ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

自然科学30のなぜ?どうして?―国立科学博物館の展示から  

自然科学30のなぜ?どうして?―国立科学博物館の展示から
国立科学博物館



国立科学博物館は、聖地である。

長い間行きたかった。東京出張にあわせて何とか数年前に行けたのだが、
その広さ、質に圧倒された。

いつか子供を連れて来たいと、地方在住者としては強く思った次第である。

しかし、僕が専門の鳥類と、ある程度知識のある動物はともかくとして、
あまり知識の無い分野のものについては、その展示の多くの価値を十分堪能できなかった。

そこでとりあえず読んでおきたいのが、本書である。
タイトルこそ「30のなぜ? どうして?」と良くある雑学本のように見えるが、
むしろ

「国立科学博物館 とりあえず押さえておきたい30の常設目玉展示」

という方が適切だろう。

様々な分野について、同館学芸員が展示標本の来歴、展示の苦労話なども交えながら紹介しており、
ガイドブックとして最適である。

巻頭はニホンオオカミ。
「きちんと調査されていないから、まだいるかもしれない可能性も高いと思う派」の僕としても、
ニホンオオカミの剥製は、国立科学博物館で一番見たかった展示である。

※本書の内容からはそれるが、ちょっと蛇足。
剥製を見ると分かるが、一般的な(西洋的な)オオカミのイメージと、ニホンオオカミはかなり異なる。
たぶん多くの人は、山中でイヌ科動物の死体があっても、西洋的なオオカミでなければ、
そもそも「ニホンオオカミかも?」と思うことすら無いだろう。
ニホンカワウソと比して、「一目では分からない」にも関わらず、「一目で分かる」という誤解が、
ニホンオオカミを再調査するまでもなく「絶滅したのがわかる」という先入観の原因ではないだろうか。


さて、本書ではこのニホンオオカミを初め、
科学博物館の目玉的展示-門外漢だと軽くスルーしがちな展示-も多く掲載されており、
次回はより深く楽しめることと思う。

もし今後も国立科学博物館へ訪れる可能性がある方は、
ぜひ先に読んでおいて損はない1冊である。

【目次】
消えたニホンオオカミ
日本の精密機械技術の粋、からくり人形と万年時計
日本で最初のテレビジョン
日本初の人工衛星「おおすみ」とラムダ・ロケット用ランチャー
世界最大のカニ、タカアシガニ
全長八メートルを超えるダイオウイカ
シメコロシノキは本当に「絞め殺す」のか?
ヒマラヤの高山植物、セイタカダイオウ
ジャイアントパンダ
生きている化石、シーラカンス
シメナガスクジラとマッコウクジラ
人気恐竜、トリケラトプス
三葉虫の繁栄
パシロサウルス・ケトイデス
猿人「ルーシー」と、仲間たち
古代ポリネシアのダブルカヌー、「カフリアウ」
隕石と月の石
ウィルソンの霧箱
フタバスズキリュウ
アンモナイトの海
日本列島の岩石
日本最大の蛾、ヨナグニサン
石英(日本式双晶)
いろいろなハブと生物の分布
日本人の起源(古人骨出土地図)
コウジカビ(拡大模型)
ヤブツバキとユキツバキ…ふたつの変種の謎
天球儀・地球儀
フーコーの振り子
国立科学博物館日本館
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category: ノンフィクション

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日本の絶滅古生物図鑑  

日本の絶滅古生物図鑑
宇都宮 聡,川崎 悟司



日本の恐竜図鑑:じつは恐竜王国日本列島」(レビューはこちら)の著者陣による、
恐竜以外の生物化石を中心とした本である。
とはいえ、アンモナイト、三葉虫、巻貝類と、化石好きをそそるグループが多い。
前著のレビューでも記したが、著者の一人は日本中で化石を採集している化石ハンター。

収録種数は約47種。
著者が採集した化石や、その発見経緯なども掲載されており、読み物としても楽しめるものとなっている。

「化石」というと、恐竜化石とアンモナイト・三葉虫がおそらく最もメジャーなものだろうから、
アンモナイト・三葉虫を掲載している本書の方が、むしろ楽しめるかもしれない。

例えば、北海道で著者が発見した、
直径1mを超える国内最大級のアンモナイト化石。
その採集時の状況なんて、なかなか知ることができないものである。

化石好きにはぜひお勧めする。全ページカラーで、
非常に興味深く楽しめる一冊である。

併せてこちらもどうぞ。



【目次】
ようこそ、絶滅古生物の世界へ
古生物が生きた時代(古生代、中生代、新生代)
地質年代
日本列島ご当地古生物マップ

国内最古の化石は魚類? … サメ・魚類
謎の歯をもつ魚類?…コノドント
日本にもいたデボン紀の武者…甲冑魚
日本最古の古代ザメ…ペタロドゥス
螺旋の歯をもつ不思議なサメ…ヘリコプリオン
巨大な歯をもつモンスター…メガロドン

陸・海・空で多様に適応して広まった … 四足動物
日本にもいた大型両生類…マストドンサウルス
ジュラ紀のシャチ…ホソウラギョリュウ(細浦魚竜)
国内最大のクビナガリュウ…モレノサウルス近縁種
白亜紀末期の頂点捕食者…プログナソドン近縁種
ワニのような不思議な生物…ショウカワ
大阪大学キャンパスにいた巨大ワニ…マチカネワニ
スッポンのご先祖様…カッパケリス
巨大なペンギンもどき…ヘスペロルニス類
正体不明の不思議な生物…デスモスチルス
新生代の謎の哺乳類…コリフォドン類
日本初の裂歯類…ヒゴテリウム
カバに近い炭獣…ボトリオドン(三田炭獣)
日本最古のゾウ…ゴンフォテリウム(アネクテンスゾウ)
牙に特徴のあるゾウ…ミエゾウ(三重象)
お雇い外国人の名前がついたゾウ…ナウマンゾウ
日本にもいた巨ゾウ…マンモス
巨大な人魚…タキカワカイギュウ
日本にいた巨大ビーバー…ビーバー(ヤンゴファイバー)
日本最古のヒゲクジラ…エティオケタス(アショロカズハヒゲクジラ)
四国の清流にはもういない?…ニホンカワウソ(日本川獺)
大神が語源、日本山林の頂点捕食者…ニホンオオカミ

仕切りをつけながら成長するサンゴ … 床板サンゴ
太古の海の迷路…クサリサンゴ
まるでマンションの化石…ハチノスサンゴ
クサリサンゴとハチノスサンゴの中間体…エオフレトチェリア
枝のような床板サンゴ…シリンゴポーラ(クダサンゴ)

貝化石でわかる太古の世界 … 貝類
藻類と共生する巨大二枚貝…シカマイア
巨大なイガイの仲間…イノセラムス
日本は熱帯だった…ビカリア

大型海生爬虫類の重要なタンパク源 … 頭足類
とんがりプレデター…メタスパイロセラス(直角貝)
白亜紀のお化けイカ…エゾテウシス・ギガンテウス
隙間のあいた大型アンモナイト…シャスティクリオセラス
日本を代表する異形巻きアンモナイト…ニッポニテス
和泉層群を代表する異形巻きアンモナイト…ディディモセラス
仏教神(金剛)の名をもつ棘アンモナイト…シャーペイセラス・コンゴウ
リーゼントできめた突っ張りアンモナイト…モルトニセラス

古生代の海底で大活躍 … 三葉虫
表面つるつるヘルメットのような蟲…ブマスタス
デボン紀の蟲代表…クロタロセファリナ

なじみのエビやカニは中生代から … 甲殻類
貝のような甲殻類…パラエオレペルディシア(貝形虫)
サメに寄生したダンゴムシ…パラエガ・ヤマダイ
巨大なハサミのカニの王…ミヤザキエンコウガニ


もっとも繁栄、だが化石には残りにくい … 昆虫類
最古のゴキブリの仲間…オカフジムカシゴキブリ


古生物の行動や食性がわかる … 生痕化石
巨大な印象化石の正体は?…ズーフィコス


コラム
岐阜山中のペルム紀サメ群
カナダで見つかった保存状態のよいプログナソドン化石
日本にいた海生ワニ
津軽海峡を渡れなかったゾウたち
大型の脊椎動物化石のクリーニング 和歌山県鳥屋城山のモササウルス類
ホタルの方言とフォッサマグナ
化石・鉱物が薬に!? 石の不思議
植物化石で知る大昔の日本の気候
頭に角をもつ古代ザメがいた
謎の甲殻類サイクラス
琥珀の中の古代昆虫が生きていた マントファスマ
岸和田城壁のコダイアマモ化石
恐竜に寄生した巨大ノミ

発見記
アマチュア化石採集家が発見した、メガロドン化石
祇園山のサンゴ化石
北海道で発見した巨大アンモナイト


恐竜や化石が見られるおもな博物館
参考文献
古生物名索引
地名・地層名索引

【メモ】
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category: 恐竜

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日本の恐竜図鑑:じつは恐竜王国日本列島  

日本の恐竜図鑑:じつは恐竜王国日本列島
宇都宮 聡,川崎 悟司



恐竜が大好きだった。
「ティラノサウルスの骨を触れる!」とかいうイベントに行き、
てろっと触ったことがある。あれば高松三越の恐竜展だったか。もう30年以上前だろう。

また、「のび太の恐竜」がリアルタイムだった。あんな風に家の近くで化石が出ないかとワクワクした覚えがある。

しかし大きくなるにつれ、日本で恐竜化石が産出されるのはごく限られた地域であること、
香川県はそうした地域では無いことなどを知った。
自分で化石を見つけるという楽しみは横に置き、
恐竜展に行ったり、販売している化石を少し集めているくらいである。

しかしもう10年以上前になるが小豆島の知人に、
珪化木の破片が転がる海岸に連れて行ってもらった。石の化石である。

また雨滝山に野鳥観察会を開催した際、化石が産出する場所を教えてもらった。柔らかい石というかカタマリの中の植物化石。
いわゆる「化石」のイメージとはほど遠いが、それは自分の住む土地と、初めてリアルに直結する化石だった。
いつかまた探しに行きたい。そんなワクワクが、心の底に燻ることになった。

本書は、そんな気持ちに火をつける危険な一冊である。

日本各地で発見された主要な化石、その発見状況、復元予想図が収録されており、
約40種の恐竜・魚竜等を掲載。
「フタバスズキリュウ」の印象の強い僕としては、
いつの間に日本でこれほどの化石が発見されたのかと驚くほどである。

また、著者の一人は、日本中で化石を採集している化石ハンター。
本書収録の化石のいくつかは著者が発見したものである。

国内最大の肉食恐竜の牙化石だの、九州初のクビナガリュウの化石だのの、目を見張るような成果が多いのだが、その発見の経過が、本書にはいくつか収録されている。
これも、「日本化石発見紀」という珍しい冒険譚であり、ワクワクさせてくれる。
実際に採集に行っているような方はともかく、
ごく普通の恐竜好きの方には、ぜひお勧めの一冊である。

なお同著者陣により、恐竜以外の生物群を中心とした類書がある。こちらも良い。





【目次】
鳥たちはここから始まった―獣脚類
もっとも巨大に成長した恐竜―竜脚類
植物の変化に適応して進化した恐竜―鳥脚類
フリルをつけた闘士―周飾頭類
身を守るための装飾をもつ―装盾類
大空を支配した空飛ぶ爬虫類―翼竜類
恐竜時代を通じて栄えた海生爬虫類―長頚竜類
魚竜の地位を受けついだ海のギャング―モササウルス類
恐竜周辺で生きていた動物たち―哺乳類・サメ類・カメ類


【メモ】
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category: 恐竜

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古代遺跡の七不思議―Newtonが選ぶ新・世界の七不思議  

古代遺跡の七不思議―Newtonが選ぶ新・世界の七不思議 (ニュートンムック Newton別冊)



七不思議。ロマンである。
子供の頃何かの本でこの言葉を知り、世界にまだまだ「不思議」が残っていることに感動した。
いつかピラミッドを見に行く。そう心に誓った幼い頃。
今生では行けないなあと悟った今日この頃である。

さて本書は、その七不思議をベースとして、科学雑誌Newton編集部が新たに七不思議を選出し、解説するムックである。

ニュートンムックであるからして、オカルティックな視点は全くない。
よくも悪くも真面目であり、考古学的な発掘成果の紹介が主である。

取り上げられた、Newton選出のな不思議は【目次】のとおり。
こうした地域の遺跡に興味がある方なら、一読して損はない。
例えばナスカの地上絵にしても、地上絵か集中している場所の俯瞰図とかあって、
あの有名な鳥の絵はこのサイズか、
このラインはいったい何だろうか、と思いを馳せることができる。

ただ、やっぱり真面目だなあ。
「考古学的成果があってなおかつ未解明な遺跡」を「不思議」としており、
「何で作られたか(放棄されたか)さっぱりわからない」というロマンを不思議としているのではない。

よって、真面目な方にお勧めである。



【目次】
プロローグ~世界の七不思議
1 ギザの3大ピラミッドの不思議
2 ストーンヘンジの不思議
3 イースター島の不思議
4 ナスカの地上絵の不思議
5 マチュピチュの不思議
6 マヤ文明の不思議
7 アンコール遺跡の不思議
番外編 アトランティスとムー大陸
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category: 歴史

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今週のまとめ(ピックアップ)、ヒクイナに出会って思ったこと。  

久しぶりのまとめです。
妻の実家に(県外)に行ったり、子どもは夏休みですが、なかなか忙しい日々。
むしろ週末はどんどん予定が入り、平常よりも時間がとれません。

暑いし。
この暑さが野鳥たちにどんな影響を与えているか調査してたいところですが、
いいテーマも湧かず、時間も気力もないところが悲しいところ。
もう少し、高みを目指す活動をしたいものです。

さて、8月5日朝、自宅近くでヒクイナを見かけました。
夏鳥として渡来するクイナの仲間で、胸は暗赤褐色。遠目にも赤っぽい鳥だな、と分かります。
その鳴き声は夏の風物詩でもあり、源氏物語を多くの古典文学にも登場します。
いわば、日本文化の役者の一人でもあるわけです。

アシ原や広い水田-護岸されていない畦で仕切られているようなところ-で繁殖しますが、
そうした環境の減少に伴い、年々減少しているようです。
減少の原因が生息環境の喪失であるだけに、将来自然増に転じる期待も持てません。

常々思うのですが、こうした長年、日本の感性を培ってきた自然環境を、
少なくとも次の世代に残すことが、現世代の務めなのではないでしょうか。

生物の多様性が、その場所ごとの歴史の上に成り立っているように、
人の感性も、やはりその環境の上に育まれます。

外来種が入り混じり、日本だか外国だか分からないような環境が数世代続けば、
いわゆる日本的感性は喪失するのではないでしょうか。

少なくとも、
僕らが子供の頃の風物詩-カブトムシ、ウグイスやヒバリのさえずり、ツバメ、メダカ、カエル…といった、ごく当たり前の生き物を、当たり前に次の世代につなげていきたい。
そう思っています。

さて、まとめです。溜まってしまいました。
ちょっと趣向を変えて、一言メモをつけましょう。リンク先は本ブログのレビューです。

わっ! ヘンな虫 探検昆虫学者の珍虫ファイル
自分が知らないだけで、すごく活躍している人の話って、とてもワクワクします。
それが同世代とくれば、なおさらです。
コスタリカで一旗揚げたって感じ。これからの活躍も、日本で広く紹介されることを期待します。

カビの科学 (おもしろサイエンス)
軽く「カビ」って言っているモノが実際には何かを学べる本。
とても身近なのに、何も知らないなあと感じました。

山本美香最終講義 ザ・ミッション: 戦場からの問い
山本美香氏の残した課題は、これから我々が考えて行かなければならない。

会いに行ける海のフシギな生きもの
でも会いに行くの、大変。

ヒトの見ている世界 蝶の見ている世界
僕の大好きな人間と異なる動物の「知覚」に関する本。
ヒトの感覚が当たり前と思ってしまうと、ヒトが感知できない世界は「存在しない」と誤解し、
軽々しく扱ってしまうようになります。
それを戒めるためにも、生物としてのヒトの知覚と、
他の生物の知覚の違いを学んでおきたい。
何といっても、地球はヒトのために存在しているのではないのですから。

最新 クラゲ図鑑: 110種のクラゲの不思議な生態
ピンポイントで役に立つ。いや、種類が分かってクラゲについて知ることができて、知的好奇心が満たされるだけで、実際上役に立つわけではありませんが。

日本の石ころ標本箱: 川原・海辺・山の石ころ採集ポイント
石、拾いに行きたくなる。ほんとに。

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category: 雑記:今週のまとめ

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わっ! ヘンな虫 探検昆虫学者の珍虫ファイル  

わっ! ヘンな虫 探検昆虫学者の珍虫ファイル
西田賢司




タイトルと体裁で損をしているのではないか。
「ヘンな虫」という言葉が強調され、昆虫写真が散らされた表紙。
一見、珍虫を集めた児童向け本のような感じもする。少なくとも僕はそう感じて、長い間手に取らなかった。
実際は予想を裏切る良書だった。
珍虫情報を求める方には期待外れだろうが、
ワクワクしながら生物多様性を実感できる、地に足の着いた本である。

まず本書は、擬態、構造色、寄生バチ、アリ、甲虫といった様々なテーマについて、
コスタリカで著者が採集・撮影した確認・採集した昆虫を紹介しながら、
種の多様性を見事に実感させる。

また著者は、「虫こぶ」の専門家でもある。
「虫こぶ」なんてどうでもいいもの、と見過ごしがちだ。
しかし実際は、昆虫と植物の密接な関わりが見えるものであり、
それが外来種対策にまで有効であるという。
こんな視点は、今まで知らなかった。

何よりも、本書はコスタリカに腰を据えて活動する「探検昆虫学者」である著者の活動記録である。
具体的な苦労と工夫が伝わる雲霧林での昆虫採集の状況などは、読んでいて興奮すら覚える。

そう、本書はExploratory Entomologist -「探検昆虫学者」の冒険譚なのだ。


著者はまだ40代前半。今後の活躍も楽しみであり、引き続き日本へも紹介してほしい。

なお、著者のホームページはこちら 。

WEB版ナショナル・ジオグラフイックでの連載もある。
コスタリカ昆虫中心生活

「情熱大陸」でもとりあげられてたらしい。こちら


【目次】
序章 1日で夏から冬まで体感できる国
第1章 コスタリカの「ヘンな」虫たち
第2章 「虫こぶ」の未知なる世界
第3章 「バッグマン」と呼ばれる探検昆虫学者
第4章 昆虫たちが教えてくれる未来の地球

【メモ】
p18・174
ハワイにおける外来植物のうち、生態系に悪影響を与える植物=侵入植物
侵入植物が自生していた地域において、その侵入植物だけを食べる昆虫を探している

特に、ノボタンの仲間「ミコニア・カルベセンス」と
ケシの仲間「ボコニア・フルテセンス」は、中南米原産だが、ハワイの生態系を脅かすほど拡大している。

既にタヒチでは、原生林の70%がミコニアによって失われたと報告されている。


p50 構造色について言及
中米を代表するメタリックな昆虫=プラチナコガネChrysina chrysargyrea

p57
ハカマキリの擬態=植物の葉のような色・形
葉の痛んだ部分のような(茶色の円染み)模様まである
(→こんな模様の有無にまで選択圧がかかっているのだろうか?)

p102
虫こぶ
=栄養価が高く、タンパク質と脂肪たっぷりの幼虫も入っている
=中米では、リスやサルが好んで食べる~

p122
ハモグリガ:
卵から成虫になるまで2週間~1カ月程度

虫こぶを作るガ:
卵から成虫になるまで3~6カ月、中には2年もある

p132
虫こぶを作る昆虫は、特定の植物に特化している
=特定の侵入植物に対する生物防除役としてより安全と考えられる

p148
アカカミアリ:硫黄島にも侵入している
体長数mm、すぐに噛みついて尻の毒針でアルカノイド系の毒を注入
瞬時に違和感がある激しい(焼けるようなヒリヒリとした)痛み、1週間以上痛痒い

同じようなアリに「ヒアリ」南米原産で拡大中、香港や台湾に侵入

p150
グンタイアリ
「野営の巣」を作り、前日行った方から113度の方向へ進む。3週間続ける。
角度を変えるため、一度行った方向に重ならない。
3週間続けると、別の場所へ移動する。

p151
サシガメ(トゥリアマ・ディミディアタ)、コスタリカの低地~標高1000m
脳膿瘍や心筋障害を引き起こす「シャーガス病」の原因である原虫を持っていることが多い
シャーガス病=現在は治せない
刺しただけでは問題なく、その時に潰してしまうと糞が飛び散る。
この糞の中に原虫がいる。

p178
ホノルル近郊の森:緑豊かだが外来種ばかりで昆虫がおらず、静か。

p194
サン・ホセ市の学校で、オープン・バタフライガーデン(原生種による)を作る試み
JICAの有機農法推進のコンセプトも加味
→空き地が緑園に生まれ変わった。
また2006年度のコスタリカにおける教育革新プログラムのコンクールで最優秀賞。
詳細:http://www.lrsarts.com/plas/index.html


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category: 昆虫

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カビの科学 (おもしろサイエンス)  

カビの科学 (おもしろサイエンス)
李 憲俊



人類とカビの歴史 闘いと共生と」(レビューはこちら)に続き、またまたカビの本である。

副題で感じられるように、本書の方が親しみやすい。
トピックごとに数ページにまとめられており、隙間時間に読み進めることができる。
取り上げているトピックも充実しており、「人類とカビの歴史 闘いと共生と」とほぼ同トピックを網羅する。あちらは研究現場を踏まえた記述であり、本書は第三者的なまとめ方である。
好みにもよるが、おそらく本書を読めば、多くの方は知りたい情報が得られると思う。

それにしても、カビの爆発的な成長力には驚かされる。
これだけの成長力だからこそ、極めて小さな存在にもかかわらず、分解者として役割が果たせるのだろう。

また、チーズ、酒、カツオブシ等々、食生活にも有用である。

住居ではどうしても厄介者だが、カビという存在もまた、長い歴史によって育まれた生命なのだと感じた。

ところで、本書ならではのトピックとして気になったのは、温暖化の影響だ。

一つは、熱帯性のカビが北上してくる危険性。
もう一つは、温帯性のカビの生態が変化する危険性。

まだ具体的な話はなく、可能性の範疇ではあるものの、いつ具体化してもおかしくない。
引き続き、注目しておきたいテーマである。



【目次】
第1章 地球に生きる生物としてのカビ―カビとはどういう生き物なのか
第2章 カビの生理と生態―生きるためのシステムと発育条件
第3章 カビによる健康被害―カビは怖い生物なのか
第4章 生活の中のカビ対策―こうしてカビは防ぐ
第5章 カビと生きる―カビと人間の深い関係
第6章 住環境にみる主要カビ―身近なカビたちの素顔と生活
第7章 カビの調べ方―カビの検査の手法あれこれ

【メモ】
p4
カビ、キノコ、酵母の共通点
・細胞核が膜を持つ(真核生物)
・葉緑体がない(光合成しない)
・キチンを細胞壁の骨格とする
・単細胞(酵母型)または菌糸形を基本とする
・細胞外で栄養を分解して吸収する
・無性生殖または有性生殖をする

p12
細菌の増加の仕方
1個が2つに分裂する(二分裂法)
分裂のスピードは温度・湿度や栄養で異なる。
大腸菌の場合、最適環境では1回/20分可能と言われている

ex)洗った雑巾に200個の細菌が残っている
→1回/30分で分裂した場合、10時間後には1億個になっている。
もし1回/20分だと1000億個を超える。
これの排泄物が臭う。

p34
クロコウジカビ:5ミクロン程度
1週間で6cmの円形の集落に成長する。

1000倍サイズにすると、
クロコウジカビの分生子5mmから、直径60mの群落に育つことになる。

カビの培養:「巨大培養」(ジャイアントカルチャー)

p50
浴室の天井のクロカビ:
少しずつ成長するため、黒く見えない

p58
温暖化の影響

1)暖かい地域のカビの拡大
ex)アスペルギス・パラジティカスはカビ毒の一種(アフラトキシン)を出す
暖かい地域の土に住んでいる
これが日本全土に広がれば、国産の作物がアフラトキシンに汚染される機会が増加する

2)温帯地域のカビの変化
温帯地域のカビは30℃を超えると活発に増加できないが、
より高音域に適応する可能性がある
もし36-37℃で増殖できるようになれば、人間の体内を住みかとする道が開け、新たな脅威となりうる




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category: 菌類

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山本美香最終講義 ザ・ミッション: 戦場からの問い  

山本美香最終講義 ザ・ミッション: 戦場からの問い
山本 美香




p288「同僚としての山本美香」藤原亮司
「帰国後、私はある男性に『なぜ彼女はシリアのような危険な場所に行ったのか』と問われた。
しかし、ではなぜシリアが危険な場所だとその人は知ったのか。
山本が撃たれたから、危険だと知ったのではないか。ジャーナリストが行かなければ、世界の別の場所に暮らす人には伝わらないことがあるはずだ。」

確かに、僕も山本氏自身の死によって、シリアが危険な場所であると知った。
しかし、山本氏はなぜあの時点でシリアに入り、何を伝えようとしていたのか。正直言って、報道当時そうした疑問すら思い浮かばないほど、僕は無関心でもあった。

その後、シリアの混迷ぶりが様々なメディアで報道されるようになり、「ああこういう状況だったんだ」と知ることになる。

災害・紛争が甚だしく、しかし大多数の日本人の生活に直結していなければ、
メディアへの露出も少ない。
シリア報道が増加したことも、やはり山本美香氏の死によって日本と無縁ではなくなり、
そこからフォローしていく流れが生じたのだろう。

しかし山本氏の死によって、日本は新しい「知られざる紛争」に着目し、伝えてくれるジャーナリストを失った。
むしろ、危険を避ける方向に舵をきっているようにも感じられる。
もちろん山本氏の死は確かに残念であり、様々な検証がなされるべきだが、
ビデオジャーナリズムや災害・紛争報道を委縮させる原因にしてはならない。


山本氏は、ビデオジャーナリズムのパイオニアでもあり、
現代的な災害・紛争ジャーナリズムの先駆けでもあった。

そのため、現場体験者ならではの多くの技術、心がけ、そして課題を持っていた。
これらは日本のいわゆる記者クラブとは大きく異なるものであり、
得難い教訓である。
それを礎にすることによってこそ、日本のジャーナリズムも多角的に発展していくのではないだろうか。


以前紹介した「山本美香という生き方(レビューはこちら)では、一部に「中継されなかったバグダッド」が丸々収録されているものの、基本的に山本美香氏を知る人物による記述だった。

一方山本氏は、早稲田大学でジャーナリズム研究セミナーの講師を行っていた。
そこでは一人のパイオニアとして、後に続くだろう若者へ、なぜ戦場・災害ジャーナリストとして活動しているか、どのような葛藤と考えがあるのかを説明していた。

本書はその講義を、そのまま採録したものである。

もう山本氏の抗議を聞くことはできないが、ジャーナリストを目指す方、ジャーナリズムの問題を考えている方は、ぜひ一度読んでおくと良いと思う。


【目次】
早稲田大学Jスクール・2012年度講義 戦争とジャーナリズム
第1回 4月24日(火曜日)
私の仕事――現場から伝える
ビデオジャーナリストとして
アフガニスタンでの経験
災害報道――雲仙普賢岳の取材で
東日本大震災で
学生たちとの対話――震災報道をめぐって
学生への課題提示
第2回 5月8日(火曜日)
フリーランスになって――戦場取材へ
アフガニスタンで学んだこと
テレビとフリーランス
イラク戦争=バグダッドでの取材
学生との対話――取材のために戦場に残るか
第3回 5月15日(火曜日)
ジャーナリストの立ち位置
戦争報道のあり方
自衛隊のイラク派遣とジャーナリズム

早稲田大学政治経済学部 朝日新聞提携講座 5月16日(水)
メディアの世界――メディアと戦争
テレビという媒体だけでなく
紛争地を取材する
ビデオジャーナリストとして
フリーランスとして
テレビ・メディアから見た戦争
現場を継続的に取材することの大切さ
学生の質問に答える
講義後の学生さんへのメッセージ(5月21日)

【メモ】
p104
「今とにかく何もかもが委縮していって、本当に事なかれ主義ですよね。何もしなければ何も起きない、何の落ち度も生まれない。その考え方はかなり末期症状に近い。でも報道の現場の人に聞けば、そんなことばかり思っているわけではなくて、やはり行きたいという人もいるし、自分は向いてないのでやりたくないという人もいる。」

p107
「ずっとやっていて思うのは裾野が広がらないことです。もっと広がってもいいはずなのに全然広がらないのは、それだけでは成り立っていかない部分があるのが現実だと思います。」

p209
サマーワの取材:
自衛隊が報道機関に自粛してくれと言ってきたことに対して、記者クラブを通じて、報道のルールを防衛省とかと取り決めをした。自衛隊の安否に関わることはしないようにした。
しかし、隊員の安全かかるかどうかは誰がどうチェックするのかがあやふやな一方で、事前にチェックする項目を入れてしまった。それは検閲になっていく。

「客観性とは別に、やはり中立でなければいけません。それなのに防衛省のルールに従う、要するにその傘下に入ってしまったということは、メディアとしてはあってはならないことでした。」

p212
イラク大使館でビザを申請しに行くと、「日本人に対しては出さないでくれという要請があった」と言われている。
外務省がイラク大使館に対して、日本人のビザ発給をしないよう要請していた。
イラク大使館では、各国のメディアにはフリーでも何でもビザを出していたが、こうした要請には驚いていた。
イラク大使館が従ったの、復興支援で日本を重視していたから。

p248
1996年頃、フリーランスのジャーナリストが取材したものがTVで流れ出し、署名性の強いものが放送されるようになった。

p263
「紛争の現場で何が起きているのか伝えることで、その国の状況が、世界が少しでも良くなればいい、そう思っています。伝え、報道することで社会を変えることができる、私はそれを信じています。」

p288「同僚としての山本美香」藤原亮司
「帰国後、私はある男性に『なぜ彼女はシリアのような危険な場所に行ったのか』と問われた。しかし、ではなぜシリアが危険な場所だとその人は知ったのか。山本が撃たれたから、危険だと知ったのではないか。ジャーナリストが行かなければ、世界の別の場所に暮らす人には伝わらないことがあるはずだ。」


(レビューはこちら)
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category: 戦争

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会いに行ける海のフシギな生きもの  

会いに行ける海のフシギな生きもの
吉野 雄輔



ぶっちゃけ本当に会いに行けるかという、そうでもない。
実際に見られるのは、スキューバダイビングができ、かつかなりの技量と運がある人だろう。

むしろ逆に、こうした生き物が日本近海にいるという事実を知ることができる本である。

掲載種は、様々な分類群から30種。巻末にはどこで撮影したかが日本地図とともに掲載されており、
お住まいの地域によって、「こんなのが近くの海にいるのか」という驚きが得られるだろう。

僕はやっぱりウミウシが見たいし、家族にも見せたい。
今秋にリベンジである。


【目次】
サカナ[魚類]
イカ・タコ類[軟体動物]
ヒトデ・ウニ・ナマコ[棘皮動物]
クラゲ・イソギンチャク[刺胞動物]
エビ・カニ[甲殻類]

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category: 動物

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ヒトの見ている世界 蝶の見ている世界  

ヒトの見ている世界 蝶の見ている世界
野島 智司



僕の大好きな、「他の生き物はどのように世界を見ているのか」というテーマの一冊である。
紫外線色や、ヒトが三原色を近くしているが、他の生物では…といった、
大好物の話題で満載である。

生き物好きの人でもあまり意識していないのが不思議なのだが、
「人間の視覚が全てではない」という現実は、実はものすごく大きいと思う。
それが分かっていないと、動植物の生態を、人間が感覚できる範囲内で把握し、解釈してしまう。
それは無意味なことである。

目の前を飛ぶモンシロチョウも、空を飛ぶ猛禽類も、全てヒトとは異なる知覚世界に生きている。
彼らが感知している世界と、僕らが感知している世界はイコールではない。
その事実を知ったとき、ヒトという存在の思い上がりを強烈に意識させられるのではないか。

少なくとも、僕は自分の周りの世界をよりリアルに知るために、
様々な生物の知覚を知りたいと思う。

そこで行き着いたのが、
紫外線色と構造色の重要性だ。

こうした新しい近く世界の入門書として、本書は非常に優れた一冊となっている。
ぜひ本書をスタートとして、様々な生物の驚くべき知覚世界を知っていただきたい。
関係書として、以下の本をお勧めする。


「鳥たちの驚異的な感覚世界」(レビューはこちら)


「モンシロチョウ -キャベツ畑の動物行動学」(レビューはこちら)


「モルフォチョウの碧い輝き―光と色の不思議に迫る」
(レビューはこちら)


【目次】
第1章 チョウや鳥には、私たちには見えない色が見えている!~世界はもっとカラフル
 世界はカラフル
 色って何だろう―虹は七色ではない
 紫外線を見る生き物たち
 色が苦手な哺乳類
 光を使わずにして「見る」生き物
 色の見え方は十人十色
第2章 目の前にあるのに「見えないもの」、目の前にないのに「見えるもの」―「見る」とはどういうことか
 ヒトの眼の仕組み
 光とは
 視覚の情報処理
 ヒトの見ている世界
第3章 カタツムリは触覚で、フクロウは音で世界を「見る」―多様な生き物の「見る」
 昆虫の「見る」
 鳥類の「見る」
 様々な生き物の「見る」
 生き物の見る世界
第4章 「眼の誕生」が生物たちの関係を一変させた?!―「見る」の進化
 視覚の誕生
 陸上生物の視覚の進化
 哺乳類の視覚の進化
 見る見られるの攻防戦
 生き物にとって「見る」の意味
第5章 「見えない世界」を思い描く、ということ―「世界」は一つではない
 生き物が世界を描く意味
 ヒトの世界の可能性
 多様な世界が共存することの意味

【メモ】
p24
ヒトを含む哺乳類  三種類の錐体細胞 大半の哺乳類は2色覚
魚類、鳥類、爬虫類、昆虫類 紫外線も見える種がある

p26
アゲハ 5種類の錐体細胞を持っている
シャコ 16種類の錐体細胞を持っている

p28
ハタネズミ:尿でマーキング:尿や糞が紫外線を反射
→チョウゲンボウは紫外線を見て狩りを行う
(スウェーデンの研究者、ビータラ)

p30
夜行性動物:光を効率的に利用する
ex)ネコ:フラッシュで目が光る
網膜の外側にタペタムという光を反射する細胞層があり、一度網膜に入った光を反射し、再度視細胞に当てる→少ない光を増幅する

p39
ヒトの性染色体 XX:女性 XY:男性
赤色を感じるために必要な赤型オプシンというタンパク質と、緑色を感じるために必要な緑型オプシンというタンパク質の遺伝子はX染色体上にある
よって、XXの女性なら、一方のXに異常があっても補われるが、
XYの男性の場合、Xに異常があると赤緑色覚異常となりやすい

なお最近、女性の中には色覚に必要な物質が通常の3種類ではなく、4種類ある人がいることがわかっている
(X染色体が2つあるために、一方に異常があると逆に色覚のバリエーションが増える)
その場合、赤型オプシンが増える。
これが色覚に反映されれば4色覚になるが、実際にそのような人がいるかは未確認。

p46
虹彩や網膜にはメラニン色素があり、この黒い色素が眼に入った光の乱反射を防ぐ。
人種によって色が違うのは、メラニン色素の濃度の違い。

p75
カメラ眼と複眼の模式図を掲載

p79
ミツバチは緑・青・紫外線の3色を感知している

p84
太陽からの光は一定の偏光パターンを持っており、太陽を中心とした同心円を描くように分布している。
(p83に模式図掲載)
ミツバチやアリはこのパターンを認識している。
ex)砂漠のアリ
 変更を使った方角と自分の歩幅の積算で現在位置を把握している

p90
鳥類:大きな眼球を持っている(外からはわかりにくい)ため、眼球そのものを自在に動かすことは不得意。
そのたるめ首を動かすようになった。

p92
鳥類:油滴(ゆてき)という色素の粒が視細胞にある。
色のフィルターとして機能。
ex)黄色い油滴があると、黄色が遮断される。
これによって、より緻密に色の識別ができているのではないか。

p93
鳥類学者:イートン
鳥類の9割が紫外線反射で雌雄を識別していると推定している

p99
鳥類の求愛に用いられる羽根は、他の羽根より紫外線反射率が高い場合が多いらしい。

p107
モグラの鼻の先端:アイマー器官と呼ばれる0.5mmほどの感覚器が敷き詰められていて、微弱な振動も感知する。

p109
神経生理学者:レトビンら
カエルの網膜にある神経節細胞:5つのタイプがあるが、それぞれが特定の刺激にのみ反応、
うち4つは動きのある刺激にのみ反応
→特定の形・特定の動きの情報のみが脳へ送られる

p114
カタツムリ:4回以上/secの動きは感知できないらしい

p132
アンドリュー・パーカーの「光スイッチ説」を紹介

p141
水中と空気注では光の屈折率が異なる
→空気中では薄いレンズでも像が結べ、十分気圧には耐えられるので、魚類のような頑丈な眼は持たなくてよくなった

p144
体温調節に優れた哺乳類は、恐竜に狙われにくい夜間に活動するようになり、
視覚を一部退化させ、代わりに明暗を感じる桿体細胞を増やし、少ない光を増幅させるタペタムを形成した。

p147
ネズミ以上コウモリ未満という生物の化石は見つかっていない。
よって、コウモリがどんな動物から、どのような状況で進化したかは分かっていない。

p149
新世界ザルは個体変異があるが、主に二色覚。
旧世界霊長類はヒトを含めて三原色の色覚が一般的。哺乳類は二色覚が多いので、旧世界霊長類が例外的。

赤色と緑色を感じる遺伝子は同じ染色体の近い位置にあるため、単一の遺伝子が突然変異を生じたと考えられる。

赤と緑色が見られるのは、果実の識別などに有利。

p155
ナナフシやシャクトリが擬態することから、捕食者である鳥の獲物の認識がいかに視覚に頼っているかがわかる。またひの擬態がヒトもだますことから、ヒトと鳥類の視覚が近いこともわかる。

p158
もし鳥類がいなかったり、これほど視覚に頼る生物でなかったら、昆虫などはこれほど多様化しなかったかもしれない。
昆虫の多様化は花だけでなく、鳥類の視覚の鋭さも影響している。

p160
ガにも鼓膜がある。鼓膜の位置は種によって異なる。ガ類の鼓膜は20kHzから50kHzに感受性、多くはコウモリの超音波の周波数帯に重なる。
よって、超音波を聞いて逃げている。

またヒトリガの仲間は、自ら超音波を発してコウモリの超音波を妨害している。いわばコウモリ版の隠蔽色(隠蔽音)。

p180
どんなに紫外線写真が発達しても、チョウの見ている紫外線がどのように感じられているかはヒトには分からない。紫外線写真はヒトの視覚にあわせて変換された画像。









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category: 動物

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最新 クラゲ図鑑: 110種のクラゲの不思議な生態  

最新 クラゲ図鑑: 110種のクラゲの不思議な生態
三宅 裕志,Dhugal J. Lindsay



またまた変な生き物シリーズである。クラゲ。
海に行くと波間に浮かんでいたり、
砂浜に打ち上げられていて、
毒があるのか無いのか分からず、
でも触りたいような気もして葛藤するヤツである。

本書は「最新」としているが、内容を確認すると分類が最新の知見を踏まえたもののようである。
「かつては○○の仲間だったが、現在は△△の仲間に分類されていて…」と、
一般人には全く有用ではないが、分類好きには「へーっ」、「ほーっ」と意味も分からず興味深い記述が満載である。嬉しい。

写真は全てカラー。110種が多いか少ないかは分からないが、
海岸でみたことがあるヤツは結構掲載されている。たぶん1冊持っておくには十分だろう。
アカクラゲとヒクラゲは、今後も出会う確率大であり、
海へ行く楽しみが増すというものだ。

それにしても、
移動可能な世代と固着世代があり、
環境が悪化するとシストになり休眠する、という生活サイクルは、どこかで見たなあと思ったら
粘菌である。
(レビューはこちら)

両者が同一などという無茶な論理を展開するつもりはないが、
同じような生活サイクルが成立するということは、やはりこういう「生き方」は地球上ではスタンダードの一つなのではないか。
粘菌とのサイズ・移動能力の差は、水中か陸上かで、重力の制約の有無が大きいのだろう。

そう考えると、今後の出会いが更に待ち遠しくなる。


【目次】
刺胞動物門
 鉢虫綱
 十文字クラゲ綱
 箱虫綱
 ヒドロ虫綱
有櫛動物門
 有触手綱
 無触手綱
クラゲの採集と飼育

【メモ】
p16
クラゲは雌雄がある有性生殖世代。ポリプは無性生殖時代。
ポリプは生活環境が悪化すると、シスト(休眠芽)になる。

p24
アカクラゲ
日本各地で見られる。春先。
傘には16本の赤縞。
→沙弥島で見た。

p47
深海のクラゲはなぜ赤い?
赤色光は深海には届かないが、青色光は水深1000mくらいまで届く。
よって深海は暗く青い世界。赤い色を認識する能力が低い(その必要がない)ため、
赤色は保護色となる。

p57
ヒクラゲ
アンドンクラゲと似るが、大型で出現時期が異なる。主に瀬戸内海で見られる。
逆に瀬戸内海では、アンドンクラゲはほとんど見られないと言われる。

p85
マミズクラゲ
熱帯から温帯の湖沼や人工池等に出現。ひとつの場所にオスかメスのいずれかしか出現しないと言われる。
休眠状態のシストが40年後にポリプに再生したという報告もある。
ポリプやシストは水鳥の脚などに付着して運ばれる。
マミズクラゲがどのようにして遺伝子の交配をしているのかは謎。

p104
クラゲは水分が90%以上あるため、アルコール標本には不向き。
おもに3-5%kのホルマリン固定。
しかしクシクラゲの仲間はどうしても標本が崩れ、模式標本が残らない。


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category: 刺胞動物

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