ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

キラーウイルス感染症―逆襲する病原体とどう共存するか (ふたばらいふ新書)  

キラーウイルス感染症―逆襲する病原体とどう共存するか

山内 一也


久しぶりに感染症関係である。でも再読。
本書は、
エボラ、ラッサ熱、ヘンドラウイルスなどなど、
いわゆる新興感染症の解説である。
個々の章では、それぞれの感染症が発見された経緯、それをどのように特定しね対処したかという事例が詳細に綴られている。

感染症予防のためにはどうすべきか、という視点ではなく、
いったいこれら新興感染症は、そもそも「どんなものなのか」という基礎知識を得るために役立つ、
入門書的位置づけの本である。

そういう点では手軽で、かなり役立つ本なのだが、
ややセンセーショナルにすぎる表題が、
本書の内容をうまく伝えていない。
タイトル受けを狙った編集者のミスである。

この本を読んでから、
個々の新興感染症対策の本を読むと、わかりやすいと思う。

【目次】
第1章 感染症克服の幻想を打ち破った新興感染症
第2章 熱帯雨林に潜む出血熱ウイルス
第3章 アフリカの風土病:ラッサ熱
第4章 異常気象で出現したウイルス:シンノンブレウイルス
第5章 家畜が増幅するウイルス
第6章 第2のスペイン風邪?
第7章 近代畜産の副産物・狂牛病(牛海綿状脳症・BSE)
第8章 海を渡るウイルス:ウエストナイルウイルス
第9章 ウイルスとともに生きる
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category: 感染症

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楽園のカンヴァス  

楽園のカンヴァス楽園のカンヴァス
(2012/01/20)
原田 マハ

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「ダ・ヴィンチ」で紹介しており、いつか読みたいなあと思っていた。

原田マハは初めてである。

話の縦軸は、素朴派の巨匠アンリ・ルソーの大作「夢」と、全く同じ構図の知られざる作品。
横軸は、ニューヨーク近代美術館の学芸員ティム・ブラウンと、日本人研究者の早川織絵。

その「夢」に酷似する作品の真贋を判定する期間は7日間。

その背後には、ピカソとルソーという、二人の天才画家をめぐるドラマがあった。


かなり評判が良いので、ワクワクして読んだ。なるほど、なかなか楽しめる一冊である。

ただ、スレた読み手だとつい伏線とか探したりしてしまうので、
あまり推理小説とか読まない人の方が、より楽しめると思う。

逆に、いろいろ放置されたままのプロット、というか仕掛けもあって、
あれ、これはどうなったの? とかいう感じもした。

推理小説のような仕掛けの恋愛小説であり、そこが人によって評価が異なるところなのだろう。

まあ、ちょっと手を出すには十分なレベルのフィクションである。


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category: 小説

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チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本 (中公文庫)  

チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本
ヘレーン・ハンフ

チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本 (中公文庫)チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本 (中公文庫)
(1984/10/10)
不明

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1949年10月5日、ニューヨークの女性放送作家、ヘレーン・ハンフが、
ロンドン、チャリング・クロス街84番地の古書店マークス社に、
古書を注文する手紙を送った。

マークス社で対応したのは、フランク・ドエル氏。

以後20年にわたって、ヘレーン・ハンフと、
フランク・ドエル氏をはじめとするマークス社の人々の間で、
お互いを慈しみ、支え、ユーモアにあふれた交流が続く。

時代は第二次世界大戦後、イギリスは僕らの知っている豊かな国ではなく、
人々は物資の欠乏に直面している時代。

本書は、
まだ見ぬお互いを気遣いあう優しさが溢れる、
往復書簡を収録したものである。

端々に出てくる古書名は、残念ながら英語圏でない僕には馴染みのないものも多い。
しかし併せて触れられる装丁の素晴らしさや、古書としての品格は、
洋の東西を問わず、本好きにはたまらない香りが漂う。

また、手紙を送り、それに対する返答を待つ楽しみ。
僕も以前、イギリスに野鳥関係の本屋に手紙でカタログを注文し、
何回か注文(もちろん)したことがあった。
お金がないので、送本方法は船便。
注文してから手元に届くまで、3カ月くらいかかっていたような覚えがある。
しかし手元に届いた段ボール包み、
それを紐解くときの香りは、今も忘れない。

ビブリア古書堂の事件手帖」のような推理ではないが、
ああいう古書の「世界」が好きな古書好きであれば、
本書は楽しんでいただけるのではないだろうか。

再読を機に調べてみたら、映画化もされている。
こちらも評判が良いようで、
いずれ見てみたい。

チャーリング・クロス街84番地 [DVD]チャーリング・クロス街84番地 [DVD]
(2009/11/04)
アンソニー・ホプキンズ、アン・バンクロフト 他

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category: ノンフィクション

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ありがとう大五郎 (新潮文庫)  

ありがとう大五郎
大谷 淳子、大谷 英之 他

ありがとう大五郎 (新潮文庫)ありがとう大五郎 (新潮文庫)
(1997/03)
大谷 淳子、大谷 英之 他

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所有しているものは平成9年3月刊行の文庫である。
後扉に、本書は平成5年12月刊行の「ゆふいんの風 奇形猿『大五郎』がくれた人生」を再編集したもの、とある。

元の書名では明瞭だが、
本書は淡路島で保護された四肢異常(前脚は肘まで、後ろ足は付け根のみ)のニホンザルを、
あるカメラマンが保護し、大五郎と名付け、
家族とともに-というか、家族として過ごした2年4カ月の記録である。
多くの写真が挿入され、その間に著者のみでなく、ご家族(妻や娘さん)の思いが綴られている。

本書を手に取るまで全く知らなかったが、解説にあるように、日本ではかつて四肢異常のサルが頻発していた。

・四肢に異常を持つサルが初めて発見されたのは、1955年高崎山
・餌付けされた野猿公苑が増加に伴い発見も増し、解説者の調査では29/74群で異常個体を確認。
 うち餌付け群れでは、20/39群と高率で、餌付けが原因になっていることを示唆。
・全国では1970前後の10年間が最も多かったが、淡路島では現在(H9)も発生が続く。
・遺伝要因だけでは説明できない。
・寄生虫、細菌、ウイルス、輸入大豆、土壌金属は否定された。
・農薬はもしかしたら、というのが2、3あるが、否定も肯定もできない。

知らなかった。解説者はこう記す。
「多くの人々が、ニホンザルの奇形問題に関わり、そして散っていった。いつしかマスコミにも取り上げられなくなった奇形ザル問題は、人々から忘れ去られ、「風化」してしまった感さえある。」

残念ながら、本当にそう感じる。
しかし、この日本にこうした問題が存在し、多くの野生動物が被害にあっていたという事実は、
本書が明瞭に伝えている。

また、本書で大五郎を献身的に支えた著者の妻は、被爆者でもある。
その事実が、原因は違えど、
人間が「生命」に対して、形は違えど過ちを繰り返してきていることを痛感させる。

しかし、大五郎は懸命に生きた。
そして、著者の家族は、大五郎と生きた。
この事実が、人間と全ての生命の未来に、一縷の希望を与えてくれる。

分厚い本でもなく、また、高価な本でもない。
ぜひ多くの方に手に取り、こうした歴史を知っておいたほしい。

それにしても、現在の中国を見るにつけ、
あたらでも同様の悲劇が発生しているのではないか。
そんな恐れを感じる日々である。

【目次】
第1章 重度の障害を持った猿が新しい家族に加わった
第2章 三人の娘プラス一匹の息子
第3章 家族・それぞれの旅立ち
第4章 定年後、湯布院で第二の人生を始める
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category: 哺乳類

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医者が末期がん患者になってわかったこと―ある脳外科医が脳腫瘍と闘った凄絶な日々 (角川文庫)  

医者が末期がん患者になってわかったこと―ある脳外科医が脳腫瘍と闘った凄絶な日々
岩田 隆信

医者が末期がん患者になってわかったこと―ある脳外科医が脳腫瘍と闘った凄絶な日々 (角川文庫)医者が末期がん患者になってわかったこと―ある脳外科医が脳腫瘍と闘った凄絶な日々 (角川文庫)
(1999/06)
岩田 隆信

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昭和大学医学部脳神経外科助教授として、脳神経外科の最前線で活躍していた著者、岩田氏。
その岩田氏が、悪性脳腫瘍となってしまう。
本書はその病状の進行とともに、著者の考え、思いなどを、日々の日記を織り交ぜながら赤裸々に記している。

表題のとおり、医者が患者になって初めてわかったこと、
検査の段取り、入院生活、手術の影響、後遺症などが細かく綴られる。
それは自分をひとつのケースとして、後の医学に役立てたいという、
職業人である岩田氏の熱意がさせるものだ。

p122
「この日の眼科の検査では、医師が医療に対して一生懸命になればなるほど、視野が狭くなるという体験をしました。それは、自分が患者さんを診るときには意識もしないでやっていたことであり、自分自身も反省させられることとなりました。」

しかし一方、
仕事一筋に進んできた人が、患者になって初めてわかったことも綴られる。

p57
「医師として、精一杯努力してきたことになんの悔いもありません。しかし、妻と子供に対して、夫らしいこと、父親らしいことを、何もしてやれなかったことは、今の私にとっては大きな心残りだとしかいいようがないのです。」

p218
「それにしても……と思うのは、やはり人にとって、家族が一番だということです。それは、私自身、病気になって改めて感じたことでした。」


著者岩田氏は、脳神経外科の第一人者となるために、家族との時間を犠牲にして邁進してきた方である。
そのため本書前半では、その努力、苦労が、病気のために水の泡となってしまう、
仕事に復帰できなくなってしまう、という葛藤が綴られている。

しかし1回目の手術を終えたあとは、むしろご家族との関係が中心となっていく。
そのウェイトは少しずつ変化していく。
それはやはり、復帰が困難と見えた時点で「医者」としての岩田氏は一旦終了してしまうのだけれども、
「個人」としての岩田氏は、当たり前ながら最後の瞬間まで生きていくためだろう。

本書後半は3回目の手術のあととなり、口述筆記となる。
そして、一旦本書は終了する。
その後の経緯は、後書きに詳しいが、岩田氏は1998年12月、ご逝去された。
ご冥福を祈りたい。

【目次】
第1章 脳外科医が脳腫瘍になったとき
第2章 脳外科医への階段
第3章 逡巡の日々
第4章 患者になって初めてわかったこと
第5章 運命の日
第6章 回復
第7章 再発
第8章 最後の挑戦

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category: 医学

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香川県野鳥記録・研究報告集Woodpecker vol.1、vol.2  

香川県野鳥記録・研究報告集Woodpecker vol.1、vol.2
香川の野鳥を守る会

Woodpecker

手前味噌である。
本書は、筆者も関わってる香川の野鳥を守る会による、
香川県の「野鳥記録・研究報告集」。
とはいえ、調査・研究はほとんどない。
調査研究したいのだが、かなり余力がないのが実際である。今後の課題。

しかし、そんな事情に関係なく、
珍しい野鳥は時折渡来する。

そんな出会いを、「見た見た」で終わらして良いのだろうか。
個人の楽しみではそれでよいかもしれない。
しかし、そんな状況では、
本人以外の誰かが、保護や研究のために参照しようと思っても、全く詳細が分からない。

野鳥保護の基本は、やはりデータである。

珍しい野鳥のトライ記録も、やはりきちんと記録に残しておきたい。

そしてその記録とは、時間の経過に耐えうるものでなくてはならない。
その点で、Webで残す、というのは、まだまだ不安定である。
掲載者の一存で見られなくなったり、また随時の変更もありうる。

そうすると、やはり、将来のまだ見ぬ誰かが活用できるためには、
現時点では、
印刷物にして公的機関に残すことがベストである。

そこで香川の野鳥を守る会が刊行するWoodpeckerは、
国立国会図書館、県内の全図書館、関係団体に寄贈している。
ここまでしておけば、10年、20年後に誰かが使ってくれるかもしれない。
また、香川県のレッドデータブックが更新される際にも、活用しやすいと思っている。
微々たる活動だが、野鳥保護団体の一つの仕事として、今後も行っていきたい。

で、本書、まだ余部がある。
日本全国で、こうした「生物の記録を残す」ということに興味がある方、ぜひお求めいただきたい。

1冊1,000円。カラー口絵もある。
購入方法は、香川の野鳥を守る会ホームページに掲載している。
http://www5d.biglobe.ne.jp/~kogera/hogo/wp_woodpecker.htm

興味のある方は、ぜひ。

■Vol.1----------------------------------------------------
観察報告
アビGavia stellataの記録 (城戸崇雄)
オオミズナギドリCalonectris leucomelasの落鳥記録 (山本英樹、岩田篤志)
ダイサギ亜種ダイサギEgretta alba alba の記録 (遠山穎輔)
アオサギArdea cinereaのアシ原での営巣記録 (岩田篤志)
アカツクシガモTadorna ferrugineaの記録 (古市幸士)
クロガモMelanitta nigraの記録 (三橋未来)
シノリガモHistrionicus histrionicusの記録 (遠山穎輔)
カワアイサMergus merganserの記録 (城戸崇雄)
ナベヅルGrus monachaの記録 (城戸崇雄)
ヒメウズラシギCalidris bairdiiの記録 (曽根俊二)
アオシギ Gallinago solitariaの記録 (寺口耕一、安喜聖恵)
ソリハシセイタカシギRecurvirostra avosetta の記録 (三橋雅、三橋未来)
アカゲラDendrocopos majorの記録 (香川の野鳥を守る会)
コホオアカEnberiza pusillaの記録 (古市幸士)
ノジコEmberiza sulphurataの記録 (古市幸士)
ホシムクドリSturnus vulgarisの記録 (古市幸士)



■Vol.2----------------------------------------------------
■観察報告■
アカガシラサギ Ardeola bacchusの観察記録 (古市幸士、遠山穎輔)
カラシラサギ Egretta eulophotesの香川県初記録 (香川の野鳥を守る会)
アオサギArdea cinereaの人工物における営巣記録 (寺口耕一、安喜聖恵)
ヘラサギ Platalea leucorodia の観察記録 (遠山穎輔)
クロツラヘラサギ Platalea minorの観察記録 (寺口耕一)
マガンAnser albifronsの渡来記録 (香川の野鳥を守る会)
オオハクチョウCygnus cygnusの観察記録 (城戸崇雄)
メジロガモAythya nyrocaの渡来記録 (寺口耕一)
ナベヅル Grus monachaの渡来記録 (遠山穎輔)
ヘラシギEurynorhynchus pygmeusの観察記録 (遠山穎輔)
コシャクシギ Numenius minutus の観察記録 (曽根俊二)
「脚の黄色いセグロカモメ」-「ホイグリン系」カモメLarus heuglini×L.vegae? の観察記録 (岩田篤志)
ツメナガセキレイ(亜種マミジロツメナガセキレイ)Motacilla flava simillima の観察記録 (古市幸士)
ハクセキレイMotacilla albaの繁殖記録 (寺口耕一)
日本鳥学会への「セアカモズ Lanius collurioの香川県初記録」の投稿について(香川の野鳥を守る会)
ムギマキ Ficedula mugimaki の観察記録 (曽根俊二)
コホオアカEnberiza pusillaの2004年記録の誤り及び2007年の観察記録 (香川の野鳥を守る会)
ソウシチョウLeiothrix luteaの観察記録 (城戸崇雄)

■調査研究■
高松市御厩町御厩池の定点観察記録 (城戸崇雄)
香川県における野鳥関係文献の概観-「香川県野鳥関係文献目録」の作成を通して- (岩田篤志)

■重要な記録■
アカツクシガモ Tadorna ferruginea(かご抜け)
トモエガモ Anas formosa(大量渡来)
ケリ Vanellus cinereus
ユリカモメ Larus ridibundus(重油事故)
ユリカモメ Larus ridibundus(釣り糸事故)
チゴハヤブサ Falco subbuteo
セグロセキレイ Motacilla grandis(部分白化)
マミジロ Turdus sibiricus
ハシボソガラス Corvus corone(部分白化)
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category: 野鳥

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とりぱん(14) (ワイドKC)  

とりぱん
とりの なん子
【とりぱん度】★★★☆

とりぱん(14) (ワイドKC)とりぱん(14) (ワイドKC)
(2013/03/22)
とりの なん子

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お待ちかね「とりぱん」。
餌付けについては色々課題はあるが、
野鳥撮影者が餌付けしまくるのとは異なり、
個人が自宅で楽しむ程度の話に目くじら立てるつもりはない。
そういう野鳥との付き合い方はありだと思う。

で、本巻である。
さすがに14巻も続くのでなかなかマンネリ的だが、
そもそも日常ネタなので、マンネリも当然。
そういう緩さで楽しみたい。

ただ、最初の巻のようなマニアックさはやや減ったが。

ほぉそうか、と思った点。
筆者がダイサギ、アオサギを「珍しい」と認識しているところ。
香川県ではごく普通なので
やはりところ変わればだなあと実感。
むしろふらふらミソサザイやコガラがいる方が不思議。

あと、ハクセキレイによる駐車場認定。
納得である。
ハクセキって、ほんとに駐車場好きだよなあ。

15巻は2013年秋。のんびり待ちたい。
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category: 動物

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今週(先週)のまとめ  

年度末でもあり、なかなか読書の時間が確保できません。
また、あんまり集中もできず…。
マイペースで続けたいものです。

先週は、野鳥ものを中心にしました。

「鳥たちの驚異的な感覚世界」、面白いんですが、
何だか分量に比してつまみ食い的な感じがします。
個々のテーマについて、もっと掘り下げてほしかったですね。

さて、カテゴリ>ブログ一覧 に、取り上げた本の一覧を作成しました。
パラパラっと見て、本との新しい出会いに役立てていただければ幸いです。



BIRDER 2013年4月号

ベクター・ケースファイル 8~10巻

新編 邂逅の山

野鳥と木の実ハンドブック

鳥たちの驚異的な感覚世界

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category: 雑記:今週のまとめ

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鳥たちの驚異的な感覚世界  

鳥たちの驚異的な感覚世界
【まだまだ鳥の不思議は多い度】★★★☆
ティム・バークヘッド




野鳥の生活、能力を見ていくと、人間とかなり異なる能力があることに驚かされる。
というより、
野鳥という一つのグループを知るにつれ、
人間が能力的に最高だとか、人間の感覚がスタンダードだという先入観が否定される。

例えば視力のうち、色について。
人間は赤・青・緑を知覚できるが、鳥類などでは紫外線色も感知できる。
それは哺乳類が夜行性になった時に、赤と紫外線色や感知能力が退化し、
代わりに明暗を感知する能力が進化したこと、
さらに霊長類が進化する際に再び赤だけは戻ったという進化史が背景にある。
また哺乳類は紫外線色を見られないので、体色で紫外線色はないが、
紫外線色を感知できる鳥類等では、羽色や採餌等で紫外線色を活用している。
これだけでも、我々人間とは全く異なる世界を知っている、というものだ。

本書では多くの研究成果を踏まえて、鳥類の感覚がどのようなものか、
どの点が発達し、また発達していないかを説明する。
いわゆる五感について各章で整理されており、
加えて鳥類の渡りで用いられているという磁気感覚、そしてアレックス・ケースなどでも
有名な感情も別章となっている。

僕としては、鳥類の脳における左右機能分化、それに伴う左右の眼の機能分化、
そして鳥類が磁気を「見ている」という研究について、より深い説明がほしかった。

なお通して読んでみると、本書が著者独自の研究についてではなく、
多くの他の研究者の論文等を紹介するというスタイルのため、
「~らしい」「~という」とか、
「特定種では○○だ」、という説明が目立つ。
このため、紹介された話が鳥類に普遍的なものなのか否か、判断に迷うところがある。
全般的に、寄せ集め的な印象が否めないので、
本書で気になるテーマがあれば、それについて別の本等を探す方が良いだろう。


【目次】

第1章 視覚―人間には見えない世界
第2章 聴覚―さえずりの謎と反響定位
第3章 触覚―敏感なくちばしとオルガスムに達する鳥
第4章 味覚―グルメな鳥と毒を持つ鳥
第5章 嗅覚―匂いで食べ物を見つけ出す
第6章 磁気感覚―はるかなる旅路の羅針盤
第7章 感情―鳥は死を悲しむか?

【メモ】
p29
眼球の中心窩:
網膜の中心部の小さな窪み、像の鮮明さを損なう血管はなく、
光を感知する「光受容体」が一番密集している
=網膜上で像が最も明瞭に結ばれるところ
→人間は1つ、 全鳥種の1/2は中心窩が1つ
 猛禽類、モズ、ハチドリ、カワセミ、ツバメなどは2つ
 
 浅い中心窩と深い中心窩

 浅い中心窩=1つしかない鳥と同じもの、近距離用
 深い中心窩=望遠レンズのような働き、遠距離用
 
 猛禽類が頭を上下左右に動かす=浅い中心窩と深い中心窩で像を結び、
 対象を確認している

p36
 ダチョウ 体サイズのわりに小さい
 体サイズに比して眼が大きい=ワシ類、ハヤブサ類、フクロウ類


 眼が大きいほど、網膜に映る像も大きくなり、光受容体が増加するので鮮明になる

p42
鳥の眼:人間にはない「櫛状突起(ペクテン)」がある。
プリーツ状の黒ずんだ器官で、ヒダの数は3-30種
猛禽類のように視覚が発達した鳥では櫛状突起は発達
キーウィでも極めて小さいがある

櫛状突起:その影は盲点に落ちるので視野を妨げない
 後眼房に酸素などの栄養物を与えているらしい(眼球内のガス交換)

p50
 ハトなど大部分の鳥:紫外線を見る
・鳥が食べるベリー類の花は紫外線を出す
・チョウゲンボウ:ハタネズミの尿の痕跡が照り返す紫外線を感知
・ハチドリ、ホシムクドリ、オウゴンヒワ、ルリイカルの羽毛は紫外線を反射し、
 特に雄で目立つ
・ルリイカルなど:羽毛の紫外線反射率は雄の質も表す

p52
脳の左右機能分化:人間だけと思われていたが、鳥にもある
・胚発生過程で左右の眼に入る光量の違いが、両眼の役割を決定する
 孵化後1日目の家禽
  右目は近距離、左目は空中の捕食者など遠距離

セイタカシギ:雄は、左目で見た雌に対して求愛ディスプレイを行うことが多い

ハヤブサ:大きな弧を描きながら主に右目で獲物に向かっていく

p64
雄のオオライチョウ:鳴いている最中と、鳴き終えた後の数秒間、耳の開口部は皮膚の覆いで覆われる

p73
内耳で音を感知する有毛細胞:
人間は再生不可能→高周波音が加齢で聞こえなくなる
鳥類は再生可能

p74
鳥の雄のさえずり習得とさえずり方をコントロールする脳部位:
繁殖期が終わると縮み、翌春に大きくなる。
鳴禽類の聴力は、さえずりが重要な時期に最も鋭敏になる

p77
人間:両耳が離れているので、音が聞こえる時間は左右で異なる
ex)海面の冷たく乾燥した空気の中は、音は340/sec、
  よって音は両耳で0.5mm秒時間差がある。
  この時間差がなければ、音は真正面か真後ろから聞こえたと判断している。

キクイタダキなど:両耳の間が狭く、時間差がない
=時間差は35マイクロ秒未満。
よって頻繁に頭を動かし、時間差を感知したり、音量のわずかな違いを感知したりしている

p82
フクロウ類
メンフクロウの羽ばたき=1kHzという低い音
野ネズミのカサコソ音=6~9kHzという高い音

かつ、野ネズミは約3kHz未満の音にはわりあい鈍感なので、メンフクロウの音は聞き取れない

p89
人間の聴覚:音の間隔が1/10秒に近づくと低下し始める
鳥類の聴覚:音の間隔が1/10秒よりずっと短い間隔で、いろいろな音の構成要素があるので、
      聞き取れているらしい

p98
鳥類:アダラヨタカ、東南アジアのアナツバメなどは反響定位を利用している

p102
カモ類:嘴の先端を縁取るように触覚受容体がある。
触覚受容体:ヘルプスト受容体とグランドリー受容体
圧力、振動、速度、感触、痛みなど
これによって、咥えたものを感知するむことができる

嘴と足に特に集中している

p113
毛状羽:非常に敏感で、何かに触れると神経インパルスを発する

p116
嘴先端の感覚孔:
コオバシギでは嘴先端の感覚孔は前向きになっていて、その中にヘルプスト受容体がある
前向き=圧力かく乱による水のパターン感知か
他のシギ:横向きの感覚孔
横向き=振動による感知
キーウィ:
孔は前向き・横向き・後ろ向き

p122
1670年代、ヨーロッパでツバメの巣から卵を取り去る実験
→通常5卵だが、最終的に19卵
イエスズメ:4-5個→50個
ハシボソキツツキ:→71個
ただしタゲリなどでは変わらなかった

・抱卵斑が発達する種では、抱卵斑の触覚受容体が刺激されることで、
 ちょうどよい卵数で産卵を終える

p145
マガモ:
上あごと下あごに合計400個の味蕾がある
味蕾がある場所:嘴でくわえた場所と、のみ込んだ食べ物が喉に向かう時に口内で接触する場所

p146
味蕾の数
ニワトリ:約300
カモ:約400
ウズラ:60
ヨウム:300-400

大部分の鳥では、味蕾は舌の基部、口蓋、咽頭付近にある。
多くは唾液腺の近く。

・ヒト1万、ラット1265、ハムスター723

p149
ニューギニア:ズグロモリモズ:1989年に有毒であることを発見
現地名「ウォボブ」口がすぼまる程苦い皮膚を持つ鳥
毒は食べ物に由来、ジョウカイモドキ科の有毒甲虫
毒素:ホモバトラコトキシン

有毒:
ズグロモリモズ、サビイロモリモズ、クロモリモズ、カワリモリモズ、ズアオチメドリ

p157
1500年代半ば、ポルトガル領東アフリカ(現モザンビーク)
ポルトガル宣教師ジョアン・ドス・サントスの日記
教会の聖具室で蜜蝋ろうそくに火をつけると、必ず小鳥がやってきて溶けた蜜をついばむ
現地名サズー、蜜蝋を食べる鳥、和名ミツオシエ

p166
鳥類の呼吸による空気の出入り口;
外鼻孔、大部分の鳥類では嘴上部
上嘴の内側は3つの空間、最初の2つの空間で温まり、湿った吸気の一部は口から肺に流れる。
三番目の空間は嘴基部、鼻甲介(人間では呼気を温めて湿らすほか、匂いを感知)の間を通る。

鳥類では匂いの情報処理を行う脳部位は嘴基部近くにあり、「嗅球」という。
ミズナギドリ類では、1種を除き嗅球は大きい
→硫化ジメチルの匂いを感知している

硫化ジメチル:
生物由来の化合物、植物プランクトンが作り出す。オキアミなどに植物プランクトンが食われると、
やがて硫化ジメチルが発生する。海中に溶けた硫化ジメチルは、やがて大気中に気化し、
エアロゾルとなって漂う。


p170
ヒメコンドル:
天然ガスのパイプラインでのガス漏れ穴に近づく、
天然ガスには腐ったキャベツや放屁のような匂いがする物質エチルメルカプタン(別名エタンチオール)が含まれている

そこでユニオン石油会社は、天然ガスに高濃度のエチルメルカプタンを加えて、
ヒメコンドルによるガス漏れ感知に使っている


p198
オオソリハシシギ:ニュージーランドからアラスカまで、途中休むことなく11,000kmを8日で移動する

p206
鳥類を含めて動物が磁気を感知する方法の説
・電磁誘導 魚類では起こるだろうが、鳥類や他の動物には、このメカニズムに必須の鋭敏な受容体がない
・磁気を帯びた「磁鉄鉱」
 走磁性バクテリアは体内の磁鉄鉱を利用する
 ミツバチ、魚類、鳥類も微細な磁鉄鉱の結晶を持っている
 これはハトでは上嘴の鼻孔の神経終末内部にある
・特定の生化学反応を介して働く
 網膜中のタンパク質であるクリプトクロム:磁気センサーのように働くので、
 鳥類は磁気が「見える」らしい
 
 ロビンでの実験
 ケージ内での磁場変換→180度変換すると、向きも180度変わる
 左目を覆ってもかわらない
 右目を覆うと定位できなくなる
 →右目のみが磁場を感じている

 →右目に透明なコンタクトレンズを入れると定位できる
     不透明なものだと定位できない

p218
ウミガラス@スコットランド・メイ島
高密度のコロニーで繁殖し、共同体的世話を行う
が、2007年には餌のイカナゴが激減
→他の鳥の雛を攻撃する行動が頻発
翌年に食糧事情が戻ると、以前の共同体的世話に戻った

p224 動物福祉
ジェレミー・ベンサム(1748-1832)
「道徳及び立法の諸原理序説」(1789)

問題は動物が論理的に考えられるかどうかになく、苦しむかどうかにあると指摘

p229
鳥類のほとんどは動物では珍しく単婚(一夫一妻)
約1万種のうち90%以上(byデイビッド・ラック、1960年代の調査)

ただし実父確定調査では、つがい外交尾や婚外子は多い
よって現在は、浮気もある社会的単婚と、
排他的つがい関係の性的単婚を区別している。
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category: 野鳥

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野鳥と木の実ハンドブック  

野鳥と木の実ハンドブック
叶内 拓哉
【一冊あればありがたい度】★★★★

野鳥と木の実ハンドブック野鳥と木の実ハンドブック
(2006/11/07)
叶内 拓哉

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「Books of Wildbird」なんて言いながら、野鳥の本が少なくて申し訳ない。
読んだり持っている本がないんじゃなくて、
ブログを開始する前に消化したので、
書くきっかけがなかなか無いのである。

これではいけないので、少しずつ紹介したい。
とりあえずコンパクトなものから。

野鳥を見ていると、よく採餌風景に出くわす。
そんな時、この木の実は何だろう?と思うことは無いだろうか。
野鳥は種子散布の重要な役割を担っていることから、
植物と非常に関係が深い。
だから、何を食べているのかを知ることは、野鳥を深く知るためにも欠かせない。

ところが、そういう観点の資料となるとなかなか難しい。
通常の植物図鑑では、野鳥が食べない種子も紹介されることから、
かなり絞っていく作業が大変なのだ。

そこでBIRDERでお馴染み、文一総合出版のマニアック図鑑の登場である。
著者は図鑑でもおなじみ叶内氏。
ちなみに図鑑は「増補改訂新版 日本の野鳥 (山渓ハンディ図鑑)」で、
本ブログでも紹介している。
元々植木屋さんもしていたので、こういう分野は最適だろう。

本書では1ページに1~2種が取り上げられ、
木の実の写真(木についている状態)、木の実の直径、色等が図示されている。
解説では、どんな鳥が食しているかが、筆者の観察をふまえて紹介されている。

掲載種は80種くらい。
実の色によって、赤、黒、紫・黄色、茶色・白色と分類されている。

しかしサイズも手ごろで、
常にフィールドに携帯しておけば、観察も楽しくなるだろう。
本書でアタリをつけ、
フィールドで野鳥を探すというのもありかもしれない。

なかなかこの分野の類書はないので、一度入手してしまえば
長く使えるだろう。

どちらかという液果(フルーツ)が多く、
また「あれ、これ載ってないの?」という種もある。
しかし、本書収録外の野鳥と木の実の関係を見つけ出すのも、楽しいものである。
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category: 野鳥

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新版 邂逅の山 (平凡社ライブラリー)  

新版 邂逅の山 (平凡社ライブラリー)
手塚 宗求
【一度は読んでおきたい度】★★★★ 【殿堂入り】



この本を手にしたのは、もう20年ほど前になる。
まだ学生だったと思う。
帯には、「若き日の山への追憶と思慕 そして山小屋暮らしの星霜」とある。
若い頃、山屋に憧れたが、踏み出す勇気がなかった。
同時に、社会にでる直前の悶々とした状況だった。
その葛藤が、この本を手にとったような気がする。
そして一読後、どんな道であっても、しっかり歩いて行こう、という気になった。
以来、時々思い返すように読んでは、日頃の自分の生活を反省させられる。

本書は霧ヶ峰の山小屋コロボックルヒュッテの主人である、手塚氏の随想録である。

筆者は、1956年に山小屋を創設。収録された作品はその頃の話であるから、
携帯はおろか今と比べれば何もない時代の、山小屋での生活、思索の記録である。
雪に囲まれた山暮らし。
孤独。
水運び。
台風による山小屋の倒壊、
そして山小屋での子育て。

抒情的な文章と、厳しい自然と生活の記録。
真摯な、という言葉が最も似合うと思う。
ぜひ、可能なら入手して読んでみてほしい。
随筆として、また心を洗う一冊として、本当に貴重な本である。

物が溢れ、携帯電話が普及した今、もうこんな暮らしはできないだろう。
だからこそ、山好きというか、山に憧れを感じている方に、
ぜひ読んでいただきたい。

なお、僕の本は1991年初版だが、「新編」とある。
これは、本書の元となる諸作品は「アルプ」(創元社、1958-1983)に発表されたものであり、
1980年に「邂逅の山」として出版されているからだ。

ちなみに、僕の持っている版はこちら。ハードカバーで、丁寧に読める喜びがあるので、
古本になるだろうけど、本当はこちらをお勧めしたい。
邂逅の山
新編 邂逅の山

ところで、今も「ころぼっくるひゅって」はある。
http://homepage2.nifty.com/koro-1956/index.html
お時間があれば、「ヒストリー」のページをご覧いただきたい。
ここに掲載されている写真の時代が、本書の時代である。

最後になるが、
手塚氏がご存命のようなので、いつかお伺いしたいなあと夢見ていたのだが、
今日、同ホームページからブログを辿って、
手塚氏が、2012年9月12日にご逝去されたことを知った。
心からお悔やみ申し上げたい。

手塚氏の著書ら若い頃に出会うことができ、心の糧、いや、背骨になった。
直接、感謝をお伝えしたかった。
ありがとうございました。

【目次】
花のワルツ
白い風土記
一本の樅
井戸

山彦谷
山への道
平民、遠山某
山の小道具屋
風と山小屋
蓬のピッケル
海豹の皮の栞
邂逅の山
樅の森
夜の断章
時計
蓄音機
またたく灯
挽歌、白樺と水楢の木に寄す
軌跡の森
あとがき
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category: エッセイ

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ベクター・ケースファイル ―稲穂の昆虫記 (チャンピオンREDコミックス)  

ベクター・ケースファイル ―稲穂の昆虫記  8~10巻
藤見 泰高
【大団円度】★★★☆

ベクター・ケースファイル 10―稲穂の昆虫記 (チャンピオンREDコミックス)ベクター・ケースファイル 10―稲穂の昆虫記 (チャンピオンREDコミックス)
(2010/06/18)
藤見 泰高

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残っていた8~10巻を入手。(これ以前の巻のレビューはこちら)
とりあえず大団円でよかったね、というところである。

この3巻では、「ダニ・マニア」でお馴染みになったチーズコナダニ、
個人的にお馴染みの野鳥の密猟(僕はしている方じゃないですよ)が取り上げられており、ちょっと楽しかった。
野鳥の密猟については、もっと深く突っ込んでいただきたかったが、まあ本シリーズの基本は昆虫なので仕方がない。

全巻を通して、取り上げられている昆虫等については詳しく、特徴をうまく利用している。
各昆虫等の入門編としては良いかもしれない。

【各巻目次】
第1巻
Act.1 チョウバエ
Act.2 オオスズメバチ
Act.3 シロアリ
Act.4 ハネカクシ

第2巻
Act.5 ミミヒゼンダニ
Act.6 アリガタバチ
Act.7 ハエトリグモ
Act.8 ミヤイリガイ

第3巻
Act.9 ヤマトミツバチ
Act.10 タカラダニ
Act.11 ザザムシ
Act.12 ガイマイゴミムシダマシ

第4巻
Act.13 カタツムリ・マイマイカブリ
Act.14 キボシカミキリ・トビムシ
Act.15 ヤスデ
Act.16 チャバネゴキブリ

第5巻
Act.17 無菌ウジ
Act.18 フィラリア
Act.19 アルゼンチンアリ
Act.20 コオロギ・クワガタ

第6巻
Act.21 ヤマビル
Act.22 ユスリカ
Act.23 ノミバエ
Act.24 モルフォチョウ

第7巻
Act.25 トコジラミ
Act.26 カメムシ
Act.27 カシノナガキクイムシ
Act.28 キイロスズメバチ

第8巻
Act.29 ネコノミ
Act.30 アタマジラミ
Act.31 セミ
Act.32 センチュウ

第9巻
Act.33 ワモンゴキブリ
Act.34 チーズ・コナダニ、チャタテムシ
Act.35 ワクモ
Act.36 リオック

第10巻
Act.37 テントウムシ
Act.38 キラービー
Act.39 アサギマダラ
最終話 アリ
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category: 漫画

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BIRDER (バーダー) 2013年 04月号 干潟のアイドルを探せ! カワイイ・シギチ  

BIRDER (バーダー) 2013年 04月号 干潟のアイドルを探せ! カワイイ・シギチ

【資料度】★★☆☆

BIRDER (バーダー) 2013年 04月号 干潟のアイドルを探せ! カワイイ・シギチBIRDER (バーダー) 2013年 04月号 干潟のアイドルを探せ! カワイイ・シギチ
(2013/03/16)
BIRDER編集部

商品詳細を見る


シギチ特集である。
原寸20選という企画があり、でかい種は首から上しか入っていない。
正直なところ、こういう「原寸」にいかほどの意味があるのだろうか。
性差・個体差・健康状態・外気温などによってかなり大きさ・シルエットは変化するし、
雑誌でみる原寸など野外で何の役にも立たない。

一方文章ページでは、
シギ・チドリ類がバイオフィルムを採餌している話、
渡りコースの話などがある。
バイオフィルムについては、昨今良く取り上げられており、ある程度鳥の生態に注意をしている人なら聞いたことがある話題である。
また渡りコースについては、人工衛星を用いた追跡調査で確認された太平洋縦断直行コースに触れられておらず、やや古いというか、スタンダードな話であった。
双方ともに特に目新しさはない。

他には、
愛媛県西条市でイワバホオジロが観察されたという報告(1P)がある。記録が少ない種なので、写真には資料性がある。

また新連載として、「Young Guns の野鳥ラボ」なるものがある。
種だけでなく亜種や性・齢、形態だけなく生態も掘り下げるという謳い文句であるが、
1回目はトラフズクとコミミズクの識別であって、さほどびっくりするようなものではない。

3pだけであるし、詳しく掘り下げるスペースもなかったのかなと思うが、
このレベルのままであれば余り目新しい資料性はない。今後に期待である。


【目次】
特集:干潟のアイドルを探せ!カワイイ・シギチ

・BIRDER GRAPHICS[読者が撮影したカワイイ・シギチたち]
・シギチの魅力とかわいさ、再発見!  文・写真●箕輪義隆
・絶対外さない、かわいいシギチとの出会い方5か条  文・写真●箕輪義隆
・顔に注目!春のシギチ原寸20選  文●芝原達也、星野七奈 写真●江口欣照、大橋弘一、戸塚 学
・江戸の風流人に愛されたその声の魅力とは?[シギ・チドリ類の鳴き声を楽しむ] 文●松田道生
・なすびのやっぱりシギチフェチ  イラスト●富士鷹なすび
・シギ・チドリ類は干潟で何を食べているの?  文・写真●桑江朝比呂
・シギ・チドリ類はどうやって長距離を渡るの?  文・写真●守屋年史
・所変われば人気者? 海外のシギチ事情  文・写真●松井 淳、東郷なりさ イラスト●東郷なりさ
・シギ・チドリ類を美しく、そしてかわいく撮ろう!  文・写真●中野泰敬
・全国的に行われる調査・研究[シギチを見守って、保全に活かす] 文・写真●守屋年史

[ENJOY BIRDING]
・Field Report #28[シラコバトが消える!?] イラスト●水谷高英
・Young Gunsの野鳥ラボ #01[コミミズクとトラフズク] 構成●Young Guns
・鳥の形態学ノート #37[アカショウビン頭(2)] 文・イラスト●川口 敏
・私のケッサク!“鳥”写真[第13回募集 入賞作品] 写真●読者の皆さん 選評●叶内拓哉
・Bird Tracking #225[ツミ(雌成鳥)] イラスト●赤勘兵衛
・ぶらり・鳥見 散歩道[春の利根川下流域、鳥見紀行[後編](千葉県、茨城県)] 文・写真●♪鳥くん
・野鳥圖譜 #52[ヒバリ] 画・文●佐野裕彦
・どこでもバードウォッチング #16[冬の水田] 文・写真・イラスト●神戸宇孝
・伝説の翼 #16[ハト(dove)] 画●長島 充 文●斉藤ヒロコ
・唐沢流・自然観察の愉しみ方 #64[都会の霊園でバードウォッチング] 文・写真●唐沢孝一

[BIRDER NEWS]
・愛媛県西条市で観察された本土初のイワバホオジロ  文・写真●橋田晃浩 考察●五百沢日丸
・『天売島の自然観察ハンドブック』を持って出かけよう![春の天売島探訪記]
・最新のカメラや望遠鏡を体感できるイベント「CP+2013」レポート

[特別付録]
・2013年版BIRDER特選「野鳥撮影&撮影 新製品カタログ」
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category: 野鳥

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今週のまとめ  

進化論集中週間終了。
今週はとにかく、以前から気になっていた
「モルフォチョウの碧い輝き 光と色の不思議に迫る」
「眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く」
を読めたので満足です。
「眼の誕生」は、だいたいの内容はすでに知っていたので、
改めて元ネタを読んだ、という感じ。
それでも構成もうまく、なかなかワクワクして読み進めることができました。

もう1冊「モルフォチョウ-」は、
気になっていた構造色について、基礎から学べて大満足。
本当に生き物ってすごいなあと感じました。
構造色は野鳥を見ていると必ず目にするものなので、
今後も勉強していきたいものです。

ドバトとカモの構造色の知識、さっそく本日の観察会で役に立ちました。


進化とはなんだろうか (岩波ジュニア新書 (323))

雄と雌の数をめぐる不思議

モルフォチョウの碧い輝き 光と色の不思議に迫る

眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く

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category: 雑記:今週のまとめ

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眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く  

眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く
アンドリュー・パーカー
【エポック・メイキング度】★★★★



ついに本書である。
最近刊行された進化論・生命史関係の本では、かなり本書に言及されている。
生命とは何だろう? (知のトレッキング叢書)」長沼毅
モルフォチョウの碧い輝き 光と色の不思議に迫る」木下修一
バージェス頁岩の化石のように、カンブリア紀に突然の進化が進んだ、いわゆるカンブリア大爆発。
その原因は諸説あったが、本書ではタイトルにあるように
「眼」が誕生したからであると指摘する。

眼によって、生き物は視覚による捕食圧にさらされるとともに、
色彩によるコミュニケーション(交尾など)が発達した。

特にカンブリア紀には節足動物に眼が進化し、外部的には硬い外骨格と構造色を得た。

本書では、カンブリア紀の生物が構造色を持っていた証拠、
その時点で突然眼を持った三葉虫の種類が増加すること、
暗いところでは進化速度が遅いこと、
またその頃硬い外骨格を得たことなどの証拠を組み合わせて、
このシンプルかつ明快に結論を説明する。

言及された各書で指摘されているように、まさにコロンブスの卵的発想であり、
言われてみるとああそうか、という内容である。
しかし今後、生命の進化を語る上では確実にスタンダードになるだろう。

ただ本書でも、「ではなぜ眼がその時点で誕生したのか」という点については
明確な回答は示されていない。
今後の研究が待たれるが、
この点については「眼の誕生」という考える枠ができたので、今後様々な論が構築されるだろう。

なお、本書では構造色がかなり大きなウェイトを占めているが、
構造色そのものの理論等についてはあまり詳しく説明されていない。
そのため、どうして構造色が色素色より先に生じたのかや、
なぜ化石から構造色が再現できるかなどが、ちょっと分かりにくいかもしれない。

その点については、ぜひ
モルフォチョウの碧い輝き 光と色の不思議に迫る」木下修一をお読みいただきたい。
生物の不思議な世界が新たななる。

それにしても、
生物進化史のエポックメイキングな考えに、リアルタイムで出会えることはめったにない。
ありがたい話である。


【目次】
第1章 進化のビッグバン
第2章 化石に生命を吹き込む
第3章 光明
第4章 夜のとばりにつつまれて
第5章 光、時間、進化
第6章 カンブリア紀に色彩はあったか
第7章 眼の謎を読み解く
第8章 殺戮本能と眼
第9章 生命史の大疑問への解答
第10章 では、なぜ眼は生まれたのか

【メモ】
p25
動物の外部形態は、環境要因と密接に関係している。

体制は外部形態よりも多数の遺伝子の支配を受けており、一新するにはすべての遺伝子が関与する必要がある。
外部形態と異なり、体内の体制は移行途中の段階では機能しないことが多いため、徐々に構築することはできない。

・外部形態:中間的な形態でも、持ち主には利益をもたらす。
・体制(内部形態):中間的な形態では機能しない。
よって、体内の体制は環境要因の影響を受けることが少なく、収斂進化も起きない。

p28
断続平衡説
小進化(または停滞)-爆発的進化 の進化パターン

p29、59
カンブリア大爆発の本質
5億4300万年前~5億3800万年前のわずか500万年の間に、
それまで全ての動物門(海綿動物、有櫛動物、刺胞動物を除く)が
硬い殻を獲得するとともに、
蠕虫型から複雑な外部形態(表現型)をもつに至った

※p62
体内の体制の変化は、先カンブリア時代に何千万年~何億年もかけて徐々に進行。


p34
西オーストラリア州、シャーク湾内のハメリンプール:ストロマトライト

p37
単細胞生物の大きさには限界がある。→細胞の組織化(群体)によって限界をクリアした

p78
絶滅動物の色を現生種の体色から類推するほど危険なことはない

p90
昆虫の外骨格:多層構造
砂漠型:個々の層が厚くて波型=高温に耐えられる、細かい孔=乾燥防止のワックスを分泌
温帯型:平らで凸凹を欠く傾向、一番外側を除き薄い層

植物:大気中の二酸化炭素濃度が高いと気孔密度が減少、
  二酸化炭素濃度が低いと気孔密度が増加

p93
アンモナイト:古代エジプトのアモン神の頭の角に由来

p130
★自然界において意味ある色彩は、必ずカムフラージュか自己顕示のいずかが採択されている。

p133
ヨナクニサン:
紫外線下で見ると蛇の模様が強調される

p134
紫外線量は時間帯によって変化する。
・夜明けや夕暮れ時の日光にはほとんど含まれない。
・大気中をもっとも伝わりにくく、林床にはほとんど届かない。

p138
色素が視覚的効果以外の役割を果たす場合
・メラニン(黒色または褐色)=構造の強化、紫外線防御
 浅い海は紫外線が届くので黒い
 ※水深1mは、水深15mの600倍の紫外線量

p139
水深1kmまで光は届くが、波長(色)ごとに吸収率が異なる。
まず、赤、紫外線、紫が消え、
水深200mだと青一色。
よって赤い動物は、反射する赤い光がないので、隠蔽色になる。

p140
海の中層:体の上面が黒く、下が白っぽい「明暗消去型隠蔽」

p143
光は動物の体色だけでなく、形状や行動にまで影響を及ぼす。

p144
葉の上の甲虫類の多くが半円状:影を消すため
半円状になるには莫大なコストが必要だが、それほど光の刺激は強力

p150
熱帯地方の甲虫類の方が色鮮やか
=日光の明るさは温帯の2倍、それだけ鮮やかな色彩に対する淘汰圧が強く、進化が促進

p154
ダーウィン
「何か特定の目的を果たすために体色が変化している場合には必ず、
直接的ないし間接的な防御か、雌雄間の誘因のためであると、考えられる。」


「何か特定の目的を果たすために体色が変化している場合には」という前提は色素色に対するものであり、
構造色には必ず機能がある。
機能をもたない構造色を維持する余裕などない。

p158
夜になると日向と日陰が消滅することから、利用可能なニッチは減少する
=夜行性動物が少ない理由

p170
浅海=光量が多い=短い時間でたくさんの進化が促された
深海も多様性を維持することはできるが、進化速度が遅い
オオグソクムシ

p184
洞窟内でも進化速度が遅くなる

p180
魚の多層膜干渉:
様々な層ですべての光線が反射=全ての色がまざると白色または銀色(白色の方向性が強い)になる

p189
オーストラリア、ニュー・サウス・ウェールズ州奥地の峡谷、40本のウォレスマツ(恐竜の時代の針葉樹)
場所は厳密に隠されている

p194
貝虫の第一触枝、長い毛、それに生えている繊毛(ハロフォア)=回析格子による構造色

p201
電球:投入エネルギーの20%が光に、残りは熱エネルギーとして消費
生物発光:投入エネルギーのほとんどが光に変わる

p217
ウミウシ:種ごとに捕食者が異なる:体色は捕食圧に対する適応:光の淘汰圧

p220
金箔:色素色と構造色の中間、青色を除く全波長が一方向に反射される

p234
カンブリア、バージェス頁岩のカナディアとマルレラに細かい条線:
復元して模型にすると、構造色として輝いた

p243
窩眼:ピンホールカメラの原理、オウムガイ
 明るい像にするには大きな瞳孔が必要だが、鮮明にするには小さい瞳孔が必要
 オウムガイは大きな瞳孔にして、あいまいな像を見ている

反射眼:ホタテガイと近縁の二枚貝
網膜を通過して反射膜で光が反射し、それが網膜に像を結ぶ
集光能力は高いが、最初に網膜を通過するので眼としての能力は低い

カメラ眼:脊椎動物全て
レンズによって光を網膜に収束
レンズが眼の内部で形成される(不均一型)ものと、外部で形成されるもの(角膜)

p248
不均一型レンズ:水中に適しており、海生哺乳類、オタマジャクシ、タコ・イカ、淡水生巻貝などでも採用

p249
夜行性:光を逃さないために、網膜の裏側に反射膜があり、もう一度光をとらえる
ネコなど
光量が多いと無用なので、黒い色素で覆い隠される。よって黒い目になる。
カメラ眼をもつ多くの夜行性動物に共通。

p251
複眼:節足動物の特徴、甲殻類、昆虫類、カブトガニ

p256
小型動物は大型動物よりも、体のサイズの割に大きな眼をもつ
=眼の相対成長の原理

p271
カンブリア紀の脊索動物:眼がなく、見えない

眼の進化は、何度も起源があった。
カンブリア紀には節足動物で眼が進化したが、脊索動物の目の進化はまた別の時点の出来事

p273
三葉虫の複眼=方解石でできている
チョークも方解石、顆粒状なので光を散乱して白色になる(構造色)
ゆっくり形成されると大きな結晶になる
現在方解石のレンズはヒトデ類と近縁なクモヒトデ類にしかない

p280
5億4300万年前には眼をもったたくさんの種類の三葉虫が出現したが、
それ以前には1種も存在していない

p281
眼は中間段階でも機能する
(その動物にその眼の情報を処理する能力がなければ、高いランクの眼は必要ない)

p286
眼が進化するには、100万年もあれば十分

5億4400万年前から5億4300万年前までの間に、目が進化した

p296
トンボの複眼
700~100個の個眼による、
大きい部分が1、2個あり、そこが照準器になっている
1つは最上部、上空の獲物を探す
1つは前方、ロックオン

p335
飛翔力を得た鳥類は、陸上や水中にすむ動物に比較して、
カムフラージュの必要から解放された。
そのたる、鳥類の多くが求愛行動のために派手な色彩を獲得し、
視覚に訴える求愛ディスプレイを進化させた。

p349
カンブリア紀にもっとも多様化した動物門は節足動物

p362
ジョン・メイナード・スミス
「進化の方向が逆行したり変化したりするのは、たいていの場合、
そこの環境を利用する方法が変化したのを受けてのことである。」(進化の理論)

眼の出現をしのぐほどの環境の変化はなかったし、それは眼の見えない生物にとっても
大きな変化だった。
視覚を備えているのは38の動物門のうち6門にすぎないが、
全動物門の種のうち95%以上の種が眼を持っている
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category: 進化論

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モルフォチョウの碧い輝き―光と色の不思議に迫る  

モルフォチョウの碧い輝き―光と色の不思議に迫る
木下 修一
【生き物ってすごい不思議度】★★★★ 【殿堂入り】



構造色はとにかく気になっていたテーマである。
野鳥観察の案内をしていると、どうしてもカモ類やドバトの頸、
カワセミなどで構造職色の話題に入るときがある。

しかし、「あれは構造色で、色素の色じゃないんですよ」と説明しつつも、
もつと細かく、かつ正しい知識をもって説明したかった。

で、色々物色していたのだが、
僕は生物分野の構造色に興味があったので、本書を入手。

大正解である。

前半では光そのものの基礎知識からスタートし、
どのようなシステムによって構造色が発生するかが説明される。

(合間では、モルフォチョウの研究話題が挿入される。)

これによって、干渉(薄膜干渉や多層膜干渉)、回析(回析格子)などが理解できる。
若干数式があるが、すいません僕はとばしました。
でも、概念的には理解できると思われる。

そして中盤では、これらの光学知識を踏まえて、
いよいよモルフォチョウの構造色について、実際の研究過程をなぞりながら解説される。
どうして自然がこれほど微細な輝きをもちえるようになったのか、
本当に驚くばかりである。

後半では、モルフォチョウ以外の生物の構造色について説明される。
タマムシ、ハナムグリ、カモ、カワセミなど。
カモとカワセミの構造色が違うものだというのも、驚きであった。

ただ後半、コレステリック液晶、フォトニック結晶の話題がさらっと出てくるが、
もう少し細かい説明が欲しかったところ。

なお著者はブログ
「構造色事始」
http://blogs.yahoo.co.jp/kozoshoku
で、本書の内容や追加情報を紹介している。
ぜひご覧いただきたい。

そして本書の中でも言及されているアンドリュー・パーカーの「眼の誕生」、
これは本書を読んでいる方が絶対によくわかる。
未読の方は、ぜひ本書から読むことをお勧めする。

【目次】
序章 碧い輝きの誘惑
第1章 モルフォチョウってどんな蝶?
第2章 光と色の世界
第3章 碧い輝きの秘密
第4章 さまざまな構造色
第5章 まばゆさに包まれた暮らし
第6章 輝きの向こうに


【メモ】
p2
構造色 structural color,iridescence(虹色)

p22
モルフォチョウの翅の光沢は、光沢計で測るとほとんど光沢がない
モルフォチョウのツヤは光のあたる方向と関係なく、常に翅の真上から見たときに感じる

p23
物体の色:
太陽光のように様々な色を含む色が物体にあたる
特定の色の光が反射されて眼に入ったもの=色
眼に入らない光=物体に吸収される=その光エネルギーは一時的に電子のエネルギーになるが、
やがて熱エネルギーに変わる

p24
光の吸収によらない色=構造色
・光の回析や干渉によって強烈な色が生じる
・薄膜干渉、多層膜干渉、回析格子

p34
ニュートン,1704.「オプティクス」
太陽の光はプリズムによって様々な色にわかれ、プリズムによって元の光に復活する
(プリズムの屈折現象)

p35
・三原色→「光の三原色」と「色の三原色」
なぜ三原色か
→人間の目の網膜:
明暗を感知する桿体細胞、
色を検知する錐体細胞 がある
(夕方は錐体細胞が働かなくなるためモノトーン)
この錐体細胞 が、ヒトの場合赤、青、緑を検出する三種類あるため三原色

なお各錐体細胞は特定の色(ex.青)だけを感知するのではなく、
お互いに重なり合っている
→その割合で色を検知
だから逆に、他の錐体細胞が感知しない色は、少々違っても区別がつかない

p35
各錐体細胞の感知する波長の図を掲載
各色のピークの波長
青420nm
緑498nm
桿体534nm
赤564nm

補色:ある色に対して、その色を混ぜると白色になる色=補色


p40-41
光は振動する波、電磁波の一種

<振動数高い>
γ線
X線
真空紫外線 (紫外線)
近紫外線  (紫外線)
紫(可視光線)
青(可視光線)
緑(可視光線)
黄(可視光線)
橙(可視光線)
赤(可視光線)
近赤外線(赤外線)
遠赤外線(赤外線)
サブミリ波(マイクロ波)
ミリ波(マイクロ波)
センチ波(マイクロ波)
極短波(マイクロ波)
超短波(電波)
短波
中波
長波
超長波
<振動数低い>


(光速)=(波長)×(振動数)
(屈折率)=(真空中の光速)/(物質中の光速)

p44
偏光:
光の波が振動している方向
太陽の光:特定の方向に振動していないので無偏光
池の水にあたると地面に平行な方向に偏光
空が青いのは空気中の分子や水による散乱によって青い光が生じているが、
この青い光は地面に垂直な方向に偏光

光は波の一種で、進行方向に垂直に電磁場が振動している横波

波には「干渉」という性質がある

異なる位相の波が重なるとき、新しい波ができる=干渉
二つの波の位相が同じ=波の高さが高くなり、位相はずれない
二つの波の位相が180度ずれる=波が消滅する

p52
屈折率が小→大の順に物質を通過すると、その界面で反射される光は180度ずれる
屈折率が大→小の順に物質を通過すると、その界面で反射される光の位相はずれない

p61
・多層膜干渉
 膜がたくさん重なり、それぞれの界面が光を反射する
 それぞれの反射光が干渉することによって、特定の波長が強くなり、色を生じる

p67
・回析格子
 きわめて小さいスリットを光が通過するとき、平面的に伝わる部分がなくなり、
半円状に通過する波のみが生じ、それらが重なり合うことで特定の波長が強くなる

(CDなど)
 規則正しい小さい突起にあたった光が回析により広がって反射され、特定の方向に強い光を出す


p89
モルフォチョウの構造色
・鱗粉にある棚構造が、干渉によって青い光を強めて反射する。
・棚構造が細長く細切れであることによって、短軸方向では回析効果が、
 長軸方向では正反射が起こり、方向によって反射が異なる。
・棚構造が棚一段程度の大きさで乱雑になっていることによって、
 棚構造同士の干渉を防ぎ、回析スポットをつくらない。
 (単純な回析格子になっていない)
p125
・下面に赤い色素があることで、コントラストを増大させる

p144
・タマムシ(多層膜干渉)
表皮:外側から
エピクチクラ(外表皮)→多層膜
エキソクチクラ(外原表皮)
エンドクチクラ(内表皮)

このエピクチクラに20層ほどの黒い層と白い層がある多層膜構造、
層の厚さは0.2マイクロメートル=可視光の波長の半分程度=多層膜干渉

ただし、表面が細かい多角形であることで、一面的な反射をせず、
拡散光を作り出している

p145
・ハナムグリ(コレステリック液晶)
エピクチクラ(外表皮)
エキソクチクラ(外原表皮)→コレステリック液晶
エンドクチクラ(内表皮)

コレステリック液晶:
光学活性な分子が一方向に並んだ面が、深さ方向に少しずつ分子の向きを変えて
らせん構造になっている。

ハナムグリ:
光の進行方向から見て左向きなので、特に左回り円偏光という。

p147
・オオゴマダラの蛹
タテハチョウ科の蝶の蛹:金属的な輝き
金色や銀色;約70%の反射率
クチクラと体液による多層膜が250層ほど存在
多層膜の間隔は手前から少しずつ広くなり、再び狭くなる
狭いところ:短波長の光を反射
広いところ:長波長の光を反射

オオゴマダラの蛹:
金色、ただし金は反射率が90%だが、蛹は50%、
それでも金色に見えるのは青色を反射しないため
金色は周囲の風景を反射するので、隠蔽効果があると考えられる

・青魚の銀色:グアニンという結晶による反射

これら→生物反射鏡

p150
・クジャク(フォトニック結晶:ブラッグ回析)
 小羽枝が構造色、幅30マイクロメートル程度、断面は三日月形、
小羽枝の伸びる方向に向かって棒状の粒子が並ぶ
よって小羽枝の断面で見ると、円形の粒子が、正方形の格子に8~10層結晶のように並ぶ
粒子の間隔は羽根の色によって変化、

青:0.14~0.15マイクロメートル
緑:0.15マイクロメートル
黄:0.165~0.19マイクロメートル


粒子:0.7マイクロメートルほどで、メラニン顆粒
→光の波長程度の結晶=フォトニック結晶

規則正しい結晶状の粒子に光があたったとき、波長と入射角が条件を満たせば
粒子で散乱した光が干渉しあい、多層膜のように光を反射する
=ブラッグ回析

なお、拡散光を発生させるのは小羽枝の三日月状の湾曲
メラニン色素が吸収体の役目をはたし、コントラストを増強


p153
・カワセミ(網目構造による干渉と拡散光?
背中:羽枝は網目構造、0.2マイクロメートルの規則正しい方向性
→切れ切れになった多層膜がいろいろな方向に分布しているようなもの
→干渉による青色の発生と、拡散光発生の調和の結果か

光散乱:
・レイリー散乱:光の波長より細かい分子により散乱:振動数の高い光が散乱しやすい
 →空も空気分子で散乱して青い
・ミー散乱:光の波長より大きい分子により散乱:振動数の低い光が散乱しやすい

チンダルブルー:チンダル散乱よって青色が散乱したもの
チンダル散乱:液体の中のコロイド粒子による散乱:

p165-
見る方向によって色が変わる塗装の性質:フリップフロップ性
光輝材:雲母、ガラス片、酸化チタンなど薄膜干渉型の構造色

塗料の中にアルミニウム片:メタリックカラー
透明な雲母片に酸化チタンの薄膜をコーティング:界面での反射が増えるので、
白の上に塗るとホワイトパール

p173
赤色の構造色は存在しないのか?
→タマムシの腹は赤色構造色
ただし昆虫には赤色が見えないので、そもそも赤色構造色はあまり役に立たない

赤色は色素で作りやすいが、青色は作りにくい
青を出すためには黄色~赤を吸収する必要があるが、そのためには分子が長くなる。
分子が長いと作るコストも大きく、壊れやすい(褪色しやすい。)
構造色で赤や青を作るのは手間は同じ。


p182
アンドリュー・パーカー「眼の誕生」
5億1500万年前のカンブリア紀
回析格子による構造色があったことを発見
アメリカのサウスダコタの8000万年前のアンモナイト:多層膜干渉で虹色

眼による識別、色の発達、生存競争の激化、外部形態の進化、カンブリア大爆発

p183
構造色のデメリット
・回析格子型の構造色だと、どこから見ても虹色
様々な色を表現するには色素タンパク質の方が便利
→多様な色の発達
ただし、逆にこの中で構造色が目立つことになった
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category: 動物

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雄と雌の数をめぐる不思議 (中公文庫)  

雄と雌の数をめぐる不思議 (中公文庫)
長谷川 真理子
【性比だけでもこんなに深いとは】★★★

雄と雌の数をめぐる不思議 (中公文庫)雄と雌の数をめぐる不思議 (中公文庫)
(2001/11)
長谷川 真理子

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雄と雌の数をめぐる不思議

進化とはなんだろうか」に続き、もうちょっと雄・雌論を深く学びたく読む。

本当は一夫一妻制とか一夫多妻制の発達について知りたいのだが、
本書では、雄・雌比について焦点があてられている。

中心的に説明されている
・局所的配偶競争
・局所的資源競争
・局所的資源拡充
である。もう少し事例が多いほうがよくわかる、と感じた。

例えばセグロセキレイでは、雌は自分の娘を縄張りから追い出すのだが、
これは局所的資源競争を回避するために娘を追い出している、と解釈すればよいのだろうか?
そうすると、これによって生じる出生性比はどのようになるのだろうか?

まあこういう疑問を持つ視点が得られただけでもありがたい。

後半はヒトの性比にかかる話題である。やや社会的話題に踏み込んでいくので、
まあ大きく性比の問題としては妥当なのだろうが、
かなり他の生物種とは異質な問題である。
ここまでの論の延長上で読むには、ちょっと違和感を感じた。


【目次】
第1章 世の中に雄と雌がいるわけ―性の起源
第2章 どのように雄になるのか、雌になるのか―性の決定機構
第3章 性比も遺伝子で進化する
第4章 性比の偏りとさまざまな競争
・局所的配偶競争
・局所的資源競争
・局所的資源拡充
第5章 哺乳類の性比の偏り
・配偶競争と資源競争
・育ちで得をするのは娘か、息子か-霊長類の性比をめぐる論争
第6章 息子がいいか娘がいいか―ヒトの性比と子育ての性差別
・ヒトの性比に偏りはあるか
・子育てにおける女児差別
・戦前日本における女児差別
・男の子に対する差別
・文化の支配と文化的適応

【メモ】
p14
・至近要因
 雄と雌の数を決めている直接的なメカニズムは何か
・究極要因
 なぜそのような数になっているのか

p39
哺乳類 雌=XX、雄XY
鳥類  雌=ZW、雄ZZ
爬虫類、両生類、魚類等では、ばらばら。

なお、二つの性染色体で決まる中でも、2つの種類がある
X0やXXYのとき

ヒトなど 雄 XY、XXY : 雌 XX、X0
→Yがあれば雄→Y優性型

ツェツェバエ  雄 XY、X0 : 雌 XX、XXY
→Xが1つなら雄、2つなら雌→X劣性型

p44
発生時の性決定機構:温度、栄養など環境要因による生物も多い

環境要因による性決定機構が出現するとき
・受精卵がどのような場所で孵化するかがランダム
・その場所の環境要因にかなりの変動がある
・その環境要因によって孵化後の個体の成長が影響を受ける
・雄の子と雌の子で、その影響の受け方が異なる

p55
進化:小規模での遺伝子頻度の変化もある=小進化
ヒトのABO遺伝子
ブラジルのマット・グロッソ州のインディオ、シャバンテ族=100%がO型

進化は集団に起きる変化であって、個体には起こらない
遺伝子頻度の変化ではない変化は、進化とは関係ない

p56
特定地域の集団において、最初の母体となった集団の遺伝子頻度の偏りによる違い
=創設者効果

p62
生物は、
・生き残るものよりも多くの子が生まれ、
・個体間に変異があり、
・変異の中には、生存に影響を与えるものがあり、
・それが遺伝子に基づく
のであれば、
時間とともに、集団中の遺伝子頻度は変化していく。

何が有利か不利かを決めている特定の環境要因=淘汰要因、淘汰圧

p69
・群淘汰の誤り
 進化が種や集団の利益のために起こるとする考え方

p73
雄と雌の性比
・第一次性比:受精のとき
・第二次性比:出生のとき → ここを第一次性比と呼ぶときもある=出生比
・第三次性比:生まれた後の様々な段階

p77
性比を偏らせる遺伝子は、極端な性比の偏りがあるときは有利になるが、必ず数の少ない方の性を産むことが有利となる。その蓄積は、その有利さを薄めていくため、自然淘汰により、性比1:1になっていく。
=フィッシャーの理論
前提:
・十分に大きな集団
・交配がランダム
・雄の子と雌の子に対する親の投資量が同じとき


p94
・局所的配偶競争
配偶が局所的に限定され、兄弟姉妹間で配偶者をめぐる競争が起こる状況
※フィッシャーの理論の前提と異なる
性比が極端に偏る

・局所的資源競争
 母親が一方の性の子と資源をめぐって競争するような状況
 (たとえば、雄は遠くに分散するが、雌が親の近くにとどまる場合など。)
 →母親は、競争の少ない方の性を多く生むようになる

・40種近くの鳥類の性比調査(ジョージア州のパット・コワティ)
 多くの鳥の性比は1:1に近いが、

スズメ、メジロ、シジユウカラ、ホオジロなどスズメ目のほとんど
 =雄が親の近くにとどまり、雌がより遠くへ去る
 =雌に偏る
 例えば、カササギ、ミヤマガラス、シジュウカラ、ホシムクドリ

ガンカモ類
 =雄が遠くに飛び去る
 =雄に偏る
 例えばマガモ、オナガガモ、アメリカホシハジロ、オオホシハジロなど

p116
・局所的資源拡充
 親元に残る子がヘルパーとなる場合、親と局所的資源競争は起こらず、
 むしろ繁殖に有利になる
 →そちらの性を多く生む

そのあたりに資源が十分にあり、局所的資源競争が働かないか、きわめて弱い場合には、
ヘルパーを持つ利益の方が大きくなり、局所的資源拡充が可能になると考えられる
ex)セイシェルヤブセンニュウ

p127
・トリヴァース=ウィラードの仮説
 1973年発表、そのあと20年以上議論を沸かせる仮説
(1)繁殖のチャンスをめぐる競争が、レスリングや角突き、殴り合い・噛み合いなどのタイプの闘争なら、体の大きい雄が、小さい雌よりずっと有利になる。
(2)母親自身が順位が高くて栄養条件がよければ、大きい子を産め、ミルクもたくさん与えられる。
(3)そのように育てられれば、条件の良い母親の子は、離乳の時点でそうでない母親の子よりも大きく育っている。
(4)その時点の差は以降の成長にも影響し、大きい子は大きい個体に育つ。
(5)以上の(1)から(4)は、雄の子にも雌の子にもあてはまるが、雌は配偶相手をめぐって雌同士で戦わないので、体の大きさは繁殖成功度に影響しない。
よって、これらの条件が満たされているとき、
順位が高くて栄養条件の良い母は雄を生むべきで、そうでない母は雌を生むべき。

→この仮説は、ラム島のアカシカ(1980年代はじめ)でほとんど完全な検証がなされた。
ただしこれが成立するためには、いろいろな仮定や条件が揃う必要がある。

p178
ヒトの出生性比 平均男105~106:女100
受精時にはもっと男に偏っている
歴史的に男の死亡率がずっと高く、そのためこうした比になっている

ただし中絶は女児に偏っている
男尊女卑、家父長制、稼ぎ手などの社会的な要因→男の「価値」が上回る社会
インド、カースト制度
北西インドの特定の部族で極端な女児殺し、19世紀(初めて知られたのは1789年)、
自分より低いカーストから妻を迎える方が望ましいという風潮
また、自分より高いカーストの女性を妻にするのは非常に良くない
→最高カーストの女性は結婚が困難→家の存続に価値がない→中絶

イギリスは1802年に子殺し禁止法を作ったが、なかなか守られず、子殺し禁止のキャンペーンは50年以上続ける必要があった
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category: 進化論

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進化とはなんだろうか (岩波ジュニア新書 (323))  

進化とはなんだろうか (岩波ジュニア新書 (323))
長谷川 眞理子
【進化論入門に適している度】★★★

進化とはなんだろうか (岩波ジュニア新書 (323))進化とはなんだろうか (岩波ジュニア新書 (323))
(1999/06/21)
長谷川 眞理子

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著者には「生き物をめぐる4つの「なぜ」 (集英社新書)」という本もある。
そちらは読んでいた。
僕は野鳥屋なので、なぜ一夫一妻や一夫多妻が
成立するのかが疑問だったのだが、
同書でその点がモデル的に説明されており、なかなか興味深かった。

その著者による、進化一般に関する本である。
自然淘汰、適応、「種」とは何か、という話から始まり、
最終的には著者のメインフィールドである雄・雌論に入って行く。

前半は基本的な概論だが、かなりわかりやすい。
多くの重要な概念が、コンパクトに説明されている。

一方、第9章の雄・雌論では、なぜ有性生殖が発達したのかという点から始まり、
繁殖速度や同性間の競争など、雄・雌論の基本的な考え方が説明される。

全般的に、形態的な進化や、内部構造の進化などはターゲットに入っていないので、
その点ではやや物足りないだろう。
また、ゲーム理論もかなりのあっさりしていて、この本だけではよく分からないと思う。

しかし雄・雌論の入門書としては、かなり有用である。
この本に続けて、よりテーマを絞った
「雄と雌の数をめぐる不思議」を読んだが、順番としてはこれが正解と思われる。

それにしても、これが岩波「ジュニア」新書である。
どういう読書(学習)遍歴のある「ジュニア」を想定しているのか、教えてほしいものである。


【目次】
第1章 生物の多様性と適応 
第2章 生命の長い鎖
第3章 自然淘汰と適応
第4章 変異の性質と淘汰の種類
第5章 新しい種の誕生
第6章 進化的軍拡競争と共進化
第7章 最適化の理論
第8章 頻度依存による自然淘汰 
第9章 雄と雌はなぜ違う?
第10章 進化の考えがたどった道



【メモ】
p5
南フランスの洞窟 ここだけに生活する甲虫がいるが、この甲虫の硬い後部の羽根にしか生えない菌類がいる

p5
カリフォルニアのハエPsilopa petrolei
卵が原油の中に産み落とされ、石油を食べて成長する。

p7
インドガンAnser indicus
ヒマラヤの上空9000mを通過する
赤血球の中のヘモグロビンの遺伝子に変化、
他のガンカモ類はプロリンというアミノ酸だが、アラニンに変化。これにより酸素を吸入する効率が高くなっている

p29
地球上の生命
・DNAの塩基配列が指定するアミノ酸=全生物に共通
・アミノ酸からタンパク質を合成、この高分子は分子の並べ方に二通りあり、
 同じものでも鏡像関係にある2通りができる。
 D型…偏光を右に反射し、L型…偏光を左に反射
 自然状態で高分子をつくると、半々できる。
 しかしどの生物も、DNAを作る糖はD型で、アミノ酸はL型。
→誕生が1回しかなかったことを示唆

p34
オーストラリアにウサギ導入1875年、24頭
6年後には2万頭に増加
ただしこうした指数的な増加は、栄養不足、病気増加などでいずれ止まる

p35
・コンテスト型競争
 実際に個体が出会い、資源を巡り競争を行う
・スクランブル型競争
 直接戦わなくても、限られた資源を取り合うなどで競争

p58
DNAの突然変異
・点突然変異
 DNAの3つの文字の1文字が変わる ex)AAA→AAC
 1文字追加、1文字欠落、1文字置換など

突然変異が生き物の適応度にほとんど影響を及ぼさない場合、
ある性質について、複数のタイプが共存することになる=多型
ヒトのABO型血液=典型的な多型

p65
減数分裂時、親のDNAを単純に半分にしているのではなく、組み換えされて新しく作られている
よって同じ親の子でも、個体によって様々な遺伝子を持つ

p65-
・安定化淘汰
・方向性淘汰
・分断淘汰

p70
木村資生(1924-94)、分子進化の中立説
※「生物進化を考える」http://birdbookreading.blog.fc2.com/blog-entry-35.html参照のこと

遺伝子に生じる変異が中立であれば、淘汰によって増減しないので、
そうした変異がどれだけ積み重なるかは確立の問題になる=分子時計

p75
ヘモグロビン α鎖とβ鎖からなる
はるか昔に1本のヘモグロビンだったのが、遺伝子の重複により2本作られるようになった
最初は正確に同じものだったが、中立的な変化が蓄積
その結果、各種の持っているα鎖とβ鎖は同じものではなく、アミノ酸にいくつもの違いがある

p81
・形態的種
 シジュウカラとヤマガラのように、外見的特徴によって区分
・生物学的種
 繁殖隔離の有無
 ただし無性生殖や、実際には交配できる種もある
・認識的種
 「互いに繁殖可能な相手と認識している個体の集まり」
・進化的種
 A----A'
|--B
 と分岐したときに、A=A'か?
分岐分類学では、違うものが出てきた分岐と分岐の間を種とするので、A≠A'となる。
 賛否両論がある。

p89
・輪状種
 生息地の微妙な変化の積み重ねによって、分布の両端は交配できない種になる
 この両端の種が出会い、全体で輪状に分布しているもの
 ex)セグロカモメ

p91
・異所的種分化
 地理な障壁によって、二つの集団が隔離され、別種になること

P97
アフリカ・ビクトリア湖:約1万2400年前に、数千年にわたって干上がっていた
ここに現在、300種以上のシクリッドがいる
遺伝研究でも、単一系統から種分化したと考えられている
=約1万2000年間に急速に種分化した

p106
・共進化
 生物が互いに影響を及ぼしながら、ともに相手あっての適応をとげていくこと
・進化的軍拡競争
 共進化が両者にとって最適のところで止まらず、
 片方が相手を出し抜くことが繰り返し、止めどなく進化が起きること

p112
モンシロチョウの仲間
 キャベツに含まれているアルカロイド(カラシ油)の仲間を分解できる
 しかしパセリやニンジンは食べられない。
キアゲハ
 パセリやニンジンなどセリ科に含まれるアニソールを分解できる
アゲハ
 柑橘類の葉に含まれるアルカロイドだけを分解できる

p116
・鳥媒花
 虫媒花よりも多くの蜜、匂いがない、色は赤や黄色、
 たいてい筒状に長い
 →鳥との間に共進化が起こる

p121
 モーリシャス島のドードーと、タンバロコックの木(アカテツ科)
 ドードーの絶滅により、ドードーに食われることで種子散布していたタンバロコックも
 新しい分散がなくなった


※絶滅鳥ドードーの適応 アニマ1978.2(59)p90
1681 ドードー(モーリシャス島)絶滅
1973 S.テンプル 原生林の中にカルバリア(Calvaria major)を13本しか確認できず
全て樹齢300年以上。ドードー絶滅も300年前
カルバリア 種子→そのまま地上に落ちても発芽しない厚い皮
1977 テンプルの仮説(Science,97,1977) ドードーの砂嚢で表皮が削り取られ発芽する
実験)シチメンチョウにカルバリアの種子17個を与える→3個が発芽


p131
・最適採食戦略
 パッチ状に餌が分布しており、鳥は一つのパッチで採食し、ある程度時間がたつと別のパッチに移動
あるパッチにx時間いたときの餌獲得量をg(x)とすると、g(x)は上に凸の曲線になる
別のパッチに移動するのに時間Tがかかるとすると、
餌取りに使う時間(T+x)に対して、餌の量g(x)が最大になる時間配分が最適となる。

p139
オックスフォードのワイタムの森に住むシジュウカラの一腹卵数
=8~9個

人工的に卵を追加しても孵化させたので、9個以上でも育てる能力はある
→1つの巣にいるヒナの数は、多すぎても少なすぎても生存率が下がる
ただし実際に最適な数にすると、親鳥の負担が増大し、親鳥自身の生存率が下がる
よって少し最適値より少ない卵の数になっている

p143
生き物は「最適」という状態が一つに決まり、自然淘汰によりその状態になっていく
しかしいつも「一つ」とは限らない。
他の個体が何をしているかによつて最適が変化する場合がある。
=頻度依存の淘汰

p152
タカ-ハトゲーム
純粋戦略 1つの戦略で進化的に安定になる場合
混合戦略 2つ以上の戦略で最適になる場合

p162
・性比
交配が兄弟姉妹間で行われる場合(イチジクコバチ、シラミダニの仲間の一種、ホコリダニの仲間の一種など)
なるべく多く雌を生み、雄は受精が保証される最低限の数だけ生むこと良い
→極端に性比が雌に偏る

p166
ギンブナ 全て雌
卵の発生には精子が必要(受精せず、精子による刺激のみが必要)
他の種類のフナと交尾し、その精子を使って卵に刺激を与えるが、その精子は捨て、
最終的にギンブナの未受精卵から子が発生する

p171
有性生殖のメリット=赤の女王仮説
寄生者対策として、親の代で突破された防御の壁を、有性生殖による遺伝子の組み換えによりリセットする

p178
雄と雌=潜在的な繁殖速度が異なる
雄:小さい精子を作る=短時間
雌:大きい卵子を作る=長時間
よって個体数は等しくても、実際に繁殖可能な数は雌の方が少ない(実効性比)
→雄が競争することになる

卵を外に出す種の場合、雄のみ、雌のみ、雄&雌 が子育てするかによって、実効性比は変わる

ex)タマシギ
雄が抱卵し、育雛>雌が卵を準備する時間
→雌が競争

p184
体のサイズ
いくつかの霊長類では、最適なサイズは雌の大きさで、雄は不必要に大きい=競争のため

タマシギ=雌の方が大きい
アカエリヒレアシシギ=雌が戦うが、雌の蹴爪が非常に大きく発達

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category: 進化論

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今週のまとめ  

暖かくなってきました。
録画していた「美の壺」のテーマが貝殻。
(番組紹介はこちら。)

そこで久しぶりに貝殻を拾いに行こうかな、と思ったのですが、
残念ながら雨。
またいつか行きたいものです。

さて、今週は以下の4冊。
タネが危ない」はメモを取りたかったので再読です。
固定種専門のタネ屋さんならではの話ですし、
手塚治虫氏のエピソードもたくさんあります。


しかし何といっても、やはりマイナー生物である
シロアリ 女王様、その手がありましたか!」。
本種にはマイナスイメージしかなかったのですが、
なかなか興味深い生態です。
生き物の進化って、ほんとうにすごいですね。


タネが危ない

シロアリ 女王様、その手がありましたか!

サボり上手な動物たち 海の中から新発見!

生命とは何だろう? 長沼毅

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category: 雑記:今週のまとめ

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タネが危ない  

タネが危ない
野口 勲
【タネがどころか、人類の農業が危ない度】★★★★

タネが危ないタネが危ない
(2011/09/06)
野口 勲

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野口氏は、固定種専門のタネ屋、野口種苗研究所  の方。
家庭菜園雑誌とかでもおなじみである。

F1種の席捲というのは知っていたが、そこにどんな危険があるのか。
固定種にこだわってきた野口氏ならではの視点による解説が、本書である。

また驚きだっのが、野口氏が虫プロの雑誌編集者として、手塚治虫氏を担当していたということ。
本書の前半では野口氏の半生記が語られるが、そこで手塚氏との話が多く出てくる。
かなり貴重な話題であり、面白い。

さて本書では、

・F1種を得るための雄性不稔
・蜂群崩壊症候群
・遺伝子組み換え技術

これらが、ミトコンドリア異常の話を縦軸に、手塚治虫氏の思想を横軸に語られる。
なかなかこんな書物はないだろう。

家庭菜園をしている方、自家採取の興味がある方、そして日々の食事の野菜にちょっとでも関心がある方は、
ぜひお読みいただきたい。

なお、本書でも触れられているが、
蜂群崩壊症候群、いわゆるCCDについては、
ハチはなぜ大量死したのか」ローワン・ジェイコブセンが詳しい。

同書では、ミトコンドリア異常という観点はあまりなかったと思う。また読み直したいとところだ。

なお本書によって、F1種を得るためにも、ミツバチが活用されていることを初めて知った。
CCDが蔓延したら、本当に世界の農業は崩壊してしまうだろう。



【目次】
第1章 タネ屋三代目、手塚慢画担当に
第2章 すべてはミトコンドリアの釆配
第3章 消えゆく固定種 席巻するF1
第4章 F1はこうして作られる
第5章 ミツバチはなぜ消えたのか

【メモ】
p15
~S30年代:固定種の需要も多い
S40年代~:F1の時代

p18
江戸中期
タネ屋の集落が東京北区の滝野川にできた
現在の「みかど協和」の越後家、「東京種苗」の榎本家、「日本農林社」の鈴木家などの先祖
明治維新以後、外国の種苗取引、「横浜植木」「サカタのタネ」
国内の流通が活発になり、全国に販売網を持つ会社 京都の「タキイ種苗」、群馬の「カネコ種苗」、宮城の「渡辺採種場」

野口種苗園:蚕種の販売所兼野菜種子販売、1929創業

p19
終戦直後:タネは配給制で粗悪
いったん配給本部に集められ、そこで良いタネをとって古いタネを混入し、
また各段階を経て配給していくため、末端のタネ屋には粗悪なタネがきていた

p21
第1回SF大会の記念写真
手塚治虫、平井和正、半村良、石ノ森章太郎、星新一ら

p23
筆者:虫プロ、児童向け会報誌「鉄腕アトムクラブ」や月刊マンガ雑誌「COM」の編集、
「火の鳥」の初代担当編集者

p24
採用時の手塚治虫との会話

p35
菜っ葉は東アジアにしかない。
ヨーロッパのカトリック社会では、食べ物にも階級があり
神に近い空を飛ぶ鳥は高級素材。
その次は地上の果物。
次が野山の獣。
次に地上の葉
最下層が土から抜くカブや大根、悪魔や家畜、奴隷の食べ物。
ヨーロッパはカブから生まれた菜っ葉類はない。

ヨーロッパで土の中の作物が普及するのは、ルターの宗教改革の時代、
プロテスタントのドイツなどでジャガイモが食べられるようになってから。

p50
ミトコンドリア遺伝子が母系遺伝である理由として、古くから
受精の際に精子の核だけが注入され、
鞭毛の根元の部分にあるミトコンドリアは入らないから、とされていたが、
実際は異なる。

たとえば哺乳類の場合、卵子内のミトコンドリアは約10万個、精子内のは約1000個。
この数少ない精子のミトコンドリアは卵子の中に入るとすぐ分解されてしまう。
なぜ分解されるかは不明。

p59
東京農業大学の湯浅浩史氏
人類が最初に栽培したのはひょうたんではないか

日本の青森の遺跡からひょうたんが出土(約9000年前)
ひょうたんはアフリカ原産、
つまり人類はアフリカから出るときに、ひょうたんを持って出ていた?

p61
ひょうたんの「ひょうたん型」劣性、くびれのない「夕顔型」優性

p63
メンデルはドミナント(子供を支配する性質)とレセッシブに分けた。
優劣ではない。

p64
純粋な日本人と純粋な白人が結婚すると、一代目は必ず日本人の形質が出る。
純粋な日本人と純粋な黒人が結婚すると、一代目は必ず黒人の形質が出る。

p68
固定種の時代は、八百屋では一貫目いくらとか、1kgいくらとか、重さで売っていた。
現在は1個単位で価格がつくので、揃っているF1が売れる。

p73
販売用の野菜タネのほとんどをF1にしたのは日本くらい
フランス:7~8割が固定種

p76
大根:首が上に出る大根と、下に潜る大根がある。
耕土が深くて寒いところは下に潜る系統が適し、
耕土が浅くて暖かい土地だと、上に伸びる系統が適している。

p78
秋の新タネが小売店に並ぶものは、例年早くて6月下旬、多くは7月。
タネの成熟が成夏にかかるタマネギは8月以降。
これ以前に店頭に並んでいる秋野菜のタネは、100%古い種子。

タネは、温度と湿度が低くて一定であれば、発芽力はそんなに落ちない。
しかし高温多湿だと呼吸量が多くなり、発芽力が落ちる。

p84
キュウリ:
昔のキュウリ
イボが黒い「華南型」、半白タイプ
明治以後、日清・日露戦争を経て入った=全体が青い「華北型」
現在:F1のブルームレス

p94
野菜指定産地制度を含む野菜生産出荷安定法:モノカルチャー農業の元凶

p106
私たちが食べている野菜のタネを作る過程はブラックボックス。
種苗メーカーは製造過程の秘密を決して明かさない。

p108
スイカ
日本のスイカのもと:奈良県大和地方「旭大和」
 皮に縞がない、皮が弱く割れやすい、甘い
外国の西瓜
 縞があり大きい、固定種としてはまずい、皮が硬い
これらの交配によって、
日本のスイカは全て縞のあるスイカになった

p109
F1の作り方
1:自家不和合性:
 菜の花のようなアブラナ科:自分の花粉ではタネがつかず、他の株の花粉でないとつかない。
 しかし、つぼみの段階ではつく。
 よって、つぼみをピンセットで開き、自分の花粉で受精させる

2:雄性不稔:
 植物の葯やおしべが退化し、花粉が機能的に不完全になること。

p119
 雄性不稔:母親株から子供に引き継がれる
 =ミトコンドリア遺伝子の異常:
 ミトコンドリアは母系遺伝


p132
ミツバチがいなくなる蜂群崩壊症候群CCD:Colony Collapse Disorder

p134
ミツバチが受粉に使われている農作物
牧草のアルファルファ、リンゴ、アーモンド、柑橘類、玉ネギ、ニンジン
果実収穫のためのミツバチ受粉のほか、
F1のタネ採りのためにミツバチ利用

ex.)玉ネギ
花粉の出ない雌株の系統(雄性不稔)+花粉の出雄株の系統
→F1

p137
ミツバチ:雄性不稔の花の蜜を集める

日本:巣に帰る途中で落ち、ベロを出したまま死ぬ=ネオニコチノイド農薬によるもの
外国:CCD:突然いなくなるのでネオニコチノイドとは考えにくい
(「ハチはなぜ大量死したか」に言及)

筆者の仮説:
1940年代:雄性不稔からF1を得るため、ミツバチの活用開始
雄性不稔(ミトコンドリア異常)の密・花粉収集→ローヤルゼリー→次世代の女王育成
新コロニー(女王蜂の遺伝子)
同じ畑で雄性不稔F1種子のための使われることの繰り返し=ミトコンドリア異常の蓄積
無精子症のオスバチの発生
コロニーの崩壊

仮説が正しいか否かは別として、
現在世の中の野菜だけでなく、ハイブリッドライス(米)、砂糖の原料のテンサイ、
ヒマワリ、スギ、あらゆる植物がF1化=雄性不稔化=ミトコンドリア異常 になりつつある。

p145
砂糖の原料のテンサイ(甜菜、砂糖大根、シュガービート):
日本の砂糖の2割が沖縄のサトウキビ、8割は北海道のテンサイ:全てF1
世界に普及しているテンサイのハイブリッド種は、すべて細胞質雄性不稔株(アメリカ、育種家のオーエンが50年以上前にUS1品種で発見した変異株)に由来する

テンサイ:絞り汁は砂糖、絞りかすの繊維質は食物繊維入りの清涼飲料水やインスタントラーメンのつなぎ
知らないうちにF1のテンサイ細胞を食べている

p147
ハイブリッドライス(米)
中国:雄性不稔のF1米が58%(インディカ80%、ジャポニカ3%)
アメリカ:39%
日本:1%弱

F1のタネ:1代限り食べられるが子孫は育たない
日本「みつひかり」三井化学アグロ

P149
F1でなく放射線照射による品種改良:タキイ「サラダごぼう」
納豆のコスズ、スズヒメなど


p150
雄性不稔によるF1:本来、近縁の植物が持っていた遺伝子の導入
遺伝子組み換え:細菌、カビ、ウイルスなど、まったく関係のない遺伝子の導入

p152
バラ:根頭癌種病菌:アグロバクテリウム(日本のどこの土にもいる土壌細菌)
細菌:大元の遺伝子は渡さないが、プラスミドという環状の遺伝子を交換
除草剤に強いプラスミド交換=耐性の獲得
アグロバクテリウムは、植物に入るとプラスミドからできた遺伝子を植物の細胞の核に渡す
植物はそれを核の遺伝子に取り込む
癌細胞のように増殖し、やがて枯れる

アグロバクテリウムの遺伝子がなぜ細胞に入れるかは未解明
プラスミド遺伝子→遺伝子組み換えに応用

p153
現在封印されている遺伝組み換え特許の技術:ターミネーター・テクノロジー
米国特許572376号
「遺伝子操作により、タネの次世代以降の発芽を抑える技術で、農家による自家採取を不可能にする」
=タネを特定の会社からしか購入できない社会を形成
自殺遺伝子
この遺伝子が入った種子は、発芽と同時に毒素を形成して死んでしまう

ミズーリ州の綿花種子会社デルタ&パイン・ランドが開発、ミズーリ州農務省と共同特許、
1999年モンサントに買収される
しかし一社による農業支配に通じると反対され、モンサントは開発計画を凍結

p161
「食べた物は全て低分子のアミノ酸に分解され、それが細胞に再配分され、高分子のたんぱく質に組み立てられる。遺伝子も高分子のタンパク質なので、低分子のアミノ酸に分解される。よって遺伝子組み換えした植物を食べても問題はない」
フランシス・クリックのセントラルドグマ、分子生物学の基本原則

ただしBSE(牛海綿状脳症)では、プリオン(タンパク質)が原因
タンパク質がアミノ酸に分解されるのなら問題ないはずだが、感染した
→まだまだ遺伝子の働き、人間が食べる食べ物の影響はわからないことが多い


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サボり上手な動物たち――海の中から新発見! (岩波科学ライブラリー)  

サボり上手な動物たち――海の中から新発見! (岩波科学ライブラリー)
佐藤 克文、森阪 匡通 他
【動物目線の写真がもっと見たい度】★★★★



著者の一人、佐藤克文氏はバイオロギングによる研究者である。
いくつか著書を読んだことがあり、

ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ―ハイテク海洋動物学への招待

巨大翼竜は飛べたのか-スケールと行動の動物学 (平凡社新書)


本書もバイオロギングネタでろう、であればまあ極端なハズレじゃないだろう、と考え読む。

バイオロギングは全てのデータを取ることであり、
それによって、動物の休息など、普通の観察では注目しない行動がわかる。
といいつつ、あまり「休息」に着目した話は少ない。

やはりバイオロギングで、こんなことわかりましたよ、という事実が続く。
ただ前著と異なり、かなり動物に装着したカメラの映像が収録されており、
動物からの目線を見ることができ、貴重である。

なお、本書の裏テーマは次の文章であろう。
「当然のことながら、その研究者が調べたいと思っている行動やイベントの回数が記録される。
一方で、着目点から外れる行動やイベントは、目に入っていても印象に残らず、結果的に記録に残らない。
人間の目というのは、観察者が思っている以上にバイアスがかかっている。」

同感である。
そしてさらに、人間の思考も、当人の知見によってかなりバイアスがかかり、
例えばある種の増減も、つい知っている範囲で原因を決めがちである。
言うまでもなく、そのような姿勢は全く誤りであるが、
自称保護屋になんとそういうタイプの多いことか。
データなくして結論なしである。

この点、長沼氏は次のように述べている。
生命とは何だろう?」長沼毅、p141
思考という行為:比較、類推、関連付け から成る
類推と関連付けは自分の記憶との比較に他ならない
持っている記憶(知識)が多いほど、類推の幅も広がる

逆に言うと、

持っている記憶(知識)が少なければ、類推の幅は狭くなる。

謙虚に、常に新しい知識と、丁寧な観察を行いたい。


【目次】
1 実は見えない海の中
2 他者に依存する海鳥―動物カメラで調べる
3 盗み聞きするイルカ―音で調べる
4 らせん状に沈むアザラシ―加速度で調べる
5 野生動物はサボりの達人だった!



【メモ】
p4
バハモントオウギハクジラ
骨格しか見つかっていなかったが、2012年にニュージーランドで死体が見つかった。
しかし、生きている姿は見られていない。

p18
バイオロギングや音響
全てのデータを記録する。加速度も記録できるので、観察できない動きを数十/sec.という単位でとれる。
これによって、どれだけ動かしているかがわかるが、同時に「動かしていない」こともわかる。

観察による行動研究は、研究者が事前に着目する行動のみが数値化され、
そうでない部分は記録されない。

p27
2010年、沖縄県沖の神島、カツオドリにカメラ装着
(名古屋大学 依田憲)
カツオドリ:
1度に2卵、先に孵化した雛は、2番目の雛を追い出す
親も育てない。
依田氏らはこの雛を育て、幼鳥にカメラ装着
身近な幼鳥は同種の個体を追いかける。特に同じ幼鳥よりも成鳥を追いかける。
(p28 カツオドリの視点から見たカツオドリの写真掲載)


p29
2009年1月、南大西洋のマユグロアホウドリにカメラ装着
(国立極地研究所 高橋晃周、北海道大学 坂本健太郎)
シャチを追いかけて飛び、そのおこぼれを食う
(潜水能力が低いにも関わらず、
 過去に胃内容物の調査で、深いところの魚種も頻繁に見つかっていた)

p35
ヨーロパヒメウ(スコットランド・メイ島)
岩場ではギンポ、ほかに砂地の海底付近のイカナゴも食う
(イカナゴ:砂の中に細長い体を埋めて夏眠する)
→視覚で見つけられないイカナゴは、嘴を砂地に突っ込んで探り当てている


p40
「当然のことながら、その研究者が調べたいと思っている行動やイベントの回数が記録される。一方で、着目点から外れる行動やイベントは、目に入っていても印象に残らず、結果的に記録に残らない。人間の目というのは、観察者が思っている以上にバイアスがかかっている。」

p42
それぞれの動物が感じている世界というのは動物ごとに違う。
その動物ごとに異なる知覚の世界のことを、
ヤーコプ・フォン・ユクスキュルは「環世界」と呼んだ。

p84
野生動物はいつでも最大限に頑張っているのではなく、
淡々と動き、結構長時間休んでいる。

p105
岩手県山田町船越湾の無人島に生息するオオミズナギドリにバイオロギング
8-11月頃に雛を育てる
オスとメスは海に出て採餌し、雛に与える
親鳥にGPSロガー
普段は島周辺で採餌
時々100km以上も離れて採餌、最大では北海道東岸沖まで、片道500kmも移動
※p105に地図掲載

飛んでいるときの対地速度 10km/h~70km/h、平均は35km/h

81%を飛翔に、19%を海面での急速に当てていた
→2.1minで1km移動
100kmだと3.5時間、500kmだと17.5時間もかかる
→島への到着は日の入り時刻なので、それに合うように出発時刻を調整している

p118
「自然界で~だから人間は~すべきだ」と短絡的に考えることを「自然主義の誤謬」と呼ぶ
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category: 動物

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生命とは何だろう? (知のトレッキング叢書)  

生命とは何だろう? (知のトレッキング叢書)
長沼 毅

生命とは何だろう? (知のトレッキング叢書)生命とは何だろう? (知のトレッキング叢書)
(2013/01/25)
長沼 毅

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生命とは何だろう? 長沼毅
【長沼節度】★★☆☆

同じみは長沼先生である。
本書は特定の生物や、生物全般に関する話題というより、
「地球生命史」を紐解きながら、長沼氏が「生命」をどう考え、
どう発展してきたと考えているかを語る本である。

進化史を見ていくには良い入門書と思うが、
新しい知見とかを得ようと思うと、ちょっと違うだろう。
長沼氏ファンにはおすすめだが、
そうでなければ、別の本から入られたい。

辺境生物探訪記 生命の本質を求めて (光文社新書)
深海生物学への招待

「辺境生物探訪記」は、まだ本ブログでは取り上げていないが、
こっちの方がたぶん面白く感じるだろう。

なお本書の中でも、「眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く」が取り上げられている。
前から気になっていた本なので、入手した。
来週以降読む予定である(追記:読んだので記事にしてある)。

あと本書では、次のような指摘がある。

p141
思考という行為:比較、類推、関連付け から成る
類推と関連付けは自分の記憶との比較に他ならない
持っている記憶(知識)が多いほど、類推の幅も広がる

とても重要な指摘である。心に銘じておきたい。


【目次】
第1章 われわれはどこから来たのか
第2章 生命とは何か
第3章 進化の歴史を旅する
第4章 何が生物の多様化をもたらしたのか
第5章 人類の未来は「進化」か「絶滅」か

【メモ】
p19
1953年、アメリカ、スタンリー・ミラーの実験「ユーリ-ミラーの実験」
原始大気に含まれていたと考えられるメタン、水素、アンモニア、水蒸気をガラス容器に入れ、
6万ボルトの放電(雷)→1週間後、数種類のアミノ酸が生成
ただし、アミノ酸が50~100個繋がらなければ蛋白質にはならず、そのような再現はない

生命が誕生した場所
→熱水循環説
ただし、アミノ酸に限らず分子がくっついて長くなるときは、ほとんどの場合水の分子が出てくる

(脱水反応)。熱水が生じる海底火山が限られていること、脱水反応が難しいことから、熱水循環説で

は効率が悪く、タンパク質の合成は難しい。

→表面代謝説
海底火山にある黄鉄鉱の表面で生じたとするもの。脱水反応が起こりやすく、
反応が生じる場所も多い。

p32
宇宙起源説の可能性を示すもの
1984年に南極のアラン・ヒルズで発見された隕石ALH84001
火星由来
突入時でも、内部は40~50℃くらい
内部にシアノバクテリアそっくりの化石らしいもの
ただし、サイズが50分の1以下、1個が0.1マイクロメートル
これほど小さい生物は地球では知られていない
長沼氏:0.15マイクロメートルの生物は見つけたので、ありうるのではないか

p40
生命とは何か
「代謝」「増殖」「細胞膜」最近は+「進化」

エルヴィン・シュレーディンガー(「シュレーディンガーの猫」の人)
1944年に「生命とは何か」という本
生命とは「負のエントロピーを絶えず食べる」こと
p59
人間を含め、哺乳類のY染色体(♂のみに存在)は、どんどん短くなっている
オスには遺伝子のシヤッフリングか、卵子に刺激を与えるしか役割はないのか?

p65
細胞膜:
脂質の膜が2枚貼り合わさった脂質二重層
脂質の膜は1枚だと水性(親水生)の面と油性(疎水性)の面があるが、
二重になると内側に油性の面が向きあい、水性の面が外側に向いている

p92
生物に大きなインパクトを与えた最初の事件:24~22億年前
「大酸化イベント」シアノバクテリアが酸素発生型の光合成を行い、酸素が増加

p101
真核生物:細胞膜の中に細胞核を持つ、細胞核にはDNA
また、ミトコンドリアが入り込んでいる
植物:葉緑素:もともとシアノバクテリアが起源

真核生物の発生は突然変異だけでは説明ができない大きな飛躍、
ミトコンドリアやシアノバクテリアが共生を始めたことから、
ほかの生物を取り込む能力に長けた生物が登場したのか

p102
多細胞生物:細胞と細胞をくっつける糊が必要=コラーゲン
コラーゲンが酸素と反応すると、コラーゲンの繊維が絡まり、糊のように細胞をくっつける。
植物の場合はリグニンでくっついている。これも酸素がなければ機能しない
→酸素濃度の高まりが、多細胞生物の誕生を促す

p110
エディアカラ生物群の時代まで
海水中は大量の有機物があり、濁り、酸素がなかった。
→しかし、一定のパターンを繰り返す方法で大型化した生物が登場
→有機物をエサとし、また糞として排出して海底に蓄積することで、
海水が透明化
→水中の有機物が減り、透明化するとともに酸素濃度が上昇
→「目」の誕生
→5億4200万年前のカンブリア大爆発につながる

アンドリュー・パーカーの提唱した仮説
「目を持つ動物の登場が淘汰圧になった」
コロンブスの卵のような発見

p130
2億5千万年前→大量の植物プランクトンの発生により、海中が無酸素化
→植物プランクトンが死亡→ヘドロ化→さらなる無酸素化
このヘドロが固まったのが石油の母岩である黒色頁岩
現在の中東、インドネシア、ベネズエラ、メキシコ湾などの油田地帯は、
かつて一つだけあった超大陸の浅瀬地帯

p138
爬虫類:赤、緑、青、紫外線
夜行性の哺乳類:2色 犬は黄色と青のみ
ヒト:赤と青も識別できる
→霊長類が緑が生い茂る樹上で、赤い実を食べるようになってからと考えられる。

p141
思考という行為:比較、類推、関連付け から成る
類推と関連付けは自分の記憶との比較に他ならない
持っている記憶(知識)が多いほど、類推の幅も広がる

p145
20万年前に確立したホモ・サピエンスに対して、
現生人類(5万年前)は、亜種扱い(ホモ・サピエンス・サピエンス)

p150
人類:空間認識力が高い→ボールの落下地点を予測して移動
ex)犬:空間認識力が低い→ボールを単に追いかける→走った軌跡はドッグ・カーブ、牽引線または追跡線

p151
ホモ・サピエンス・サピエンスの拡大
当時の人口はたかが知れているので、そんなに長距離を移動しなくても、
ほどほどのテリトリーで生活は成り立ったはず。
一か所に定住し、そこから分派して拡大したにしては、拡大のスピードが速すぎる
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シロアリ――女王様、その手がありましたか! (岩波科学ライブラリー 〈生きもの〉)  

シロアリ――女王様、その手がありましたか! (岩波科学ライブラリー 〈生きもの〉)
【シロアリもすごい度】★★★★
松浦 健二


シロアリ――女王様、その手がありましたか! (岩波科学ライブラリー 〈生きもの〉)シロアリ――女王様、その手がありましたか! (岩波科学ライブラリー 〈生きもの〉)
(2013/02/07)
松浦 健二

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マイナー生物シリーズである。皆さんも好きではないでしょうか。
岩波科学ライブラリー 〈生きもの〉シリーズ、
今後も楽しそうな生き物が期待でき、目が離せない。

さて、本書である。

シロアリが「アリ」といいつつ、ゴキブリの仲間であることは知っていたが、
その生態についてはよく知らなかった。

本書ではまず、アリとの違いからシロアリが説明される。

同じ真社会性の生き物でありながら、
アリはメスのみでコロニーを形成する。よって遺伝子的に極めて近縁なため、真社会性が発達したと言われる。
シロアリもそうかなと漠然と思っていたのだが、
シロアリはなんと一夫一妻でコロニーを創設する。

しかも、シロアリの創設女王は単為生殖により二次女王を生み、
創設王と二次女王が繁殖することから、結局遺伝子的にはコロニーの全個体は創設王+創設女王の子孫と同じになる、という。
突然変異はそもそも中立的であり、環境等の淘汰要因によって適応していくのが進化というのは理解しているものの、
どうやったら有性生殖と単為生殖を使い分けるという生態が発達するのか。
全く生物とは謎だらけである。

しかし、この創設女王が単為生殖により二次女王を生むという発見は、
近年の遺伝子解析技術の進歩がなければ、到底発見しえない。

そう考えると、今後も様々な技術の発展により、
新しい知見も出ることだろう。
(DNAメチル化、エピジェネティクス(「DNA塩基配列の変化を伴わない細胞分裂後も継承される遺伝子発現あるいは細胞表現型の変化を研究する学問領域」の発展などが、その端緒となるのではないか。)


この他のテーマとしては、シロアリの卵に擬態しているカビの菌核、ターマイトボール。
これって普通のアリにもあるのだろうか。
子供の頃、なんかのアリの巣を破壊した際に、長細い卵と丸い卵があって不思議に思ったことがあったが、
あれはアリだったのか、シロアリだったのか。
またあれは、ターマイトボールだったのだろうか。
ターマイトボールZの存在も楽しいところである。

もう1点、外来種問題。
日本への侵入種が問題となるが、本書では逆にアメリカに進出した
オオハリアリが少し触れられている。
植物のクズもそうだが、
外来種が侵入してもいいじゃないの、という立場は、
日本の在来種が他国に進出しても良いといことにもなりかねず、
それはやはり、固有の生態系が発達してきた地球の進化史に対してあまりに無責任と考える。


いずれにしても、手軽に楽しい1冊である。
ぜひお読みいただきたい。



【目次】
1 シロアリとの運命の出会い
2 シロアリとは何者か?
3 カップル成立―非情な恋愛バトル
4 女王の分身の術
5 女王様はワインの香り
6 シロアリの卵に化けるカビ

【メモ】
P10
シロアリ:
等翅目Isptera
・シロアリ科     …高等シロアリ
・ノコギリシロアリ科 …(以下全てで)下等シロアリ
・ミゾガシラシロアリ科
・レイビシロアリ科
・オオシロアリ科
・シュウカクシロアリ科
・ムカシシロアリ科

下等シロアリ:後腸に共生原生動物をもち、セルロースを分解
高等シロアリ:共生原生動物を持たず、共生バクテリアや巣内で栽培する菌類で分解


シロアリ=ゴキブリに近い=社会性を高度に発達させたゴキブリ
アリ=ハチに近い=翅をなくしたアリ


p13
アリ:メスのみでコロニー形成(女王のみ)
シロアリ:一夫一妻でコロニー創設(創設王と女王(女王はのちに複数化))


ワーカー
アリ:雌のみ
シロアリ:オスもメスもいる

p14
・アリやハチの遺伝様式:半倍数性
女王が生んだ卵は、未授精(半数体)だとオス、
受精すると(2倍体)メス
娘同士の血縁度が高くなり、真社会性へ発達したと言われる

・シロアリ:
オスもメスも2倍体、よってなぜ真社会性が発達したのか議論がある
※そもそも血縁度が高くないと真社会性が発達しないのか、という議論もある

p15
ハチ目:完全変態:幼虫はウジ虫状で、ワーカーの世話を受けないと成長できない
=働きアリや働きバチはすべて成虫
シロアリ:不完全変態(孵化した段階でシロアリの形)、ある程度成長したらワーカーとして働く
=発生学的には構成員のほとんどが幼虫
よって現在の役割は確定的ではなく、「分化可能性」があり、多くの下等シロアリでは
ワーカーから女王になったり、羽アリになる予定だったニンフが巣に残り、王や女王の繁殖を
引き継ぐこともできる

p22
なぜシロアリは白いのか(羽アリは黒い=メラニンを持っている)
ヤマトシロアリ:5月に羽アリが飛び立つ:紫外線から身を守るため
紫外線:
・DNAを破壊する。
・腸内の共生微生物はさらに紫外線に弱い。
・シロアリ体内のノルハルマンという物質は、紫外線で有毒化する。

メラニンはチロシンというアミノ酸から作られる。よって作るコストがかかる。

p25
地球上で最も大量に存在する高分子化合物:セルロース(植物の細胞壁の主成分)
毎年1,000億t余りが生産される
太陽エネルギーによってブドウ糖を生成し、ブドウ糖がβ1-4グリコシド結合で鎖状に繋がったもの
これを食物として利用するには、セルラーゼという酵素が必要

セルラーゼを生産できる:主に細菌、原生生物(単細胞の鞭毛虫など)、糸状菌(カビやキノコ)
この微生物を腸内に共生させることで、反芻動物やシロアリはセルロースを利用

p29
ヤマトシロアリの仲間:増水すると浸水する朽木にもいる
水に入ったシロアリ(兵アリ):酸素を送っていると最長12日、空気だけ送っても3日は生きる
→溶存酸素を利用する能力がある

p42
ヤマトシロアリの雌:単為生殖の能力がある
♂に出会えなかった♀:♀♀ペアや単独♀でも繁殖
ただし単独♀の生存率は低い:お互いを舐めあい病原性微生物に対抗するグルーミングができないた



p55
・創設王(もとは羽アリ):外皮にメラニンを持ち黒い
・二次王(羽アリにならずにコロニー内で分化):少し茶色い
ただし、二次王の巣はわずかしかない=コロニーの寿命は創設王の寿命
・創設女王:多くは多数の二次女王に置き換わる

創設王+創設女王→二次女王とすると、
創設王+二次女王→近親交配となり、血縁度が高まる=真社会性→実は×

実際は、
創設女王→(単為生殖)→二次女王であり、
創設王+二次女王=遺伝子的には創設王+創設女王 と同じ

創設女王が長生きすれば良い?
→ 移動しない(巣と餌場が分離している)場合は、大きくなれる
ヤマトシロアリ=複数の餌場である朽木をつないだのが巣=女王も移動しなければならない
→ 自力で移動できる大きさにしかなれない

よって、
創設女王が大きくなる種=創設女王は長生き=卵数多い
創設女王が大きくなれない種=創設女王は短命=二次女王の卵数は少ない(二次女王じたいが多い)

p70
実験室では10年飼育したヤマトシロアリでも、創設王も創設女王も若々しい。
野外の巨大コロニーの王は、30年以上生きているのではないか。

p80
女王と認識されるフェロモン
・酪酸ブチルというエステルと2-メチル1-ブタノールというアルコール
この成分は卵からも発している

二次女王(単為生殖の娘)はこのフェロモンを感知しないから二次女王になれる

p95
ターマイトボール
シロアリの卵(カプセル型)に混じっている粒(球形)
=菌核菌の菌核(カビの種のようなもの)

ヤマトシロアリのアカマツ材に営巣したコロニーでは100%

卵に混じっているときは、グルーミングによって発芽抑制。
古くなると形が変形するので、捨てられる→発芽→新たな菌核→卵塊へ運ばれる

なお、ターマイトボールは滑らかな表面をもつ(卵に類似)する代わりに、
他の菌核にある硬い外皮を失っており、乾燥耐性がない。

また、化学的にも、グルーミングによって卵につくβグルコシダーゼを生産し、卵と認識されている。

βグルコシダーゼ=セルロースを分解する消化酵素、だからシロアリも菌も持っていた

p109
オオハリアリ(日本在来種):シロアリを襲う
→1930年代にアメリカに侵入し、分布拡大。オオハリアリによって、在来アリが減少。
また、朽木に棲む昆虫だけを食っていたのが、地上の蛾や蝶の幼虫も捕食している。

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category: 昆虫

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今週のまとめ  

今週と言いつつ、先週ですが。

先週は、とりあえずニワトリの週。

「鳥と人」は、家禽としてのニワトリのすごさが簡単にわかる書として、
長らくたぶん唯一でした。

しかし、
ニワトリ 愛を独り占めにした鳥」が、全内容をアップデートしました。
なので正直、こちらをお読みいただけると、良いかと思います。

この本では、本当に人間の飽くなき欲求というか、
効率性追求の恐ろしさを実感できます。

もちろん、ニワトリの原種というロマンも味わえます。

「巨大翼竜は飛べたのか-スケールと行動の動物学」は、バイオロギングの本。
これもなかなか楽しい本です。最先端の研究が見えますので、
調査好きな方はぜひ。

ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ―ハイテク海洋動物学への招待」と同じ著者ですので、
あわせてお楽しみください。


今週も(つまり3月4日以降ですね)、なかなかエキセントリックな本を手に入れましたので、
ご期待。


教養としての世界宗教事件史

ニワトリ 愛を独り占めにした鳥

鳥と人―とくにニワトリへ感謝をこめて

巨大翼竜は飛べたのか-スケールと行動の動物学
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category: 雑記:今週のまとめ

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巨大翼竜は飛べたのか-スケールと行動の動物学 (平凡社新書)  

巨大翼竜は飛べたのか-スケールと行動の動物学
佐藤 克文
【新しい視点に立った研究を知ることができる度】★★★☆



ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ—ハイテク海洋動物学への招待
と同じ筆者によるもの。

本書では、ペンギン、ウミガメ、マンボウ、ヨーロッパヒメウ、オオミズナギドリにデータロガーを装着し、
そこから得られたデータから、各種の行動について探っていく。

また、そもそもデータロガーなんて付けられるのか、
と思ってしまうマンボウの生態に関する話などもあり、
最先端の研究手法をめぐるワクワクする話が満載である。

前著に続き、バイオロギングに興味がある方なら、読んで損はない。

また本書のテーマとはやや異なるが、本書おかげで
飛翔中の野鳥の体の傾きについて注意して観察する癖がついた。感謝である。

最終章では、バイオロギングで得られた知見から、
翼竜が飛べたか否かを論じる。
筆者が語る通り、筆者の論は
「空論かもしれないが、机上論でない」。
現生生物から得られた知見をもとにした推測であり、
すでに絶滅した生物については、やはりこうした理論(及び反論)によってこそ、
研究は進むのだろう。

【目次】
第1章 大きな動物はやっぱり速く泳ぐ
第2章 亀はなぜゆっくり泳ぐのか
第3章 マンボウも、やるときはやる
第4章 釣り人ヨーロッパヒメウ
第5章 樹に登らないオオミズナギドリ
第6章 巨体翼竜は飛び続けられない

【メモ】
■P40 同じ形態でサイズが違う場合
動物が手足を動かす周波数は身長に反比例し、体重のマイナス1/3乗に比例する。
・大人と子ども
親と同じ速さで歩くと、子どもの脚はせわしなく動く

★体の形が同じでサイズが異なる ならば
=同じ速さで走り、泳ぐ。手足の動きは体重のマイナス1/3乗に比例する と予測可能

ただし、陸上ではムリ。体型が同じで、体が大きくなると、
骨強度や筋力が足らなくなる。

身長 1 → 2倍になると
筋断面積 1 → 4倍 になる
体重 1 → 8倍 になる

筋断面積=単位あたりの仕事量が同じだから。

そのためには、体型を変えなければならない。


■P67
★ペンギン7種の遊泳速度
平均 大型種ほどわずかに速い
体重の0.083乗に比例
最適遊泳速度での翼を動かす周波数
=体重のマイナス0.29乗(1/3)に比例


■P133 アスペクト比
縦横比(アスペクト比)が大きい
=細長いヒレは、動かす際の誘導抵抗が小さく、より効率よく推進力を生み出すことができる。

例)魚 マグロ、カツオ
鳥 アホウドリ

マンボウは、小さい個体は細長いヒレ。
大きい個体はずんぐりしたヒレ
→次第に不活発になる?

体重 平均遊泳速度
48kg 0.7m/sec
59kg 0.6m/sec
153kg 0.4m/sec


■P148 ヨーロッパヒメウ
飛翔中はほとんど滑空しない。

翼が往復する面は、体軸に直交せず、わずかに後ろに傾く。
=推進力が斜め上方に向かう


■P153 体重が重いほど、羽ばたき周波数が増加
ヨーロッパヒメウ
空胃体重 羽ばたき周波数
往路 1.52kg 5.2回/sec
復路 1.64kg 5.4回/sec

この周波数をバイオギングすることで、
1日の餌取り旅行中に何度か行なわれる潜水バウト(連続した潜水のひとかたまり)ごとの獲得餌量が推測できる。

★潜水バウト継続時間とバウトごとの獲得餌量
=正の相関

★1回の総飛翔時間の計と持ち帰り餌量
=正の相関

【結論】
ある場所で餌がとれれば粘り、無ければ別の場所に移動する。

P168 カワウ(2007、3羽にロギング)
最長40分間程の長時間飛翔能力
ただし、巣から最初の潜水
最後の潜水から巣まで は10分間程度

飛行速度 45km/h前後
=餌場は巣から半径7.5km以内

■P180 ニシツノメドリ
スコットランド群
アイスランド群 10%程度大きい

→体型が相似ならば、体が大きいだけ
アイスランド群の方が運動能力が低下
=飛翔がヘタ

→実際
アイスランド ヴェストマン諸島
飛び立ちがヘタ
スコットランド メイ島
普通に飛び立つ

■P203 オオミズナギドリ
滑空中 4.1~4.7回/sec 羽ばたく
飛翔中、100%滑空する個体はいない
→時々推進力を出さなければならない

& 助走せず、羽ばたきで直接離陸可能

■P233
・滑空に必要な飛行速度=体重の1/6乗に比例

・加速するために翼を往復させる平均速度
=体重の1/6乗に比例
※翼を往復させる平均速度
=羽ばたき周波数×翼の往復距離

例)ハチドリ
羽ばたき周波数=体重のマイナス1/6乗に比例
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category: 動物

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鳥と人―とくにニワトリへ感謝をこめて  

鳥と人―とくにニワトリへ感謝をこめて
小松左京
【左京節度】★★★☆

鳥と人
鳥と人―とくにニワトリへ感謝をこめて


ニワトリ 愛を独り占めにした鳥」以前に、実は同様の観点で
ニワトリと人間社会を論じた本がある。
本書である。

1992年初版であり、内容的には古くなってしまった-というか、
「ニワトリ 愛を独り占めにした鳥」によってUPDATEされた。

よって「ニワトリ 愛を-」を読めば必要な知識はおおむね入るが、
興味がある方は読んでおいてもよいだろう。

なお「鳥と」とあるが、基本的に小松氏は家禽が念頭にある。
よって他に取り上げられるのは
鵜飼のウ、ウズラ、ガチョウやアヒルである。

ウについても結構語られているが、
この時点ではカワウは激減していたことを考えると、
現在の状況とは隔世の感がある。

後半1/3は野鳥というより「飛ぶ存在」に対する人間のロマンを語っており、
前半2/3とかなり毛色が異なる。
全章を通じて小松節の語り口となっており、人によっては読みがたいかもしれない。


【目次】
1 ニワトリと人
・果てしなくあやふやな鳥たち
・卵が先!驚異のニワトリデータ
・ニワトリに会いに行く
2 働く鳥、身辺の鳥
3 鳥と地球
・3D〈i〉L in BSとは何か
・鳥よ、人よ
・そして、地球よ

【メモ】
p12
・卵の値段は、終戦直後から昭50年代後半まで、ほとんど変わっていない。

p29
・(1993の時点から)20年ほど前は標準卵1個の重さは58gぐらいで、1kg約18個だったが、
現在では卵1個がだいぶ大きくなり、1個61-64gなので、1kg約15-6個になる。

p31
・年間消費量260万t420億個、海外輸入分4万6,000tを含む。
ほとんど液卵、冷凍卵、乾燥卵、殻付きき受精卵やワクチン用の特殊なもので1,000t足らず

液卵:中の黄身、白身だけにしたもの。殺菌し-3~-4℃で凍結させるか、4℃程度のチルド。
アメリカの場合は、かなりの部分は乾燥工場にまわされる

p35
自動割卵機:16~17個/秒に割る能力

p41
野生種のニワトリが家禽化されたのは、東南アジアから南アジアで、
最初は食用・採卵卵ではなく、闘鶏のためだったらしい。

p44
1965年 ブロイラー数 1,827.9万羽:飼育戸数2.0万戸
1970年 ブロイラー数 5,374.2万羽:飼育戸数1.8万戸
1975年 ブロイラー数 8,765.9万羽:飼育戸数1.2万戸

1990年 ブロイラー数 13,862.9万羽:飼育戸数0.5万戸
一つのエポックは1970年頃、

p52
比較的早く、明治の半ば頃に養鶏業が成立したのが愛知県、「海部鶏」と呼ばれた名古屋種

p53
名古屋市内には、日本唯一の「初生雛鑑別士」の養成所がある。
この養成所の母体である「社団法人全日本初生雛鑑別協会」の本部は東京だが、
実地に養成しているのは名古屋市内。

初生雛の雌雄を生殖突起で鑑別する方法:
大正13年、増井清氏をリーダーとする農林畜産試験所研究班によって発見。
外国では機械による鑑別法も開発されたが、
肉眼による鑑別の効率は日本が最高で、99.5%以上を誇る。

p62
養鶏業も、1950-1960年代のアメリカの「ブロイラー革命」の影響を大きく受けた。
大規模、集中管理、環境制御型の養鶏方式
日本では1965-70年代に急増し、「卵価の奇蹟」を実現する

このブロイラー革命のあおりを受け、名古屋種は減少。
ブロイラーが5-60日で飼育・出荷するのに対して、名古屋は130日以上の日数を要する。

p91
ケンタッキーフライドチキンの指定どおりの品種を使うとなると、
受精卵は全て、輸入するか、国内の原種農場から種鶏を購入しなければならない。

KFC用:生後1ヶ月半足らず、1.6kgで出荷。

p99
日本:主に黒潮圏:闘鶏が伝来
平安期:10世紀末の東宮鶏場の八十番鶏合せ
11世紀の花山院、同後半の東仙洞御所の鶏合せなどの記録が残っているという。

p146
ガチョウ:ヨーロッパはハイイロガン、アジア系はサカツラガンから家禽化された
アヒル:マガモ
家禽化は古代エジプト、ペルシャ、中国など

アヒルもガチョウも戦前は都市近郊や水田地帯に多かった。
アヒルとウナギ:大阪では「ひる、まむし」と呼ばれていた

p150
ウズラ
少なくとも室町時代には飼われだし、鳴き声を競うのが流行った
江戸期:大名諸侯の間の「鶉合せ」、名鳥には高額の値
卵用となったのは明治期以後

p154

「昔は日本の海岸部でも内陸部でも、もっと多く見られたらしいことは、
日本各地に、「鵜殿」とか「鵜渡路」「鵜飼川」などの古地名がたくさんあることでもわかるが、
これも最近では、あまり見かけられなくなった鳥である。」

鵜飼
昔は淀川、多摩川、相模川、日野川、吉野川、九頭竜川などでも行なわれていたという。
日本書紀では神武記に出てくるのだから、相当古い。
(書紀三巻、神武天皇即位前紀戌午年八月の項)
吉野川で簗漁をしている者にその名を問い、これが「阿太鵜養部」(あだのうかいべ)の始祖だと記している。

鵜養部は、718年の「令集解」に出ている、宮内省大膳職に属する品部(ともべ)
特別の能力を持った直属集団

p166
世阿弥、「鵜飼」鵜の段
「面白の有様や、底にも見ゆる篝火に、驚く魚を追いまわし、潜(かず)きあげ掬いあげ、
隙(ひま)なく魚を食ふ時は、罪も報いも後の世も、忘れ果てて面白や」
仏教における殺生戒さえ無効にする、「素朴で無邪気な人間」の「業」そのもののを指摘した。

p173
ウを使った原始的な河漁=「遂鵜(おいう)」、西日本や諏訪湖で行なわれていたという
飼いならしたウを数十羽も河に追い込み、魚の群を追いたて、待ち受けた網でとる

p177
瀬戸内海・豊島の近くの海域に、アビが渡ってくる。
「鳥持網代」、アビがイカナゴを追い、イカナゴの騒ぎを察知したタイやクロダイが集まるのを、
漁師がイカナゴを生き得にして釣り上げる

p234
ナウル共和国 ソロモン諸島の北、日付変更線の西、周囲19km、面積22平方km
オーストラリアの信託統治領だったが1968年に独立、独立時の人口は6,000人ちょっと
膨大なリン鉱石によって富んでいる

かつて、日本の信託統治領だったカロリン諸島のアンガウル島、
ナウルと同じ隆起サンゴ礁の島、周囲8km、
日本の統治領になってから大々的なリン採掘、戦後アメリカの統治領となっても日本の肥料会社による採掘が続き、
リン鉱床の発見から約50年経過した1955年に枯渇した

両島のリン:
海鳥の糞が何十万年の間に堆積し、サンゴ礁の炭酸カルシウムと反応してリン灰石になったもの
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category: 野鳥

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ニワトリ 愛を独り占めにした鳥 (光文社新書)  

ニワトリ 愛を独り占めにした鳥
遠藤秀紀
【チキンのことがキチンと分かる度】★★★★

ニワトリ 愛を独り占めにした鳥 (光文社新書)ニワトリ 愛を独り占めにした鳥 (光文社新書)
(2010/02/17)
遠藤秀紀

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ものすごく身近で、よく知っているようで知らないのがニワトリである。
「庭には二羽ニワトリがいる」とは誰もが言ったことがあると思うが、
もはやそんな風景はない。

この本では、大きく次の点が説明される。

原種のセキショクヤケイはどんな野鳥で、
どんな人間社会の関わりから家禽化され、
どのような品種改良がなされ、
現在の白色レグホンとブロイラーは、どのような「性能」を持つに至ったか。

戦後からほとんど値段が変わらない物価の優等生といわれる卵だが、
これが持続されるには、やはり恐ろしい効率化があったのである。

野鳥屋としての僕としては、
・原種セキショクヤケイの形態・生態
・いわゆる「名古屋コーチン」がどうしてこれほど知名度が高いのか、日本の養鶏史での位置づけ。
・現在の白色レグホンとブロイラーの「性能」。
を知ることができたのが大収穫である。

また、卵肉兼用種から卵用種と肉用種に分離したことが、効率化のためであり、
これを維持するには、高度な経済社会が必要であること、

またブロイラーの交配原種が企業秘密であり、
これが絶たれると、一朝一夕には同様のブロイラーの「性能」を確保できないだろう。

すなわち、物価の優等生と言いながら、
かなり高度な経済バランスの上に「ニワトリ」が維持されていることに、空恐ろしい感覚を覚えた。

どのような養鶏形態が理想なのかは、消費者によって異なると思う。
ただ、白色レグホンとブロイラーのみで構成される社会は、
その基盤が極めて脆弱だということだけは、常に意識しておきたい。

ちなみに我が家の卵は、有機農業を実施している農家から、
直接購入している。
これが善だと主張して押し付けるつもりはないが、
こうした養鶏業を支持することも、やはり必要なのだと思う。




【目次】
第1章 なぜ人はニワトリを愛でるのか
1-1 幻の鳥を求めて
1-2 「空気化」した食品
1-3 食の神話を支える
1-4 ブロイラーの真実
第2章 家畜の最高傑作、ニワトリ
2-1 ご先祖様の正体
2-2 セキショクヤケイのからだ
2-3 家畜化の始まり
2-4 心のエネルギー
2-5 人の心に応えて
第3章 ニワトリの栄光と苦悩
3-1 スターと脇役
3-2 大きさへの執着
3-3 愛が行き着く先
第4章 日本人とニワトリ
4-1 記憶のどこかに
4-2 培われた関係
4-3 心のエネルギー日本版
第5章 答えのない旅
5-1 日本鶏の出自
5-2 ニワトリ学のこれから
5-3 インフルエンザ、そして永遠の間柄

【メモ】

ニワトリGallus gallus domesticus

p19
国内で生産される鶏卵 250万t/年

p22
「必ず人間の健康にプラスに貢献し、かつ農業的にも経済的にも確実に市民に行きわたる原材料」
豚:宗教的な禁忌がある
牛:かなりの経済力が必要
羊:乾燥した温帯で広い平原があれば増えるが、湿度が高く森林の多い日本ではものにならない
ニワトリ:誰でも飼え、どんな社会でも維持できる

p26
島根県の美保神社、滋賀の田村神社、大阪の道明寺などの周辺では、鶏卵を食べない風習があるらしい。
しかし、イスラム教における豚のように大規模な宗教的禁忌ではない。

p29
国内消費量
6億羽/年、170万tのブロイラーが出荷されている
輸入されるチキンも含めて、11kg/年/人の消費。

単純化:日本のニワトリの飼育数:戦前の30年間に3倍、戦後の30年間にさらに3倍になった。


p41
【白色レグホン】
産卵数290個/年
1日でも早く卵を産まないとコスト増になるので、初産日齢は160日以内
ニワトリは15年くらい生きると考えられるが、
若いほど産卵量が多いので、700日程度で産卵量が落ちると廃鶏になる
廃鶏は廃棄物となる(研究材料など、食肉用にはされない)

換羽すると産卵数が減る、通常14カ月目に換羽する
方法1:160日~14カ月にできるだけ産卵させ、換羽を機に廃鶏
方法2:照明を13~17時間つけることで人工的に換羽しないようにし、
折をみて光の変化と絶食・絶水などで強制換羽させる

p157
ただし、これほどの優れた数字を出せるのは、
清潔な鶏舎、良質な飼料、高度な健康管理、的確な流通、優れた公衆衛生、卵を買う資力、消費者の価値観といった、一定の経済力をもつ社会のみ


イタリアのレグホン(イタリア語ではリボルノ)港に由来か
アメリカで白色レグホンと呼ばれる集団に確立

p51
【ブロイラー】
特定品種の名前ではない、肉用鶏
ブロイラーなる飼養戦略とそれに適したニワトリの登場は、S40頃
肉用と卵用に明確に分けることになった
また多様な品種がブロイラーによって駆逐された

生後8週目で体重が2.8kg、8~10週に出荷される
飼い続けても生後30週目で体重増加が止まってしまう(3kg台の半ば)

ブロイラーの両親:種鶏(しゅけい)
種鶏を育てる会社は日本にいくつもあり、その血統は企業秘密に近い

p181
普通は白色プリマスロックの雌と白色コーニッシュの雄
ただし、実際にどのような系統の親を用いているかは種鶏供給企業の最高機密



p66
ニワトリの原種:【セキショクヤケイGallus gallus】:ラオスやタイ、現地では「カイ・パー」
ただし現地人でもあまり区別していない

中国南部~ヒマラヤ山脈奥地~インド半島ほぼ全域、タイ、ラオス、カンボジア、ベトナム、マレーシアの半島部
ニワトリよりもかなり小さく、大きな雄でもなかなか1kgに達しない
嘴から肛門まで約35cm
頸部に比して頭骨が小さい
耳の下に耳朶(じだ)がある:色で亜種があると言われてきたが、同地域に混在している
蹴爪が細くて鋭い
皮膚が薄い
砂肝(砂嚢)がかなり大きい=固い木の実や昆虫(外骨格)を好んで食べる
翼は標準的で、50mや100mなら十分飛べる

※ハトはかなり体重の割に翼が小さい、そのため強力な胸筋で羽ばたく

1シーズンに2回程度の産卵ピーク、計10個程度の産卵数
15~20年生きる


地上に巣を構える
雄は抱卵・育雛しないが、雌は強い執着がある→家禽化ではこの就巣性をなくすことが重要だった

p98 セキショクヤケイ近縁種
ハイイロヤケイ:南西インドのみ
セイロンヤケイ:セイロン島のみ
アオエリヤケイ:ジャワ島~小スンダ列島

p102
家畜(家禽)とは
「繁殖が人の手で管理されている動物」、繁殖の人為的制御、繁殖コントロールの有無

p114
セキショクヤケイ 飼ったり繁殖させるのがかなり大変、
体重:1kgに満たない=食肉用ではない
卵:年10個=採卵用ではない
それを積極的に飼った動機は?

闘鶏、おとり、時計目的 & 占い
闘争性、鳴き声、外貌 = 人間の精神的欲求に合致

p160
【マレー】困ったときのマレーとミノルカ
雄の体重が5kgを超える
欧州の最古品種のひとつ、ただし積極的に品種を維持したのではなく、大型ニワトリの集団

p163
【ミノルカ】困ったときのマレーとミノルカ
体重3.5kg弱、増体速度は遅い、肉はまずい、産卵数130個/年
ただし19世紀には、この3.5kgは十分大きかった
真っ白な大きい卵、卵重65g

p167
【横斑プリマスロック】
アメリカ19世紀末、
ブラックジャワ+種々のコーチン、ブラマ、ミノルカ、ドミニークなど
雄5kg弱
卵肉兼用を目指した品種

p172
【名古屋(名古屋コーチン)】
明治維新後の尾張藩士族、海部壮平・正秀兄弟による
明治38年に日本初の国産実用種として品種登録(日本家禽協会)
雄5kg程度、最高級といわれる肉質、桜色といわれる卵など
兼用種

p206
【小国】
「正刻」「正告」という言葉由来ではないかという説
時を告げる品種として飼養か
現在も「小国」という品種があるが、当時の品種と同じものが維持されているとは考えられない

p212
日本三大長鳴鶏:
【東天紅】、唐丸】、【声良】

p217
【長尾鶏】:10mを超える尾羽
ただし突然変異として、尾羽が換羽しない個体はよく出る
しかし、それを維持していくのは相当余裕のある育種家が生きられる時代でないと無理

p221
【烏骨鶏】
肉から骨まで黒い、メラニン色素が豊富
もともと(江戸時代)は羽毛に覆われた鶏冠が珍重された

p226
【矮鶏チャボ】
○○矮鶏、と様々な品種がある

p234
【軍鶏シャモ】
小軍鶏、中軍鶏、大軍鶏とある
小軍鶏は1.5kg程度

p238
【比内鶏】:「比内鶏」、「地頭鶏」
日本では西欧のような肉の生産性を求めた改良は全くないが、
これらは食用に消費する意識をもってつくられた珍しい集団
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category: 野鳥

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教養としての世界宗教事件史 (河出ブックス)  

教養としての世界宗教事件史
島田 裕巳
【そもそも1冊にまとめられるテーマではないのではないか度】★★☆☆

教養としての世界宗教事件史 (河出ブックス)教養としての世界宗教事件史 (河出ブックス)
(2010/10/09)
島田 裕巳

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「教養として」、いったいどんな事件が取り上げられるのかに興味を持ち、読む。
まあ世界全体からエポックメーキングな「事件」をとりあげるとすれば、
こういうものだろうな、という気はする。

とりあえず、特定宗教の発生や分裂もさることながら、
インドで仏教が消滅する、という、長らく漠然と疑問に感じていたできごとにも焦点があたっており、
面白かった。

他に興味深かった視点。

○一元論と二元論
一神教-多神教という構造はよく見るが、
むしろこの世界がそもそも善によって成立し、その中に一時的な(または方便的な)悪がある(一元論)のか、
または最初から善悪の二元論であり、どう転ぶかわからない(二元論)という構造も重要であること。

○仏教とキリスト教は、聖と俗を明確に区分し、俗から聖に「出家」することに価値を見出している、
という点で共通性があること。

○ダライ・ラマ14世がもし死亡したら、チベット情勢は今よりももっと混乱するだろうなあ、ということ。


○世界宗教はなぜか開祖が著作を残すのではなく、弟子による伝聞録によって布教していること。

○日本とチベットに流入した「密教」は、その段階が異なるゆえに大きく違うこと。

宗教を知ることが世界を理解する一助になるとは思いつつも、
やはり一筋縄ではいかないなあ、と痛感した。


逆に、これはちょっと違うだろうという点。
筆者は
「直立二足歩行、言語、宗教」が人間にしか見られないため、
これらは密接に関係している、
特に直立二足歩行、言語が宗教を生んだ、としている。

宗教がなぜ人類にのみ誕生したのかはわからないが、
とりあえず、
「言語」が人類特有のものではないことは確かであり、この点、違和感を感じた。
(もちろん、どの程度抽象的な「言語」とするかの定義によっては、
人類にのみ発生したということは可能とは思うが、筆者は定義はしていない。)




【目次】
1 人類はいったいいつ宗教をもったのか
2 壁画が物語る宗教の発生
3 謎に満ちた巨大ピラミッドの建設
4 ゾロアスター教が後世に多大な影響を与える
5 一神教が誕生し、偶像崇拝が禁止される
6 老子、釈迦になる
7 結集から、仏教の歩みがはじまる
8 パウロとアウグスティヌスの回心が、キリスト教という宗教を生む
9 三蔵法師、天竺を旅する
10 ムハンマド、メディナに逃れる
11 東西の教会が分裂する
12 十字軍が召集され、「聖戦」をめぐる対立の発端となる
13 モンゴルの世界征服が原理主義を生む
14 インドで仏教が消滅する
15 ルターの異議申し立てが資本主義を生む
16 ヘンリー八世の離婚問題がイギリス国教会を独立させる
17 地動説を主張したガリレオ・ガリレイが異端審問で終身刑を課せられる
18 清教徒、新大陸にエクソダスを果たす
19 聖母マリア、出現
20 神の死を背景に宗教学が誕生する
21 ダライ・ラマ一四世、チベットを脱出しインドに亡命する
22 一〇〇年ぶりに開かれた第二バチカン公会議が修道女を解放する
23 毛沢東語録をふりかざす紅衛兵が孔子を厳しく糾弾する
24 イランのイスラム革命が世界を変える

【メモ】
p17
人類に特有なのが宗教。
地球上の民族・社会で、宗教が全く存在しないという場所は一か所も発見されていない。
一方、動物には宗教は全く見られない。
コンラート・ローレンツ(1903-89)は攻撃・威嚇のためにパターン化された儀式的な行動はとることは示唆しているが、信仰を伴う儀礼を司る動物はいない。

P17
「直立二足歩行、言語、そして宗教。この三つの要素は、他の動物、類人猿にさえ見られない人類だけの特徴である。そうである以上、この三つの要素の発達が密接な関連性をもつことが想像される。」
→言語は他の動物でも見られるのではないか?


p42
キリスト教もイスラム教も一神教であり一神教だけで世界の宗教人口のおよそ半分を占めている。

世界宗教の一つの条件は独自の教えをとく開祖が存在するかどうか。

→※「世界宗教」とは何か、筆者は明確に定義していない。

ゾロアスター(ギリシア語を元にした英語読み)教
:開祖ザラスシュトラ(ペルシア語)、ツアラトゥストラ(ドイツ語)

p49
日本人は一神教:多神教で対比させる傾向が強いが、世界観として考えた場合は、
一元論:二元論の違いの方が大きい意味を持っている。
一元論:全ては神によって作られたのだから、最終的には神の勝利に向かう
二元論:善悪二元論

p53
モーゼの十戒において、神が自分だけを信仰するよう求めたこと(一神教)、偶像崇拝を禁じたことは、
密接に関連しており、セム的一神教においては後世に絶大な影響を及ぼした。

p58
キリスト教:イエス・キリスト、イスラム教:ムハンマドという開祖がおり、民族を超えて広がった点で世界宗教。
ただし、ユダヤ教には「ハラハー」という神が定めた法があり、「トーラー」に詳細に述べられている。
イスラム教もイスラム法としての「シャリーア」がある。これらの宗教は、宗教的な法の世俗に対する規範力が強い。

一方キリスト教は、聖と俗を明確に区分する。かつ、俗なる世界を否定し、「出家」に価値が認められる。
イスラム教・ユダヤ教では、宗教的な指導者は、家庭生活を営む俗人である。

仏教も「出家」に価値をおく点で、キリスト教との共通性がある。


p70
世界の三大宗教:(日本人があげるなら)キリスト教、イスラム教、仏教
・これらの宗教は、すべて開祖が自らの著作を残しておらず、弟子による言行録によって開祖としてあがめられている。
親鸞も、自身の「教行信証」があるが、むしろ弟子の唯円が残した「歎異抄」によって知られる。
道元も、自身の「正法眼蔵」ではなく、「正法眼蔵随聞記」がある。

p73
キリスト教では、旧約・新約聖書におさめられているものの他に、「外典」がある。
セム的一神教では、神の正しい教えである「正統」と、それから逸脱した「異端」との区別が厳然として存在する。

仏教ではそうした区別はなく、一応全て釈迦の教えをといたものとされる。
ただしどれが正しい教えなのかを明確にする作業として、
「教相判釈」がある。インドでは実施されていない。
様々な時代の仏典が同時に渡来した中国で実施された。

中国天台宗を開いた智顗(538-97)=「五時八教」
(1)華厳時
(2)鹿苑(阿含)時
(3)方等時
(4)般若時
(5)法華・涅槃時
という区別を行い、この順に釈迦が説いたとした。
実際はそのようなことは無いが、
最澄や日蓮にはこの考えが引き継がれ、法華が重視されることとなった。

p85
キリスト教:キリストの教えは「福音」と呼ばれ、その「良き知らせ」を周囲に知らしめることが務め。
仏教:日蓮教のように「折伏」という布教手段をとるところもあるが、
   基本は「求法(求道)」。自らが教えを求めることを重視。
円仁:「入唐求法巡礼行記」

p104
東方教会:国ごとに教会が独立
カトリック:世界的に統一した組織:教皇庁:ローマ教皇

p106
395年 ローマ帝国の分裂:西ローマ帝国と東ローマ帝国
東ローマ帝国:国家と教会は一体、皇帝が神の代理人
       神は絶対的な存在であり、人間の世界とは隔絶。
       ゆえに、人間の世界で、聖と俗を区別する意味がない。
西ローマ帝国:国家と教会は別
       神の代理は宗教的な権威である教皇、その組織も世俗から隔絶されている(出家)

p133
般若心経:インドで作られたものの、サンスクリット語の原本はインドには残っておらず、
日本の法隆寺に8世紀後半と考えられる「法隆寺梵本」が残っている。

p144
宗教改革:カトリック→プロテスタント
「出家主義」→「在家主義」

出家主義である以上、世俗に価値がなく、勤勉な生産や資本主義の発達がない
在家主義となって初めて勤勉(世俗)に価値が認められる。
現在でも、プロテスタントが広まった国とカトリックにとどまった国では差がある。
カトリックの国では労働には価値が見いだされず、できるだけ働かない、余暇に生きがいを見出そうとする。

p151
イギリス:
ヘンリー八世のキャサリンとの離婚、アン・ブーリンとの再婚
そもそもキャサリン(兄嫁)との結婚が近親婚にあたるため、特別に教皇から許可を得た
離婚・再婚時には教皇が神聖ローマ帝国の支配下にあったため、許可がもらえなかった
よって、イギリスを帝国として、1545には「国王至上法」が成立する。
現在もエリザベス二世はイギリス連邦の元首であり、イギリス国教会の長である
=ある意味、祭政一致の国

p158
キリスト教では正統と異端の区別が明確
「公会議」の制度によって、ある協議が正しいかどうかを教会組織が決定する


p179
「聖母マリア」
一般的なキリスト教国では「聖母」とは言われず、「処女マリア」という言い方
「聖母」という言葉自体、母なるものを信仰する日本的な宗教意識との妥協、融合の産物

p188
西欧では最初「science of religion」(宗教の科学)という学問が生まれたが、
この言葉は死語となり、「宗教学」に相当する言葉が生まれなかった。
バックボーンであるキリスト教を相対化できなかった。
西欧では「宗教史」である。
あらゆる宗教を相対化して研究対象とする「宗教学」は、実は日本でしか存在しないかもしれない。

p193
密教=
初期密教:雑密:体系化が進んでいない
中期密教:体系化、護摩、大日経や金剛頂経、両界曼荼羅
後期密教:ヒンズー教等の影響、男性的原理と女性的な原理の合一による神秘的な力の獲得、
     歓喜仏がふんだんに登場

日本仏教:初期と中期が伝えられる
チベット仏教:後期が伝えられる
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