ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

役に立つ植物の話―栽培植物学入門  

役に立つ植物の話―栽培植物学入門
石井 龍一



「岩波ジュニア新書」には、ジュニアのみに読ませるにはもったいない本が埋まっている。
本書もその一冊。
世界の栽培植物のうち、主なものについて、その栽培史を簡潔にまとめている。
野菜や産業植物はあまりに身近になりすぎて、少なくとも日本人には、
すでにその存在は空気のようになっていると思う。

しかし、その味わい、便利さを享受できるようになったのはここ数百年。
全ての栽培植物が高度に利用できるようになったのはつい最近であり、
本当に現在の日本人は、世界的・歴史的にみて恵まれたものだなと思う。

ところが、そういう栽培植物について、何をしっているか。
どこが原産で、どのような栽培上の制約があり、
どのような工夫によって現在の収量が確保されたのか、ということを、
全くといっていいほど知らない。

本書は個々の栽培植物について、そうした歴史をわかりやすく説明してくれる。
人間の工夫のうえに現在の「豊かさ」があることを、実感できるだろう。

そして、本書をよく読むと、その多くの「収量確保」がF1種によるものということに気づく。
F1種には子孫ができないため、その系統は独占的な企業秘密となっている。
もしそれが破綻すれば、日本の栽培植物はどのようになるのか。
その危惧について、わかりやすく説明しているのが
「タネが危ない」(※レビューはこちら)である。
本書を読むと、野口氏の危機感が改めて現実的なものとして迫ってくる。




一方、F1種の生産には雄性不稔種と、花粉媒介者としてのミツバチが必要な場合が多い。
そのミツバチ群が突然消滅してしまうCCDについて説明しているのが
「ハチはなぜ大量死したのか」(※レビューはこちら)である。
F1種を持続的に栽培する、という面でも、危機は迫っている。




こうした事情を踏まえると、本書が示している栽培植物史は、
現在危機的な状況に近づきつつある、とも言える。
私たちはどう行動していくか。それが今後の課題である。


さて、こうした栽培植物史の類書としては、
「文明を変えた植物たち―コロンブスが遺した種子」(※レビューはこちら)がある。


こちらの方が個々の章では詳しいが、本書にしか収録されていない栽培植物もある。
また、本書はジュニア新書といいつつ、
例えばC3植物とC4植物の話のところでは、
カルヴィン回路とハッチ・スラック回路それぞれの炭酸固定の図があったり、
栽培コムギの歴史をたどるのに、野生種の一倍体・二倍体のゲノムの組み合わせの話があったりと、こっちの方が詳しいものも多い。

どっちかを楽しめた方には、もう片方もお勧めしたい。



【目次】
第1章 野生植物を栽培植物にする -農耕の起源
第2章 緑の革命を起こした世界最大の作物 -パンコムギ
第3章 アジアの人口を支える湿生植物 -イネ
第4章 コロンブスの大発見 -トウモロコシ
第5章 アンデスから贈られた救荒作物 -ジャガイモ
第6章 土の中にまめがなる? -ラッカセイ
第7章 産業革命と南北戦争にかかわった作物 -ワタ
第8章 昔、ランプの明かりはこの油で -ナタネ
第9章 高い光合成能力で砂糖を作る -サトウキビ
第10章 緑茶と紅茶とウーロン茶 -チャ
第11章 自動車の発達とともに -ゴム
第12章 オオカミは来るか? -食糧生産の今後
おわりに


【メモ】
p6
野生植物→栽培化
・種子が落ちにくくなる(脱粒性が小さくなる)
・種子の休眠性が弱くなる

p15
ある作物の起源は特定の起源を持つ「一作物一起源地」
人の移動と共に拡散していった

p16
中尾佐助博士の分類

・旧大陸農耕文化
-①根栽農耕文化 湿潤な熱帯で発達
種子を使わないで繁殖させる作物(イモ、バナナ、パンノキなど)が主体
-②サバンナ農耕文化 乾燥した熱帯
アワ、キビ、トウジンビエ、シコクビエなど雑穀類が主体
-③地中海農耕文化 温帯
コムギが中心
・新大陸農耕文化
根栽農耕文化+サバンナ農耕文化

p20
C4植物
小粒穀類=small grain cereal(アワ、キビ、トウジンビエ、シコクビエなど)や
サトウキビ
=乾燥に強く、光合成の効率が良い

C3植物
=イネ、ムギ、ダイズなど多くの植物

p28
コムギ:一粒系、二粒系、三・四粒系(普通系、現在主流のパンコムギ)がある

一粒系 染色体:二組 Aゲノムを2組=AA
二粒系 染色体:四組
三・四粒系 染色体:六組 AABBDD

[自然交雑]野生ヒトツブコムギ(一粒系)AA+クサゴコムギ(一粒系)BB
=エンマコムギ(二粒系)AABB+タルホコムギ(DD)
=パンコムギ(普通系)AABBDD

この進化過程を明らかにした:木原均博士(京都大学)

p36
緑の革命
半矮性多収性コムギの作成、世界への普及=収量の大幅増加

p43
地球上で栽培されているイネ:
アジアイネとアフリカイネ(西アフリカの限られた地域)のみ。

アジアイネ:
ジャポニカ型:草丈が低く、粒が丸い。低温耐性が高い。
インディカ型:草丈が高く、粒が細長い

p73
米:ほとんどがデンプン
デンプン:たくさんのブドウ糖(グルコース)が繋がっている一種の多糖類
ブドウ糖が直鎖状に繋がったアミロース
ブドウ糖が分枝状に繋がったアミロペクチン の混合物。

全てがアミロペクチン:強い粘り気:もち米
ジャポニカ種はアミロース含有量が20%前後
インディカ種は20-30%=よりパサパサしている

コシヒカリやササニシキなどは約16-17%

p83
トウモロコシ:日本全国で栽培しているが、子実(種子)生産はゼロ

・デントコーン 馬歯種 世界のほとんどのトウモロコシ
・フリントコーン 硬実種 山奥で栽培されていた
・スウィートコーン 甘味種
・ポップコーン 爆裂種

p92
アメリカ トウモロコシのF1種(雄性不稔種を使用)で増産
→1970年に「ごま葉枯れ病」が蔓延
=雄性不稔種に「ごま葉枯れ病」に弱い遺伝子が含まれていた

トウモロコシもC4植物

p99
ジャガイモの「目」の規則生
いもの先端から数えて、「周囲を二周する間に5個の目がある」

p101
ジャガイモ=救荒植物
・単位土地面積当たりの乾物収量が高い
・地下に収穫部分があるため、冷害を受けにくい
・タネ芋を使うために生育が早い(約100日)
・ビタミンCを含む

→アイルランドで大規模栽培
19c半ば、ジャガイモの病気が蔓延
→人口の約5分の1が餓死やアメリカに移住
→アメリカでのジャガイモ栽培、
よって英語ではアイリッシュポテト

p125
イギリスで紡績業を中心とした産業革命
→原料である綿花をアメリカから輸入
→アメリカでは、多くの黒人を奴隷とすることでワタ栽培を拡大

p138
光合成
カルヴィン回路:C3光合成
CO2+リブロース-二リン酸(Cを5個)=ホスホグリセリン酸(C3)を2個生成
→C+C5=C3×2

1960年代半ば:C4光合成の発見:ハッチ=スラック回路
C3+C1=C4

C4植物の光合成速度が速い理由:
最初にC4回路でCo2が濃縮され、そのあとカルヴィン回路に供給されるため。


p148
チャ(茶)-亜種シネンシス(中国種)と亜種アッサミカ(アッサム種)

亜種シネンシス(中国種) 耐寒性が強い、灌木、タンニンが少ない=緑茶向き
亜種アッサミカ(アッサム種) 耐寒性が弱い、高木、タンニンが多い=紅茶向き
近年は中国種の方が品質が良いとして、アッサム種が置き換えられつつある


摘み取ったチャ:水分80%近く
・緑茶:熱を加えて酵素を殺して乾燥  …不発酵茶
・ウーロン茶:最初自然乾燥、後で釜で煎る …半発酵茶
・紅茶:加熱しない(酵素による発酵あり) …発酵茶

タンニンは、タンニン酸化酵素によって酸化されると赤褐色になる。
紅茶:酵素が生きているので赤褐色になる。

ビタミンC(アスコルビン酸)
アスコルビン酸酸化酵素によって酸化されるとビタミンCとしての効果は消える
緑茶:酵素を殺すのでビタミンCが多い


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category: 植物

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今週(先週)のまとめ  

香川は暖かくなりました。
自宅近くのツグミは、すでに姿を消しました。
年の冬まで、彼らとはお別れです。無事の旅を祈ります。

一方、ツバメは巣作り開始。ちょっと暗いですが、これはメスですね。
彼女たち夏鳥が無事に子育てできるよう、遠くから見守っていきたいものです。
ツバメ

さて、昨日はナスやトマトの苗を購入し、植え付けました。
家庭菜園というほどでもないものですが、
自分の手で作物を作るというのも、やはり重要な経験だと思います。
子供たちにも実感してほしいのですが、
大きくなるにつれ、一緒にやらなくなりつつあります。
何か手を考えねば。

ところで、先週読んだのは下記のもの。
気になっていた本を消化した週となりました。

生きもの上陸大作戦」は読みやすいわりに、
生物進化史を把握するうえで必要なポイントが整理されていますので、損はないと思います。

猫なんかよんでも来ない」は、動物をむやみに「猫かわいがり」したり、逆に「モノ」的に扱っているのではなく、「ペット」と飼っている方に、しみじみと読んでいただきたい一冊。



猫なんかよんでも来ない

がんと闘った科学者の記録

生物のなかの時間

生きもの上陸大作戦

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category: 雑記:今週のまとめ

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生きもの上陸大作戦  

生きもの上陸大作戦
中村 桂子,板橋 涼子



進化の歴史をおいかけていると、いくつかの大事件があることに気づく。
メジャーなところだと恐竜の絶滅。
これには、「なぜ絶滅したのか」という謎がある。

また、最近話題となっているカンブリア大爆発。
これにも、「なぜある一時期に、様々な体制の種が生じたのか」
という謎がある。これについて一つの答えを示したのが、
「眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く」(※レビューはこちら。)である。

一方、謎という謎はないために、なんとなく知っているような大事件に、
「上陸」がある。
水中で生じた生命が陸上に進出するためには、様々なドラマがあった。
しかし、そこに明確かつ具体的な「謎」がないために、
ついつい「徐々に上陸したんだよな」というイメージだけで、わかったつもりでいる。
しかし、植物はどのように上陸したのか。
昆虫は? 脊椎動物は?
そうした個々のグループに着目すると、どういう流れだったのかは、実はほとんど知らない。

本書は、そうした知識の落とし穴を埋めてくれる。
著者は、JT生命誌研究館館長である中村桂子氏ら。
本書巻頭には、生命がどのように上陸していったのかをわかりやすく示す「絵巻」が収録されているなど、全編を通してまるで博物館の展示をみるかのように、
多くのカラー図版とともに、わかりやすく纏められている。

しかし内容は浅くはなく、個々の分類群ごとの上陸史は、
ゲノムレベルの最新知見も盛り込んだものである。

それにしても、こうして鳥瞰的に見てみると、
我が地球の生物は、水中で発生しながら、陸、そして空と、
様々なニッチを埋め尽くして適応放散を繰り返している。
そのあくなきエネルギーというか、欲求、宿命のようなものには、
本当に驚くばかりである。


【目次】
第1章 植物たちの上陸大作戦
第2章 昆虫たちの上陸大作戦
第3章 脊椎動物たちの上陸大作戦
第4章 絶滅が大きな進化を促した


【メモ】
p59

花の形作りに関与する遺伝子は3種類、全てMADsボックスと呼ばれる共通の塩基配列をもつ
ABCモデル

働く遺伝子
Aだけ …がく
A&B …花びら
B&C …おしべ
Cだけ …めしべ

八重咲き=C遺伝子が壊れる
=Cが関係するおしべとめしべができず、花びらが次々とできる
=実はできない

p66
昆虫類の系統を描くのが難しいのは、上陸後かなり短時間で翅を獲得し、
急速に多様化したため
=「小さい」ため、急速な進化が可能だった

p83
完全変態をする有翅昆虫が多様化してニッチを広げている
ex)食草の変化によるチョウの進化
祖先種→ジャコウアゲハ(ウマノスズクサ)→
(食草転換)→アオスジアゲハ(クスノキ)→
(食草転換)→シロオビアゲハ(ミカン)→
(多様化)→ナミアゲハ(ミカン)→
(食草転換)→キアゲハ(セリ)

ex)相利共生 イチジクとイチジクコバチ
一種対一種、イチジク属植物の系統とイチジクコバチの系統が一致している

p96
脊椎動物:アカンソステガ:一生のほとんどを水中で過ごすが、前脚や後ろ足が発達。
水草や落ち葉をかきわけるのに使ったと考えられる。
また、水中で立ち上がり、肺呼吸をしていた?

p109
1970年(大野乾)脊椎動物のゲノムサイズと遺伝子座数が他の動物に比べて大きいことから、
「脊椎動物としての進化の初期に一回または二回ゲノムを重複させた」と指摘
→少なくとも二回重複したというデータも得られている
ホックス遺伝子:12~15個が並んでクラスターを形成、
線虫やショジョウバエではクラスターが1、四足動物では4つ存在

一方、条鰭類の子孫である真骨魚は、3回ゲノム重複をしている。
陸上、水中共に多様化している。
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category: 進化論

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生物のなかの時間  

生物のなかの時間
西川 伸一,倉谷 滋,上田 泰己



良いタイトルである。
生物は、どのように時間を把握し、コントロールしているのか。
人間は時計をもっている。
しかし、実際は時計がなくても時間を把握している。
例えば、真っ暗でも同じ時間に目が覚めのは、体内時計の働きである。
では、その体内時計とは何なのか?
また、個々の細胞レベルでみたとき、どのような仕組みによって時間の経過が把握され、
それを生命活動に用いているのか?

こうした問いすら、これまで持ったことがなかった。
刺激的な興味をもって手に取った一冊である。
本書は、理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター(理研CDB)に所属する3人による鼎談。現在の分子生物学的な「生物にとっての時間」を語り合う一冊である。

前述のとおり、かなりワクワクして読んだ。
なるほど研究の最前線の成果、課題が示され、刺激的ではあった。

ただ正直なところ、消化不足ではある。
第一に、本書には章末にかなり細かい項目解説があるのだが、
よく用いられている「概日性」の説明がなかったり、
またそれこそ「時間」という言葉を、
「経過する時間という量」という意味で用いたり、
それとも「時刻という目盛り」として用いたりと、
3人の間では共通認識はあるのだろうが、ちょっと読者に対しては不親切かな、という点が否めなかった。
「最先端の同一研究所にいる3人の研究者の立ち話を横で聴いている感じ」であり、
こういうのを隔靴掻痒の感、というのだろう。
生物における時間について、おそらく他の本で基礎的な知識を得ていれば、より楽しめると思う。


【目次】
第1章 生命とは何か?
第2章 宇宙の時間
第3章 細胞の時間
第4章 時間の発明
第5章 発生の時間
第6章 形の時間・進化の時間
第7章 脳の時間

【メモ】
p34
20年間フリーザーに入れていた動物の核を未受精卵に移植してクローンマウスをつくる
→通常の細胞ではダメがが、脳の細胞核は使える。
=脳の細胞核は、死んで-20℃で凍結していても(DNAの)情報は使える。

p63
エピジェネティックスepigenetics
遺伝子の配列変更を伴うことなく細胞を変化させ、その変化を子孫に伝えることができる機構。
後成的遺伝。
メチル化などによる直接的なDNAの修飾や、DNAに結合するタンパク質(ヒストン)が修飾されるDNA-ヒストン複合分子(クロマチン)の構造変化など。
全く同じゲノムを持つ双子に様々な差が生じるのも、こうした機構が存在するから。

p69
DNAメチル化
遺伝子のmRNAへの転写を司るプロモーター領域のCpGと呼ばれる配列にある特定の炭素に、
メチル基(CH3-)が付加されること。
この部分にRNA転写酵素が結合できなくなり、この遺伝子は使用不可能になる。

p80
24時間のサイクルは地球の自転を写し取ったものだが、それがどう生体内に書き込まれているのかという時間の「単位」の問題はまだ解明されていない。
睡眠・覚醒という時間の「質」の問題も未解明。
「時間の『単位』と『質』の二つがわかると時計が理解できたといえると思う」

p87
哺乳類では、脳の直下の下垂体の上の方、正中隆起部に光で抑制されるメラトニンの受容体があり、それで外界の日長を読み取る。概日時計もあり、明暗という外部環境とあわせて、その差から日が長いか、短いかを感知して、春夏と秋冬を見分ける。

p89
(外界からの力と原型との相克の結果として生じる)
エコロジカルで機能的な形:「ゲシュタルト」

(肝臓のように機能すれば形はどうでもいいような場合)
「フォルム」

p106
天動説と地動説というのは、厳密な意味での科学のパラダイムの対立ではない。
生物学的環境認識の話と、物理現象の一環としての天体運行の話なので、
よって立っている文脈が全く違う。

p168
「現在言っている種というのは、系統樹を今という時点でぶち切って、その横断面を見ているだけという印象はある。」

p172
輪状種:セグロカモメグループなど
A-B、B-CとBを介して交雑可能だが、仮にBが消滅するとAとCは繁殖隔離されている。
「種とは何か」の定義を行うネックとなる。

p181
(分子時計により判明する)系統の分岐と、ボディプランの進化は別。
化石と分子時計の話はそもそもかみ合うものではない。

p200
真核生物ができるまでの20億年、ボディプランが多様化した5億年という時間が、
必然的なものなのか、確率論的なものなのかは、あまり議論されていない。
生物現象に、必然的時間というのは無いのだろうか。

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category: 動物

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がんと闘った科学者の記録  

がんと闘った科学者の記録
戸塚 洋二



著者の戸塚洋二氏は、スーパーカミオカンデで、
ニュートリノの質量がゼロでないことを世界で初めて示した方。

そういえば、
「スーパーカミオカンデ」という言葉がよく報道された時期があった。
あれは、ニュートリノの質量発見の時期だったのか。
それとも戸塚氏の恩師である、小柴氏がノーベル賞を受賞した時だったか。

なぜこういう「がん闘病記」関係に手を出すのか自分でもよくわからないのだが、
著者・戸塚氏は大腸がんで亡くなった。
その闘病過程で、ブログにおいてご自身の闘病生活、
化学療法の経過、科学、環境、様々なことについて書き遺されている。
本書はそのエッセンスを、立花隆氏が抽出してまとめたものである。

なお、元のブログは本日時点でもまだ残していただいている。

The Fourth Three-Months
http://fewmonths.exblog.jp/

ただ、8月いっぱいで閉鎖するということなので、よければご覧いただきたい。

さて、本書では、
・化学療法の経過
・スーパーカミオカンデや科学関係の話
・樹木の話
などが多い。
特に化学療法については、ご自身が服用(点滴)された薬の種類、量と、
がん細胞の大きさや腫瘍マーカーの数値などをグラフ化し、その効果や使用方法について述べられている。
データに基づく客観的な化学療法に対する想いと、
また闘病ブログなどをデータベース化し、多くの患者自身による検索システムの構築など、
最後まで科学者としての矜持を示されている。

こうしたデータベースが構築されているかどうかは知らないが、
闘病記については、検索システムができている。

闘病記ライブラリー
http://toubyoki.info/

このブログを読んでいる方で、闘病記を探している方がいたら、
ぜひご利用いただきたい。

最後に、氏が紹介してくれた正岡子規の「病牀六尺」からの一節をメモしておく。
僕はこれまでこの言葉は知らなかったが、
これからは死ぬまで忘れることは無いだろう。


「余は今まで禅宗のいはゆる悟りという事を誤解していた。悟りという事はいかなる場合にも平気で死ぬる事かと思っていたのは間違ひで、悟りという事はいかなる場合でも平気で生きることであ
った。」
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category: 医学

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猫なんかよんでもこない。  

猫なんかよんでもこない。
杉作



ダ・ヴィンチか何かで本書を知り、気になっていたので購入。

著者はボクサー志望。しかしある日、同居する兄が2匹のネコを拾ってくる。

わずか150ページ余りの間に、著者の人生と2匹のネコの猫?生が、
二転三転し、現在につながっていく。

全編を通して、笑いではなく、
著者のもがき、あせり、そして猫が猫たらんとして一筋に生きる姿が描かれる。

なるほどよくある猫エッセイマンガとは、一味違うものだった。


僕も昔、猫を飼っていた。
黒猫と虎毛は、家から出かけたまま帰ってこなかった。
交通事故か、仲間とのケンカか。

また、今年初め、実家の猫-僕が実家にいた頃からいる奴、も死んだ。

ペットとの別れはつらいが、
ペットと出会い、共に生きる時間は、
やはり他の体験ではちょっと代えられない時間だな、と思う。
そういう時間を、しみじみと追体験できる一冊。


なお、連載された「クロ號」は、どうやら本書のクロをモデルにしたものらしい。
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category: 漫画

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今週のまとめ  

本日は、野鳥観察会。
運営側ですが、参加者が少ないし知った方ばかりでしたので、
素直に楽しんできました。

夏鳥のキビタキにも出会えました。
キビタキ

と思うと、冬鳥のアトリも(もう頭真っ黒の夏羽ですが)いました。
アトリ

この時期は、夏鳥と冬鳥が入り混じり、
楽しい季節です。

また、ある方が、足元のツバメシジミを見つけてくれました。
ツバメシジミ

これを見つけ、きれいな姿に気づかせていただけたのは
とてもラッキーでした。
今年はもう少し、落ち着いて身近な生き物を見たいものです。


さて、先週読んだものの中では、
名画でたどる聖人たち もう一つのキリスト教世界」が
とても楽しかった。
「聖○○」って、海外の小説や映画、美術などを見ていると
たまーに出てくるのですが、
よくわからない存在です。
本書では各聖人のエピソードも語られていますので、
辞書的に使えるな、と思いました。

〈今週読んだ本〉
骨―日本人の祖先はよみがえる

名画でたどる聖人たち もう一つのキリスト教世界

ノンフィクションはこれを読め!

神道はなぜ教えがないのか

銀河英雄伝説~英雄たちの肖像~

遺体―震災、津波の果てに

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category: 雑記:今週のまとめ

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骨―日本人の祖先はよみがえる  

骨―日本人の祖先はよみがえる
鈴木 尚

骨―日本人の祖先はよみがえる骨―日本人の祖先はよみがえる
(1996/09)
鈴木 尚

商品詳細を見る


科学者の本棚」で、複数の方が
「化石サルから日本人まで」鈴木尚
「日本人の骨」鈴木尚
を上げていたような気がする。そこで入手を試みた。

結果、「化石サルから日本人まで」までは入手できなかった。
「日本人の骨」は、パラフィン紙つきの岩波文書。懐かしい感覚だったが、
かなり内容が専門的-というか、データやグラフが多数掲載され、
入門書というより論文や教科書のような感じであり、読み進めるのにやや苦労した。
(正直、このレベルのを新書で出していたという事実に感服する。)

日本人の骨 (1963年) (岩波新書)日本人の骨 (1963年) (岩波新書)
(1963/02/20)
鈴木 尚

商品詳細を見る


そこで、「日本人の骨」の詳細はすっ飛ばして、
同時に入手していた本書に手を出す。

すると、「日本人の骨」に掲載されている話題は全てアップデートされ、
本書により分かりやすく掲載されていた。

よってこれからチャレンジする方は本書から読んだ方が良い。
細かいデータ、パラメータ、計測部位の図解など専門的知識が欲しければ、
「日本人の骨」をどうぞ。こちらの巻末には頭骨計測、計測図、頭骨の名称など、
頭骨の測定の基礎的知識として必要な情報も掲載されている。

さて、本書である。
著者の人類学者である鈴木尚氏は、縄文時代以降の日本人の形質、特に骨についての研究者。
本書はそのエッセンスとなる各時代の骨の調査結果、そして得られた知見が紹介されている。
写真も多数掲載されており、読み応え十分である。
ただ、生理的にナーバスな人は避けた方がよいだろう。

さて、例えば「3 人を食った話」では、縄文時代の骨に残る傷跡から、食人文化があったの見解を示す。モースが貝塚に混じる人骨から日本には食人文化があったと提唱していることは知っていたが、日本人科学者が証拠に沿って実証していることは知らなかった。
なお、食人といっても様々な理由もあり、また世界各地で生じているものであり、別に恥じるものでもない。この点を指して日本は野蛮だなどという者は、無邪気でいいね、という程度である。

また、鎌倉で多数発見された中世人骨群。発掘状況もさることながら、
当時の合戦の大規模性、そして合戦後の死骸の散乱状況と供養状況がわかる、なかなか知ることのできない記録である。
時代劇などで合戦シーンは多数みるが、実際の合戦とそれに伴う死がどんなに無残なものか。
こうした風景が日常的であれば、なるほど諸行無常と感じるのも納得である。

また、平泉中尊寺の藤原氏のミイラでは、頼朝の時代の風習がまざまざとよみがえる。
日本人は穏やかな印象があるが、いやいやかなり荒ぶる民族であった。

徳川将軍家の墓については、「骨は語る 徳川将軍・大名家の人びと 」という別の著書があるようである。本書では2人しか取り上げられていないので、興味がある方はそちらをどうぞ。

それにしても、骨の計測によって判明したことだが、
日本人もかなり古代から変化している。長頭型から小頭型への推移、しかも世界的に同じ傾向にあるという。その理由はいったい何なのか。興味深い分野である。


【目次】
1 原人の発見
2 日本の更新世(洪積世)人類
3 人を食った話
4 縄文時代人の戦い
5 骨からみた日本人の小進化
6 鎌倉材木座の中世人骨群
7 平泉中尊寺の奥州藤原四代ミイラ
8 簗瀬八幡平の首塚
9 戦国武将石田三成の頭骨
10 皇居内から発掘された人骨
11 芝増上寺徳川将軍家の墓と二代・六代将軍
12 江戸川のバラバラ事件

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category: 歴史

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名画でたどる聖人たち もう一つのキリスト教世界  

名画でたどる聖人たち もう一つのキリスト教世界
秦剛平



聖人というのも良くわからない。
キリスト教は一神教というが、三位一体とかいうし、
じゃあ聖母マリアの「聖」って位置づけはなんなのとか、
疑問だらけである。
そもそも、どんな聖人がいるのかすら知らない。
そこで手に取ったのが本書である。美術書的匂いがするが、実際のところ、
本書は「キリスト教の聖人・聖女入門、イラストつき」である。
そもそも名画でないものが多いし。

また、キリスト教的価値観の強い方だと、
聖人伝説をそのまま事実として語られるので嫌だな、と思っていたが、
筆者はかなりキリスト教的価値観と距離を置いている。
むしろ、気持ち良いほどバッサリ切り捨ててている箇所すらあり、小気味よいくらいである。
とりあげられている聖人は38人かな、目次を転記したのでご参考にしていただきたい。

基本的な構成は、
各聖人の生い立ち、聖人とされた契機(殉教など)、図像解説である。
図像解説では、それぞれの聖人の伝説にちなみ、聖人とあわせて描かれる属性(アトリビュート)が解説されていて、キリスト教絵画を見るうえでの基礎知識となる。

また、聖人・聖女となる資格が、
時代によって異なること、また
それによって乱造もなされていることなどは、なかなか面白い話だった。


それにしても、皮を剥がれて殉教した聖バルトロマイのアトリビュートが皮剥ぎナイフっての、
悪趣味ではないのか。キリスト教的感覚はやっぱりよくわからない。




【目次】
第1講 新約聖書の聖人や聖女たち
聖性とは
聖ヨセフ
聖母マリア
洗礼者聖ヨハネ
聖女マルタ/聖女マリア
聖ニコデモ
福音書記者たち
聖マタイ
聖マルコ
聖ルカ
聖ヴェロニカ


第2講 十二使徒たちの事蹟
十二使徒とはだれ?
聖ペテロ
聖アンデレ
聖大ヤコブ
聖ヨハネ(ヤコブの兄弟の)
聖フィリポ/聖バルトロマイ
聖マタイ(収税人の)
聖トマス
聖ヤコブ(アルファイの子)
聖タダイ
聖シモン(熱心党の)
(ユダ)
聖パウロ


第3講 殉教の冠を戴いた聖人や聖女たち
聖イグナティウス
聖ポリュカルポス
聖イレナイウス
聖セバスティアヌス
聖ゲオルギオス
聖アカキウス
聖アンブロシウス

第4講 異教世界に立ち向かう聖人や聖女たち
キリスト教にとっての四世紀とは?
聖女ヘレナ
聖シルウェステル
聖アウグスティヌス
聖モニカ
聖ヒエロニムス
聖女パウラ
聖人・聖女になるための条件

第5講 修道士から聖人や聖女へ
聖ベネディクトゥス
聖女スコラスティカ
聖プラキドゥス
大教皇レオ一世
大教皇聖グレゴリウス一世
尊師ベーダ

第6講 十字軍時代の聖人や聖女たち
一一世紀から一六世紀までの聖人・聖女たち
聖ベルナドゥス
聖フランチェスコ
聖女キアラ
聖トマス・アクィナス
聖イグナティウス・デ・ロヨラ
聖フランシスコ・デ・ザビエル
聖シモン


第1・2講 新約聖書に登場したため聖人・聖女になった者
第3講 迫害の時代に殉教したおかげで聖人・聖女になった者
第4講 キリスト教が帝国の宗教となった時代の聖人・聖女になった者
第5講 修道士・修道女、教皇で聖人・聖女になった者
第6講 十字軍にまつわる聖人


【メモ】
p94
聖アンデレが架けられた十字架(X型)=「アンデレ十字」
スコットランドの国旗はこのアンデレ十字

p102
聖ヨハネ(ヤコブの兄弟の)
「実は、この人物はよくわかりません。」
「謎の人物を大まじめで取り上げることなどできません。すっ飛ばしましょう。」


p138
頭上の光輪=キリスト教の聖人・聖女のアトリビュート

p164
15~16世紀の画家が聖セバスチャンを繰り返し描いた理由
=黒死病や疫病に対する守護聖人
=その時代に疫病がはやったから

p188
キリスト教は、ローマ帝国の国教になると、
「迫害される宗教」から「迫害する宗教」に変貌。
キリスト教が神の栄光を求める宗教だから、他の宗教は邪教となる。
ヨーロッパ、とくにイタリアの教会には、
「…の上に建てられた○○教会(聖堂)」
「の上に」=supra、ラテン語
という名称のものがあるが、
これは異教徒の聖所を破壊したことをうたうもの

p333
「わたしは最近ある書物を読んでいて、聖人や聖女をつくりだす要因のひとつとなるのは
『経済効果』であることを知り、カトリックが二五年ごとに行っている『聖年』の一年間の
『経済的効果』を思い起こしました。」
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category: 宗教

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ノンフィクションはこれを読め! - HONZが選んだ150冊  

ノンフィクションはこれを読め! - HONZが選んだ150冊
成毛 眞

ノンフィクションはこれを読め!  - HONZが選んだ150冊ノンフィクションはこれを読め! - HONZが選んだ150冊
(2012/10/24)
成毛 眞

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いい本が紹介されていないかな、と物色。

HONZ、というグループの存在は知らなかったが、こうした人たちもいたんだなあ。
さっそく今後チェックするが、ちょっと僕とは傾向が異なるようである。
それでも、いくつか読んだことがある本も掲載されており、興味深くレビューを読んだ。
こういうブックガイド本は、人によって全く効用がことなるので、
同グループホームページで興味を持った方は、どうぞ。
HONZ - ノンフィクションはこれを読め!
http://honz.jp/



【目次】
HONZ年間ベスト座談会
第1位 理系の子
第2位 木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか
第3位 ナチスのキッチン
日本史
世界史
民俗・風俗
事件・事故
ビジネス・テクノロジー
社会
アート・スポーツ
教養・雑学
生物・自然
医学・心理学
サイエンス


【メモ】
「オオカミの護符」小倉美恵子
「未解決事件(コールド・ケース)―死者の声を甦らせる者たち」
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category: 読書

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神道はなぜ教えがないのか (ベスト新書)  

神道はなぜ教えがないのか
島田 裕巳

神道はなぜ教えがないのか (ベスト新書)神道はなぜ教えがないのか (ベスト新書)
(2013/01/09)
島田 裕巳

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正直なところ、神道はよくわからない。
多くの神社で、古事記や日本書紀で語られる神々を祀っているのはわかるが、
初詣や何かで、その神社の祭神を確認して訪れているわけではない。
また、確認して「ここは行かない」なんて思うものでもない。

また、子供の頃に初詣に行った神社は八幡神社だったし、
現在最も身近なのは天満宮である。

様々な入門書もあるが、その本質をうまく説明してもらえるものは
出会えていなかった。

その点、本書は、「神道とは『ない宗教』である」という認識を示してくれる。
これが全てではないとしても、他宗教と比較するうえで、
かなり重要な手掛かりとなる。

何が「無い」のか。

p20
教祖も、宗祖も、教義も、救済もない宗教が神道である。

そして筆者は、
神道が「ない宗教」であるから「ある宗教」の仏教との親和性が良かったと説明する。
そして神道が豊穣などの現生利益に、一方仏教が悟り=成仏=死にかかわることで、
日本では神道が生、仏教が死と役割分担したと説明する。
いわゆる「葬式仏教」がどうして成立しえたのか、またなぜ日本では「葬式仏教」とならざるを得なかったのかを見事に解き明かしている。

また、神道と仏教が混じったと言っても、
キリスト教や仏教に現地宗教が溶け込むような、
一方が他方を圧倒し、吸収するような取り込み方(諸教混淆、シンクレティズム)ではない。

p78
むしろ、明治の「神仏判然令(神仏分離令)」が施策として可能だったように、
両者は集合しつつも、それぞれが分離可能な独立性を保っていた。

というのも、日本の仏教と神道の関係をみるうえで重要な指摘だろう。

日本の神道は、一般的・世界的な宗教とはかなり異なるというのは、
今後自分の宗教観を整理するうえでも非常に役に立つと感じた。

諸々のレビューを見ると、「これでは神道はわからない」というスタンスのものもあったが、
本書は「神道入門」ではなく、
「神道『学』入門」というものだろう。

この一冊で神道の歴史や成り立ちが全てわかるものではないが、
神道の本質を考える上では、非常に欠かせない視点を提供している。


【目次】
「ない宗教」としての神道
もともとは神殿などなかった
岩と火 原初の信仰対象と閉じられた空間
日本の神道は創造神のない宗教である
神社建築はいつからあるのか
「ない宗教」神道と「ある宗教」仏教との共存
人を神として祀る神道
神道とイスラム教の共通性
神主は、要らない
神道は変化を拒む宗教である
遷宮に見られる変化しないことの難しさ
救済しない宗教
姿かたちを持たないがゆえの自由
浄土としての神社空間
仏教からの脱却をめざした神道理論
神道は宗教にあらず
「ない宗教」から「ある宗教」への転換
神道の戦後史と現在

【メモ】
p20
教祖も、宗祖も、教義も、救済もない宗教が神道である。

p47
日本には、火を用いた火祭りというものが多い。
他の国にも火祭りがないわけでないが、火そのものが神聖視されるような祭りはほとんどない。

p51
御神体は、あくまで神が一時的に宿るもので、神そのものではない。
その点では、ご神体以上に閉じられた空間、つまり何もない空間が重要だともいえる。
姿形を持たない神を祭祀の対象として祀り上げるためには、閉じられた空間という装置が不可欠。

p66
日本最古の神社建築はどこか。その創建はいつか→明確な答えがない。

神道の場合、初期は屋外で祭祀を行うので、社殿が不要だった。

仏教の場合、仏像を本尊として安置したり、
仏舎利をおさめるため、どうしても建物が必要となる。

また仏教では、教えを学ぶ僧侶が説渇する場としての建物も必要となる。

p78
宗教の平和的共存という事態は、世界的にみるとかなり珍しい。

キリスト教やイスラム教に民族宗教が取り込まれる(諸教混淆、シンクレティズム)。
神道と仏教による神仏習合もこの一種だが、一方が他方を圧倒していない。

むしろ、明治の「神仏判然令(神仏分離令)」が施策として可能だったように、
両者は集合しつつも、それぞれが分離可能な独立性を保っていた。

神道は「ない宗教」、仏教は「ある仏教」なので、相性が良かった。

p83
神道:死語の世界として黄泉の国の存在が肯定されているが、それは生者の世界と地続き。
   日常生活、作物の栽培などの守護などに役割。
仏教:悟りをひらき、仏になること、浄土に生まれることに共通性を見出し、
   両者を共に「成仏」ととらえたことで、死の領域に深くかかわる。
→神道は生の領域、仏教は死の領域で役割分担
 よって子供の成長、結婚などは神道が担い、葬式から死後の世界は仏教が担う。

p95
人を神として祭る→他の宗教でもある。
キリスト教やイスラム教:聖人崇拝、聖者崇拝
ただしむやみに聖人崇拝が拡大されるのを恐れてか、
カトリックでは教会が誰を聖人とするかの主導権を握り、
聖人として認めるための手続き、儀式「列聖」が定められている。

p102
世界の宗教の中で、出家が制度化されているのは仏教とキリスト教だけ。
この二つは、現実の世界とは根本的に異なる聖なる世界の存在が前提となっている。

p122
神社:社家という神職を世襲する家がある場合がある
出雲大社:千家と北島家=出雲国造

p146
仏教:修行がある
神道:禊はあるが修業はない。滝行などは修行としてもとらえられるが、
   あくまで重要なのは身を清めること。

p154
日本で最も多い神社
八幡、伊勢、天神、稲荷、熊野、諏訪、祇園、白山、日吉、山神

p188
日本の歴史では、天皇家が仏教推進にかかわっているが、
明治になると、天皇家から仏教関係の信仰が一掃される。
皇室は信教の自由を奪われている。

ただし、神道は国家全体の祭祀であり、宗教ではないともされ、
多くの国民に受け入れた。
それは神道が宗教的な構成要素を欠いており、
伝統的に受け継がれた社会的慣習という側面があったため。

そのため、宗教ではない神道と、宗教である仏教の併存が個人の中で可能になる。
しかしそれは他の宗教、キリスト教やイスラム教からは認めがたく、
日本人は無宗教という選択になっている。

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category: 宗教

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銀河英雄伝説~英雄たちの肖像~  

銀河英雄伝説~英雄たちの肖像~
田中 芳樹・道原 かつみ



もう何年になるのか。
高校生の頃に、後輩が「いい本があるっスよ」と紹介してくれた。
その頃海外SFにハマっていて、
結局小説を読む機会は逸したまま現在に至っている。

しかし、ええと10年くらい前に、
DVD(当時はビデオ)で全部見た。いや、面白かったですよ。

銀河英雄伝説 DVD-BOX SET1銀河英雄伝説 DVD-BOX SET1
(2003/10/23)
堀川亮、富山敬 他

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※ものすごく長い。覚悟してレンタルされることをお勧めする。


その内容が、漫画化されたものがこれ。第1シリーズは次の表紙でしたね。

我が家のどこかにあるはずなのだが、見つからない…。

で、このシリーズ、ある程度のところで中断。
ああ漫画化の気力が潰えたな、と思っていたら、いつの間にか再開していた。
現在のシリーズは、4巻まで刊行。

画力がどうとか、原作のエピソードがどうとかご意見はあるようだが、
漫画は漫画、原作は原作で良いのではないか。

とりあえず、軽く楽しむのには最適である。
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category: 漫画

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遺体―震災、津波の果てに  

遺体―震災、津波の果てに

石井 光太

遺体―震災、津波の果てに遺体―震災、津波の果てに
(2011/10)
石井 光太

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東日本大震災で多くの犠牲者が出た。
事故・災害の歴史からすれば、
こうした大規模な死にあっては、
犠牲者の収容、身元確認等々が、避けることのできない難題であることは容易に想像できる。

しかし、実際にはどうだったのか。
それをルポしたのが、本書である。

筆者は釜石を舞台に、
地震発生後から、最後の身元不明者の遺骨の安置までを、
多くの関係者にインタビューを重ね、それぞれの方の視点を中心に辿っていく。

語られるのは、まず民生委員の千葉氏の話。
そこから、遺体確認を担う医師会長の話となり、
次に医師会常務理事、歯科医師会長、消防団員、市職員、自衛隊…と、
何らかのかたちで繋がりを保っている。

多くの方は犠牲者でもある。
その方々が、遺体をめぐる諸問題(身元確認や火葬、供養など)に立ち向かう姿は、
心から感服するものである。

ただ、どうして釜石なんだろう? という疑問があった。

この点、後書きで筆者は、
釜石は町の半分が被災から免れたため、それらの方々が同じ市内の遺体と直面したこと、
そこに「故郷が死骸だらけとなったという事実を背負って生きていこうとする人間の姿があるのではないかと考えた」と説明している。

そうかもしれない。
ただ筆者の意図はともかく、釜石はそれでもある意味、地縁社会がうまく機能した「良いケース」なのかもしれない。
町全体が壊滅した地域では、全くの第三者が遺体と直面することになったはずだ。
そういう地域では、ここまでの連携は困難だったろう。


さて、本書を読みながら痛感したこと。
この遺体確認の苦労、遺族と検視者らのストレス、混乱は、
日航123便と同じではないか。

当時の遺体確認の状況は、次の書にくわしい。
墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便 (講談社プラスアルファ文庫)墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便 (講談社プラスアルファ文庫)
(2001/04/19)
飯塚 訓

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どうして、釜石でも地元の犠牲者である医師、歯科医師、看護師、職員らが、
ここまでの対応をしなくてはならないのか。

平時の検視・検歯が、一部の法医学者と地元医師のボランティア的貢献によって成立しているため、災害・事故時にもボランティア精神に依存せざるをえないのではないか。

本来であれば、もっと検視・検歯、すなわち司法解剖の専門人員が雇用されるべきであり、
有事にはその方々が中心となって動くべきだろう。
A県が被災したらB県が、C県が被災したらD県が…などという連携は、
言葉の上ではきれいだが、本質的な解決にはなっていない。


この問題については、
法医学者、死者と語る~解剖室で聴く 異状死体、最期の声~」(岩瀬博太郎)
で指摘されている。

P39
「つまり、司法解剖は、法医学教室職員の善意のみで成り立っているといえる。
 言い換えれば、日本には死因究明を生業として雇用されたプロが存在しないということだ。これはたいへん恐ろしいことで、司法解剖という社会基盤がいつ自然消滅するのかわからない状況にあるし、このような国は、ほかにはないと思う。」

この時にも記載したが、もう一度記しておきたい。

大事故、医療過誤、保険金詐欺、虐待などが日常的になっている今、
いつ被害者となるかわからない国民の権利を守るものとして、
法医学システムの充実は急務であるはずだ。


一刻もはやいシステム改善を望む。


【目次】
プロローグ 津波の果てに
第1章 廃校を安置所に
第2章 遺体捜索を命じられて
第3章 歯型という生きた証
第4章 土葬か、火葬か
エピローグ 二カ月後に


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category: 災害

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今週のまとめ(先週のまとめ)  

先週の懸案も何とかクリアし、気持ちも回復。
R.カールソン氏の言う通り、
「暗い気分に流されない」
「この一幕もまた過ぎてゆく」。
行きつ戻りつの状態ですが、
少しずつでも成長したいと思っています。

先週読んだものの多くは、心の安らぎを得るためのHow to系。
とかく軽く見られがちです。
しかし、こういうのを知らない人こそ、
たぶんこういう本が必要なくらい、ストレスにさらされているんだろうと思います。

ではまた。


TQ―心の安らぎを発見する時間管理の探究

ダ・ヴィンチ 2013年5月号

家電批評 2013年5月号

科学者の本棚

デカルト、足りてる?

君にはもうそんなことをしている時間は残されていない


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category: 雑記:今週のまとめ

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TQ―心の安らぎを発見する時間管理の探究  

TQ―心の安らぎを発見する時間管理の探究TQ―心の安らぎを発見する時間管理の探究
(1999/01)
ハイラム・W. スミス

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システム手帳的だけど、ちょっと独特のサイズとリフィルを展開する
「フランクリン・プランナー」
http://www.rakuten.ne.jp/gold/franklinplanner/

の設立者による、時間管理と人生管理の本。
【目次】を見ていただきたいが、本書では時間管理が目的ではない。
むしろ、自分の人生にとって大事なものを見つけ、
そこから行動を組み立て、その行動を行うために時間を管理しよう、というスタンスである。

この考え方には僕は強く惹かれていて、
現在もA5システム手帳を使っているものの、
ミッションや価値観といった、フランクリン的な概念を書きこんでいる。
ただ、最近それがうまく機能せず-ついつい日々の仕事に流されていて、
反省しているところ。
デスクワーカーの手帳の規格としてはA5が最適と思っているが、
自分の人生をちょっと整理するため、フランクリン・プランナーに手を出そうか迷っているところである。

さて、本書。
あなたにとって、「大事なこと」は何だろう?というスタンスで、
まるでセミナーを受けているかのように、1冊が構成されている。
タイトルがかなりマニアックなので損をしているが、
「時間管理の探究」という、テクニカルな本ではない。

人によっては、人生観が大きく変わりかねない、極めて得難い本である。
ぜひ、仕事に流されて、自分が何のために生きているのかよくわからなくなった方や、
これから仕事を開始しよう、という方に、一度は読んでみていただきたい。

本書と、
「7つの習慣―成功には原則があった!」
7つの習慣―成功には原則があった!7つの習慣―成功には原則があった!
(1996/12)
スティーブン・R. コヴィー

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は、本当にお勧めである。


【目次】

第1部 あなたは「時間」をコントロールできる
「時間」を奪還する
「価値観」を発見する
「心の安らぎ」を体験する
「安心領域」から脱出する
「計画的行動」を実行する

第2部 あなたは「行動」をコントロールできる
「行動と気持ち」を合致させる
「現実とニーズ」を検証する
「誤り」を修正する

第3部 あなたは「人生」をコントロールできる
「自尊心」を確認する
「奉仕の精神」を抱く
 究極の「心の安らぎ」に向かうために
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category: 自己啓発

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ダ・ヴィンチ 2013年 05月号 [雑誌]  

ダ・ヴィンチ 2013年 05月号

ダ・ヴィンチ 2013年 05月号 [雑誌]ダ・ヴィンチ 2013年 05月号 [雑誌]
(2013/04/06)
不明

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いい本がないかなあ、と購入。
毎回手にとっては、この雑誌のフィクションよりの構成にがっかりするのだが、
今回もフィクション中心でした。
特集は、有川浩氏と、大泉洋氏。
有川氏は納得いくが、大泉氏だけでこんだけのページを割く必要があるのか、という気持ち。

この雑誌の購入層がよくわからないんだけれども、
もう少し硬派な、というか、現実的なブックガイド雑誌が欲しい。

まあ有川浩氏の本が好きな方なら、かなり有用な号になっている。
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category: 読書

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家電批評 2013年 05月号 [雑誌]  

家電批評 2013年 05月号

家電批評 2013年 05月号 [雑誌]家電批評 2013年 05月号 [雑誌]
(2013/04/03)
不明

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満たされない物欲の代償行為として購入。
タブレットが欲しいが、
僕はスクラップした雑誌や学会誌のPDFを見たいので、
ある程度のサイズが欲しい。iPadかなあ、と悩んでいるところ。
でもNexus10も欲しい。まあ当分買えないので、悩む時間は十分にある。

今号ではそういう「迷い層」にとって、検討の参考になる特集であった。
ちなみに本書でのタブレットの1位は Nexus7。
でも正直なところ、7インチって、中途半端じゃないかな?

また、高い理由⇔安い理由では無線LANルーターを紹介。
自宅のルーターが時折不調になるので、今後の参考になった。
接続する機械は今後増えるのは確実なので、
これから買う方は、ぜひデュアルバンドにしていただきたい。

特集3では、色々の人の携帯しているガジェットを、
型番付で紹介。文具王の荷物もあり、
なかなか興味深い。
どこまでガジェットを持ち運ぶか、というのは職種にもよるが、
遊び、として考えるのも良いだろう。


【気になった記事】

【総力特集】プロ55人に聞きました!識者一斉アンケート
◆スマホ×タブレット×電子書籍 総選挙!

【特集2】ベストセラー機の後継機も登場!初心者注目の一眼レフがわかる
◆デジタル一眼レフ(超)入門

【特集3】文房具&ビジネスの達人が教える実用テク満載
◆いますぐ実践できる!デジタル文具徹底活用術

◆家電批評 THE TEST
電気シェーバー10製品テスト
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category: 情報誌

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科学者の本棚――『鉄腕アトム』から『ユークリッド原論』まで  

科学者の本棚――『鉄腕アトム』から『ユークリッド原論』まで
「科学」編集部

科学者の本棚――『鉄腕アトム』から『ユークリッド原論』まで科学者の本棚――『鉄腕アトム』から『ユークリッド原論』まで
(2011/09/28)
「科学」編集部

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僕はノンフィクションも好きだが、
科学系の本により、世界が広がるのが好きだ。

そこで、日本の科学者が読み、
「この1冊」という本を紹介している本書によって、
新しい出会いがないか期待。

掲載されている科学者は、「科学」という雑誌に縁のあった方々ということで、
特に○○大学が多い、ということはない。
お一人あたり2~3ページで1冊を紹介しており、
なぜその本を選んだか、というエピソードが綴られている。
ある程度実績のある科学者ということで、
年齢層が高く、そのため「この1冊」は古い本が多かった。
その方の人生の転機とはなっただろうが、
現在は、その本の知見はすでに乗り越えられているものが多い。
そういう点では、ちょっと物足りないが、
それでもいくつか気になる本があった。
これから機会があれば探していきたい。

【目次】
1 夢―すべてのはじまりはここに
2 学ぶ―この一冊に育てられ
3 転機―出会ってしまったばかりに
4 縁―めぐりあわせの妙
5 衝撃―目眩がするほどに
6 敬慕―先達をあおぎみる
7 礎―いくつになっても読み返す


【メモ】
「沈みゆく箱舟」N.マイヤース
「植物学のたのしみ」大場秀章
「市民科学者として生きる」高木仁三郎
「猿橋勝子という生き方」米沢富美子
「まず歩き出そう」米沢富美子
「化石サルから日本人まで」鈴木尚
「日本人の骨」鈴木尚

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category: 読書

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デカルト、足りてる? 優柔不断に効くサプリ  

デカルト、足りてる? 優柔不断に効くサプリ
齋藤 孝

デカルト、足りてる? 優柔不断に効くサプリデカルト、足りてる? 優柔不断に効くサプリ
(2013/01/25)
齋藤 孝

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落ち込んでいる時には、
生き方や考え方のテクニックを語る本がいい、と思う。
あまり哲学的なものは、そもそも頭に入らない。

で、本書を見つけた。
「デカルト、足りてる?」というキャッチーなタイトルに感心する。

内容は、デカルトの方法序説を引き、
4つの思考ルールと3つの暫定ルールを紹介しつつ、
理性に基づいて考え、行動していくことにより、
優柔不断や取り越し苦労を除いていこう、というもの。
なお、第2章まではデカルトが主で筆者が従だが、
ただ第3章は、基本的に筆者の人生論というか生き方テクニックとなり、
「デカルトも○○と言っている」と、主従が逆転している。
この点、ちょっと物足りない。

最後で気が付いたら、筆者は教育論とかで有名な斎藤孝氏だった。
ああこの人なら、デカルトっていう材料で、
こういう感じに本をまとめるだろうな、と納得。

なお、メモもしているが、
考えは行動に移し、行動は習慣にすることが重要というのは、
色々なところで語られているところ。

これについては、GMOの熊谷正寿氏の著書、
「一冊の手帳で夢は必ずかなう - なりたい自分になるシンプルな方法」

一冊の手帳で夢は必ずかなう - なりたい自分になるシンプルな方法一冊の手帳で夢は必ずかなう - なりたい自分になるシンプルな方法
(2004/03/24)
熊谷 正寿

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に掲載の、下記の言葉が最も心に響く。

○夢あるところに行動がある。
 行動は習慣を作り、習慣は人格をつくり、人格は運命を作る。

同書もおすすめである。

【目次】
第1章 なぜあなたは優柔不断なのか
第2章 デカルトが考えた決断のルール
第3章 優柔不断から脱却する20の方法
人生相談 「デカルトが足りない」人のために


【メモ】
p19
・不安の正体を見極めるため、まず頭の中を整理する。
 考えうることを全部書き出して、大事な順に順番をふる。

→「大事な順」を付ける点でハードルが高い。
 GTDの方が効率的。

p27
「取り越し苦労はエネルギーの漏電であるという意識を持って、
 無駄な心配をしてしまいそうになったら、ブレーカーを落として遮断する。」

p28
理性=健全な判断力

理性は未開発な資源、掘り起し、自分で開発しなければならない

p33
デカルト 4つの思考ルールと3つの暫定ルール


○思考ルール
・明証的に真であると認めたもの以外、決して受け入れない事。(明証)
・考える問題を出来るだけ小さい部分にわける事。(分析)
・最も単純なものから始めて複雑なものに達する事。(総合)
・何も見落とさなかったか、全てを見直す事。(枚挙 / 吟味)

(この4つの引用はwikipedia)

○暫定ルール
・法律と観衆に従う。良識ある人々の、最も穏健・中庸的な意見に従う。
・果断に行動する。決心したことは一貫してやり抜く。
・世界の秩序が変わるのを望むのではなく、自分の欲望を調整するように努め、
 習慣づける。

p98
目指すは、「われ考え抜く、ゆえに後悔せず」という姿勢


p125
思考=
何回も繰り返して意識に浸透させ、具体的に実践し、いつでも使える自分の「ワザ」にすることが重要



p141
・人生には不可抗力がつきもの

p148
心のありようを気分に任せない方法=
毎日、心の収支決算をプラスにし、マイナスで終わらせない。
マイナスの日はプラスになるよう調整する。

p154
ミッション:
「一人の人間として、
『自分自身のためではないことに貢献しよう』というミッション感覚を持つ」

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category: 自己啓発

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君にはもうそんなことをしている時間は残されていない  

君にはもうそんなことをしている時間は残されていない
千田 琢哉

君にはもうそんなことをしている時間は残されていない君にはもうそんなことをしている時間は残されていない
(2013/01/16)
千田 琢哉

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書店で、この言いきりの心地よさに惹かれて気になっていた。
先週より気持ちが萎えていたので購入。

目次のとおり、1秒、1分、1時間、1日、1月、1年という単位で、
それぞれの時間がムダにされがちなシチュエーションを示す。

根底にあるのは、自分の時間は自分の人生の一部であり、
自分が必要と思わないことに費やす余裕はないはずだ、というメッセージである。

この、自分の「人生の一部」ということと、
必要に思うか否かという尺度は、人によって異なることを理解しておかないと、
「こういうギスギスした生活は嫌だ」とか、「人付き合いも大事だ」などという
勘違いに陥る。
読者にとってそれが必要であれば、やればいいのだ。
ただ、漫然やるか、必要と思ってやるかは全く異なる。

僕としては、筆者のスタンスは非常に理解できる。
正直なところ、これをもっと多くの人に理解してもらい、
安易に他人の時間=人生を要求しないでほしいとさえ思う。

筆者は本書の他にも啓蒙的な本を出版しているようだが、
僕は読んでいない。
本書のみに限れば、とてもうまく構成されていて、
デザインも良い。
他人に流されている人生だなあ、と感じている時のモチベーションブックとして
最適だと思う。



【目次】
1分遅刻は、相手の命を軽く見た証拠。
Part 1 君にはもうそんなことをしている時間は、1秒もない
Part 2 君にはもうそんなことをしている時間は、1分もない
Part 3 君にはもうそんなことをしている時間は、1時間もない
Part 4 君にはもうそんなことをしている時間は、1日もない
Part 5 君にはもうそんなことをしている時間は、1月もない
Part 6 君にはもうそんなことをしている時間は、1年もない
Part 7 君にはもうそんなことをしている時間は、残されていない

【メモ】
p71 
「ランチで、のんびり行列に並ばない」

p78
・迷うと、現状維持に落ち着く。
 1分以内に決断する。
 1分経過したら現状維持だと決めておく。

p178
「もしあなたが本気で成功したいなら、
 退職金より1年という時間を選択すべきだ。」
「自分の夢の主人公として生きる1年と
 他人の夢の奴隷として生きる1年では、同じはずがない。」

p199
「1年間袖を通さなかった服は、まとめて処分する。」

p214
嫌なことの最上級は、生理的に合わないこと。
「嫌いなことを嫌々やっている時間など人生にはない」

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category: 自己啓発

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今週のまとめ  

気持ちと時間に余裕がない…。
来週こそ、このココロの爆弾を処理して、
気持ちよく週末を迎えたいと思います。

新年度、明日からは学生の人は新学年ですが、
皆様もストレスと不安な時期かと思います。
お互い、なんとかやっていきましょう。
いけるはずです。

また改めて紹介したいとは思いますが、
今、とってもこの本にお世話になっています。

小さいことにくよくよするな!―しょせん、すべては小さなこと (サンマーク文庫)小さいことにくよくよするな!―しょせん、すべては小さなこと (サンマーク文庫)
(2000/06)
リチャード カールソン

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心がつらい時には、とっておきの特効薬です。
未読の方は、ぜひ。

書店員が本当に売りたかった本

ヒマラヤの風にのって 進行がん、余命3週間の作家が伝えたかったこと

ミステリマガジン 2012年9月号

私説 ミジンコ大全
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category: 雑記:今週のまとめ

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私説 ミジンコ大全  

私説 ミジンコ大全
坂田 明

私説 ミジンコ大全私説 ミジンコ大全
(2013/01/17)
坂田 明

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ミュージシャンの坂田明氏がミジンコを好きなことは聞いていたが、
その氏による、ミジンコ本である。

最初の「ミジンコ入門」は、「ミジンコ道楽」(1997)を底本として、
改稿したもの。
坂田氏独特の語り口でミジンコに対する愛が語られ、なかなか楽しめる。

「ミジンコ」図鑑では、坂田氏が撮影した各種ミジンコの写真が掲載される。
掲載種は以下のとおり。
こんなマニアックな生物の写真は、他で見るのはなかなか苦労しそうである。
カブトミジンコ
ミジンコ
タイリクミジンコ
エゾハリナガミジンコ
オオミジンコ
オカメミジンコ
ニセネコミジンコ
スカシタマミジンコ
オナガミジンコ
ナガマルミジンコ
カブトエビ
ホウネンエビ
ミスジヒメカイエビ
ケンミジンコの仲間
ヤマヒゲナガミジンコ
ヒゲナガミジンコの仲間
ソコミジンコ
ヒョウガソコミジンコ
カイミジンコ

以下の章は対談だが、ちょっと坂田氏が聞き手にまわりすぎており、
新しい知見はいくつか知ることができるものの、第1章のような楽しさには欠ける。

なお、本書には坂田明のCD「海」が同梱されている。
収録曲は8曲。

これでこのお値段。坂田明ファンであれば、お買い得な一冊である。


【目次】
ミジンコ入門
ミジンコ図鑑
ミジンコと地球環境(対談:花里孝幸)
ミジンコ研究、今昔(対談:遠部卓)
ミジンコのDNA(対談:山形秀夫)
あとがき

【メモ】
p18
浮遊生物:プランクトン
遊泳生物:ネクトン
底生生物:ベントス

p110
海外の論文で、湖沼地帯の丘の上にプランクトンネットをしかけ、
それを水につけたらミジンコが出てきたというものがある。
ミジンコの休眠卵(耐久卵)は、乾燥して土埃と一緒に飛んでいるものがあるらしい。

p112
ゾウミジンコ:35年前の地層から出た耐久卵が孵化した事例がある
ケンミジンコ:400年前(ネイチャーか何かに載っていた)

ベルギーの研究者:
湖底の泥を柱上に抽出、10cm単位でミジンコの耐久卵を孵化、
20cmと30cmで性質に違い、遺伝子変異が起きている

p132
マガキの幼生:生後2週間はプランクトン生活、その後付着するが、
競争相手にフジツボの幼生がある
フジツボが先につくと、マガキはつけない
よって毎日プランクトンネットを引き、
カキの幼生が増えてフジツボが減った時に採苗した(実習)

p142
海産のミジンコの種数が少ない
そもそも海産のミジンコは、陸のミジンコが二次的に海に戻ったもの

また、ミジンコは通常単為生殖(生存に厳しい状況だと両性生殖)なので、
遺伝子変異の機会が海では少なく(干上がるとかの環境変化がないため?)、
種分化が進んでいないのではないか

p155
船舶のバラスト水でミジンコが運ばれる可能性がある

一方、ウスカワミジンコが北海に進出して定着した事例があるが、
これは温暖化の影響で表面水温が上昇したため、
通常は熱帯や温帯に分布する種が進出できたのではないか

p176
人間のヘモグロビン:
酸素分子1個を結合するポリペプチド(アミノ酸が連結されて生じる物質)が4本集まった構造

ミジンコのヘモグロビン:
酸素分子1個を結合するポリペプチドが直列に2本つながったポリペプチドが、さらに
12本や16本集まった構造。

→人間の6~8倍の酸素分子を、タンパク質1個あたり結合できる。

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category: 甲殻類

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ミステリマガジン 2012年 09月号 [雑誌]  

ミステリマガジン 2012年 09月号

ミステリマガジン 2012年 09月号 [雑誌]ミステリマガジン 2012年 09月号 [雑誌]
(2012/07/25)
不明

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SHERLOCKのシーズン1、2を見終わったところ。

SHERLOCK / シャーロック [Blu-ray]SHERLOCK / シャーロック [Blu-ray]
(2012/07/06)
ベネディクト・カンバーバッチ、マーティン・フリーマン 他

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SHERLOCK/シャーロック シーズン2 [Blu-ray]SHERLOCK/シャーロック シーズン2 [Blu-ray]
(2012/10/05)
ベネディクト・カンバーバッチ、マーティン・フリーマン 他

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このシリーズは、シャーロック・ホームズが「現代」の存在だったら、という設定のドラマである。
原作を本歌取りし、かなりうまくアレンジしている。

ホームズ役のベネディクト・カンバーバッチ。
シーズン1での最初では「これがホームズぅ?」という違和感があるだろうが、
回が進むにつれ、非常にこの作品のホームズにしっくりくる。
ワトソン役のマーティン・フリーマンもしかり。
映像も凝っており、ARのような視覚効果も相まって、
非常に楽しめるシリーズである。

シーズン3は今年イギリスで放映という。
いつ日本で見られるようになるか分からないが、楽しみである。


で、本書。
表紙のとおり、本シリーズが取り上げられているので読んだ。
といっても、
主要キャストのインタビュー(下記)と、
日暮雅通氏・松坂健氏・石井千湖氏の座談会、
腹肉ツヤ子氏の漫画くらいしか、本シリーズに直結する記事はない。残念。
その他の部分は、まあいつものミステリマガジンである。ゆっくりフィクションを楽しむ心のゆとりが
今の僕にはない。残念。

【インタビュー掲載者】
ベネディクト・カンバーバッチ(シャーロック・ホームズ役)
マーティン・フリーマン(ワトソン役)
スティーヴン・モファット(脚本)
マーク・ゲイティス(脚本、マイクロフト・ホームズ役)

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category: 推理小説

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ヒマラヤの風にのって 進行がん、余命3週間の作家が伝えたかったこと  

ヒマラヤの風にのって 進行がん、余命3週間の作家が伝えたかったこと
吉村 達也

ヒマラヤの風にのって  進行がん、余命3週間の作家が伝えたかったことヒマラヤの風にのって 進行がん、余命3週間の作家が伝えたかったこと
(2012/07/31)
吉村 達也

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日本のミステリでは、乱歩、横溝、真本格あたりは読んでいるけれど、
なかなか手を出せなかった作家もいる。
本書の著者、吉村達也氏もそうである。
僕は読むなら、その著者の刊行したものは全部読みたいクチなのだが、
筆者は僕がミステリをよく読んでいた頃、すでにかなりの冊数が刊行されていて、
あまりの多作ぶりに手を出す気力がなかった。

ただ、「吉村達也」という名前だけは覚えていた。

その名前を久しぶりに見たのは、昨年の5月、
進行性胃がんのため吉村氏が逝去されたとの訃報だった。
まだまだ若いのに、とかなり驚いたのを記憶している。

その氏が、最後に残したのが本書である。病気の発見から、まさに死ぬまでの記録。
ただ、闘病記ではなく、病床記である。
読んでみると、吉村氏は自分自身の生き方をコントロールすることを常に願っており、
ついに「がんで死ぬこと」もコントロール下におくことに成功した。
そのため、吉村氏に悲観はない。

「医者が末期がん患者になってわかったこと」とは、
また違う「がん」との付き合い方である。
誰もができるものではないし、
人によったら、納得できないかもしれない。

しかし、人の生死は千差万別であり、
極めてプライベートなものである。
誰にでも通用しうる「正しい死」など無いと思う。
その点で、
自分で納得できる生き方・死に方を選び、全うし、それが家族に理解された吉村氏は、
早すぎる死ではあったが、幸福だったなと思う。


【目次】
プロローグ ぼくはすでに死んでいた
第1章 どうしてここまで放っておいたのか
第2章 超手遅れのガン患者、やっと入院する
第3章 作家が口述筆記をしてまでも伝えたかったこと
第4章 作家が自ら取材ノートにつづった入院の記録
エピローグ 妻と娘からのメッセージ

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category: 医学

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書店員が本当に売りたかった本  

書店員が本当に売りたかった本
ジュンク堂書店新宿店

書店員が本当に売りたかった本書店員が本当に売りたかった本
(2012/07/11)
ジュンク堂書店新宿店

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ジュンク堂書店新宿店が閉店するに伴い開催されたフェアにおいて、
店内に掲げられた本のPOPを集めた本。

また、新宿店閉店記録でもあり、こうした本が成立することじたい驚きである。

それだけたぶん親しまれた書店なのだろうが、
そもそもこのような大規模チェーン型書店の進出によって、
多くの「町の本屋」が記録にも残らずに消滅している。

僕は、そういう大規模店の進出によって閉店した書店を間近で見ているし、
また、現実に父が経営していた本屋も消滅した。
(その後祖父が古本屋として再開した。)

そりゃ「愛着のある書店」が消えるのは悲しいが、
閉店した理由はテナントビルの都合によるものだし、
ちょっとセンチメンタルに騒ぎすぎではないかな、と感じるのはひがみである。

さて、POP。
誰かの書評や感想を知るのは、本選びの手段のひとつとして有益である。
けれど、
これが踊りまくっている本屋は何だか雑貨屋のようであり、
僕は節操がないように感じる。

本書では、閉店フェアとして「売りたい本」を紹介している。
ざーっと見て、本選びの参考にすることもできるだろう。
そういう目論見で僕も読んだのだが、
残念ながら読みたいな、と思ったものはなかった。
これは多分に、僕の対象カテゴリと合わなかっただけである。
だって生物科学はないんだもの。

下記に目次を引用しておくので、こういうジャンルが好きな人は
参考にされたい。

【目次】
第1章 ありがとう
 ―新宿店スタッフが感謝をこめてお客様におススメしたい一冊
 売り場担当より “ありがとう"がいっぱいです。(文芸書担当・村尾啓子)
第2章 本音を言えば、この芸術書が売りたかった!!
 売り場担当より 本音を言えばこの本を売りたかった!!(芸術書担当・松岡千恵)
第3章 わたしたち、本にはいつも片想い? ―書物に対する欲望と快楽、その時代的考察
 売り場担当より 最後のラブレター(児童書担当・兼森理恵)
第4章 さようなら新宿 ―社会科学担当者が本当に売りたかった本 
 売り場担当より 20年目にして分かった手描きポップの大変さ(社会科学書担当・伊藤美保子)
第5章 2012年3月31日 ―その日を忘れない
巻末特集 すべてのお客様に、ありがとう(新宿店元店員さん座談会)
あとがきにかえて(旧新宿店店長・毛利聡)
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category: その他

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今週のまとめ(先週のまとめ)  

とりあえず先週のまとめを。今週分は、いつもどおり週末に上げることになりそうです。

新刊としては、「楽園のカンヴァス」。ダヴィンチで見かけて以降、
いつか読みたいと思っていたもの。
なかなか楽しめましたが、あと一歩という感じ。
本書のせいというよりも、 とりあえず僕は今、
あまりフィクションを心から楽しむ余裕があまりないので、
もっともっと刺激的で没入できるものが良いのです。残念。


「チャリング・クロス街84番地」は、映画(DVD)を今週見ました。
かなり忠実・丁寧に映像化していて、
心穏やかになれるものでした。こちらは満足。

鳥類関係以外を収めている本棚を整理したので、
今後は古い本も紹介してきたいと思います。


とりぱん 第14巻
 
香川県野鳥記録・研究報告集Woodpecker vol.1、vol.2

医者が末期がん患者になってわかったこと―ある脳外科医が脳腫瘍と闘った凄絶な日々

ありがとう大五郎

チャリング・クロス街84番地

楽園のカンヴァス

キラーウイルス感染症 逆襲する病原体とどう共存するか

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