されている鳥学会誌はこちら。
「セアカモズLanius collurioの香川県初記録」
日本鳥学会誌 第59巻 第2号(2010年10月20日発行)p. 189 - 193
http://ornithology.jp/cgi-bin/osj/jjo/content.cgi?vol=59&no=2

これについて、
「雑種になりやすいし、見分けにくい」というコメントのみで
「セアカモズ?」とするのは、ちょっと納得できない。
また本記事では、翼式には全く触れられておらず、
鳥学会誌に投稿した識別根拠について、いかなる根拠で「?」をつけるのかが判然としない。
だがこの記事だけ読んだ人は、
「セアカモズって雑種で識別できないのに、鳥学会誌には安易にセアカモズと断定して投稿している」と受け取られかねない。
やや、というか、かなり不満である。

さて、Young Gunsの野鳥ラボは[メジロガモとアカハジロ]。
香川県でも両種は記録されており、その情報が飛び交うこともある。
僕はそれで走って見に行くというのはしていないが、気になるのは
雑種の可能性をどのように否定しているのか、というところ。

先ほどのセアカモズでも同じだが、
・雑種の可能性を理解したうえで、識別点を確認し、純粋な種と断定する
・雑種の可能性を思いつかず、純粋な種と断定する
の2点は、結論は同じでも全く異なる。

特にカモ類は、雑種が生じやすいにも関わらず、
ちょっと雑種の可能性が念頭にない人が多いように感じている。
自戒をこめて、でもあるが、
もう少し様々な資料を確認し、丁寧に識別したいものである。


【目次】
FEATURE ARTICLES
第1特集 秋冬の野鳥撮影特集第2弾!! 望遠レンズにこだわりたい!
・望遠レンズで広がる野鳥観察の世界  文・写真●志賀 眞
・望遠レンズの基礎知識  文●池田圭一
・BIRDER特選! 野鳥撮影にオススメの望遠レンズカタログ  構成●BIRDER
・望遠鏡生まれの望遠レンズを使った撮影  文・写真●BIRDER
・野鳥のプロたちの愛用機
叶内拓哉(野鳥写真家)/中野耕志(写真家)/中村利和(写真家)/
伊関文隆(猛禽類調査員、猛禽類研究家)/中村忠昌(NPO法人生態教育センター)/
♪鳥くん(プロバードウォッチャー)/神戸宇孝(野鳥画家)
・望遠レンズ撮影、お悩み相談室  文・写真●志賀 眞

第2特集 新しい魅力を発見! モズ類ウォッチングガイド
・モズ類の新しい見どころ、教えます  文・図●高木昌興
・観察ポイント付き 日本のモズ全種ガイド  文●梅垣佑介、原 星一
 写真●川邊淳太郎、木村壱典、神戸宇孝、先崎理之、高木慎介、所崎 聡、西村光真、原星一、福丸政一、堀本 徹、本若博次
・あの「モズ」の正体は何だったのか!?〜神奈川県に現れた「謎のモズ」を検証する  文・写真●♪鳥くん
・野鳥50面相コレクション 〜モズ

ENJOY BIRDING
・BIRDER Graphics[北海道のマガンたち〜寄留地で撮った「雁のいる景色」〜] 文・写真●井上大介
・Field Report[関東のタカの渡りの謎�] イラスト●水谷高英
・Young Gunsの野鳥ラボ[メジロガモとアカハジロ] 構成●Young Guns
・鳥の形態学ノート[アリスイ舌] 文・イラスト●川口 敏
・私のケッサク!“鳥”写真[第15回募集 入賞作品] 写真●読者の皆さん 選評●叶内拓哉
・Bird Tracking[ハワイガン(ネイネイ)] イラスト●赤勘兵衛
・ぶらり・鳥見 散歩道[夜が明けてもシマフクロウが見られる可能性あり! 養老牛温泉「旅館 藤や」(北海道中標津町)] 文・写真●♪鳥くん
・野鳥圖譜[メジロ] 画・文●佐野裕彦
・どこでもバードウォッチング[離島] 文・写真・イラスト●神戸宇孝
・伝説の翼[ペガサス(Pegasus)] 画●長島 充 文●斉藤ヒロコ
・唐沢流・自然観察の愉しみ方[利尻島、島の歴史とスズメ・ウォッチング] 文・写真●唐沢孝一
・BOOK REVIEW
・BIRDER’s BOX
・今月のプレゼント

BIRDER NEWS
・スワロフスキー「CL Pocket10×25」インプレッション  文・写真●小島征彦
・2014年カレンダープレゼント
・すみだ水族館「ペンギンワッチ」レポート〜夜のペンギンをスワロフスキー「EL8×32 SWAROVISION」で観察してみた
 文・写真●BIRDER 協力●スワロフスキー・オプティック銀座
・12月7日(土)「井の頭公園Young探鳥会 with BIRDER」開催!
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category: 野鳥

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富士山噴火の歴史: 万葉集から現代まで  

富士山噴火の歴史: 万葉集から現代まで
都司 嘉宣



富士山がいつ噴火するか、というテーマも興味があるが、
それよりも、本書のように
「文献記録を丁寧に探り、そこから事実を探し出す」という手法に強く共感して読んだ。

著者は、様々古文書資料を丹念に調べ、その中から富士の噴火にまつわる記述を探していく。
その記述は、もちろん「噴火した」というダイレクトなものもあるのだけれど、
「富士の噴煙」の例えが、和歌の技法としていつ用いられているかという観点からも、
その和歌が作られた時代の富士の状況を辿っている。
(実際、様々な資料と照らし合わせると、実際に富士に噴煙があがっている時のみ、「富士の煙」という比喩が用いられているようである。)

こうした観点からの調査技法は、今後ますます価値を高めていくだろう。
今は無理だが、いつか様々な古文書資料の本文検索が可能になれば、
いろいろな研究は飛躍的に進むのではないだろうか。

本書は新聞連載を加筆修正して収録しており、全55話。
1話当たりは短く、また学術的な記述でもないので、
著者の「調査」を追体験する感じで、手軽に読むことができる。

さて、著者は
次のように語っている。
p28
「火山の噴出物による農作物の被害の有無など、当時の統治者にとって必要な情報は記録されるが、経済上、統治上の利害に無関係な事項は記録に残りにくかったと考えられる。
 例えば(被害を及ぼさない程度の)噴煙の有無の確認については、正史は不適切な資料になる。」
本書では富士の噴火だが、僕が関わっている野鳥の世界でも同じ状況がある。
珍しい鳥は記録され、当たり前の鳥は記録されない。
少ない鳥ほど数えられ、多い鳥は個体数なんて気にもされない。

それどころか、最近は手軽にデジカメ撮影できるため、自分のための記録はするけれども、
共有化するための文献化はほとんどなされない状況にある。

行政や保護団体が保護しないとか、レッドデータブックの信憑性が云々とも言われるけれども、
保護の基礎となる個体数や分布状況のデータは、一朝一夕に集まるものではない。

丁寧な記録は、今は役に立たないけれども、
「現在」のデータは、
10年後、20年後、100年後には入手不可能なのだ。
生き物の分布にしても、社会情勢にしても、
現在を記録するのは、現在に生きる人間の義務と思って、少しでも記録を残していきたいものである。


【メモ】

p212
「合目」は距離や高度差を等分したものではなく、宗教的な伝統に由来する。それ故に、後世の勝手な都合で合目を変更・追加することは慎むべき。
 従来の合目だと、その間隔は約4-50分の登り歩行時間になっている。
 しかし現在の「新○合目」は、そうした配慮が一切ない。
→富士の「○合目」ってニュースで聴くたび不思議だったが、そうだったのか。

p219
「万葉集の時代以来、途中何度の中断をはさみながらも連綿と続いてきた富士頂上の噴煙記事は一八二七年をもって最後となる」

ただし、
p229
(遠くから確認できるほどではないにせよ、)大正時代まで噴煙を上げていた。

→自分が現在見ている姿が、過去もそうだったと思い込むのは危険と実感。
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category: 歴史

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生命はなぜ生まれたのか―地球生物の起源の謎に迫る  

生命はなぜ生まれたのか―地球生物の起源の謎に迫る
高井 研



微生物ハンター、深海を行く」(レビューはこちら)の著者である高井研氏の著作。

「微生物ハンター」は高井氏の研究生活を振り返って、またかなり自由に著述されていたが、
本書では「生命はなぜ生まれたのか」をテーマとして、
生物は深海活動熱水域で生まれたという「UltraH3(ウルトラエイチキューブ)リンケージ仮説」について、詳しく説明している。
かなり突っ込んだ説明も多く、一読では歯が立たない(僕は)。

しかし、最先端の深海研究の視点から、
地球生物の起源の謎に対するアプローチは、かなり「有りうる」と感じるバックデータがある。

まだまだ仮説はブラッシュアップされていくのだろうが、
「生命起源の謎」に対する一つの到達点として、現時点で読んでおいて損はない。

ただ、できれば「微生物ハンター、深海を行く」もあわせて読むことをお勧めする。「UltraH3(ウルトラエイチキューブ)リンケージ仮説」については、実はこちらの方が概略を理解するのには良いかもしれない。

【目次】
第1章 生命の起源を探る、深海への旅
第2章 地球の誕生と、生命の誕生
第3章 生命発生以前の化学進化過程
第4章 生物学から見た生命の起源と初期進化
第5章 エネルギー代謝から見た持続的生命
第6章 最古の持続的生命に関する新仮説
最終章 To be continued


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category: 進化論

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科学は大災害を予測できるか  

科学は大災害を予測できるか
フロリン ディアク



時折地震予知めいた情報が飛び交うことがある。
その多くは、地震雲や、クジラ等の座礁、ニュージーランドでの地震など、
いわば経験則から導かれたもの。
客観的な科学的検証の結果ではない。

では、科学なら予知・予測が可能なのか。
地震は予知できない、と放り出すのは簡単だが、
それが短時間の予測も不可能ということにはならないだろう。

例えば数時間、いや例え1時間でも早く「予測」できれば、
被害を減少させることが可能となる。

地震だけではない。
様々な大災害も、各分野の研究者が予知・予測の研究を行っている。

科学は最終的に、それらの大災害を予測できるようになるのか。
そうした疑問について、数学者の立場からまとめたのが本書である。
数式は使われておらず、各章について現在の研究成果が紹介されている。
それらはとても興味深いのだが、
いずれにしても、カオス理論が目の前に立ちふさがるらしい話になっていく。
この点、まあ実際にそうなのかもしれないが、
なかなかジレンマを感じるところである。

まあ、各大災害の研究状況を概観するにはよいだろう。

なお、ハードカバーと文庫本では、なんと収録章が異なる。
文庫本には、ハードカバーに収録されていいない津波、地震などが収録されているので、
読んでみようという方には、ぜひこちらをお勧めする。

【目次】
※ハードカバーの【目次】
まえがき 数学と科学の交差ポイント
第1章 自然災害
第2章 気候変動
第3章 小惑星の衝突
第4章 金融危機
第5章 パンデミック
第6章 予測はどこまで可能になったのか

※文庫の【目次】
第1章 津波
第2章 地震
第3章 火山
第4章 ハリケーン
第5章 気候変動
第6章 小惑星の衝突
第7章 金融危機
第8章 パンデミック
第9章 予測はどこまで可能になったのか


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category: 災害

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ヘンな日本美術史  

ヘンな日本美術史
山口 晃



あまり日本美術については、興味がない。
浮世絵師の中では歌川国芳がいいなとか、その程度である。
しかし、西洋絵画に比較するとかなり異質な日本絵画、
その異質さって何だろうと思い、本書を手に取った。

著者は、日本画家の山口晃。あまり存じ上げないが(僕が興味がないため)、
須藤元気が率いるユニット WORLD ORDERのアルバム「2012」のジャケットも描いている。
これだけ記憶にあった。

で、本書では、画家ならではの視点から、各時代の日本絵画について
その独特なトコロが語られている。

別に芸術論でもないし、通常の絵画史的な視点も少ない。
だからこの一冊だけで各作品が理解できるものではないが、
それぞれの作品をより楽しむための、ちょっと変わった視点が得られるだろう。

また、著者山口氏が好きな方は、その絵画論を楽しむという読み方もある。

【目次】
第一章 日本の古い絵――絵と絵師の幸せな関係
 鳥獣戯画/白描画/一遍聖絵/伊勢物語絵巻/伝源頼朝像
第二章 こけつまろびつの画聖誕生――雪舟の冒険
第三章 絵の空間に入り込む――「洛中洛外図」
第四章 日本のヘンな絵――デッサンなんかクソくらえ
 松姫物語絵巻/彦根屏風/岩佐又兵衛/円山応挙と伊藤若冲/光明本尊と六道絵
第五章 やがてかなしき明治画壇――美術史なんかクソくらえ
 河鍋暁斎/月岡芳年/川村清雄


参考までに、WORLD ORDERのアルバム「2012」。

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category: 美術

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変り兜: 戦国のCOOL DESIGN  

変り兜: 戦国のCOOL DESIGN
橋本 麻里




直江兼続の「愛」の兜は強烈だった。
あの兜によって、初めて武将の兜が、いわゆる端午の節句の兜飾りのようなものだけではないことが分かった。
自分の国の戦国時代のイメージが、がらりと変わった時であった。

そして本書では、「愛」の兜に負けず劣らず個性的な様々な変り兜が紹介されている。
中には実用ではなかったものもあるようだが、
こうして自らの象徴たる事物を掲げ、戦いに挑んだ武将たちの姿は、
現在の日本人とはかなり異なるアグレッシブさを持っていいるように感じる。
この「熱」を、日本人はいつから失ったのか。

それにしても、

ムカデ、蝶、トンボ、ウサギ、カニ、ハマグリ、剣、水牛、眼鏡付き。

こうした兜の存在は、もっと国内外に知らしめて良いと思う。
日本の戦国時代がカラフルになること間違いなしである。

見てみたいでしょう?
本書も良いですが、ぜひGoogleの画像検索で、「変り兜」をチェックしてみてください。


【目次】
戦場のオシャレは命懸け
 フルコーディネート
 昆虫―虫愛づる男たち
 鳥羽―羽根マシマシで
 植毛―男は黙って盛り髪
 ウサミミ―バニー男子で行こう
 植物―武士でも草食系
 魚介―カニ将軍vsさかなくん
「強くなければ生きていけない」戦国男子の心意気
 曲線―流線形の色気
 タワー―そそり立つシンボル
 双角―戦え角を突き合わせて
 かぶりもの―頭上に輝く大将の印)
ロボットアニメやSF映画のデザインソース?
 神仏―ご利益は勝利
 マジンガー―ロボットアニメまで受け継がれる造形感覚
 番外―なんでもあり、の奇想天外兜
 南蛮―やっぱり海外ブランドが好き
 陣羽織―戦場のトータルファッション
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category: 歴史

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支倉常長遣欧使節 もうひとつの遺産―その旅路と日本姓スペイン人たち  

支倉常長遣欧使節 もうひとつの遺産―その旅路と日本姓スペイン人たち
太田 尚樹



江戸時代初期の1613(慶長18)年、伊達政宗が支倉常長らをスペイン国王フェリペ3世とローマ教皇に派遣した。教科書でもさらりと触れられていた記憶がある。
その後江戸幕府は鎖国に舵をきったため、この遣欧使節は結果的に意義がなかった。

ただ鎖国という状況変化の中、この遣欧使節に関わった人々がどうなったのかというのは、
漠然と興味があった。

そこに現れたのが本書である。
タイトルからほぼ類推できるが、スペインに日本を意味する「ハポン」姓を持つ人々がいるという。
その人々は、この遣欧使節で、現地に残った武士の子孫である-という情報を得て、
筆者はハポン性が集中する町コリアを訪れたり、
当時の支倉遣欧使節の足取りを追及する。

本書を読む限り、その姓が存在すること、またハポン姓を持つ人の多くには蒙古斑があったこと、
またハポン性を持つ人々が数代を経てやっと教会に入れる「地元民」と認められたことなどから、
僕はおそらく事実なのだろうと思う。

その検証過程も面白いのだが、何より本書では、
今から400年前にスペインを訪れた日本人一行の足取り、興奮と失望、
そして現地に残ることを選択しただろう人々の生き様を、
様々な資料を駆使して辿っている。

遠い異国の地に残った日本人。
彼は現地に溶け込むよう努力し、
ついには400年後の子孫である現在のハポン姓の人たちに、
「勤勉や質素、忍耐力といった『素晴らしい血脈』を残してくれた」、
「ソモス・ハポネセス!(somos japoneses!)私たちはみんな日本人だよ!」と
言ってくれるようになった。

その素晴らしき日本人の存在を、僕らはもっと知り、誇りに思い、
そして見習うべきだと思う。

歴史は、本当に何が起こるかわからない。


【目次】
第1章 支倉使節団とは何か
第2章 使節団の足跡を訪ねて―月浦(石巻市)からローマまで
第3章 サムライの末裔伝説を追って
第4章 コリア・デル・リオ、二〇一二


【メモ】
P133
スペイン人の名前の構造
親の命名した名・洗礼名・第一姓(父の名字)・第二姓(母の名字)

スペインの町コリアでは、日本(ハポン)姓が約800人いる。

スペインにはハポンという地名はなく、日本を示す以外にハポンという言葉もない。
400年前頃まで遡ることができる。

P180
支倉遣欧使節には、名字を持つ武士のほか、名字を持たない身分の者もいた。
子どもに父親の姓がつかないと非嫡出子扱いとなるため、
日本(ハポン)姓を採用したのではないか。
地名を性にする例は多い。
また名字があった武士の子孫も、母系のため絶えたり、日本(ハポン)姓に統一していったのではないか。

P204
日本(ハポン)姓の多くは、赤ん坊の頃に蒙古斑が出る。
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category: 歴史

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有川浩の高知案内  

有川浩の高知案内
有川 浩



香川からは近くてちょっとだけ遠い。
しかし一時期、年に数回は行く機会があって、
南国インター付近でからっと晴れ渡った空を見るのが好きだった。
香川県とは明らかに空気が異なる。

当時はまだ「ごっくん馬路村」は高知県外に売られてなかったと思う。

本書は、「図書館戦争シリーズ」や「県庁おもしてなし課」等で有名な作家・有川浩氏が、
郷土高知を案内するガイドブック。
地元民が地元を紹介するだけあって、一般のガイドブックとはちょっと異なるスポットも多く、
ぶらりと行ってみたい人は参考になるだろう。
僕も高知空港の飛行機が真下から見られるスポットには連れて行ってもらったことがあるが、
かなりの迫力だった。

なお本書の中では触れられていないが、
高知食品の「芋けんぴ」は絶品である。
南国市の国道55号沿いに店があるが、高知駅内で実演販売しているので、そこで買うのが簡単。
僕は他の芋けんぴよりもダントツだと思っている。
今年までは毎年1回は高知に行く機会があって、その度に2kgくらい買っていた。
でも家族4人では全然足りないのである。また食べたい。


【目次】
ルポ 有川浩と一泊二日
有川浩ミニインタビュー
映画『県庁おもてなし課』の高知案内
特別対談 錦戸亮×有川浩
有川浩オリジナル高知一泊二日プラン&豆情報
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category: 旅行

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家庭菜園というほどではないけれど。  

昨日は、遅くなりましたが庭の畑に、タマネギの苗と、ニンニクを植え付けました。
タマネギはここ数年失敗していて、今回も指の負傷のため作業が遅れたので、
どうなることやら。
また、積み上げていた雑草も、堆肥化するための穴に投入。
下の方はすでにコガネムシの幼虫が分解していました。
(コガネムシを養殖してるのかってくらい、たくさんいました。)
上手く作ろうとかはないですが、自分の作ったもので食事ができるのはありがたいことです。
特にニンニクは埋めておくだけですから、おすすめ。
あと、うちはバジルをたくさん作ります。ニンニクとバジルと、あと松の実を買ってきて、
妻がバジルソースを作り、冷凍。一年間のパスタソースのできあがりなのです。

■BOOKS
「御触れ」に限らず、学校で習う歴史用語については、
もっと明確な定義づけを教科書に収録すべきではないか。
定義も分からず、固有名詞だけを詰め込んでいた自分に気が付きました。
江戸時代のお触れ (日本史リブレット)

クマムシ本は、改めて他にも読んでみたい。
クマムシ博士の「最強生物」学講座: 私が愛した生きものたち

生き物相手は、フィールドに出た人の勝ち。
僕も、もっと動きたいのですが…。
四国のツキノワグマについても、注意していきたい。
となりのツキノワグマ


■MUSIC
 今回は、ザ・ボス。Bruce Springsteeen。
ロックの大物として今も君臨していますが、
僕の好きな1965-1975年代アメリカンロックでは、その後半、
1970年代以降に新しいロックスタイルを示した人物です。
お気に入りのアルバムは、1975年のサード・アルバム『明日なき暴走 (Born to Run) 』。
タイトル・ナンバーは、自分が何者になるのかよく分からない20歳代前半は、よく聴いたものです。
最近聴いていなかった。いかん堕落だ。

Born to Run


収録アルバムはこちら。ウッドストック後という時代性からすると、
まさに「ロックン・ロールの未来」。現実的に色合いだけれど。


もう1曲紹介したいのが、ちょっと後の時代ですが、
1980年のアルバム「The River」のタイトル・ナンバー。
夢破れて切ない曲ですが…。
The River


収録アルバムはこちら。色々なスタイルの曲が入っていて、スプリングスティーンの集大成って感じ。
僕はこのアルバムが好きだなあ。


最後にこちら。
暗い気分の時に思い出してしまう曲。
Downbound Train

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category: 雑記:今週のまとめ

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江戸時代のお触れ (日本史リブレット)  

江戸時代のお触れ (日本史リブレット)
藤井 讓治



時代劇などを見ると、橋のたもとに高札が立っていて、庶民が見ている風景がよくある。
また、「○○の御触書」というのも学校で習った気がする。

でも、実際にどのように運用されていたのか。
あんなので庶民がみんな知っていたのか。
幕府領でない藩まで協力していたのか。 漠然とした疑問があった。

本書は様々な「御触れ」を紹介し、その変遷過程等を解説するものである。
ミーハーな眼で見れば、信長の楽市令の高札が現存しているなんて知らなかった。

また、「で庶民がみんな知っていたのか。」という疑問については、
「御触れ」に対しては各町の名主が「借家・店借りの者にまで言いきかせます、背いたらどのように仰せ付けられても結構です」という「請書」を出していたという。江戸時代ってすごいなあと思った次第である。

もう1点驚いたのは、聞き覚えのある
「田畑永代売買禁止令」と「慶安御触書」が幕府の正式な全国令でなく、
どうも現在の教科書ではスルーされているらしいこと。
時代は変わるというか、古い教科書知識のまでいてはイカンと反省。



【目次】
お触れの時代
1 さまざまな「お触れ」―1700年のお触れ
 1700年のお触れ
 生類憐れみ関係のお触れ
 金銭改鋳に関するお触れ
 酒造統制に関するお触れ
 火事・防火に関するお触れ
 朝鮮人参の所持調査
 風俗に関するお触れ
 鳴物停止令
 日用統制
 江戸の築地と塵芥
 人相書
 その他のお触れ
 年々御定式のお触れ
2 「お触れ」の作成と伝達
 御用部屋でつくられたお触れ
 将軍の意向ででた鳴物停止令
 江戸町奉行から町へ
 町中連判請状
 1700年の京都
3 「お触れ」誕生まで
 お触れに先行する高札
 老中奉書をともなう高札
 キリシタン禁令
 寛永末年の飢饉の高札
 無名のお触れ
 老中奉書のお触れ
 無名のお触れの成立
4 お触れの諸相
 「田畑永代売買禁止令」―全国令でなかったお触れ
 全国令となった田畑永代売買禁止令
 「慶安御触書」は1649年に出たか
 変身したお触れ

【メモ】
p7
「生類憐れみの令」があるわけではなく、生類をめぐる様々なお触れの総称。
最初は1685年7月 将軍御成の道筋に犬・猫が出てもかまわないというもの
1709年1月10日の綱吉死去直後に、「生類の儀、向後(きょうこう)御構いこれなく候」という触れが出されて終息。
生類憐れみに関するお触れは、少なくとも1685-1709に100通を超える。

p60
江戸時代直前まで、支配層の意向を庶民に伝える手段は高札(こうさつ)。
織田信長の楽市令も高札として、1567(永禄10)年10月に美濃加納に建てられた。
現物が加納円徳寺に現存している。

「定
 一、本文???
 右条々、於違反之輩者、速可処厳科者也、仍下知如件、  
 (右条々、違反の輩においては、速やかに厳科に処すべき者なり、仍って下知件の如し)
 永禄十年十月 日 (信長花押)」

p71
1635年、キリシタンの取り締まりも諸大名に老中奉書をもって命じた。
ただし高札として建てるかどうかは様々。
1654年、大名たちの江戸留守居を召し寄せ、家光から家綱への代替わりを理由に、キリシタン高札の立替を命じた。これによって全ての領内に高札が建てられた。
以降、年号が変わるたびに書き改められ、将軍の代替わりには巡検使が見回り、家数の多いところや文字の見えないものを改めさせた。

p76

「覚」で始まる差出人も宛名もない「無名のお触れ」は、
大名以下に対する幕府の絶対的な権威の存在を示す。
幕府成立直後からあったわけではない。

老中奉書→老中奉書を伴う「無名のお触れ」(寛永末年)
→「無名のお触れ」として大名の江戸留守居へ1通ずつ渡される(1650年代以降)

p83
「田畑永代売買禁止令」は、1643(寛永20)年10月に出された2つの郷村仕置についての定めのそれぞれ一か条にすぎない。
1 1643.3.11 17か条「土民仕置」
 →内容、他の定めとの関係など様々な面から、この時期にしばしば見られる関東地域を対象とした法令の一つとみるのが妥当
2 1643.3   7か条郷村仕置定
 →内容から幕府領を対象としたものとみるのが妥当
・各地の大名領には田畑永代売買禁止に関する法度の記録がない
この禁令以降も全国で永代売買の証文が多く残っている

→全国令ではない。
ただし、1687年に質にとった田畑の年貢納入の規定と共に、以前出した田畑永代売買禁止を守ることを求めており、これによって全国令となった。
しかし、既に各地の土地制度・慣行が定着しており、従わない大名も多く、
また幕府も摘発を積極的に行わなかった。

1782(明治5)年 明治政府が「田畑永代売買禁止令」を廃止

p87
「慶安御触書」1649年に百姓対象に出されたものとされていた
しかし、吉宗が編纂させた幕府の法令集「御触書寛保集成」や
江戸時代前期り法令集「御当家令条」、藩や村で書き留めた記録の中にもない。

様々な研究を踏まえ、1999年山本英二氏「慶安御触書成立試論」
・1697年に甲府藩がだした「百姓身持之覚書」を引き継いだもので、幕府の法令ではなく、1649年に出されたものでもない。
・「慶安御触書」は、「徳川実紀」の編纂を主宰した大学頭林述斎が、生家である美濃岩村藩を指導し、1830年に岩村藩で刊行させたもの。このとき、公儀=幕府がだしたものとされた。
・「徳川実紀」が出典としている「条令拾遺」は、「徳川実紀」の編纂過程で収集されたものであり、その中では「百姓身持之覚書」である。
・岩村藩で刊行された「慶安御触書」は、その後多くの藩で1649年に出された幕府令として扱われた。
→現在では教科書から消えるか、江戸時代の農村法令として限定を伏している。






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category: 歴史

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クマムシ博士の「最強生物」学講座: 私が愛した生きものたち  

クマムシ博士の「最強生物」学講座: 私が愛した生きものたち
堀川 大樹



最強生物として有名なクマムシ。その研究者による本として期待である。
だが、クマムシそのものに関する話題は本書前半。
後半はその他の生存能力の突出した「最強生物」の紹介、奇妙な生物の紹介
色々な生物博士の紹介と、雑多な話題が続く。
本書は著者によるメルマガとブログの加筆修正なのであった。

よって内容は面白いものの、クマムシについて知りたいという純粋な方は別の本をお勧めする。
生物全般に興味がある方なら楽しめるだろう。

僕としては、クマムシはさておき(さておいて良いのか)、
メジロがノミガイという微小貝の分布拡大に関わっている、というのが面白かった。
野鳥屋の目線の読み方であり、クマムシとは何の関係もない。

関連ニュース:ナショナルジオグラフィック ニュース
鳥に食べられても生き延びるノミガイ



あと、フジツボ研究者の倉谷うらら氏の著書にも興味を持った。
全く本書の主旨から外れている。申し訳ないことしきりである。

【目次】
目次
はじめに
第1章 地上最強動物クマムシに敬礼
・「クマムシって何?」という奇特な方へ
・「わたしの放射線耐性力は57万レントゲンです」
・クマムシのエクストリームフレンドたち
・ついに乾いたミニ人間
・「サイヤ人死にかけ&復活実験」で覚醒したスーパー放射線耐性菌
・サイボーグ生命体の誕生を祝福する
第2章 クマムシミッション・ハイテンション
・クマムシ捕獲計画実行中
・クマムシ増殖祭り開催中
・クマムシさんを人類救済の切り札に
・超高校級と呼ばれたあるヤングサイエンティストの野望
第3章 暴かれた宇宙生命体の真実
・ヒ素で毒づく宇宙生物学界
・地球人と火星人は双子どうしかもしれない
・私たちは宇宙生まれ地球育ちかもしれない
・スクープ:納豆菌は宇宙生命体だった
・日本に大量増殖したミュータント人間とその原因
第4章 キモカワクリーチャー劇場アゲイン
・キモカワアニマルのキモカワ精子
・不老不死の怪物と地球脱出と
・出動! サイボーグゴキブリ
・クモの糸をはくカイコ
・生き物をゾンビにするパラサイトの華麗なる生活
第5章 博士生態学講座
・スーパー研究者たちの掟
・意識の高い博士の特徴
・理系研究室分類学
・理系的「ジョジョの奇妙な英語学習法」
・フジツボ貴婦人あらわる
・バッタに捕食されたい博士
第6章 ぼくたちみんな恋愛ing
・オタクと変態はモテる
・タイムトラベラーと肉体関係を持つのは危険
・悪魔を召還し、嫌がる相手と無理矢理交尾するオス
・うんこになって飛行移動するカタツムリ
・パラサイト男子とその彼を体内に宿した女子の愛の物語
あとがき

【メモ】
p69
「クマムシさん」キャラクター 一般への浸透と研究費獲得の方法

p118
動物の寿命は、産まれてから繁殖を開始するまでの時間の長さと比例関係にある。
長寿であるヒトの場合、繁殖可能になるのに10数年かかる。
ショウジョウバエは孵化から繁殖開始まで7日、寿命は1カ月ほど。
ヒドラは産まれて約10日弱で繁殖開始、予測される寿命は1-8カ月。しかし4年にわたって死亡個体が見られないため、この法則から大きく逸脱している。
また、動物は通常加齢により繁殖力が低下する。しかしヒドラは4年経過しても明確な低下がない。
よって、ヒドラは不死身であると考えられている。

p158
読んでみたい


p176
アメンボ
 オスはメスに求愛せず、いきなり交尾しようとする。
 メスをはなさないよう、触覚がメスに引っ掛かるよう進化。
 一方メスは、引っ掛かりにくいよう進化している。
 また、メスはオスから逃れるため、生殖器にシールドを持っている。
 しかしオスはメスの上にしがみつくと、水面を脚で叩き、天敵のマツモムシをおびき寄せる。 
 マツモムシは水面下から襲うため、襲われるのは雌。
 殺されてはいけないので、雌は生殖器のシールドを外して交尾する。

p178
ノミガイ 小さなカタツムリ 2.5mm
 本州南部、四国、九州、沖縄、小笠原諸島の母島にも分布。
東北大大学院性の和田慎一郎氏
「移動能力の低いノミガイが広域に分布するのは、メジロに食べられた後、生きたまま糞として散布されているのではないか」と仮説

実際にメジロはノミガイを食べている。
また実験的に食べさせると、全体の14.3%が生き残り、子どもを産んだものもあった。

母島では、距離による遺伝子の差はなかった。むしろメジロが多い地域ほど、DNAのバリエーションが多かった(様々な場所から運ばれている)。

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category: 緩歩動物

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となりのツキノワグマ  

となりのツキノワグマ
宮崎 学



四国にも少数だがツキノワグマがいる。

2002年に、四国自然史科学研究センターが3例目の撮影に成功していたのは知っていた。
四国で3例目となる野生状態のツキノワグマの撮影に成功

今回調べてみたら、四国自然史科学研究センターはWWFと共同で、
2013年1月には、3頭にGPSと無線を組み合わせた発信機付きの首輪を装着したり、
四国のツキノワグマ絶滅防げ/首輪にGPS装着

2013年6月には推定13歳の雌1頭と子グマ2頭を撮影したという。
四国でツキノワグマ撮影 環境団体「確実に繁殖」

こうしたきちんとした基礎調査の積み重ねによって、
初めて実効的な保護もできるし、しもし将来問題が発生したとしても、適切な個体数管理の方策が検討できる(四国のツキノワグマがそこまでいくかは微妙だが)。

いずれも剣山系らしいが、ハードな調査だと思う。
僕も鳥類のソウシチョウ対策で、四国自然史科学研究センターの方には数年お世話になったことがあるが、
皆さんの粘り強い活動には毎回驚かされた。
堅実かつ着実な調査活動に敬意を表したいし、もっと知られてよい団体であると思う。
ここで紹介しておきたい。

NPO法人四国自然史科学研究センター


さて、ツキノワグマだが、本州ではその生息域が拡大していること、
それは山林の荒廃が原因であると言われている。

それに対し、写真家・宮崎学氏は、独自の無人撮影調査等から、
少なくとも長野県ではそれほど減少しておらず、むしろ個体数は増加していると推測している。

本書はその無人撮影の成果をはじめ、宮崎氏のこれまでのツキノワグマ調査の数々が紹介されている。
これを読むと、なるほどまさに「となりの」というほど人間に密接した場所に生息していることが実感できる。

宮崎氏は語っている。
「少なくとも、関東・甲信越の山々を見るかぎり、決して「荒廃」などしていないし、近い将来、ツキノワグマが絶滅するとは思えない。なぜなら「荒廃」とは、林業という経済面から見た場合に言えることであって、林業不振で間伐や枝打ちが行われずにきた今日の山野は、そこに暮らす野生動物にとって、絶好のすみかとなっているからである。」

実際に多数のカメラを設置し、長年調査してきた方からの言葉と、
本書に収録された写真を見ると、この言葉はかなり現実感がある。

ライチョウの残る高山にも、ツキノワグマは進出している。
(「二万年の奇跡を生きた鳥 ライチョウ」 レビューはこちら)

少なくとも本州中部においては、
ツキノワグマの個体数は一度しっかり調査する必要しなければ、
保護も管理も誤った方向にいくのではないだろうか。


なお、山は実は荒廃していない、というのは、
おそらく香川や四国も同じではないかと思っている。

例えば香川県では、マツ枯れや里山の荒廃が言われて久しい。
しかし戦前までは薪炭林として伐採されていたので、今よりも樹木は貧弱だったはずだ。
(江戸期の版本(讃岐国名勝図会や金毘羅参詣名所図会)を見ると、山並みには岩肌が描かれ、少しだけ樹木が描かれている。省略しているのもあるだろうが、広重の「六十余州名所図会 讃岐 象頭山遠望」http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1308357を見ると明らかに山肌が見えており、山全体が樹木に包まれた現在とは全く異なることがわかる。)
また戦時中は、松根油を取るためにマツの植林が推進されたと聞いている。
現在のマツは、当時一斉に植林されたマツの衰えによる部分も大きいだろう。

その後は手入れがされていないため、いわゆる「里山」としては荒廃しているだろうが、
鳥を見るために山野を歩いている目で見ると、動植物はかなり豊かになっている。
おそらく自然環境としてはここ数百年で最も豊かなのではないだろうか。

「里山」というキーワードが言われて久しいが、
すでに人が山野を主要なエネルギー・食糧源として利用する状況ではない。
過去と同じ「里山」は有り得ない。

どこを里山とすべきか、そしてどこを「里山でない山に戻す」か。
その判断も重要になってくるのではないだろうか。


【目次】
1章.20年後のけもの道
2章.クマのグルメガイド
3章.森の改変者
4章.忍び寄るクマたち
5章.檻
6章.クマは何頭いるのか?
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category: 哺乳類

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Welcome Back! ジョウビタキ  

10月31日、自宅近くからで「ヒッヒッ、カッカッ」という声が。
小さな冬鳥、ジョウビタキです。
この声を聴くと、冬が来たなあとしみじみ思います。
これから観察会でも出会えることでしょう。ほぼ日本中、冬なら公園や河川敷にもいると思いますので、どこでも
(これは雄。ピンボケですいません。)
ジョウビタキ 雄

指の骨折は、やっとギプスが取れたところ。これから曲げるリハビリです。

また昨日から、下の子が胃腸にくる風邪なのか、ダウンしてました。
本日はそれに付き合い、一日自宅で沈没してました。
一日ごとに寒くなりますので、皆様もご自愛ください。

■今週のBOOKS
この前キイロアシナガバチが間違って家に入ったので、
網で採って玄関先で放り出したら、翌朝も扉の外側にしがみついていた。
もう寒くて動けないようです。昆虫には厳しい季節到来。
散歩で見つける虫の呼び名事典

標本や資料、文献や知見をどう次世代に繋げていくか。
香川県の野鳥関係文献だけでも、僕が集めた全文献を、誰かがまたゼロから集めるのは、
資金的にも手間的にも大変だと思います。
香川県の野鳥研究を推進してもらうためにも、次の世代にうまく活用してもらえる方法を考えたい。
博物学の時間: 大自然に学ぶサイエンス

偽札を作ろうとは思わないが、国家の根幹たる紙幣の偽造防止セキュリティは、もっと向上する必要があるでしょう。また一方で、くだらない悪ふざけを防ぐためにも、コンビニやプリンタ・スキャナではもう技術的にコピーできないというベーシックな情報は、もっと知られてよいと思います。
偽札百科

■今週のMUSIC
The doors は、1965-75年代のアメリカン・ロックで、欠かせないグループ。
その占める位置は、他のグループでは代替ではない、本当の意味でオリジナルなものです。
初めて聞いたのは、高校生だか大学だか忘れましたが、
アルバム「The doors」から。
一曲目の「Break on Through (To the Other Side)」で、
ジム・モリソンの繊細だけど力強いボーカルと、レイ・マンザレクの冷徹なオルガンにすっかりやられました。一曲は、静かに始まって全く別のトーンで終了する、本当に別世界への扉が開けていくような、
アルバム「The doors」、ドアーズというグループ、そしてアメリカン・ロックの伝説のオープニングにふさわしい一曲。


代表曲の「Light My Fire」(ハートに火をつけて)は、この時代ならではの構成という感じ。
夜に独りで聴いていると、どっぷりハマります。


これらの曲が収録されているデビューアルバム。他のアルバムもいいですが、
このアルバムの完成度は別格です。
現在は1,000円もしません。伝説を聴けるのには安すぎる。
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category: 雑記:今週のまとめ

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散歩で見つける虫の呼び名事典  

散歩で見つける虫の呼び名事典
森上 信夫




野鳥観察会でよく言うのだが、名前を覚えるのは後でいいと思う。

とにかく野外に出ること。
自分で見て、様々な異なる野鳥(生き物)が身近にいることを実感すること。
その特徴をメモすること。

そうすれば、帰ってから名前はチェックできる。
また名前を覚えられなくても、次回見た時には「あ、前に見たものだ」と分かる。

それを繰り返していれば、いつの間にか名前は覚えるものだ。

また、自宅でぱらぱら図鑑を見ていれば、各分類群ごとに和名のクセがあるので、
何となく覚えるものである。

いずれにしても、「名前を覚えられないから野外で識別できない」というのは有り得ないのだ。
生き物の楽しみは、名前を覚えることではない。


とはいえ、確かに名前を知っていれば親しみもわくし、
名前が体を表すことも多々あるので、知っておいて損はない。

そこで自宅で見る昆虫図鑑として、本書をお勧めしたい。

本書では、季節ごとにほぼ全国域で普通種の昆虫類を取り上げ、
1~2ページに1種のゆったりしたレイアウトで紹介する。

写真は最近はやりの、かなりシャープな、背景を取り去った生体の写真。
昆虫は死ぬと色が変わったり体勢が変わるものがあるので、ありがたい。

そして名前の由来を紹介している。一方、生態に関する解説は、ほとんどない。
だから、一見したイメージと、名前を頭の中で連結させるだけの本となる。
ただ昆虫類は、極めて種数が多いので、
生態は各種の「蝶類図鑑」「甲虫図鑑」に委ねるのが正解だろう。

そう割り切って考えることができる方には、楽しい図鑑である。


【目次】
春の虫
 モンシロチョウ―紋白蝶
 ギフチョウ―岐阜蝶
 ベニシジミ―紅蜆/紅小灰
 ヤマトシジミ―大和蜆/大和小灰 ほか
夏の虫
 アゲハ―揚げ羽
 ツマグロヒョウモン―褄黒豹紋
 ホタルガ―蛍蛾
 コスズメ―小雀 ほか
秋の虫
 キタテハ―黄立て羽
 モンキチョウ―紋黄蝶
 キタキチョウ―北黄蝶
 クロコノマチョウ―黒木の間蝶 ほか
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category: 昆虫

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