ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

ゴム銃大図鑑  

ゴム銃大図鑑
中村 光児



小学生の頃、割りばしとゴムを組み合わせて、よくゴム鉄砲を作った。
いつか子どもと作ってもいいな、と思っていたところ、目についたのが本書。

ゴム銃「図鑑」である。

あんな割りばしのゴム「鉄砲」が、「銃」であり、「図鑑」になるのか? と疑問だったが、
本書をひらいて驚いた。

僕が作ったようなプロトタイプ的ゴム銃からスタートして、収録されているゴム銃の恐ろしく完成度が高いこと。

外見が本物そっくりだったり(でも素材はベニヤ板)。
逆に、金属加工したものだったり。
空薬莢が飛び出すようなギミックがあったり。
あげくの果てには、機関銃、ガトリングガンである。
発射速度1000発/分って何だ。
最大828発装填可能だけど、装填に要する時間が約2時間って何だ。

本書でも触れられているが、
実際には銃がない社会だからこそ成立する遊び。
そして、モノづくり大国日本の、多くの才能を無駄遣いした成果。

驚愕の世界だ。しかし、ものすごく楽しいニオイもする。

ゴム銃であっても、「銃」を遊びとするのはけしからん、という人はしかたがないが、
そこまで目くじらを立てない方は、
ぜひ一度見てほしい。

ちなみに、日本ゴム銃射撃協会http://www007.upp.so-net.ne.jp/jrbgsa/syagekitop.html
で、様々なゴム銃の製作図面を入手することも可能。

また、同ホームページのガンロッカーhttp://www007.upp.so-net.ne.jp/jrbgsa/locker.index.htmlで、
より様々なゴム銃を見ることもできる。


【目次】
1 単発銃
2 連発銃
3 散弾銃
4 機関銃
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category: 趣味

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はやぶさ 世界初を実現した日本の力  

はやぶさ 世界初を実現した日本の力
川口 淳一郎



「はやぶさ」は、2003年5月9日に打ち上げられた。
正直なところ、そのニュースを見た記憶はない。
しかし7年後、「はやぶさ」は思いもかけない「物語」として完結した。

その物語は、日本としては久しぶりの「日本の技術」に感動するものであり、
また「はやぶさ」がまるで意思をもっているかのように「頑張って」おり、
日本人としては親しみやすく、またおそらく心の奥底で待ち望んでいたものだったと思う。

その結果、いくつかの映画が立て続けに製作された。
なぜこんなに乱立したのか今もよくわからないが、
その物語性とリアルタイム性-言い換えれば一過性の熱が、日本全体で昂じたのだろう。

ただ、映画は映画。
実際の現場で、「はやぶさ」のプロジェクトマネージャーである川口氏はどのように感じ、どのように行動してきたのか。
それを自身の手で明らかにしたのが本書である。

何度も語られている(という印象)なのが、次の事項。
・「はやぶさ」は技術の証明であり、サンプルリターンという成果はおまけのようなもの。
・惑星探査では最善を求めている時間はなく、決断が必要。
・精神論ではなく技術をふまえた冷静な対応が必要。
・リーダーが決断する一方、全員が同じ立場で意見を出し合っていた。

このように、本書はプロジェクトマネジメントの本という感じもするが、
しかし底辺にあるのは、宇宙探査への思いである。
手に届く範囲で「利用」を求めることが、
本当に宇宙探査として正しいのか。

おそらく、まだ宇宙探査は大航海時代なのだ。
「行ってみること」がスタートでありゴールである。
それで得られた知見をどう活用するかは、次の世代の役目なのだろう。

そうしたスタンスを認識すると、「はやぶさ2」に予算をつけるか否かで
もめた日本というのが、かなり「小さい器」で考えていることがわかる。

それにしても、
こうした、伝説となった一大プロジェクトに、リアルタイムで出会えたことは、
本当に嬉しいことである。

ちなみに、YOUTUBEの「こんな事もあろうかと思って用意しておいたんだ」が、
「はやぶさ」の七転び八起きぶりを見事に伝えてくれて楽しい。



【目次】
第1章 日本独自のプロジェクトを目指して―多くの人々に支えられた「はやぶさ」
第2章 プロジェクト遂行のための心構え―「はやぶさ」の奇跡はいかにして起きたか?
特別対談 「あきらめない」粘りと「とらわれない」独創性が未来を拓く(川口淳一郎×西浦みどり)
第3章 「はやぶさ」に込められた日本が世界に誇る技術―創意工夫が生んだ探査機
第4章 「はやぶさ」飛行の経緯から見る新事実―プロジェクトマネージャーの評価
第5章 宇宙開発の未来像を描く―「太陽系大航海時代」の夢へ向かって


【メモ】
p103
「ただし、誤解されると困るのは「根性」や「気合い」で物事が解決することはない、ということです。ただやみくもに「努力が足りない」などと精神論をふりかざしたところで問題の解決策など見つかりはしません。」

p209
「はやぶさ」は、地球と小惑星などに着陸し、太陽系天体間を往復できる技術を証明するために飛ばした。
その技術が「我々の手の届く範囲にある」ことを示すという「技術の証明」が目的であり、
イトカワ粒子という「科学の成果」を手にできたのはおまけのようなもの。

p216
H20 宇宙基本法が策定された。この法律では、国民生活の向上等に資するように、という言い方をしている。
しかし、宇宙開発を支える一番大き柱は「我々人類の行動範囲、活動範囲、到達範囲を広げていくこと」であり、そうした技術があって初めて「科学」や「利用」が始まる。

p219
最初から利用が目的となっていると、すでに到達した範囲が対象となる。
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category: 技術

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鳥・人・自然 いのちのにぎわいを求めて  

鳥・人・自然
樋口 広芳



野鳥の識別は、始まりである。
以前はここから、どれだけの種を見たか、という方向へ進む人が多かったが、
最近はデジタル光学機器が普及したので、多くの人が撮影種数の増加を求めているようだ。

しかし、いずれにしても種数の増加である。
もったいない。

野鳥は我々人間にもっとも身近なところに住む野生生物であり、
かつ多くは昼行性であり、
さらに人間と同じく見た目と音でコミュニケーションをとる。

言い換えれば、最も人間が見やすく、情報が得やすい野生動物なのだ。

そのくせ、哺乳類とは全く異なる形態・生態。

知れば知る程不思議な生き物である。
それを、種名だけ覚えておしまいとは、もったいない話である。
ぜひ、様々な調査・研究結果を読むことをお勧めしたい。
そうすると、目の前の野鳥が、「被写体」から「生き物」に変わるはずだ。

さて、そうした調査・研究結果には様々な良書があるが、
本書は日本を代表する野鳥研究者の一人でもある、樋口広芳氏による、
樋口氏の研究結果の入門書というか、ガイダンスである。

樋口氏は現在は慶應義塾大学大学院に勤務されているが、
2012年に東京大学を退官されている。
その最終講義を踏まえて、それまでの研究生活や研究結果についてまとめたのが本書である。
樋口氏の研究のアウトラインを知ることができるとともに、
巻末に収録された参考文献によって、より深く進んでいくこともできる。

また、第一線の鳥類研究者の状況を知る、という点でも、学生には興味深い一冊となるだろう。

さて、様々なトピックが掲載されているが、何といってもリアルタイムで面白いのは
渡るワシタカ類・ハチクマの衛星追跡結果である。

2012年の秋の渡りからインターネットで公開されており、
「HACHIKUMA Project 2012」http://hachi.sfc.keio.ac.jp/
4羽のハチクマの移動状況が具体的にわかる。

図鑑や書物、また国内での観察などで、鳥類が海外まで渡っていることはもちろん理解しているが、
こうして地球儀レベルの移動を細かくリアルタイムで見ると、
やはり驚かされる。
また同時に、無事通過できているだろうか、という心配も発生する。

こうした驚き・不安を4羽のハチクマから感じること、
それはこの4羽が通過する国々の人々も、同じように感じている。

p179
「同じ鳥たちの渡りの様子を異なる国や地域の人たちが見る。ちょっと不思議で、なんともうれしいことである。」
p180
「渡り鳥は、ほんとうに異なる国や地域の人たちをつないでくれている。」

こうした思いを共有できること。幸せなことである。

ぜひ、本書を紐解くか、
上記ホームページを一度ご確認いただきたい。




【目次】
はじめに
第1部 鳥との一期一会
第1章 日々のくらしの中で
第2章 日本と世界の片隅で
第2部 鳥のくらしと人のくらし
第3章 人慣れスズメ、急増中―出現の記録とその背景
第4章 鳥たちの貯食
第5章 カラスと人の地域食文化
第6章 島の自然と生きものの世界―三宅島とのつき合い
第7章 放射能汚染が鳥類の生活に及ぼす影響―チェルノブイリ原発事故二五年後の鳥の世界
第3部 世界の自然をつなぐ渡り鳥
第8章 渡り鳥の衛星追跡
第9章 鳥の渡り衛星追跡公開プロジェクト
第4部 鳥・人・自然
第10章 これまでの研究生活を振り返って
第11章 若き日の「恩師」、エルンスト・マイヤー
第12章 日々のできごとの中の鳥や自然
おわりに

【メモ】
p42
カラ類の貯食:ヤマガラ、ヒガラ、コガラでは普通に見られるが、シジュウカラはしない。
ただし、他種が蓄えたものを盗むことはする。
カラス類の貯食:ハシブト、ハシボソともに貯食するが、ブトはボソが隠したものを盗むこともする。

p46
ハシボソガラスの貯食:長野・善光寺・後藤二花氏の調査
パン、ソーセージ、クルミなど様々なものを与えた場合、腐りやすいものは半数以上が隠したその日に食べられ、残りもじきに食べられた。クルミなどは10日以上、場合によっては2カ月も保存された。腐りやすいものとそうでないものを識別している。

p47
ヤマガラ:エゴノキの実などを食べる際、外側の柔らかい果皮を取り除き、種子を取り出す。
これによって、貯食された際の発芽率が上昇していると考えられる。
実験的に果皮を除いた種子:発芽率36%、果皮を待越した種子:発芽率4%
またヤマガラが貯食するのは、種子が乾きにくく、他の植物があまり生えていない崖などの急斜面。これも発芽に適した場所。

p53
ハシブトガラスはビワが好き
6月、東京、ビワの実が熟すと多くのハシブトが集まる。
中の種子は吐き出す。=種子散布に役立っている。
p55
西日本、特に瀬戸内海の島々では、栽培されたビワがカラスによって種子散布され、野生化しているところが多いらしい。

p64
千葉県松戸市のカラス:石鹸を持ち去り、齧る。
ある幼稚園では3-5週間で、屋外の洗面所から60個が盗まれた。
隠した石鹸は貯食されていた。牛脂、ヤシ油、オリーブ油などの動植物油脂から作られるため、この油脂分を好んで食べているらしい。
石鹸齧りは他に、東京、神奈川などでも観察されている。

京都市の神社:ハシブトがロウソクをかじる。火が付いたものでも齧り取る。

p72
カラスの食文化では、環境条件が整っているすべての地域で同じ食文化が見られるわけではない。
クルミ割り行動にしても、能力や関心をもつ個体がいる地域で初めて発達するらしい。

p74
高いところから物を落とす行動:ハシボソしかしない。
食性はかなり重複するが、ブト:より肉食で、草の実よりも木の実を好む。

p78
仙台市でのクルミ割り行動:17地点で見られたが、最も古い記録は、1975頃に花壇自動車学校で見られた。
以降、ここを中心に同心円状に拡大している。
30-40年前には自動車学校周辺にクルミの木があったらしいことから、
まずここで落ちたクルミを割る自動車の関係に気づき、それを利用する個体が生じたと考えられる。

p87
本土のヤマガラ:6,7個の卵/2週間程度の育雛
三宅島のヤマガラ:3,4個の卵/6-8週間程度の育雛

三宅島は1年中温暖なので、冬に死亡する鳥が少ない一方、春になっても昆虫が多く発生しない。
よって少なく生み、大事に育てる方向に発達したと考えられる。

p106
チェルノブイリの高濃度汚染地域でのツバメ:
血液や肝臓中のカロチノイドやビタミンA、ビタミンEといった抗酸化物質が減少。
抗酸化物質の減少=雄の精子異常や部分白化などの原因。
部分白化個体:10-15%の増。
部分白化個体=つがい形成率が低い。

また、
白血球数、免疫グロブリン量の減少、脾臓容積の減少も見られる。
=免疫機能の低下。

また、一腹卵数や孵化率も減少。

p108
特に、土壌中の無脊椎動物を主食にしている鳥の減少が著しい。
また57種を調べた結果では、
長距離の渡り・分散をする種、大卵多産の種、カロテノイドによる羽色を持つ種などで減少が著しい。

これらの鳥は、移動、卵生産、色素形成などに大量の抗酸化物質を消費するため。


p120
太陽電池式のアルゴス・GPS送信機でも、市販の最軽量のものは20g程度ある。
小型~中型のシギやタカ類などにはまだ装着できない。

p121
マガモの衛星追跡の結果図を掲載。
p123
オナガガモの衛星追跡の結果図を掲載。

p133
ハチクマの春・秋の追跡結果(2003-2009)を掲載。

p140-
鳥の渡り衛星追跡公開プロジェクトの紹介




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category: 野鳥

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BIRDER (バーダー) 2013年 07月号 この夏こそ! 島でバードウォッチング  

BIRDER (バーダー) 2013年 07月号 この夏こそ! 島でバードウォッチング



ああ島に行きたい。
鳥見がメインで行った島といえば、舳倉島、石垣島、与那国島。
よく考えればどの島でも天候には恵まれなかった。
舳倉島は雷雨の時もあったし、
石垣・与那国は大雨もあった。
それでも、やはり一日中島をめぐって、野鳥を探すのはとても楽しい。

今回は、そんな島を特集。ある程度の鳥屋なら行きたいと願っている島々について、
簡単な紹介と、アクセス、鳥見に適した時期などのデータを掲載している。ただ多くは1つの島について1ページなので、これだけで情報が十分とはいえない。
本気で行くなら、まだまだ多くの情報が必要だろう。
それでも、島々に思いを馳せるには十分である。

ただ昔から、島という狭い空間では、マナーや鳥屋と写真屋の軋轢など、あまり楽しくない話題が多かった。
それでも島まで行く人間の多くは、ある程度野鳥に詳しいのでそれなりに話は通じるところがあったのだが、
最近はとても皆気軽に出かける。
悪いことではないが、そのためかなり様々な噂も聞く。
それだけのストレスを覚悟してまで、舳倉島クラスの小さい島で鳥見がしたいかと問われれば、
正直なところ僕は行きたくない。

これから島に行こうと思っている方々は、本特集でも何度も語られているが、
地元の人にも嫌がられないマナーを守っていただきたいと願う。


さて、あと気になったのはYoung Gunsの野鳥ラボ。
この連載はとても興味深くおっかけているが、今回は[非生殖羽のシラサギ類の識別]。
具体的には、
・ダイサギ亜種
・ダイサギ亜種チュウダイサギとチュウサギの識別
・アマサギ幼鳥とコサギの識別
・カラシラサギとコサギ、クロサギ白色型の識別
である。
うーん、確かに非繁殖時期のシラサギ類は難しい場合もあるけれど、
実際はここまで細かいポイントをチェックするまでもなく、識別可能なんじゃないかな、と思う。
まあ、識別の「詰め」としては必要な知識かな。

ただ、亜種ダイサギについて、
まず
・亜種ダイサギ    跗蹠(ふしょ)の後縁部が白色で、アオサギと同大
・亜種チュウダイサギ 跗蹠(ふしょ)全体が黒く、アオサギより小さい
という識別点を挙げたうえで、

「亜種ダイサギと考えられるアオサギより大きく見える個体にも、跗蹠(ふしょ)全体が黒いものはいるようだ」
として、どうも
アオサギよりも大きく見える
→亜種ダイサギと思われる
→その個体の跗蹠(ふしょ)全体が黒い
→跗蹠(ふしょ)の色は決め手にならない
と展開しているようだ。

しかし、アオサギだって性・齢・個体差によってサイズは変わる。
比較対象が絶対値でない以上、アオサギよりも大きく見えるという特徴は、
参考条件でしかないだろう。

跗蹠(ふしょ)の色という明瞭に異なる外部形態がある以上、そちらが検討条件としては優位なはずで、
これ、単に亜種チュウダイサギの可能性の方が高いのではないだろうか。

少なくとも、こうした事例をベースに、跗蹠(ふしょ)の色という形態差の特徴を否定するのは、
かなり危険だろう。
少なくとも僕は、野鳥の識別ではサイズは決め手としていない。

また、そう考えると、
「筆者は2011年7月に茨城県のコロニー内で亜種ダイサギと考えられる個体を観察している。」
という記述もちょっとそのまま受け取れない。
これは跗蹠(ふしょ)の色で亜種ダイサギと考えたのか、
それてもサイズで亜種ダイサギと考えたのだろうか。
ちょっとこの記事だけでは、筆者の主張の根拠がよくわからない。

僕は、夏季に亜種ダイサギがいる可能性はあると思うし、
今後繁殖する可能性も否定しない。
また、跗蹠(ふしょ)の色にも個体差はあるかもしれない。

しかしそれほどの主張をするなら、もっと多くの資料写真や丁寧な検討が必要だろう。
少なくとも、「Young Guns」という匿名記事において
あまり安易かつ簡単に、既存の識別点を否定する記述をするのは無責任ではないかなと感じた。


本記事を読んだ初心者は、亜種ダイサギの識別を跗蹠(ふしょ)の色よりも大きさを重視するだろう。
そうすると、
アオサギよりも「大きそうな」跗蹠(ふしょ)の黒いダイサギは、全て亜種ダイサギとされかねない。
結局、今後の記録が混乱するだけである。
それはYoung Gunsも望んでいないだろう。

【目次】
[特集]この夏こそ!島でバードウォッチング
・「島の鳥」ってどんな鳥?  文・写真●高木昌興
・島の「鳥見計画」の立てかた  文・写真●田仲謙介

【北海道の島】
・利尻島(北海道) 文・写真●小杉和樹
・礼文島(北海道) 文・写真●宮本誠一郎
・天売島・焼尻島(北海道) 文・写真●寺沢孝毅

【日本海の島】
・飛島(山形県) 文・写真●簗川堅治
・粟島(新潟県) 文・写真●斉藤一也
・佐渡島(新潟県) 文・写真●中津 弘
・舳倉島(石川県) 文・写真●♪鳥くん
・見島(山口県) 文・写真●久下直哉

【九州の島】
・対馬(長崎県) 文・写真●川口 誠
・福江島(長崎県) 文・写真●出口敏也

【南西諸島】
・屋久島(鹿児島県) 文・写真●尾上和久
・平島(鹿児島県) 文・写真●所崎 聡
・奄美群島(鹿児島県) 文・写真●鳥飼久裕
・沖縄島と周辺の島々(沖縄県) 文・写真●嵩原建二
・大東諸島(沖縄県) 文・写真●嵩原建二
・宮古島(沖縄県) 文・写真●本若博次
・石垣島(沖縄県) 文・写真●本若博次
・西表島(沖縄県) 文・写真●本若博次
・与那国島(沖縄県) 文・写真●本若博次

【伊豆・小笠原の島】
・三宅島(東京都) 文・写真●江崎逸郎
・八丈島(東京都) 文・写真●高須英之
・父島・母島(東京都) 文・写真●栄村奈緒子
・島旅が3倍楽しくなる!航路探鳥のススメ  文・写真●石田光史

【番外:近郊の島】
・江の島・城ヶ島(神奈川県) 文・写真●志賀 眞

【海外の島
・バリ島・ランカウイ島  文・写真●園部浩一郎


・BIRDER Graphics[立山室堂のライチョウたち] 文・写真●戸塚 学
・Field Report[爽やかな5月の風に吹かれて] イラスト●水谷高英
・Young Gunsの野鳥ラボ[非生殖羽のシラサギ類の識別] 構成●Young Guns
・鳥の形態学ノート[オオコノハズク耳] イラスト・文●川口 敏
・Bird Tracking[センダイムシクイ] イラスト●赤勘兵衛
・ぶらり・鳥見 散歩道[干拓地にコシジロウズラシギがやってきた!(新潟県新潟市)] 文・写真●♪鳥くん
・野鳥圖譜[シロガシラ] 画・文●佐野裕彦
・どこでもバードウォッチング[里山(実践編)] 文・写真・イラスト●神戸宇孝
・伝説の翼[迦陵頻伽(karyoubinga)] 画●長島 充 文●斉藤ヒロコ
・唐沢流・自然観察の愉しみ方[白山山麓の限界集落を巡る] 文・写真●唐沢孝一
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category: 野鳥

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イラストで読む レオナルド・ダ・ヴィンチ  

イラストで読む レオナルド・ダ・ヴィンチ
杉全 美帆子




少年時代のヒーローの一人は、レオナルド・ダ・ヴィンチだった。
万能の天才。
膨大な手記。
解剖学などの知識。
モナ・リザなどの美術的影響はともかく、
ダ・ヴィンチが遺した直接的な影響は少ないかもしれない。
しかし、ダ・ヴィンチの存在は、少なくとも一人の人間の能力について、
限りない可能性があるというロマンをかきたててくれることは間違いない。

そんな天才を、
ものすごく軽くあっさりと描いたのが本書である。

表紙に淡泊なイラストがあるが、こんなダ・ヴィンチが活躍する。
とはいえ、その経歴、事績については最新の知見が盛り込まれており、
また全ページがカラーであるため、収録された各種作品も楽しめる。

なんと言っても、ダ・ヴィンチに尽くした弟子フランチェスコ・メルツィが、
このイラストのタッチに非常にマッチしており、
それだけでも一読の価値があるだろう。


【目次】
第1章 レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯
 少年・レオナルド
 青年・レオナルド
 壮年・レオナルド
 晩年・レオナルド
第2章 レオナルド・ダ・ヴィンチの仕事
 主要絵画作品
 レオナルドの素描
 レオナルドの様々な仕事
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category: 歴史

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聖☆おにいさん  

聖☆おにいさん
中村 光




休暇を日本/東京/立川で過ごす、ブッダとイエス。
なぜか二人とも若くて、仲が良い。
まあそういう前提条件はすっ飛ばして、そのシチュエーションを楽しむ漫画。
映画にもなってしまった。

宗教を笑うのではなく、宗教を身近に感じながら笑う。
下品なネタがあるわけでもなく、誰かを見下して笑うのでもない。

とても気持ちの良い笑いが楽しめる、昨今稀な漫画である。
ある程度の宗教的知識、というか偉人伝的なエピソードを知っている方が、より楽しめるだろう。

僕は全巻購入することに決定した。

それにしても、ブッダとイエスが対等に仲良く過ごすというシチュエーションで漫画を描け、
それを出版でき、
それを楽しめる国とは、世界でも日本くらいではないのか。

貧困問題や原発問題など様々な問題があるが、
世界的に見れば、日本は驚くほど幸せで、たぶん精神的には世界一自由な国だろう。

その幸せを、噛みしめながら読んでいる。
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category: 漫画

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今週のまとめ(先週までのまとめ)  

先週末の日曜日は野鳥観察会。
お目当てのシギ・チドリ類はさっぱりでしたが、
久しぶりにコアジサシの営巣風景や、
トビにちょっかいを出すハシボソガラスなど、
久しぶりに野鳥の生活を身近に感じることができました。

写真は、魚を拾ったトビを攻撃するハシボソガラス。
トビがつらそう…。
トビへのモビング

それにしても、暑い日でした。

さて、先週末のまとめ。
恐竜絶滅 ほ乳類の戦い」と「NHKスペシャル日本列島 奇跡の大自然」は、 
進化の歴史を落ち着いて楽しめるものでした。
進化史に興味があれば、読んで損はないでしょう。
特に、「日本列島 奇跡の大自然」のように、日本に焦点をあてたものはそう多くはありません。

また、フィールド観察がしたくなるのが
ファーブルが観た夢 地球生命の不思議な迷宮」。
地味に、良書です。生き物好きの方で、
観察記関係が好きな方ならツボにハマると思います。

繭 ハンドブック」は、そういう観察派の方なら、
持っておくと便利な一冊。


恐竜絶滅 ほ乳類の戦い

NHKスペシャル 日本列島 奇跡の大自然

文化遺産の眠る海 水中考古学入門

家電批評 2013年 07月号

ファーブルが観た夢 地球生命の不思議な迷宮

繭 ハンドブック

SF作家 瀬名秀明が説く! さあ今から未来についてはなそう




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category: 雑記:今週のまとめ

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SF作家 瀬名秀明が説く!  さあ今から未来についてはなそう  

SF作家 瀬名秀明が説く! さあ今から未来についてはなそう
瀬名 秀明



「パラサイト・イブ」の瀬名英明氏による、いくつかの講演を踏まえた随筆である。

他書では見たことがない枠組み(例えば宇宙的な文明の発達段階を、エネルギーの消費量にそってランクづけしたものなど)を踏まえた考察などもあり、興味深い。

ただ、
SFにおける未来設定や現在の先端科学を踏まえて未来を語っているのか、
現在の先端科学や未来予測を踏まえてSFのパターンを語っているのか、よくわからなくなる時がある。

どうしても元が講演のためか、何が各章の焦点なのかが掴みにくく、ただ瀬名氏の発想の転換を追いかけていくだけのような感じである。タイトルにひかれたが、うーん、消化不足である。本書のせいか、僕の相性が悪かったのかはわからない。


【目次】
はじめに
序章 未来を考えるとはどういうことか
第1章 エネルギーをかっぱらってこい!
第2章 ロボットと人間の違いってなに?
第3章 空から地球文明とSFを眺めて
おわりに

【メモ】
p67 ピーター・D・ウォード「恐竜はなぜ鳥類に進化したか」
鳥類が生まれたのは、酸素が大気中に少なくなったので、その少ない酸素からどうやってエネルギーを引き出すか、ということが進化の引き金になった、という仮説を立てている
(→「恐竜絶滅 哺乳類の戦い」では、実際は実際は恐竜が先に気嚢を持ち、鳥に受け継がれたとしているが?)

(瀬名氏)
「実際、鳥のミトコンドリアは、エネルギー変換効率が高くなっている。おもしろいことに、人間でも鳥型のミトコンドリアDNAを持っている人がいて、そういう人たちはエネルギー変換効率が高い。」
(→この点 もっと詳細が知りたい)

p86
空想・現実を問わず、ロボットは3種類に分けることができる。
・人間や社会にとって役に立つロボット。
・人間を楽しませてくれるロボット。
・人間そのものを理解するためにつくられるロボット。

p176
2009年の新型インフルエンザ
日本は採取的に死者数を200人ほどに抑えていた。これは他の先進諸国と比べて劇的に低い。
2010年3月時点の人口10万人に対する死亡者数は、
日本 0.15
イギリス 0.76
オーストラリア 0.93
メキシコ 1.05
カナダ 1.32
アメリカ 3.96
(→確認していないが、各国がいつ感染国になったかや、感染期間、感染時期の季節等々あり、一概に日本のみ良かったとは言えないのではないか?)

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category: エッセイ

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繭 ハンドブック  

繭 ハンドブック
三田村 敏正



フィールドにいると、時折繭を見つけることがある。
また、庭先でも繭っぽいものを見かける。
名前を調べようと思うのだが、多くは多分 蛾の仲間であり、
そうするとそんなに良い図鑑がない。

また一般の昆虫図鑑では、繭の写真はメジャーなものだけであり、
良く見かける地味なものは収録されていない。

こういうマイナーな分野こそ、文一総合出版の得意とするところである。

本書は繭をことごとく収録。文一のフィールドガイドシリーズとして、
野外へ持ち出せる体裁となっている。

いろんな生き物について知りたい、というタイプには、うってつけの一冊である。

また、繭の中には幼虫の毒針毛がついているものもある。
どれを触ってよく、どれに注意しなければならないか。

野山に近くて、子供がそこで遊ぶことを認めている家庭やキャンプによく出かける家庭の保護者なら、持っておいて損はない。
また山間部の幼稚園・保育所などでは、一冊常備しておいてほしいと思う。

繭があったとき、知識なく「触るな」というよりも、
繭にも毒針毛がついている可能性があること、
そのうえで触ってよい繭、触ってはいけない繭を教え、
それらが羽化するとどんな昆虫になるかという、正しい知識を伝えていただきたいと願う。


【目次】
繭とは
用語解説
本書の使い方
原寸大繭一覧
■チョウ目
ヤママユガ科
カイコガ科
カレハガ科
オビガ科
ドクガ科
ヒトリガ科
コブガ科
ヤガ科
ミノガ科
ヒロズコガ科
ハモグリガ科
アトヒゲコガ科
コナガ科
マダラガ科
セミヤドリガ科
イラガ科
メイガ科
アゲハモドキ科
シャチホコガ科
アゲハチョウ科
■ハチ目
コマユバチ科
ヒメバチ科
ハバチ科
アリ科
■コウチュウ目
ハムシ科
ゾウムシ科
■アミメカゲロウ目
ウスバカゲロウ科
クサカゲロウ科
■繭らしきもの
・クモの卵のう
・昆虫の卵のう
■世界の繭

【メモ】
p17
クスサンとヒメヤママユ 似ているけど違う

p37 ホシカレハ 繭に毒あり(茶色の繭に、幼虫の黒い毒針毛がついている)

p81
イラガに似た繭で、木の幹などに集まってくっついている平べったい繭
ヒロヘリアオイラガ
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ファーブルが観た夢 地球生命の不思議な迷宮  

ファーブルが観た夢 地球生命の不思議な迷宮
森 昭彦



ファーブルは、日本では「昆虫記」の作者として有名だが、祖国フランスではそれほど知られていないらしい。生家を訪れるのも日本人が多い、というのを何かで読んだ覚えがある。

どうして日本でファーブルが親しまれているか、僕にはまだよく分からない。

もしかしたら、日本は特に昆虫が多いため、じっくり調べなければその昆虫の種はもとより、生態等がわからない。そこで昆虫愛好者は自ずと地道な学究肌となる。
その結果、地道に観察を重ね、見たもののみを材料として考察していくというファーブルのストイックさに親近感を抱くのではないだろうか。

タイトルからも推測できるように、著者のスタンスも、ファーブルがある。
身近な庭園において、ファーブルが追った昆虫(同種ではないが、同科や同属など)を自らの眼で観察する。
そしてファーブルの苦労や感動に思いを馳せるとともに、昆虫の不思議な営みを見つけていく。

取り上げる種はジガバチ、ヤママユ、オトシブミ、センチコガネ、トックリバチ。
ヤママユ以外は、頑張れば郊外で出会うことも可能だろう。またジガバチやトックリバチは公園や庭でも出会うかもしない、かなり身近な昆虫である。

しかしこれらが、とてつもなく興味深い生態を持っていることを、著者はファーブルのように長時間の地道な観察体験をもとに紹介してくれる。おかげでもし今度これらの昆虫に出会ったら、これを見る目は確実に変わるだろうし、その時の昆虫の行動に対して、様々な推測を抱き、感じることも多いと思う。

本そのものも、つくりは丁寧であり(全ページがカラー)、文章は個性とウイットに富む。しかし鼻につくようなものではなく、軽やかに楽しめる。読んでいて気持ちが良い。

思いがけない良書であり、生き物好きにとっては、とても楽しめる一冊だろう。

我が家の庭でもジガバチを見かけたことがあるし、トックリバチの巣も、いろいろな場所で出会った記憶がある。だがこれまで、その不思議さや驚くべき生態を楽しむことはできていなかった。

本書のおかげで、次の出会いが楽しみになった。


【目次】
序章 生命と叡智の起源
第一章 本能の美しき迷宮-ジガバチ
第二章 夏の夜のシルクロード-ヤママユ
第三章 ちいさな揺りかごのつくり方-オトシブミ
第四章 豊穣の聖域「王家の谷」へ-センチコガネ
第五章 ツボをこさえて幾千万年-トックリバチ

【メモ】
p47
ジガバチ 地面に穴を掘り、産卵する。
最初に穴を準備するが、その入り口を埋め戻し(適当に土をかけるのではなく、大きな石の粒を入れ、隙間を小さな粒で埋める)た際に、最後に表面に目印となるものを使う。枯葉の切れ端、枯れ枝などを使うが、筆者は1度だけサファイア色の花がらを集めてきた物がいた。ハチによって好みや発想の柔軟さがある。

p60
ジガバチは地上を歩いて、イモムシの糞を探し、そこから獲物を見つける。
イモムシは糞をするとき、葉の端まで行って行うか、失敗しても口で運んで投げ捨てる。糞によって天敵に見つからないよう発達した行動だが、ジガバチはこれを利用している。

p72
ジガバチに寄生するヤドリニクバエ
卵胎生であり、ジガバチの巣の中に産み落とす。

p83
獲物を運んでいる道中に、獲物を取り去る→取り戻そうと周囲を飛び回るが、獲物を視界から隠すと諦めて飛び去る。
獲物を飼ってから、戻ってきたら巣穴が壊されていた場合
行動は、「巣穴を掘る→獲物を捕る→巣穴に戻って獲物を入れる」という順番になっている。
巣穴があるべき様々な場所を探す。筆者が観察したのは2時間48分探していた。
この時点での混乱は、修正不可能。

なお、同様に巣穴に獲物を入れるベッコウバチの一種は、獲物を狩ってから巣穴を掘る。
獲物を奪われる危険は高まるが、こうした致命的な混乱は起こらない。

p88
昆虫の20%以上はボルバキア細菌と共生しており、
共生微生物による生殖操作が存在する。
キチョウの幼虫に抗生物質を含んだ餌を与えて共生しているボルバキア細菌の活動を阻害し、感染個体を通常の1/10程度まで減らしたところ、多くが羽化できないか、羽化しても異常が生じた。
特に、外見で雌雄を識別する性標が失われたり、生殖器の雌雄の特徴が混合した「間性」が多発した。

p96
日本:昆虫だけでも3万種、その1/5(約6000種)が蛾。蝶は約250種。

p100
ヤママユ:野蚕
緑色の繭、最高品位の絹
ただし飼育から機織技術まで一貫してもっているのは日本だけ、全てを一か所で行えるのは長野県安曇野のみ(法令で保護されている)。

p110
バーティシリウム・レカニ(昆虫病原糸状菌)
高温多湿な森では、95%以上が感染していることがある

p114
繭の形成
最初は太く、ざらついているが、内側に使う糸は艶やかで柔らかい。
人間が天蚕糸を取るときも、外側は除かれ、内側の糸が集められる。
ヤママユの繭紡ぎは、三日三晩も続く。

最後に、シュウ酸石灰(たいていの植物に含まれている、ヒトの場合は尿路結石の原料)を含む尿を内壁に塗り、強度を高める。

p130
ヤママユの難しさ
長野県安曇野の有明地方では、飼育農家は8戸。平均年齢は70歳以上。
5万粒の卵→繭になるのは半分 年によれば30%
病気、ストレス、近年は猿害

p141
オトシブミ:ファーブルの近く3種のみ、日本は22種もいる

ゾウムシの仲間:約1億5千万年前に発生
世界には5700属3万種(推定20万種)、一つの科でこれほど分化したものはない
日本には1200種(推定2000種)

p180
ルリオトシブミの仲間:日本に6種、多くは地域限定や山地だが、カシルリオトシブミは平地で普通
1986も櫻井一彦氏と澤田佳久氏が別々に、ほぼ同時期に
・ルリオトシブミ属は糸状菌の胞子を運び、育てている
ことを報告。
ex)カシルリオトシブミ
 4月中旬に現れ、カシやコナラ、5月の最盛期には道端のイタドリにも
 ゆりかごは小さく、巻いたり巻かなかったり
 作成時、雌は葉の水脈をかじるが、この時湿り気があるこの場所へ糸状菌を植え付ける。
 この糸状菌の胞子は、メスの後ろ脚の付け根にあるポケットで培養されている。

p187
オトシブミが卵から羽化するまでは約20日間。
これほど短いが、年間に発生する回数は限られている。
=
ライフサイクルが、オトシブミを作れる樹木の新芽が動く時期にあわせているため。

p203
オーストラリアにはもともと牛などの草食動物はいなかった。
そのためカンガルーなどの有袋類の糞を分解する昆虫はいたが、牛馬の糞を分解する昆虫がおらず、
開拓時に問題が発生した。

そこで海外からフンコロガシを導入・放飼した。
放飼した地域は牧草の収穫量が80%上昇した。
またアメリカでの実験では、フンコロガシを導入した地域は、牛馬・人を刺すノサシバエの発生が98.4%減少した。

フンコロガシ=センチコガネ

p227
センチコガネにはダニ(ヤドリダニ類、イトダニ類、ハエダニ類)がついている。
これらのダニはセンチコガネが糞につくと離れ、糞の中の線虫、トビムシなどの微小動物や昆虫の卵を食う。肉食。

よって、ノサシバエの減少は、これらのダニによる成果。

p256
ドロバチ=いくつかの本や、ファーブルは乾いた土でないといけないと記載
しかし実際は、湿っている土も運ぶ

p258
トックリバチの巣(トックリ)外壁は凸凹、内壁はツルツル。
土を運ぶ状況から考えも、外壁は明らかにわざと凸凹にしている。

p263
トックリバチの巣のツボの口の返し=アリなどの侵入を防ぐため
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category: 昆虫

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家電批評 2013年 07月号  

家電批評 2013年 07月号





今週は家族が次々と病気になり、なかなか本を読む時間-というか、気持ちの余裕がなかった。
そこで逃避して、久しぶりに家電批評を買った。
特に探している家電があったわけではない。ストレスからくる物欲を解消するための、代償行為である。

さて、「家電批評」は広告ナシ、中立・客観的なレビューを売りとした家電情報誌である。
だからといって、本誌の情報が間違いないかというと、そんなことはない。
ニーズがあっての家電であって、本誌でいくらお勧めであっても、
利用者にそこまでのニーズはない、という場合も多い。

ただ、本誌に掲載された情報を知っているのと知らないのとでは、
かなり選択眼が変わってくると思う。

そこでお勧めの使い方としては、買いたい家電があれば、それを取り上げた本誌か「MONOQLO」のバックナンバーを購入し、チェックするという方法。

ただ、本誌は主に最新家電を比較する特集部と、
特定カテゴリの家電を比較するサブ特集部に分かれており、
生活シーンを踏まえた比較はサブ特集に多いようだ。

だからAmazonその他で、目次情報をしっかりチェックして探していただきたい。


さて、今月号である。
特集は「ベストバイ ウラベストバイ」として、
ベストバイだけでなく、「ウラベストバイ」を紹介する、という切り口。
正直、「ウラベストバイ」って何なの、というトコロではある。
まあ1位と2位を紹介している、と考えて良い。

もう一つの特集はPCオーディオ。PCを使って高音質なオーディオ構築を、というものだが、
こういう層、ニーズって多いのだろうか。よくわからない。
特集もややマニアックで、一般人が「ちょっと良い音質」を求めるというのとは、方向性が異なる。

これからの季節を踏まえた記事としては、「エアコン&扇風機 実力検定」。
具体的な商品紹介はなく、ちょっと知っておくと良いかも、という
使い方・選び方の小ネタ集である。項目数は25個。

ひっそりと掲載されているが、将来的に利用価値があるのは「電動歯ブラシ」の比較。
電動歯ブラシは種類が多いが、ちょっとマイナーな存在だけに、
何をどう選べばよいのかわかりにくい。
その点で、役に立つ情報である。具体的な商品比較もあり、参考になる。


【主な目次】
【巻頭特集1】3キャリア最新モデル勢ぞろい!
◆2013スマホ夏モデル 最速ジャッジ!

【巻頭特集2】最新家電のホン値がわかる
◆新製品 辛口速報!

【特集1】2013上半期 本物のモノ選びが分かるベストバイスペシャル!
◆ベストバイ&ウラベストバイ

【特集2】オーディオ完全ガイド
◆PCオーディオ超入門

あなたの使い方は本当にあってる?
◆エアコン&扇風機 実力検定

【袋とじスペシャル企画】本誌だからできるぶった斬り企画
◆プロが本気でガッカリしたワーストバイ大公開 2013夏

電動歯ブラシ
◆高い理由&安い理由
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category: 情報誌

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文化遺産の眠る海 水中考古学入門  

文化遺産の眠る海 水中考古学入門
岩淵 聡文




クライブ・カッスラーに、「タイタニックを引き上げろ」というのがある。
この物語は映画にもなった。
以降に続くダーク・ピットシリーズは、水中に沈む歴史遺産をシリーズの柱、物語の発端として、である。
それを発見し、それにまつわる謎を解く。
その過程で世界的な陰謀に対峙するという、冒険小説の王道として、とても楽しいものである。

著者のクライブ・カッスラー自身、私費でそうした研究所を作っていたし、
水中考古学とは発見し、引き上げ、研究するものだと思っていた。

しかし、違う。

現在は「原位置保存」が原則であり、引き上げずにその場で研究すべきだ、ということになっているという。
さらにユネスコの「水中文化遺産保護条約」というものが存在し、
水中文化遺産の保全方法と研究方法のガイドラインも示されている。

まだ多くの大国は批准していないとはいえ、これが適用されると、
日本が水没した第二次世界大戦中の日本軍の艦船から遺骨を収集することができなくなる。
一方で、日本近海で外国起源の水中文化遺産が発見された場合、現在の体制では、その調査に日本が参加できないばかりか、当該地域での海底資源の探索がストップする可能性もあるという。

まだまだ水中考古学というジャンルはメジャーではないが、
おそらく10年後、20年後には、特に中国・韓国と、この分野での軋轢が生じるだろうことは、想像できる。

「水中考古学入門」というタイトルだから、発見の仕方、調査の仕方などの体験談と思っていたが、
全く違った。
ほとんどの日本人が知りもしない「水中考古学」という学問が、現在どのような状況にあるかという「入門」である。
そしてそれは、日本の国益に直結する問題であり、漫然と構えて良い問題ではない。

啓蒙、という言葉があるが、まさに本書は蒙を啓くものである。
願わくば、社会的に影響力のある層に届き、
しかるべき対応策が講じられることを願う。

でなければ、
例えば昨年も鎌倉時代の元寇の沈没船が発見されたが、
その海域で中国が調査するから日本人は近寄るな、という時代になりかねない。


【目次】
第1章 水中文化遺産と水中考古学
第2章 水中文化遺産は誰のもの?
第3章 水中考古学の方法
第4章 世界の水中考古学
第5章 日本の水中考古学

【メモ】
p34
11c頃 北欧のヴァイキングは北アメリカ大陸に到達していた。

新設:
明代の1405-1432年まで、数回にわたり大船団を率いて中国から東南アジア、中近東、アフリカを訪れた鄭和が、その分遣隊をアメリカ大陸やオーストラリアに派遣したとのことである。
→出典は? また方向も全く違うが?

p37
昔の船の構造はよくわかっていない。
遣唐使船の実態はわからないことだらけ。
全長30m弱、150人弱が乗り込む大船というのが定説だが、もう一回り小さいという説もある。

p45
世界各国は、海の文化遺産の問題に真剣に取り組んでいる。
「海洋法に関する国際連合条約」やユネスコの「水中文化遺産保護条約」が、水中文化遺産の保護を前面に打ち出し、さらに、その文化遺産の文化上、歴史上、考古学上の起源を有する国の権利を明文化したため。

もし海底資源の近くで水中文化遺産が発見されれば、水中文化遺産保護条約の義務によって、
その起源国に優先的権利が生じ、その海底資源探査は中止となる。さらに、起源国の意見を聞きながら調査しなければならない。

日本では水中文化遺産の専門家がいないため、他国(起源国)の水中考古学者が調査することになり、
その学者が調査に50年必要といえば50年間を与えなければならない。

こうした状況をふまえて、各国は水中考古学者の育成をしている。

p69
水没して100年以上たてば「水中文化遺産保護条約」の対象となる。
この条約では原位置保存が原則なので、
沈没船等の引き上げは、その理念に反する。


原位置保存が原則となったのは、潜水技術が進歩したため。
もし引き上げるとすれば、それをそのまま保存できるような大規模な施設が必要。

p76
「水中文化遺産保護条約」
2009年にユネスコ加盟国中20ヶ国の批准をもって発効した。条約の採択から8年後。
2011.8現在の批准国は36ヶ国で、承認国は4ヶ国。
大国としてはスペイン、イタリア、メキシコなど。
日本、韓国、ドイツ、カナダ、オーストラリアはもとより、国連の常任理事国で批准している国はない。
アジアではカンボジアだけ。
このままでは、アジアの中心はカンボジアになる。

先ほどの優先権利の問題もあり、なかなか批准しない。
ただし、韓国、知友語句、スリランカなどでは水中考古学研究所や博物館の整備が進んでおり、
将来の批准を見越した条件整備という見方もできる。

p81
日本、1996年に「海洋法に関する国際連合条約」に批准し、
2007年に「海洋基本法」を制定した。
しかしこの法律では、文化遺産は完全に抜けている。

p88
2045年問題
太平洋戦争中に沈んだ日本の軍艦などが、
「水中文化遺産保護条約」の対象となる。(水没後100年経過)
この対象になると、日本による遺骨収集も
原位置保存の原則に反し、
条約違反となる。

p167
中国はまだ「水中文化遺産保護条約」に批准していないが、海洋政策の中心の一つに水中文化遺産研究を打ち立て、自国の沈没船が存在する他国の領海についても一定の発言権を持つという立場を明確にしはじめている。

このままでは、日本の領海内にある中国起源の水中文化遺産の発掘は中国の水中考古学者が担当し、
日本はそれを見学するだけ、ということになりかねない。
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category: 歴史

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NHKスペシャル 日本列島 奇跡の大自然  

NHKスペシャル 日本列島 奇跡の大自然
NHKスペシャル「日本列島」プロジェクト



外来種の鳥に、ソウシチヨウというのがいる。
日本ではペットや動物園の展示のために移入されてきたが、
それらが逃げ出し、全国各地で繁殖している。
また香川県では他に、ハッカチョウという外来種も分布を広げている。

ただ、スズメだって農耕にあわせて移入してきたものだから、
「外来種」という括り方に対して、それが「いつの時代か」を問い、
そもそも全部外来種だ、と極論を言う人もいる。

そうではない。

外来種とは、「人間が直接関与する以外に、存在する必然性がない種」だ。
農耕という環境の改変によって侵入してきたもの。
また恐らく今後、温暖化によって侵入してくる南方種も多いだろう。
そういうものは、その侵入速度がどんなに早くても、それが入り込むニッチが生じた結果だから、
外来種ではない。

しかしソウシチョウやハッカチョウは、人間が持ち込まなければ、現在も存在していない。
入り込むべきニッチは生じていないからだ。

在来種とその環境は、ニッチという設計図に従い、
長い歴史によって組みあがった構築物のようなものだ。
無理やり柱(外来種)を入れことは、本来できない。

しかしそこに無理やり侵入するのだから、
在来種や在来の環境に対して影響を及ぼすのは当然だ、と言える。

さて、「恐竜絶滅 ほ乳類の戦い」のレビューで、
「この地球の歴史を見ると、ヒトが進化したのは奇跡的に様々な偶然が組み合わさった結果であり、
また他の生物も、その歴史の上に現在存在していることに気づかされる。」
と書いた。

本書ではその対象を日本列島の自然とし、次のように伝えたくなる。
「この地球の歴史を見ると、日本列島の自然が現在の多様性をもっているのは、
奇跡的に様々な偶然が組み合わさった結果であり、
また日本に存在する生物も、その歴史の上に現在存在していることに気づかされる。」

なぜ乾燥しやすい中緯度地方にあって、日本だけが多雨多湿なのか。
なぜ日本は温暖なのか。
なぜ日本の樹木は様々な樹種によって構成されているのか。
なぜ日本近海に魚が多いのか。
なぜ日本のサルは北限なのか。
なぜ日本に固有種が多いのか。

こうした様々な疑問に対して、的確にこたえることは難しい。
しかし本書によって、
「それは疑問は地形的な偶然と、氷河期を通じた歴史的な偶然のためだ」、と答えることができる。

例えば「雨の日は森へ -照葉樹林の奇怪な生き物-」(レビューはこちら)
でも触れられていたが、氷河期に照葉樹林が残ったレフュージアが存在したこと。
それがサルや、様々な固有種にも影響している。

再確認するが、日本に存在する生物は、全て歴史的な偶然によって構成された、必然的存在なのだ。

だからこそ、外来種は認められない。
また急速な人間活動による環境改変は、
その偶然の連鎖を断ち切ることになる。
だからバランスが崩れるのだ。

春には里山でウグイスがさえずる。
それが日本の春だったはずだ。
しかし現在、ソウシチョウの声が響く山が増加している。
僕らの次の世代も、春にウグイスの声を当たり前のものとして聞く権利はあるはずだ。


人間は、膨大に時間の積み重ねをカバーすることなどできない。
だから、
次の世代にこの日本の自然を残していくことを義務として、
あるべき自然を、あるがまま残していきたいと思う。

さて、本書は「恐竜絶滅 ほ乳類の戦い」(レビューはこちら)とともに、NHKの番組のノベライズ。
とは言っても、番組をふまえて「恐竜絶滅」が解説書としても十分な量を持っている一方、
本書は番組の雰囲気をそのまま本にしたような、見て楽しむ一冊ともなっている。

ただ章末には、番組で取り上げられたテーマの研究者による概説が収録されており、
単なるビジュアルを楽しむ本ではない。

読みやすく、日本の自然のかけがえのなさに気づかせてくれる、良い本である。

なお、DVD、ブルーレイもある。
NHKオンデマンド(http://www.nhk-ondemand.jp/)では、有料視聴も可能なようである
(「日本列島 奇跡の大自然」で検索)。


【目次】
第1章 森―大地をつつむ緑の物語
 ヒマラヤの雨が作った森
 山と海が守った紅葉
 激動の大地が生んだ固有種
 雪の森が呼んだ北限のサル
 日本人が生んだ「赤とんぼ」
第2章 海―豊かな命の物語
 海流が作り出す七色の海
 生きものたちを引き寄せる巨大な渦
 日本海を支える無名の魚
 はるか大陸から続く鉄の道
 温暖化と海

【メモ】
p18
日本の降水量は平均1800mm/年。同じ中緯度に多く存在する乾燥地帯の7倍以上。

偏西風
冬:ヒマラヤ・チベットが冷やされるため、南のインド亜大陸と大きな温度差が生じる。
偏西風は温度差の大きいヒマラヤの南を通る。
夏:乾燥したチベット高原の温度が上がるので、チベット高原とシベリアの間で温度差が生じる。
偏西風は温度差の大きいチベット高原の北を通る。

移動の途中、偏西風はヒマラヤで南北に分かれる。
この時、ヒマラヤの南を通る偏西風が、インド洋の水蒸気をたっぷり含んだ空気を含み、さらに太平洋に差し掛かった時にも水蒸気を含む。これが日本に梅雨をもたらす。

梅雨の時期に衛星画像を見ると、ヒマラヤから日本にかけて雲が連なっていることがある。

p31
紅葉
ふだんはクロロフィル(緑)とカロチノイド(黄色)がある
秋、クロロフィルは寒さで壊れる


秋、葉と枝の間に壁(離層)をつくり、葉に残されたでんぷんが分解されるとアントシアニン(赤)ができる種
→紅葉

アントシアニンができない種
→黄葉

p32
日本は樹木の種類が多い
ex)カエデ
日本:26種 ヤマモミジ、ウリハダカウデ、イタヤカエデなど
北米:13種 サトウカエデなど
ヨーロッパ:13種 ヨーロッパカエデなど

様々な樹種があるため、秋には紅葉・黄葉が入り乱れる
外国では単一種なので、単一の黄葉などになる

・なぜ日本に樹木の種類が多いか?
p38
氷河期、日本では落葉広葉樹は対馬海峡付近を除いたほぼ全域の海岸で生き延びた。
また地形が複雑なため、内陸にも残った部分があった。
これらが多様な樹種を生きのびさせた。

ヨーロッパ:氷河期、厚い氷河に覆われた

p46
日本は固有種が多い
哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類をあわせると
日本:131種
ガラパゴス諸島:110種
イギリス:0種

ガラパゴス…一度も大陸と繋がったことがない。よって、流木や飛んできたものが先祖種となったため、
そもそもの種が限られている

日本:ユーラシア大陸と地続きになったり離れたりした
   氷河期に落葉広葉樹林が残った
   最終的に島になった

ヨーロッパ:氷河期、厚い氷河に覆われた

p62
「厩ザル」馬や牛などの家畜の安全・健康祈願のため、ニホンザルの頭骨が祀られていることがある
長野、岡山、熊本などで約80例発見、かつては日本全国にあったと思われる

厩ザル含めて全国135箇所のニホンザルの遺伝子を調査した結果:
53のミトコンドリア遺伝子タイプ
関東以南:様々な遺伝子タイプ→歴史が古い
福島~下北半島:2箇所を除き、全て同じタイプ→東北地方は定着してから歴史が浅い

p69
化石を踏まえると、
氷河期終了後、わずか数千年でニホンザルは兵庫県あたりから下北半島まで拡大した

p70
日本へのニホンザルの祖先の侵入:約43-63万年前
南緯30-35度までしかサルはいないが、
ニホンザルは北緯40度を超える地域に住む

53タイプの詳細
・西日本と東日本の2グループに分かれる
 酒井は兵庫県と岡山県
 西日本の起源は古く、東日本は新しい
・東日本は多様性が少ない
・白神山地、津軽半島、下北半島に至る奥羽系のグループ
・北上山地の北上系のグループ→現在は岩手県南部の五葉山しか残っていない
 (京大霊長類研究所准教授川本芳)

p78
アキアカネが夏に山地に移動する理由:有力なのは避暑説
アキアカネの祖先は寒い地域に住み、氷河期に南下したため寒さに適応したトンボのため、
平地の夏は暑すぎるというもの。
また夏の山頂には虫が多い。
アキアカネは山に来て1カ月で、体重が2-3倍になる。

p87
日本のサンゴは世界北限。
日本でのサンゴ:約400種
世界最大のサンゴ礁、グレートバリアリーフに匹敵

サンゴの宝庫である赤道付近の海域を流れる暖流が、様々な種類のサンゴを運んできたため

p94
日本近海は温度差が激しく約20℃、世界でもほとんど例がない。
太平洋で比較すると、アラスカ-ハワイの温度差に相当する。

3万4000種にのぼる世界一多くの生き物が日本の海にすむ。

p110
日本海海底には、膨大な数のキュウリエソ(体長4-5cm)が生息している。
海底近くの水深250mは約1℃、他の海に比較してはるかに冷たい。
太平洋では3000mの深海に相当。

氷河期に日本海の水位が下がり、貧酸素となり、大多数の生物が死滅。
後に水位が上昇しても温度が低く、そこに進出できたのは
低温に強いキュウリソ。
これが爆発的に数を増やした。

キュウリエソは毎日、水深250m:水圧は25気圧のばしょから、浅海の3-4気圧の場所を
往復している。(日周鉛直移動)

これが浅海の魚の餌にもなっており、キュウリエソは日本海の食物網を支えている。


p124
太平洋-オホーツク海の鉄濃度を調査
日本の周りの海が、他の海に比べてはるかに鉄濃度が多い
鉄=植物プランクトンが増えるのに欠かせない

p128
アムール川流域の鉄が集められ、流れ出す
流氷は真水が凍るため、流氷の下からは塩分の濃い水が大量に排出される
これは重いため、潮の満ち引きなどによって、海底にたまった鉄とまじりあう
鉄を含んだ重い水は海底の地形にそって水深400mまで沈み、サハリンの東を流れる海流に沿って南下
島の間の水深が400mしかない千島列島によってさえぎられるが、
唯一、幅50km、水深2000mあるブッソル海峡を抜け、日本海まで南下する

p134
温暖化によって鉄を運ぶ海岸の鉛直循環が弱まりつつあり、
日本近海の植物プランクトンが減少する。

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category: 環境

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恐竜絶滅 ほ乳類の戦い  

恐竜絶滅 ほ乳類の戦い
NHK「恐竜」プロジェクト



恐竜が絶滅した原因は、隕石だろう。僕が子供の頃は仮説の一つだったが、年々これを補強する材料は得られても、否定する材料は出てこない。
ただ、隕石によってなぜ恐竜というグループ「のみ」絶滅し、哺乳類、一部の爬虫類、そして最近は恐竜の子孫ともされる鳥類などが生き残ったのか、という説明はまだまだ十分ではない。

隕石による被害が地球規模であれば、他のグループの生存確率も同様に低くなる。
しかし地球規模でなければ、恐竜は一部で残れたはずだ。

とすると、その災害は「地球規模」であり、哺乳類や爬虫類、鳥類は、その災害を生き残ることが可能となる「理由」を、その時点でもっていたということになる。

本書はその「理由」についてとりあげた、NHKスペシャル番組のノベライズである。

僕は番組は後編の途中からしか見ていなかったし、印象も薄かったのだが、
本書はかなり丁寧なつくりであり、十分楽しめた。
最新の学説入門としては、最適ではないだろうか。

さて、「理由」のポイントは、繁殖戦略と、潜在的な多様化の可能性である。
詳しく説明すると楽しみがなくなるのだが、
抱卵と胎盤という繁殖戦略によるメリット、まずこれがカギとなる。

その中で恐竜が消えた後、哺乳類VSワニ、哺乳類VS鳥類という構図が生じた。
この戦いは最終的に哺乳類の勝利となることは、現在の僕ら自身が良く知っている。

しかしその前に、有胎盤類VS有袋類という戦いがあった、という視点は全くなかった。
現在有袋類は、ほぼオーストラリアのみに生存するため、つい有胎盤類VS有袋類は戦いにもならず、
たまたま有胎盤類がいなかったオーストラリアのみ「古い生き物」である有袋類が生き残った、と考えがちだが、
実はオーストラリアにもかつては有胎盤類が存在し、かの地では有袋類が勝ったという。
また、南アメリカでの有胎盤類VS有袋類の戦いも、有胎盤類の楽勝とはいえ、
それは長い地質年代スケールの綾によって、たまたま有胎盤類の方が強く進化したに過ぎない。
もし大陸移動が異なるパターンだったら、この戦いの結果はどうなっていたかわからない。

ただ、それでもヒト的生物は、有袋類からは出現しなかっただろう、と本書では推測されている。

この地球の歴史を見ると、ヒトが進化したのは奇跡的に様々な偶然が組み合わさった結果であり、
また他の生物も、その歴史の上に現在存在していることに気づかされる。

「恐竜以後」はついつい見過ごされがちだが、
哺乳類とヒトにとっては、その時代の方が重要だったともいえる。
最新の進化史をオールカラーのビジュアルとともに楽しめる一冊だった。

なお、DVD、ブルーレイもある。
NHKオンデマンド(http://www.nhk-ondemand.jp/)では、有料視聴も可能なようである
(「恐竜絶滅」で検索)。




【目次】
◎プロローグ:ほ乳類の歴史、最大の分岐点 ◎第1章:恐竜大繁栄への道のり ◎第2章:恐竜vsほ乳類 それぞれの生き残り戦略 ◎第3章:巨大隕石衝突という大異変 ◎第4章:天下を賭けた三つ巴の争い ◎第5章:「ポスト恐竜」は、ほ乳類の手に ◎第6章:有胎盤類vs有袋類 激化するほ乳類戦争 ◎終 章:そして、人類誕生へ・・・

p30
火星と木星の間にある小惑星帯において、
約1億6000万年前、直径160kmの大型の小惑星に、直径60kmの小惑星が3km/secで衝突。直径1km以上の破片が約10万個以上発生した。それがバティスティーナ小惑星群。
このうちの一つが、恐竜の絶滅につながった隕石となった。

p38
恐竜の誕生は約2億3000万年前
哺乳類の誕生は約2億2000万年前
ほぼ同時期に誕生したが恐竜が反映したのは、それなりの理由がある

p44
スーパーサウルスなどの長い首=哺乳類型の呼吸では酸素不足となる
→鳥類と同じ気嚢を持っていた(実際は恐竜が先に気嚢を持ち、鳥に受け継がれた)

p54
哺乳類は恐竜が眠る「夜」にニッチを見出した
=優れた聴覚の発達
・小型であること =夜に得られる程度の食料で内温性を維持するためには、大きくなれない
・ずんぐりした体格 =熱放散を避ける
・体表の毛=熱を維持する

p60
熱帯のゾウ=逆に膨大な熱をためこむため、哺乳類には珍しく体表に毛がない

→大型の恐竜は、外温性でも熱をため込めた(慣性恒温性)の可能性がある

p62
中国で発見されたシノサウプテリクス、羽毛恐竜
体表に羽毛がある理由=哺乳類の毛と同じ、熱の維持 =内温性と考えられる
外温性なら、羽毛は熱の獲得に邪魔になるだけ

p72
トリボスフェニック型大臼歯
食べ物を切り刻んですり潰すことに適応した歯、これがあれば多少の例外はあるが、
哺乳類(有袋類、有胎盤類)
有胎盤類:上下ともに3つが基本
有袋類:上下ともに4つが基本

p84
爬虫類が抱卵しない理由:外温生物だから
自分が熱を発しないため、卵を温めることができない
→抱卵性の恐竜=内温性と考えられる
産みっぱなし から 抱卵への進化

p86
恐竜の抱卵=哺乳類の胎盤
・どちらも母親の体温で胎児を温めるのは同じ。
一方危機的な状況下では、卵を捨てるという選択肢のある抱卵の方が、
親の生存可能性は高まる

p126
ドイツ、メッセルという町のメッセル・ピット
オイルシェール(油母頁岩)の産地、約4700万年前の生物化石が産する
オイルで保護されているため、特に昆虫の構造色は当時の色がそのまま残っている
(構造色の構造だけでなく、それが機能して色を確認できる)

p140
4700万年前(メッセル・ピット)の哺乳類に対する脅威
・ガストルニス 巨大な鳥 全長2m
(ディアトリマと別種と思われていたが、ディアトリマと同じ。
ディアトリマよりもこの名が先につけられていたため、この名が正しい)

p156
もう一つの脅威:ワニ
パンゲアが分裂し、海岸線を中心に湿地帯のような地域が増加。そこに適応した。
最も古いワニは1億5千万年頃。
恐竜や哺乳類が繁殖革命(抱卵と胎盤)していく間、ワニは水辺に適応していった。

p159
7300年万前のワニ:ディノスクス
頭だけで1.8m、体長は15mに達したという。恐竜も捕食していた可能性がある。

p172
パンゲア超大陸:2億年以上前に会誌
ローレシア大陸とゴンドワナ大陸に分裂
ゴンドワナ大陸はアフリカ、インド亜大陸、南米、オーストラリア、南極に分裂
ローレシア大陸は北アメリカ、ヨーロッパ、アジアに分裂

ヨーロッパは5000万年くらい前に島大陸の集団になっており、
アジアが広大な大きさを維持し続けていた

→哺乳類にとって競争が激しく、分化も進んだ
アジアが北米と地続きになったり、ヨーロッパとつながった際に、アジア産哺乳類が各地の哺乳類を駆逐し、現在の哺乳類の祖先となった

p184
広葉樹が広がった今から3500万年前
まだ1年草の勢力は少なく、草はそれほど多くなかった。

p197
5500万年前のオーストラリアで、ティンガマラと名付けられた哺乳類の奥歯が発見された。
異論もあるが、有胎盤類と考えられる。
とすると、オーストラリアでは有胎盤類が侵入しなかったのではなく、
有胎盤類と有袋類が競争し、有袋類が勝ったということになる。

p200
オーストラリアで有袋類が競争し、有袋類が勝った理由(推測)
気候の変動が激しく、胎児を抱えた母親は、胎児ともども死ぬ可能性が高い。
有袋類では袋の中の子が死ぬだけで、母親は生き延びることができる。
=抱卵と同じ戦略

p211
有胎盤類:今から約1億2500万年前、アジアで、エオマイアと呼ばれるグループから進化
有袋類:全く同じ時期・場所で、シノデルフィスと呼ばれるグループから進化。
それぞれが別進化の歩みをたどったが、似たような動物が出現している
=収斂進化

p213
約6500万年前以降、南アメリカ大陸では、有袋類・有胎盤類が共存・競争していた。
ただし有胎盤類は草食か雑食、南アメリカの有袋類は肉食だった。
ex)剣のような歯を持つティラコスミルス

p226
しかし、350万年前から260万年前にかけて、パナマ陸橋によって南北アメリカが繋がり、
北アメリカで進化した剣のような歯を持つスミロドン(サーベルタイガー)なども南アメリカに進出。

北アメリカの有胎盤類が、南アメリカの有袋類を駆逐した。

p231
有胎盤類が進化した北半球では、アジア、ヨーロッパ、アメリカがくっついたり離れたりしていた。
そのたる競争相手や捕食者も多く、激しい競争を勝ち抜くために
有胎盤類は大型化し、強くなった。
また、脳の大きさも大きくなった。

p239
受粉を風に頼る裸子植物の場合:樹木の間隔は広く、枝も張らない。
 密集すると、風が通らなくなるため。
風が不要な被子植物:樹木の間隔は狭く、枝も張る

→枝と枝が近接し、樹冠という生活空間が発生
→樹冠で生息する霊長類が進化
 死角があっても良いので、立体視できる眼が発達
 対向する指で物をつかむ

p241
アマゾンの森林:密林を作る木が細いため、霊長類(新世界ザル)はマーモセットのように比較的小型。
アフリカとアジア:樹木が太いため、大型のグループが進化。
アフリカ:ゴリラ、チンパンジー
アジア:オランウータン

しかしアフリカの森林が乾燥化しやすく、森を離れざるをえなかった霊長類が生じ、
人類へ進化した。

人類は、脳が大きい有胎盤類の中でも、特に脳を大きくすることで生き残りを図った哺乳類。

p249
有袋類が世界を占めていたら
・胎児が袋まで移動する必要があるので、水生の有袋類(クジラなどに相当するもの)は生じなかっただろう。
・胎児が袋まで移動するためには手で掴む必要があるため、手がヒレ状の動物(アザラシ、コウモリなどに相当するもの)は生じなかっただろう。
・最初に退治が口で乳を咥えるため(有胎盤類は胎盤で接続)、頭の発達が早くしっかりと骨化する。そのため、脳が大型化する動物(ヒトに相当するもの)は生じなかっただろう。
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category: 哺乳類

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山本美香という生き方  

山本美香という生き方
山本美香 日本テレビ放送網




2013.5.26、シリアで殉職した山本美香氏の精神を引き継ぐための賞を創設した、との報道があった。
※例えば「山本美香さんの精神継ごう 賞創設で記念シンポ」(47NEWS)
http://www.47news.jp/CN/201305/CN2013052601001718.html

賞の母体は、一般財団法人山本美香記念財団http://www.mymf.or.jp/index.htmlである。


2012年8月20日に山本美香氏がシリアで亡くなった際、日本でもかなり報道があった。
今から思えば、その死を通じて、シリアの混乱ぶりをもっと肌で感じるべきでなかったのか。

その死から1年近くが経とうとしているが、依然としてシリアは内戦状態にある。
残念である、と簡単に書くのもためらわれる。
個人として、また国として何かできることはないかと、山本氏に問われている気がする。

本書は、山本美香氏のジャーナリストとしての在り方を振り返ったものだ。

第一賞、ジャーナリストとしての山本氏が、どのように創られていったのかを知る。
第二章は、まるまる山本美香氏の「中継されなかったバグダッド」が収録されている。山本氏の思い、問題意識を知ることができる。
第三章、バグダッドを踏まえた山本氏の決意を知る。
そして第四章で、山本氏を喪う。

醒めた見方をすれば、
あるカタゴリにおいて、先駆者が道半ばに倒れれば、そこに神話が生まれる。
ましてそれが、まだまだ現役の女性であったなら、なおさらだ。
賞の設立や、相次ぐ書物の刊行など、
美化しすぎではないか、祀り上げすぎではないか、と感じる部分もある。

しかし、こと山本氏に関しては、
神話となって語り継がれる必要があると思う。
いや、むしろ神話として利用してでも、その遺志は受け継がれなければならない。

なぜならば、
悲劇は今も世界中にあるが、
もう山本氏は伝えてくれないからだ。

であれば、これからは自力で知り、止めるように努力しなければならない。

5月30日、国連はシリア政府による人権侵害を強く非難する決議を採択した。
今後、平和的解決-とまで期待はしないが、少なくともこれ以上の犠牲がでない進展があることを願う。


【目次】
第一章 ジャーナリスト山本美香の誕生
 1996年アフガニスタン~2003年バグダッドまで
第二章 中継されなかったバグダッド
 2003年バグダッド
第三章 バトンを受け継ぐものたちへ
 2003年バグダッド以降
第四章 あの日のこと
 2012年シリアにて

【メモ】
p254
シリアについて
「戦場経験の長いジャーナリストたちと話したけど、みんながみんな口をそろえて言うのが、あそこは違った、ということ。何が違ったかというと、とにかく無差別さが違った」
「アサド政権は国民を巻き添えにして心中するもりじゃないか。為政者として常軌を逸している」
「最初からその状況を取材したかった、というよりは、シリアに行ってみて、そういう状況だとわかった。」佐藤和孝氏
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category: 戦争

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