ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

今週のまとめ  

先週はまとめを書く時間がなかったので、今週あわせました。
仕事でストレスがたまっているので、やけ読みです。

新鮮イカ学」、先日ダイオウイカの生きている映像がNHKで報道されましたが、
その前日談が読めます。他はちょっと漁業資源よりかな、という感じ。

ネズミに襲われる都市」は、そんなに今もネズミいるかなという気がしますが、
僕らの知らないところにいるかもしれません。
で、何も知らず人家にいるのは「ドブネズミ」と言っていた自分を反省です。

フィールドガイド日本の猛禽類 ミサゴ
BIRDER誌で販売情報がありました。大きくてよいモノグラフです。
ぜひ続刊に期待。

来週も引き続きストレスフルな週になりそうですが、皆様もお体に気を付けて、
何とか3月をくぐりぬけましょう。ではまた。


書聖 王羲之――その謎を解く

日本の幽霊事件

ネズミに襲われる都市―都会に居座る田舎のネズミ

新鮮イカ学

モン・サン・ミシェル: 奇跡の巡礼地

BIRDER 2013年3月号

生き物の描き方

人生がスッキリする モノ・時間・人間関係の整理術

フィールドガイド日本の猛禽類 ミサゴ

死海文書入門

ニホンカモシカのたどった道

学んでみると生態学はおもしろい


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category: 雑記:今週のまとめ

thread: 読んだ本の紹介 - janre: 本・雑誌

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学んでみると生態学はおもしろい (BERET SCIENCE)  

学んでみると生態学はおもしろい
伊勢 武史
【入門書として最適度】★★★☆

学んでみると生態学はおもしろい (BERET SCIENCE)学んでみると生態学はおもしろい (BERET SCIENCE)
(2013/01/17)
伊勢 武史

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よし、学んでみよう。
「生態学」。わかったようでわからない分野である。

様々な切り口があると思うが、本書は個体群生態学/群集生態学というカテゴリを中心に、
生物の行動や個体数の変化をモデル化する方法が、具体的に解説されている。

例としては非常にシンブルでベーシックなものであり、
紹介される数式も、初歩の初歩という感じである。

よって、この数式モデルを使ってすぐに何かが解析できるようになるわけではない。
ただし動物を数学モデルにする考え方、センスというものは十分にわかる。
漠然とした「○○なら増える」、「△△なら減る」、というイメージが、
数式・モデル化によって客観化できるということは、非常に感動的なものである。

きちんとフィールドでデータを取っている人は多いと思う。
ただ、それをどう生かしていくか。
多くの人が、宝の持ち腐れになっているのではないだろうか。

統計的なグラフ処理もありだが、
本書を手掛かりに、モデル化について学べば、
対象種についてものすごく客観的で優れた研究がなせるのではないか。

本書はフィールド研究における、貴重な武器の紹介である。
ぜひ一人でも多くの方に手に取っていただきたい。


【目次】
第1章 生態学への招待
第2章 世界中の生物はどのように生まれた?―生物進化と生態学
第3章 地球の気候と歴史が決定づける生物の分布
第4章 生物の「数」をサイエンスする―個体群生態学
第5章 食う・食われるの関係―群集生態学1
第6章 ライバル関係―群集生態学2
第7章 なぜ世界にはいろいろな生物がいるの?―生物多様性
第8章 動物の不思議な習性をサイエンスする―行動生物学
第9章 微生物が取り持つ地球環境―物質循環
第10章 無理せずエコしよう―生態系サービス

【メモ】
方向性選択directional selection
before(淘汰が起きる前)とafter(淘汰が起きた後)では、特徴が一つの方向にシフトする自然淘汰。
(ex:嘴の大きさの様々な個体がいて、嘴の大きい個体が有利な環境にある場合、全体がより嘴の大きな個体にシフトしていくこと)

安定化選択stabilizing selection
(ex:嘴の大きさの様々な個体がいて、最も適切なサイズの嘴に集約していくこと)

分断選択disruptive selection
(ex:嘴の大きさの様々な個体がいて、大きい実と小さい実しかない環境のとき、嘴の大きいグループと小さいグループに集約されていくこと)

p48
気流は太陽エネルギーの大きい赤道付近からエネルギーの小さい極付近へ流れるが、断面としてみると、
北半球・南半球でそれぞれ3つの気流の渦となっている。
赤道付近:熱せられて上昇→上空で冷却され下降(北緯・南緯30度付近)。
また上昇→下降と繰り返す。
上昇時は水蒸気も持ち上げるので上空に雲が発生し、雨が降りやすい。下降部では雲ができにくく、雨も振りにくい。
よって緯度30度付近に砂漠が多く見られる。


p60個体群生物学
1種類だけの生物に焦点を絞り、モデル化する。

p69
環境容量carrying capacity ある生物が決められた環境の中で最大何頭まで生きられるかという値
この環境容量を数式に取り入れたのがロジスティックな増加logistic growthというモデル

p78
タイムラグ:
特に大型の哺乳類などにある長い妊娠期間は、タイムラグの要因となる。
 環境容量に余裕がある→たくさん妊娠
一斉に出産(個体数は環境容量を超える)→餓死が増えて減少
個体数が減り、再び環境容量に余裕がある→たくさん妊娠

環境改変:
何かの拍子で個体数が激増すると、環境が大幅に変わり、環境容量自体も変化

p116
全く同じニッチを占める2種の生物は共存できない
→競争的排除competitive exclusion

p132競争を回避するため(ニッチをずらすため)、異なる形質を獲得する
→形質置換character displacement

p145
熱帯雨林の生物多様性が高い理由:様々な説がある
・気温が高いので新陳代謝が高い
・気温が一定なので絶滅の危険性が下がる
・生産者である植物の生産量が多い

・面積が広いのでニッチが広い
→地球は球体なので、熱帯は広く、極地は狭くなる
 (平面図では同じ面積に見えるが違う)

P161
ジャレッド・ダイヤモンド(アメリカ)
人類が引き起こしている生物の大絶滅の4つの原因
「悪の四重奏」
・生息地の破壊
・過度の収穫や捕獲
・外来種の影響
・二次的な捕獲(緊密な依存関係にある2種のうち1種が絶滅すれば、もう1種も絶滅)
+遺伝的なかく乱


p167
ケンワード(イギリス)1978
ハトが単独行動:オオタカの狩りの成功率は8割近く
ハトが群行動:2割以下

ラッツ(2012)
ハトの群の中でも羽の色・模様が独特なものが襲われる
=oddity effect(風変わり効果)
よって同質な個体が生き残る
→ハトやイワシなど、群れる個体の外見は均一化する

p171
群の最適サイズのモデル化
キャラコ(アメリカ、1979)
縦軸:時間
横軸:群の大きさ
①個体が見張りに費やす時間=右肩下がりの曲線となる
②群内で餌の奪い合い費やす時間=右肩上がりの曲線となる

これを重ねると、交差する1点がある=最適サイズ

オオタカが多い場所なら
見張りに費やす時間が増えるので、①がより多くなる
=群のサイズが大きくなる

ハトが攻撃的になったら
ケンカに費やす時間が増えるので、②がより多くなる
=群のサイズが小さくなる

p178
※モデル化する際、お金や時間という明解な基準currencyが必要


p182
地域によってさえずりが異なる(方言がある)ウグイス
ヒナを別地域の親に育てる実験=親のさえずりを覚える
よって、ウグイスのさえずりの差は遺伝的なものではなく、
各地域のウグイスの文化として受け継がれたもの

p234
「環境保全はやるだけムダ」=100点がとれなければ0点でよいという考え方
しかし、そもそも環境を相手にした問題解決策に100点はない
40点でもまし、もっと低くても0点よりはまし、何もしないよりまし。

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category: 動物

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ニホンカモシカのたどった道―野生動物との共生を探る (中公新書)  

ニホンカモシカのたどった道―野生動物との共生を探る
小野 勇一
【反芻類について詳しくわかる度】★★★★

ニホンカモシカのたどった道―野生動物との共生を探る (中公新書)ニホンカモシカのたどった道―野生動物との共生を探る (中公新書)
(2000/06)
小野 勇一

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カモシカ。
山岳にいる賢者といった風体である。
アメゴ釣りで渓流に行く方に聞いたところでは、剣山系ではまあ出会えるようだが、
なかなか四国では出会えないようだ。少なくとも、僕は出会ったことがない。

そのカモシカだが、天然記念物に指定される一方、各地で増加し、林業との軋轢もある。
僕が小さい頃はそういう話がよく流れていたが、最近はあまり耳にしなていない。
僕のニュース感度が悪いのか、
また林業の衰退と自然保護の高まりで、カモシカもそこそこ暮らしやすい時代になったのか。
もしかしたら本州の方とはイメージが違うかもしれない。ご了承いただきたい。

さて、本書はそのカモシカに関する研究書である。
カモシカってどんな動物か、をとくため、そもそも反芻類って何、反芻って何というところから
スタートするのだが、これが面白かった。
ウシがのどかにもくもぐするイメージだけだったのだか、
ここにも進化の妙があったとは。窒素リサイクルなんて考えもしなかった。

また後半の研究では、特に個体数推測手法が興味深い。
区画法は、野鳥でもラインセンサスや定点センサスでなじみがある。
しかし糞粒法である。
個体の一日の排泄する糞塊、その分解速度、発見率から個体数を推測するという手法は、
なるほどと驚いた。
これが野鳥にも適用できるとは思わないが、
個体数の把握も、さまざまな方法があるのだなと勉強になった。

またそうした分布把握から、拡大速度までわかるというのも面白い。
野鳥でも外来種の拡大が問題となるが、こうした拡大速度を求めていくことも良いかもしれない。

研究手法のモデルケースとしても、有益な一冊である。

【目次】
序章
第1章 ニホンカモシカとはどんな動物か
第2章 反芻類としてのカモシカ
第3章 生まれてから死ぬまで
第4章 ニホンカモシカを追う
第5章 「カモシカ問題」とは何か

【メモ】
p18
ウシ科の全ての種類には、枝分かれしない角がある。
この角は頭骨から直接生え、一生生え変わらない。
原型は直線的な1本角、適応放散によって多様化

p40
草食動物の食性
狭食性stenophagousと広食性euryphagous
狭食性:食べる種類が限られている、極端な場合は1種:単食性
広食性:幅広い食物を食う

カモシカ:広食性:潅木食い 季節によっては木の芽や幹の皮など

p44
高槻(1986)
木本類B、グラミノイド(ササ類を含むイネ科の草本類)G、その他O
で三角ダイアグラムを作成し、胃内容をプロット
   B
G  O
カモシカはB-G線上に集中
 
カモシカはジャーマン-ベル説(BJS説)のいわゆるむしり食い者(ブラウザー)


p51
反芻類の唾液
草原では窒素は不足しがちな無機成分、そこで草食動物は取り込んだ窒素をリサイクルして体外に出にくくする
→動物では窒素は尿酸や尿素のかたちで体外へ排出されるが、草食獣では尿の中のその濃度は低く、窒素成分は血液中に再吸収される。反芻類ではこの窒素は口腔内に開口する唾液腺に集められ、摂食や反芻時に多量の唾液として食物に混ぜられる。唾液中の窒素は瘤網胃のなかで微生物に使用され、微生物や生成物に取り入れられ、再び反芻類の体に戻る。

p57
反芻という消化方法である以上、発酵のための時間が必要である。一方、栄養のためにはできるかぎり短い時間で発酵をすます必要がある。体が小さくなればなるほど、この矛盾は大きくなる。
反芻類の体の大きさの最低限界は植物体に含まれる繊維素/蛋白質比によって計算されるが、最低は5kg前後とされている。実際にはマメジカ科(体重2~3kg)がいるが、マメジカは一応反芻するが、魚も食べるといわれている。また、体の小さい反芻類は、後腸発酵が発酵している。

p62
大量に植物に含まり、草食哺乳類に有害な物質:タンニンとリグニン
タンニン:ネズミの実験では4%濃度で成長が止まり、8%で死ぬとの報告もある。
リグニン:セルロースとともに細胞内に大量に詰まっており、木材では20~30%含有。
毒ではないが全く消化できない。また発酵阻害の作用もある。

潅木を食べる反芻類では特に解毒能力が高い。

p72
カモシカの角:縦に切って染色すると、角の年輪(角輪)とがあり、角の内部の成長線(層)と一致。ただし成長線(層)と一致しない偽角輪もある。ただし、慣れれば外部から識別可能。
また雌が妊娠・出産すると貧栄養状態となるため、角輪が狭くなる。これによって出産回数もわかる。

p107
カモシカ:数が増えた場合、分布の拡大を伴っている(密度が一定のため)。
石川県白山では、密度が2.3~3.3匹/平方km、S30~のデータでは、分布拡大の速度は平均0.7km/年。


p115
天然記念物指定時(1955)には3,000頭といわれたが、あまりあてになる数字ではなかったらしい。
それが1980の環境庁全国調査では6~9万頭とされた(調査未実施県もあるので、実際は6~12万頭)。
「増えた」とされたが、そもそものスタートが不明確。

・個体数の推測方法
①区画法(ブロックカウント)
対象とする動物を発見する精度が、労力に対して適切な広さで調査。
カモシカの場合は、見通しが極端に悪くない林では「5ヘクタールで1.5時間」、
良好な見通しなら「10ヘクタールで2時間」としている。
この時間・広さを決定するためには、様々なケースでの試行がある。

②糞粒法
一定時間に排出する糞、野外で発見される糞の数、その分解率を利用して、個体数を推測。
 (発見した糞数F÷発見率)×分解率b÷(1頭あたり1日の糞塊数)
※季節変化もある
シカについても糞粒法が試みられているが、季節的・場所的にはシカの方が変動が大きく、実用になねか不明。

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category: 哺乳類

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死海文書入門 (「知の再発見」双書)  

死海文書入門
ジャン=バティスト アンベール、エステル ヴィルヌーヴ 他
【インディ・ジョーンズ度】★★★☆

死海文書入門 (「知の再発見」双書)死海文書入門 (「知の再発見」双書)
(2007/09)
ジャン=バティスト アンベール、エステル ヴィルヌーヴ 他

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死海文書。
あふれるロマン。謎。砂漠。そんなイメージをもとに、本書を手に取った。
しかしよく考えると、自分の持っているのは本当に「イメージ」であることに気づいた。

実際に、どのように発見されたのか。
どんな形態なのか。
どんな意味があるのか。

本書は発見から研究まで、死海文書をめぐる歴史を、
多数の図版とともに紹介している。

まず発見。
公式には1947年発見だが、その直後から、研究者と現地のベドウィン族との競争が繰り広げられたこと。

途中に、発見した羊皮紙が手の中で粉になってしまう様子など、劇的なものがある。

また発見後は、イスラエルとヨルダンの紛争による所有権の流転。

そして研究史では、近くのキルベト・クムラン遺跡との関係、
また死海文書を書いたのはキリスト教のエッセネ派のものと言われつ、
いまだに確定はしていないこと。

さらに、パピルスや皮ではなく、銅の薄板の巻物もあったこと。
これには60箇所の財宝の目録と隠し場所が記載されていたが、
しかし実際には一つも見つかっていない。謎である。

ともあれ、本書によってそうした「謎」を具体的に知ることができ、
漠然としたロマンから、20世紀最大の発見ともいわれる死海文書を
具体的な存在として感じることができるだろう。


【目次】
第1章 クムランの発見物語
第2章 ユダヤの歴史―アレクサンドロス大王による征服から神殿の崩壊まで
第3章 死海文書(クムラン写本)の全貌
第4章 キルベト・クムランは、エッセネ派の遺跡か
資料篇
古代の資料と証言
発掘現場の声
死海文書の解読
銅の巻物
宗派的文書
文書自体が語る
紀元前2世紀のユダヤ―死海文書誕生の背景

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category: 歴史

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フィールドガイド日本の猛禽類 ミサゴ  

フィールドガイド日本の猛禽類 ミサゴ
渡辺靖夫ほか
【実用度】★★★★

s-ミサゴ
本書はAmazonでは売っていない。下記のリンクから、直接著者から購入することになる。
http://www.studiokohoku.com/
価格:525円、送料:1冊なら80円


日本では珍しい特定種に関する情報をまとめたモノグラフである。
猛禽類について順次刊行していくとのことで、第1号はミサゴ。香川県ではミサゴが多いので、ありがたい。

内容は【目次】のとおり。おおむねⅡ~Ⅴが生態解説部、Ⅵが識別部となっている。
識別部のイラストは渡辺靖夫氏が担当しているが、韓国猛禽類図鑑のイラストも担当しているとのこと。
ポイントをおさえたイラストであり、実用的である。

生態解説は、主要な論文の集約的なもの。ただ、様々な項目を「生態」にくくっているため、やや使いにくい。
食性、採餌方法、繁殖、移動(分散・渡り)など、もう少し細分化しても良いと思われる。

ただこうしたモノグラフは非常に手軽に特定種について知ることができるので、ぜひ次号も期待したい。

僕としては、地味だが出会う回数が抜群に多いトビをお願いする。

なお、欧米ではこういう刊行形態はすでにある。
僕も、手元に「The Birds of North America」の
No.133(1994)Long-eared OwlとNo.62(1993)Short-eared Owlを持っている。
このシリーズでは分布、分類、移動、生息地、食性、鳴き声、行動、繁殖、生息数、保護、特徴、計測値などの項目からなっている。こうしたモノグラフが、日本でも刊行されてほしいものである。
(ちなみにこのシリーズ、現在はネット上で有料登録すると読めるようになっている。
 アメリカってすげえなと実感した。
http://bna.birds.cornell.edu/bna
興味のある方はぜひ。)

【目次】
Ⅰ 各部位の名称と用語解説
Ⅱ 概要と分布
Ⅲ 鳴き声
Ⅳ 換羽
Ⅴ 生態
Ⅵ 年齢と雌雄の識別
 1 止まっている時
 2 飛翔下面
 3 飛翔上面
 4 参考写真
Ⅶ 参考文献
価格: ¥525カートに追加
税込; 別途送料
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category: 野鳥

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人生がスッキリする モノ・時間・人間関係の整理術  

人生がスッキリする モノ・時間・人間関係の整理術
あらかわ 菜美
【モチベーション度】★★☆☆

人生がスッキリする モノ・時間・人間関係の整理術人生がスッキリする モノ・時間・人間関係の整理術
(2011/04/08)
あらかわ 菜美

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どうしてもモノが増えてしまう。
整理・掃除をしようと思っているが、なかなか困難である。

整理整頓術の頭でっかちになって実行が伴わないのは嫌だが、
低きに流れるのも嫌なので、
モチベーションを高めるために読んだ。

本書で感動的に役に立つ新しい手法が学べるわけではないが、
ちょっと明確で、具体的なアドバイスにはなる。

何より、
「夜12時からの時間」は捨て、寝るべき時間は寝て、日中にきちんと頑張ろう、
というのは至極もっともな意見であり、尊重したい。

ただ、現在も0:38である。道のりはけわしい。



p20
「保存するということは、使わなければならないということ」
保存した食品は食べなければならないし、保存したDVDは見なければならない。

p41
実際に使っているものに「ふせん紙」を貼る
→何を使っているか明瞭になる

p66
「できるだけ面積の大きいものから手放す」

p69
「PCも引き出しも1/3空ける」

p78-
手放すべき「時間」
・成長につながらない時間
・体によくない時間
・他人の時間をムダにする時間
・スキマ時間
・夜12時過ぎの時間

p89
「人に会う曜日」をあらかじめ決めておく

p93
会議は「早く終わらせたい時間帯」に設定

p120
金曜日は早く寝て、土曜日の朝早起きする

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category: 整理整頓

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生き物の描き方: 自然観察の技法  

生き物の描き方: 自然観察の技法
盛口 満
【丁寧な観察がしたくなる度】★★★★

生き物の描き方: 自然観察の技法生き物の描き方: 自然観察の技法
(2012/12/12)
盛口 満

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ゲッチョこと盛口氏の著作。
生き物の絵の描き方、というテクニック的な話が中心となっており、やや異色である。

技術的なことも多く述べられているが、
中心は、「描く」ということは、対象生物の特徴をきちんと「見ること」だ、ということ。
フィールド観察が趣味の方には、「きちんと見る」ということについて改めて学べる良書である。

目次の通り、実例は植物・虫・キノコ・昆虫と様々であり、それぞれに応じた描き方が学べる。
フィールドでのスケッチをしたいが、何をどう描けばいいかわからない、という方にはおすすめである。

また、これまでの盛口氏の観察で得た知識が、描くうえで基礎となっていることがよくわかる。

僕としては、恥ずかしながら本書で初めてイモムシの脚について、昆虫というカテゴリから見ることができた。
春にモンシロチョウの幼虫を見つけるのが楽しみである。


【目次】
1 生き物の見方
1-1 わかるということ
1-2 「れきし」と「くらし」
1-3 メガネをかけよう
1-4 長靴をはこう
1-5 トーテムをつくろう
1-6 アタックしよう
1-7 もう一つの「れきし」
2 フィールドノート
2-1 フィールドノート
2-2 フィールドノートの鉄則
2-3 クモとテントウムシのスケッチから
2-4 ノートの種類
2-5 筆記具の種類
2-6 ロットリング
2-7 フィールド
3 生き物スケッチの技法
3-1 通信の作成
3-2 「伝えること」と「伝わること」
3-3 描きたいものを描く
3-4 下絵の描き方
3-5 ペン入れ
3-6 描きすぎないというコツ
3-7 スケッチの三法則
3-8 三法則の具体例
3-9 実態顕微鏡
3 生き物を描く-フィールドの四季
4-1 春のスケッチ-花を描く
①植物の「れきし」
②シダのスケッチ
③八重の花の秘密
④野菜に見るもう一つの「れきし」
⑤「かわりだね」の花
4-2 夏のスケッチ-昆虫を描く
①嫌いな虫の分類
②昆虫ルール
③脚と顎の共通性
④「かわりだね」の昆虫
⑤昆虫スケッチの技法
4-3 秋のスケッチ-キノコを描く
①「キノコ」の二重性
②毒キノコの謎
③キノコと昆虫
④キノコから「つながり」を探る
4-4 冬のスケッチ-鳥を描く
①鳥のたちの「くらし」の断面
②胃の中に見る「くらし」
③胃石と「れきし」
④鳥のスケッチの技法

【メモ】
p93昆虫ルール

節足動物は、1体節に1脚
昆虫ルールだと、胸の体節(3節)に脚

イモムシの共通性:頭の後ろの体節が13節
基本的なイモムシは、
●脚のある体節
○脚のない体節

頭+●●●+○○●●●●○○○●
頭+胸部 +腹部
つまり後半の脚は、二次的な脚(腹脚)
よって、脚の形状も違う
(胸脚=節がある、腹脚=節がない)

科によって腹部の脚は様々
シャクトリムシ
頭+●●●+○○○○○●○○○●

シャクトリムシ(シャクガ科)に類似のホウホウボクバチ(ヤガ科)
頭+●●●+○○○○●●○○○●


p97
昆虫の脚=基節・転節・腿節・脛節・ふ節
ふ節の数は昆虫の科によって異なる
コガネムシ科:5節 ただしフンコロガシの仲間の前脚にはふ節がない

p116
毒キノコの毒の必要性
本体は地下の菌糸であり、キノコは胞子の散布器官にすぎない
しかしキノコは本来菌類だから、他の微生物との競争に化学物質が必要なのではないか
(競争のために化学物質生成)、
それがたまたま、大きな動物にもどくとして作用しているのではないか

p135
メジロの胃:長径12mmほど
昆虫も喰っている、アリ類、カメムシも

p138
胃石
ヒバリ、オオクイナ、バン、キジバトの胃には胃石があった
サシバ、アオバズク、ハシボソミズナギドリ、ズアカアオバトにはなかった
肉や魚は丸呑みしても胃石が不要
種子食や葉食には胃石による破砕が必要

同じハト類でも、ズアカアオバトに無いのは果実食だからか
キジバトの胃石:0.2g
ダチョウの胃石:1,580g


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category: 動物

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BIRDER (バーダー) 2013年 03月号 双眼鏡を使いこなそう  

BIRDER (バーダー) 2013年 03月号 双眼鏡を使いこなそう
【資料度】★☆☆☆

BIRDER (バーダー) 2013年 03月号 双眼鏡を使いこなそうBIRDER (バーダー) 2013年 03月号 双眼鏡を使いこなそう
(2013/02/16)
BIRDER編集部

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特集は双眼鏡。正直僕はどうでも良い。

近年の双眼鏡は出来がいいので、入門者はまず8倍×35mm前後のを選べば、
あとは実際のデザインで選んでほぼ大丈夫である。ただ、ホームセンターでルビーコートのとか、
すんげー安いけど筐体がプラスチックのは買わないこと。あれはおもちゃである。
ニコン、ペンタックス、オリンパスなど、それなりのメーカー品を選ぼう。

日常的に持って慣れるのが大事なのであって、
最初からバカ高い機種を持つ必要は無い。

そもそも、双眼鏡の見え味より、まずは識別点とその判断ポイントをどれだけ知っているかである。
それによって、高額な双眼鏡の必要性が高まる。

極論すると、写真屋さんが被写体を探すのや、初心者が日中に観察するのに、
ライカやスワロフスキーはいらないのである。

そりゃあるに越したことはないが、
それでないと識別できないなんてことは全く無い。


むしろ本号は、前号に続き、鳥類目録改訂第7版で追加されたスズメ目の種の写真が、小さいながら全種掲載されているところに価値がある。
というか、たぶん3年たてば、双眼鏡比較なんて無価値であろう。


【目次】
[特集]双眼鏡を使いこなそう!
・双眼鏡ってどんなもの?
・ユーザー必見! 失敗しない双眼鏡の選び方と使い方
・新旧ハイエンド双眼鏡、見え味勝負
・2013年度 BIRDER厳選:価格帯別 双眼鏡カタログ
・本当によく見える双眼鏡はどれだ!? ハイエンド4機種を検証する
・双眼鏡の技術史 ~日本の技術力が世界に!
・双眼鏡+iPhoneで野鳥撮影を楽しむ「コーワTSN-IP4S」
特集別体 双眼鏡技術史年表

私たち、日本の鳥になりました 後編(スズメ目の鳥など)
・BIRDER GRAPHICS[鳥たちの花宴]
・原寸大野鳥図鑑 #36(最終回)[ウグイス]
・Field Report #27[初バードウォッチング]
・鳥の形態学ノート #36[アカショウビン頭(1)]
・Bird Tracking #224[テン(ニホンテン)]
・ぶらり・鳥見 散歩道[春の利根川下流域、鳥見紀行[前編](千葉県、茨城県)]
・野鳥圖譜 #51[カイツブリ]
・どこでもバードウォッチング #15[動物園]
・伝説の翼 #15[シロフクロウ(snowy owl)]
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category: 野鳥

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モン・サン・ミシェル: 奇跡の巡礼地 (「知の再発見」双書158)  

モン・サン・ミシェル: 奇跡の巡礼地
ジャン=ポール・ブリゲリ
【外見は知ってるけど何もしらなかったなあ度】★★★★

モン・サン・ミシェル: 奇跡の巡礼地 (「知の再発見」双書158)モン・サン・ミシェル: 奇跡の巡礼地 (「知の再発見」双書158)
(2013/01/19)
ジャン=ポール・ブリゲリ

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TVでお馴染みの海上に浮かぶアレである。

そういやアレって、ホントは何? という疑問から手に取った。
「モン・サン・ミシェル」または「モン・サン・ミッシェル」という言葉でわからなかったが、
Mont-Saint-Michelは「聖ミカエル山」である。
聖ミカエルとは大天使ミカエルであり、その信仰の場だったのだな、とわかる。

僕は本書によって、1811年から47年間、ここが常設の監獄として使われていたことを初めて知った。
アルカトラズであったとは。驚きである。
本書は「モン・サン・ミシェル」の成り立ちから現在までを記し、随所にカラー図版がある。
同地に興味がある方なら、一読の価値はあるだろう。

ところで、香川県のモン・サン・ミシェルと言うべき信仰の場をご存知だろうか。
ぜひGoogle先生で「香川県 津嶋神社」で画像検索していただくか、
wikiのページをご覧いただきたい。


【目次】
第1章 奇跡の意味
第2章 修道士の時代
第3章 戦士,牢番,建築家
第4章 海の危険,陸の危険と向きあって
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category: 歴史

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新鮮イカ学  

新鮮イカ学
奥谷 喬司
【全いかっていう組織は知らなかった度】★★★★



先日、NHKで国立化学博物館の窪寺恒己博士が、世界で初めて生きているダイオウイカを、
その生息域で撮影したニュースがあった。

生きているダイオウイカを見て撮影できるというのは、そこまで行ける技術と
コンパクトな撮影機材が必要であり、現在の技術に進歩することで、て初めてできたことだろう。
しかし、その技術を開拓し、実際に行動に移すのはやはり人間の情熱である。
その点で、やはり窪寺博士の成し遂げたこと偉業であり、
人類の深海探検史のうえでも特筆すべき出来事だろう。

さて、そのニュースに触れたので手に取ったのが本書である。
様々なイカ研究者が、その研究テーマに沿って各章を執筆している。
漁業資源としての研究も多いため、純粋に生態的興味がある者からすると、
ちょっと物足りないかもしれない。
その中では、やはり窪寺博士の研究、本書は2010年発行のため釣り上げるところまでだが、
その記事が最も面白かった。

イカに興味がある方は(そんなにいるとは思えないが)、
現在の研究の方向性を知る入門書として最適だろう。


【目次】

1章 新鮮イカ学Q&A
2章 “湖”の中のスルメイカ―日本海とスルメイカの関係って?
3章 寒波はスルメイカを減らす?暖かいとなぜ増える?
4章 小さな石の秘密―イカの平衡石はCD‐ROM
5章 世界最大の食用イカの不思議―アメアカの過去・現在・未来
6章 イカDNAの威力―親子の認知から製品鑑定まで
7章 青い眼のイカ漁りまくりの日々―海外イカの開拓史と幕引き
8章 イカはどうして光に集まるのか?―漁灯技術と研究の今昔
9章 ソデイカの袋小路―日本海のソデイカ漁業とその資源
10章 巨大イカ暗黒に舞う―カメラがとらえた深海性大型イカ類
11章 地球温暖化でアオリイカは繁栄するか?衰退するか?
12章 小さなイカに魅せられて―ヒメイカの奇妙な生態
13章 イカの精子競争―より多くの子孫を残すための巧みな戦術と行動
14章 脳のデザインからみた知性の進化―イカの賢さの秘密はその脳にあり
15章 みんなの味方、美味しいイカ
16章 イカに絡まれ半世紀―自伝的イカ研究の発展と多様性
あとがき

【メモ】
p4 世界のイカ:約450種、日本近海は140種
  世界のタコ:あまりよく分かっていない。おそらく世界に270種、日本近海には60~70種
→なぜタコの方が分化が少ないのだろう?
化石頭足類のアンモナイト:2万種

p5 淡水イカ・タコはいない。塩水湖にもいない。

p7
コウイカ類の甲は多孔性の石灰質で船形、浮きとして機能、死ぬと浮かぶ
ヤリイカ科やアカイカ科は筋肉が優れ泳ぎ続けている→死ぬと沈む

深い海の中層のイカ:多くは皮膚の下に塩化アンモニウムを蓄える液胞があるので
比重が小さくなり、中性浮遊性を保つ。ニュウドウイカ、ダイオウイカなど。
よってアンモニアくさく、焼くと塩辛くて食べられない。

p9
スルメイカ、ケンサキイカの寿命:1年
魚類の耳石のような平衡石によって日輪が確認でき、寿命の確認が出来る

p12 最大のダイオウイカ:ギネス
1879.1.30の「ボストン・トラベラー」掲載、ニューファウンドランドに漂着した個体
口の先-体の後端:6.6m、蝕腕1本が11.5m

p13 日本最初のイカ:ヒメイカ 16mm程度
もともと「ヒナイカ」だったが、いつの間にか「ヒメイカ」になった

p18
自家発光するイカ:外洋性のツツイカ類
バクテリアなど共生菌により発光するイカ:沿岸性ダンゴイカ・ミミイカ類
全イカの約45%(200種以上)は発光性を有する
一方、タコで発光性を有するのは2種のみ

p38
スルメイカ
雌は直径1m程度のゼリー状卵塊を生み、海の中層を漂う(「卵塊中層浮遊・滞留仮説」)といわれている。
卵塊には長径1mm前後の卵が数万~数十万含まれている。
しかし天然の卵塊も卵もいまだに採集されていない。

p78
平衡石 2個、イカの頭部
イカの平衡感覚に関わるもの
丁寧に磨くと切り株のような輪紋がある。輪紋は1日に1本形成される日周輪。

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category: 軟体動物

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ネズミに襲われる都市―都会に居座る田舎のネズミ (中公新書)  

ネズミに襲われる都市―都会に居座る田舎のネズミ
矢部 辰男
【ネズミの世界も奥深い度】★★★☆

ネズミに襲われる都市―都会に居座る田舎のネズミ (中公新書)ネズミに襲われる都市―都会に居座る田舎のネズミ (中公新書)
(1998/06)
矢部 辰男

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人家に出るネズミというとドブネズミと思うが、
現在の都市ではむしろクマネズミが多く、ドブネズミは衰退しているという。
1998初版のため、現在はまた異なる状況になっているかもしれないが、
人間社会に紛れ込むネズミについて、正しい知識を得るために格好の本である。

ドブネズミとクマネズミは生態も正確も異なるため、
安易にドブネズミと決めつけると、適切な対策もとれなくなる。
ネズミに悩む方は必読である。

僕としては、ドブネズミとクマネズミの人間への寄生性(クマネズミの方が高い)の理由として、
野外に生息する野ネズミにある貯食性・貯脂肪性がないという明確な理由を知ることができただけでも収穫であった。


【目次】
第1章 都会のネズミ革命
第2章 なぜ人類に寄生するか
第3章 田舎のネズミだった
第4章 クマネズミ問題の減る国、増える国
第5章 ネズミを滅ぼす「陸の孤島」


【メモ】
P6戦後
都市化:下水溝や下水道の普及により、餌・分布に下水道等を利用するドブネズミ増加
しかし現在、ドブネズミは衰退し、クマネズミが増加している。
1970年代に大きなビルができたことが影響

ドブネズミ:
・獰猛、乳幼児を襲うこともある
・肉食的傾向が強い
・生け捕りにされた後も攻撃姿勢をとる
・土の中にトンネルを掘って巣を作る

クマネズミ
・おとなしく、ドブネズミよりも小さい
・生け捕りにされた後も攻撃姿勢をとらない
・身軽、木登りも得意
・建物の中に巣を作る

P18 ラットサイン(ネズミの痕跡)
黒ずんだ、体のこすり跡や歩いた跡
 床面より高い位置、横に張られた材とパイプの交差部分や壁の角

P21 体毛を失ったヌードラット
硫酸タリウム(脱毛作用がある)でできた殺鼠剤を食べたネズミと言われる
タリウムは分解しにくい重金属なので、放置された製剤でも効果がある
ただし毛が抜けるほど食えば死ぬという説もある

P29 イエダニ:Tropical mite:ネズミに寄生するダニ
クマネズミを飼っていると増加
人を吸血するが、人で繁殖はしない
脚からあがったダニは腰のまわり、手からあがったダニは肩を刺す
暖かい場所を好むためか、クマネズミにつく

ドブネズミは寒い場所にいるため、イエダニが少ない

p40
警戒心指数(一度捕獲されたものが再度捕獲される割合)
ハタネズミ、スミスネズミなど野ネズミは低い
家ネズミでもハツカネズミは0に近い
ドブネズミもある程度あるが、クマネズミが圧倒的に高い

p41
クマネズミは中が真っ暗な罠には入らない
粘着性の罠にかかるのも生後2ヶ月程度までで、親はかかりにくい

p53
全世界:60種ほどのクマネズミRatt rattusの仲間がいる
・ドブネズミRattus morvegicusもその仲間
クマネズミ属に含まれるネズミの80%以上が熱帯アジア地域に住み、
特に東南アジアやその周辺に種類が多い。
これは、東南アジアからオセアニア周辺でこの種類が発生したため。
これらの地域を離れるに従い種類が減り、クマネズミとドブネズミ、
またはその一方しか見つかられなくなる。
大部分は森林や草原、耕作地に墨、わずかな種類が建物に侵入する。

p57
クマネズミはスリムな身体に、長い尾を持つ
手足の裏側には盛り上がった肉球があり、この肉球にはよく発達したヒダがある。
このヒダによって木に登る。
ドブネズミには、このヒダは発達していない。

p65
越冬のために体脂肪を蓄えるネズミは、巣穴に食糧を貯める必要がないので、
その分長距離を移動できる。
日本の貯脂肪性のネズミ:カヤネズミMicromys minutusには貯脂肪性があると推定されているが、
確認はされていない。

貯食性も、食物や栄養の不足に対する適応反応のひとつ
日本:アカネズミ、ヒメネズミ、ハタネズミ、エゾヤチネズミ、その他多くの野ネズミにある

p73
ドブネズミは食べ物を貯めたり体脂肪を利用する性質があるが、
その性質は不完全であり、必ず貯めるとは限らない。
そのため、完全に人間から独立できないと思われる。

p74
ハツカネズミは食糧も体脂肪も貯めずに、草原や畑で越冬する。
(ハツカネズミは上顎の門歯の先端には、独特のへこみがある。)
中途半端な家ネズミといえる。

p77
クマネズミ:脂を貯めないし、食糧も貯めない。
よって、人間から離れることができない。

p93
1960年代までは、クマネズミは農村、ドブネズミは都会となっていたが、
現在は農村のクマネズミが減る傾向にある。

p108
クマネズミ:ハツカネズミよりもはるかに渇きに弱い
ハツカネズミは穀類の詰められたコンテナに閉じ込められ、
飲み水無しで10日以上も海を渡ることがあるが、
クマネズミはできない。
ドブネズミはクマネズミよりもさらに乾きに弱い。

p122
植物繊維を多く摂取する哺乳類の大腸及びあるいは盲腸は、小腸に比べて相対的に長い。
大腸:小腸比(盲腸比)は、哺乳類の食性を示す指標になる。

p135
クマネズミが日本に定着したのは先史時代
登呂遺跡などのネズミ返しは、クマネズミ対策ではないかと実験的証明がある
ドブネズミや野ネズミ用としてはおおげさすぎる

p136
クマネズミの染色体
アジア型(東・東南アジア、西南アジア、日本を含む) 2n=42
オセアニア型(オセアニア、北米、南米、ヨーロッパ、アフリカ、
中近東、インドなど) 2n=38

ヨーロッパではクマネズミは減少しつつある

p142
昔の殺鼠剤
・急性毒(アンツー、黄燐、亜ヒ酸、炭酸バリウム、ストリキニーネ、燐化亜鉛など)
毒であることをネズミに悟られやすく、人畜への危険性もある

1950以降、欧米に広がった
・クマリン系殺鼠剤:ワルファリン
抗凝血性、内出血も引き起こす、摂取しても数日後でないと効かない(人間の誤飲対応ができる)ため、
ネズミに毒と悟られにくい

p154
吉田俊秀氏の染色体分析
北海道、東北、北陸のクマネズミは、関東や西日本に分布するクマネズミと異なる
北海道には古い時代に大陸から入ったものが定着、西日本には後の時代に東南アジアから侵入し、
大陸型と交雑したらしい。高積雪地帯に残る先住のクマネズミは寒さに強いと推測

p178
クマリン系殺鼠剤に抵抗性のあるクマネズミ:日本では1979年に学会報告
日本には1950年代初めにクマリン系殺鼠剤が導入
1960年代に盛んに使われた

p195
電磁式撃退装置:1970年代後半に、すでに欧米の文献で効果がにないと報告
殺鼠剤は厚生労働省が薬事法に基づき効力や安全性を審査
電気機器は通産省が電気的な規格試験をするだけで対ネズミの効力が保証されたわけではない。


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category: 哺乳類

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書聖 王羲之――その謎を解く  

書聖 王羲之――その謎を解く
魚住 和晃
【入門書として最適度】★★☆☆

書聖 王羲之――その謎を解く書聖 王羲之――その謎を解く
(2013/01/23)
魚住 和晃

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現在、特別展も絶賛開催中である王義之の本。

日中国交正常化40周年 東京国立博物館140周年 特別展「書聖 王羲之」
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1569

大学は教育学部国語国文学だったので、書道は必修であった。
王義之の「蘭亭序」、空海の「風信帖」は、その頃初めてじっくり見たものである。
そして王義之の真筆は失われてしまっていることも知った。
正直なところ、書道には全く関心が無かった僕としては、
なぜこの王義之の書がすばらしいのか(字体としては他の書家のほうが整っているように見える)、
また、本当に拓本や写しでその真価がわかるものなのか、
どうしても疑問がぬぐえなかった。

そこで、じゃあ王義之についてちょっと読んでみよう、と思い手に取った。

本書は前半は王義之伝、3章は蘭亭序が偽作だとした説の存在とその論破過程、
5章以降は王義之の書法の伝来・展開を記す。

正直、文章は中国文学に関わる人独特の語りの口というか、
言い回しや語彙が通常とは異なるため、すっと入らないことも多い。
頑張って読む、という感じである。

なお、、義之らの書を大きく掲載し、その書法を詳しく解説するということも少ない。
書法について詳しく知りたい人はそういう専門書を探せばよいし、
人物伝を知りたい人は、おそらくそういう本もあるだろう。
本書は王義之に関する概論書という感じである。


とりあえず、「その謎を解く」というサブタイトルについて、
どの謎?と思ったことは内緒である。

なお、模写の方法に臨書のほかに搨模(とうも、原本の書の上に薄紙を置き、文字の輪郭を写し、裏から墨を塗って作成する)があること、また写しの過程においての字の向きを修正したり、やはり写した者のクセが出ることがあることを知った。
数ある「蘭亭序」の写しの中で、どれが真筆に近いと考えられ、なぜそう考えられるのか。
むしろ興味はそちらに移った。

【目次】
第1章 骨こう(魚+更)高爽の王羲之
第2章 書聖王羲之をめぐる四帝
第3章 蘭亭序論争
第4章 王羲之書法の本質と真価
第5章 欧陽詢・虞世南における王羲之書法
第6章 王羲之書法の日本伝入と和様形成

【メモ】
尺牘(せきとく)=短い手紙
搨模本(とうも)=原本の書の上に薄紙を置き、文字の輪郭を写し、裏から墨を塗って作成した模写本
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category: 歴史

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日本の幽霊事件 (幽BOOKS)  

日本の幽霊事件
小池 壮彦
【マニアックな探求度】★★★☆

日本の幽霊事件 (幽BOOKS)日本の幽霊事件 (幽BOOKS)
(2010/07/16)
小池 壮彦

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タイトルに魅かれて手に取った。
僕は知らなかったが、
著者は各種の怪奇事件を調査し、その成立過程や背景をさぐる、
言ってみれば怪奇事件専門のルポを書く方のようである。
よって筆者がいわゆる霊感的な解説を加えることもなく、
オカルト的な原因や風聞をそのまま掲載することもない。
徹頭徹尾、事実だけを探っていく、というものである。
おどろおどろしい話があるわけでもなく、怪しい現場を夜中に探るとかいうこともない。

その掘り下げが納得行くものかどうかは読者しだいだが、
本書によって、ちょっとした偶然の連鎖が、様々な伝聞を経るうちに定形化していき、
都市伝説となる過程がよくわかる。

霊の存在を肯定・否定するに関わらず、読んでがっかりすることはないだろう。

ただ、端々にある著者の個人的経験を見ると、ちょっと偏執的な危ない考えもお持ちのような気もする。

【目次】
軍都赤坂のメイド霊―麻布一連隊跡地
八百屋お七の足音が聞こえる―円乗寺境内
油面坂下の怪談―市場坂橋
お初殺し―浅草界隈
魔が呼ぶダム―多摩川調布堰
玉菊燈篭―吉原界隈
玉菊の墓―永見寺墓所
火除橋の怪火―日本橋界隈
水の女と、魔の淵と―荒川放水路
追ってくる屍体―中川鉄橋
桃色の幽霊―羽根木公園
三姉妹入水心中―どんどん橋
水道の祟り―玉川上水
妖しき痕跡を巡って―補章1
隠された八百屋お七の秘密―補章2
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category: スピリチュアル

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今週のまとめ  

今週もマイナー生物特集のようになってしまいました。
おすすめは「昆虫未来学―「四億年の知恵」に学ぶ」、何と言っても
最新の昆虫学の知見がてんこもりで、読み応えがあります。
僕が掲載された内容を自分のものにするには、かなり時間がいるなと感じました。
しかし、一読の価値はあります。

一方、文句の方が長くなったのが「ミジンコはすごい!」、
ブラックバス問題は難しいものですが、
例えばおそらく香川の場合、近年問題視されているカワウの増加原因のうち、
冬期のカワウの越冬生存率の上昇は、ため池のブラックバスがかなり貢献していると思っています。
そうすると、水域の生態系だけの話ではないですね。

科学的(生物学的)な問題を、言葉の問題にすりかえちゃいけません。
考え方というかスタンスの違いだとしても、
少なくとも、「ジュニア新書」でこういう誘導はいかんと思います。


ウイルスと地球生命

ミジンコはすごい!

ミミズのいる地球

昆虫未来学―「四億年の知恵」に学ぶ

深海生物学への招待
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category: 雑記:今週のまとめ

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深海生物学への招待 (NHKブックス)  

深海生物学への招待
長沼 毅
【わくわく度】★★★☆

深海生物学への招待 (NHKブックス)深海生物学への招待 (NHKブックス)
(1996/08)
長沼 毅

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ちょっと前に「ナダールの穴」というTV番組でも有名になってしまった、
「科学界のインディ・ジョーンズ」こと、
深海生物というか極限生物の研究者である長沼氏の著書である。

本書では、特に深海生物のチューブワームとりあげる。
長沼氏らしく、随所に様々な生物学的知見が散りばめられており、
楽しめる一冊である。
もう1冊、「形態の生命誌―なぜ生物にカタチがあるのか 」の方が、
かなり生物としては普遍的なテーマを扱っており面白いのだが、
こちらもいつか紹介したい。

【目次】
はじめに 深海に新たな生命観を求めて
第1章 深海アナザーワールド
第2章 深海の多様な住人たち―深海砂漠での生き残り戦略
第3章 謎の深海生物チューブワーム
第4章 熱水性生物の楽園「深海オアシス」
第5章 化石となったチューブワーム
終章 チューブワームは時空を越えて
付章 深海へのあくなき挑戦の物語

【メモ】
【P20】
日本語の「赤い・黒い」は「明るい・暗い」に源があるというが

【P20-21】
■深海で赤い生物が多い理由
海では深いほど青の優先度が高くなる。海が青いのではなく、海の中が青い。
赤色の物体は青色光を吸収するので、青い世界では、赤い物体は黒く見える。
→深海では、エビ、カニ、ナマコ、イソギンチャクなど赤い生物が多い。
また、黒色も多い。
いずれもできるだけ黒くなり、暗い世界に隠れるためのカムフラージュ。

■生物発光(バイオルミネッセンス)
海中では光が散乱する。入射光より散乱光の方が優勢。
深いところでは、入射方向にかかわらず、天頂が一番明るく、周囲が暗い。
このような場所で物体を下から見ると、明るい背景上でシルエットができ、目立つ。
これを隠すため、
ある生物は体を透明に近づけ、
ある生物は下方に発光器を備えた。生物発光(バイオルミネッセンス)。

■生物発光による餌探し
海中では青色光がよく透過する。よって、生物発光も青色光が多い。
しかし、生物発光をサーチライトとして餌を探す場合、青色光では赤い物体が見えない。
そこでエソの仲間は、発光器に赤色化フィルターを備え、眼も赤色をよく感知するよう発達している。

【P77】
■カラヌス類が赤い理由
■生物にとっての赤いカロチン系色素
海の代表的な動物プランクトンであるカラヌス類(エビを真っ直ぐにして体長1mm以下にしたようなもの)
→赤いものが多い →青い世界への適応
また、
カラヌスの赤はカロチン系色素の赤。
これは青色(波長450~470ナノメートル)をよく吸収する。
「生物にはこの波長に感受性のある(何らかの悪影響を受ける)種類が多く、
カロチン系の色素で「青い光」をブロックするような工夫をしている。」

【P78-79】
■紫外線 ニューストン
紫外線は海中では急速に減少し、水深数十メートルでほぼ無影響になる。
ただし表面は別。
水の表面張力が問題になるような表層にいる種々の生物を総称して、「ニューストン」という。
ニューストンには波長310ナノメートルの紫外線を吸収する物質が多かった。

■紫外線 貝
海洋バイオテクノロジー研究所の丸山正博士らによると、
浅いところの二枚貝=紫外線ブロッカーをもつ
深いところのシロウリガイ=もたない

【P79】
■食う-食われるものの大きさの関係

1/10 10倍
餌 天敵
珪藻 カラヌス ヤムシ、小魚
0.01~0.1mm 0.1~1mm 1cm~数cm


比重で考える
餌 人間(体重60kg)
直径5cm 直径 50cm程度の球

【P104】
■共生バクテリアの伝播 ミトコンドリアの母系遺伝
チューブワームには共生バクテリアがいる

・卵や精子にバクテリアがいて、親から子に伝播
→「上下伝播」
・幼生初期には口や消化管があるので、生後にイオウ酸化バクテリアを得る
→「水平伝播」

チューブワームの卵等にバクテリアは観察されていない
だから水平伝播と考えられるが、決め手もない

シロウリガイも共生バクテリアをもつ
卵細胞内にバクテリアがいる上下伝播
これが母系遺伝、→ミトコンドリア、葉緑素

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category: 環形動物

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昆虫未来学―「四億年の知恵」に学ぶ (新潮選書)  

昆虫未来学―「四億年の知恵」に学ぶ
藤崎 憲治
【最新の研究成果が楽しい度】★★★★

昆虫未来学―「四億年の知恵」に学ぶ (新潮選書)昆虫未来学―「四億年の知恵」に学ぶ (新潮選書)
(2010/12)
藤崎 憲治

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昆虫全てについて、その進化史、機能、人間との関わり、そして昆虫の機能を工業等に応用するバイオミミクリーの事例などが凝縮して記載されている。かなり読み応えのある本である。
下記のとおり、僕としてはとったメモの量も多かった。

かなり広い範囲のテーマが網羅されているので、ある程度の生物好きであれば、
「知っている話題」にでくわし、それを詳しく知ることができるだろう。

例えば僕は構造色に興味があるのだか、まだ専門書まで入手できていない、
しかしとりあえず本書によって、タマムシ、カメムシ、コガネムシの構造色が別々のメカニズムであることを知った。
「昆虫という生物の機能等に関する最新のやや詳しい入門書」として最適である。

なお、スポーツドリンク「VAAM」の意味が分かったのは、楽しい。

【目次】
第1章 昆虫とはどんな生物か
第2章 昆虫たちのみごとな進化
第3章 昆虫が群れるわけ
第4章 生態系における大きな役割
第5章 地球温暖化センサーとしての昆虫
第6章 昆虫と人類の闘い
第7章 害虫を上手にコントロールする
第8章 バイオミミクリー革命

【メモ】
p24
日本を含むアジアを中心に、海岸の林などに生えているコミカンソウと、
その花に産卵するハナホソガは、互いになくてはならない絶対送粉共生系を構成
(京都大学 加藤真教授)
それぞれ遺伝子の違いがある約500種に分かれていて、それぞれが特定のペアで繁殖している。

p25
昆虫と植物の共進化=ポリネーター(花粉媒介者)と顕花植物との間で極限まで発達

p30
昆虫の色覚 ヒトより短波長側にずれており、UV-Aと呼ばれる紫外線領域を認識できる

p35
昆虫の中で最初に翅を発明したグループ(カゲロウとトンボの仲間)=旧翅類
いずれも幼生が水生であるのが特徴
さらに進化したのが新翅類

旧翅類
 翅の基部は蝶番構造ではない 前後の翅を上下にしか動かせず、後ろに折り畳めない
新翅類
 翅の基部は蝶番構造 翅を後ろに折り畳める

p36 昆虫の飛翔システム
1 トンボに代表される直接飛翔筋駆動型 翅の振動数が相対的に少ない、大型昆虫
2 小型の昆虫 飛翔筋を収縮させ、胸部外骨格を変形させる
 翅の振動数はとても多い カ類は毎秒300回
究極まで発達させたのがハエ類 前翅だけにし、後翅は退化した

p40 飛ばなくなった昆虫が多く、様々な目で独立に存在する
100%飛ばない目
 ハジラミ目、シラミ目、ノミ目=寄生生活
 ガロアムシ目=自由生活 理由は良くわからない
翅を維持するには強大な飛翔筋が必要、体重の10~20%
繁殖活動の制約になる

アブラムシ類
有翅型と無翅型 有翅型は生殖腺サイズが20%減少

p43
昆虫で翅を持つのは成虫だけ=翅を持たない昆虫=ネオテニー(幼形成熟)の一種
超多型性昆虫
=昆虫にある幼若ホルモン(幼虫形質を維持するホルモン)が多いと、無翅型や短翅型になる

p45
完全変態と不完全変態
不完全変態(バッタやカメムシ)幼虫と成虫の生息場所が一緒=餌資源の競争
完全変態=幼虫は発育、成虫は繁殖という役割分担、餌資源も分割

完全変態の方が生き残るには有利=種類の多い目の上位5位中4位が完全変態

1 コウチュウ目 370,000種 完全変態
2 チョウ目 138,000種 完全変態
3 ハチ目 130,000種 完全変態
4 ハエ目 110,000種 完全変態
5 カメムシ目 39,000種 完全変態

p47
運動エネルギーは長さの5乗に比例
ネズミの10分の1の昆虫は、10万分の1のエネルギーで地面に衝突する
→木から落ちても平気

p51
自然選択は昆虫の形態形質や生活史形質にしばしば急速な進化をもたらす
カメムシの仲間:吸汁性
北アメリカ産でムクロジ属のフウセンカズラの種子を餌とするカメムシの一種
Jadera haematoloma
=外来の寄生植物が野生化して増えるにつれ、その植物の大きな種子を利用するようになった結果、
口吻が長くなるという進化が起こった。(カリフォルニア大学のS.キャロル博士)
急速な進化(rapid evolution)の典型

p59
ウスバキトンボ 風任せ、季節風に乗って東南アジアから飛来、戻らない
寒さに弱いので北上した個体の子孫は全て死ぬ
=「パイドパイパー・マイグラント」(pied piper migrant)
パイドパイパー=ハーメルンの笛吹き男

昆虫の繁殖スケジュールの生息場所鋳型説(T.R.E.サウスウッド,イギリス)

  時間   いま良い  いずれ良い
空間 
ここが良い  繁殖    休眠して繁殖
よそが良い 移動して繁殖 移動・休眠して繁殖

p81
北米大陸のオオカバマダラ=英語でモナクバタフライ(帝王蝶)=毒蝶
幼虫はミルクウィードというガガイモ科のトウワタ属の毒草を食べる
その毒を無毒化する進化によって、膨大な餌資源を手に入れた
ただし、実際に毒を持つ個体は25%程度

しかし実験によって、集団が大きければ、有毒個体が25%でも75%の生存率が期待できた
=毒を持つ昆虫における群習性の変化


p86 社会性昆虫
亜社会性 親子関係だが、カーストと呼ばれる役割分担がない
真社会性 女王、ワーカー、兵隊などのカーストが存在する

p90
真社会性 
1 同種の複数の個体が協調して、子ども(卵・幼虫・さなぎ・若い成虫)を養育する
2 生殖のみを行なう個体(女王や王カースト)と、生殖を行なわない個体(ワーカーや兵隊)といったカーストが存在する
3 少なくとも二世代(親世代と子世代)の成虫個体が共存する

p96
真社会性は昆虫に限られていると思われていたが、
1980年、ハダカデバネズミ(哺乳類)で発見された

p97
なぜアリは近道を見つけるか
近道をしているアリは、遠回りをしているアリよりも往復回数が多くなる
=フェロモンが濃くなり、より多くのアリを引きつける
往復回数が少ない遠回りの道はフェロモンが揮発し、やがて使われなくなる

p111-112
アリはアリサイズの小動物にとっては一番の天敵。
カメムシの臭気もアリ防御に発達したと考えられる。カメムシ類の臭気を最も嫌うのがアリで、
その臭気物質はアリ類の警報フェロモンなどの化学物質と構造的に似ているものが多く、
一種の化学擬態とみなされる。

p117
ボルバキアという菌:昆虫に高い確率で感染する。
宿主の生殖能力に影響を及ぼす。
オスを殺す=ショジョウバエやテントウムシの仲間で。
オスをメス化させる
単為生殖できるようにさせる:ある種の寄生蜂やアザミウマ類
細胞質不和合性:ボルバキアに感染したオスと非感染のメスが交尾しても子ができない。

p120
都市部でアブラゼミが減少し、クマゼミが増加
・気温の上昇
・地面の乾燥化も影響(大阪市立大学 沼田英治氏)
堅い土壌を掘れるのはクマゼミだけ
・都市緑化のためヒヨドリ増加(大阪市立環境科学研究所 山崎一夫氏)
クマゼミは高い飛翔能力を活かして遠くへ逃げるが、アブラゼミは近くの木に逃げるので
見つかりやすい

p125
熱帯熱マラレア:ハマダラカが媒介
気温が高い季節ほど患者が減る
マラリア原虫の内的な発育最適温度は23-24℃
温暖化の進行により、拡大するのではなくシフトしていく

p128
温暖化の影響:二酸化炭素の上昇→施肥効果、水分含有量の減少、葉が厚くなるなど、
植物の量的・質的変化ももたらす

p130
ミナミアオカメムシ 45年間で分布北限が北上
高緯度方向に85km、約19km/10年
最も寒い1月の平均気温が5℃の等温線とかなり一致
南方種にとっては、冬を越せるかどうかが分布の成否ポイント
ただし真夏の高温は逆に高温障害をもたらす
→温暖化が必ずしも南方種に有利とは限らない

p146
「生態的誘導多発生」天敵に抑圧されていた害虫が、殺虫剤で天敵が殺されることによって異常なまでに急速に復活する現象

第二次世界大戦後、有機塩素系のBHC(当初は粉剤)が稲作の大害虫ニカメイチュウに使用された。
同時に天敵のクモ類にも効き、その結果それまで害虫でなかったツマグロヨコバイ(イネ萎縮病ウイルスを媒介)が密度を高めて害虫化

「生理的誘導多発生」ある種の殺虫剤が、栄養条件を変えてしまうことにより、作物を害虫に好ましい餌にしてしまう。
有機リン剤→作物の炭素と窒素の比(C/N比)を変化
ある種の殺虫剤は、致死量に至らない濃度では昆虫の生殖能力を高める=ホルモン的作用(ホルモリゴシス)

p156
休耕田:メヒシバやエノコログサなどイネ科雑草が増加
→それらに寄生するホソハリカメムシ、クモヘリカメムシ、シラホシカメムシなどが増加
→周辺の水田のイネを食害:斑点米になる
(害虫化したカメムシ:5科65種)
斑点米:1等米なら1000粒中に1粒→等級落ちの元凶として警戒
→カメムシの増加は政治的な結果、
 等級落ちは斑点米混入率を等級の指標にしたことによる
=「政治害虫」

p157
スギ、ヒノキ、カラマツなど針葉樹の植林=莫大な量の球果を生産

モモ、カキ、ナシを食害するカメムシ類は多い
主にチャバネカメムシ、クサギカメムシ、ツヤアオカメムシだが、
この3種はスギやヒノキの球果で繁殖する
果樹カメムシ:1973年に大発生して以来、3~6年間隔で大発生
豊年の間隔:スギ2~3年だが、前年の7~8月の気温が高く降水量が少ないと、
翌年の花粉量が増加し、結実量が増加
=カメムシが大発生
果樹に飛来するのは、その越冬個体群

p159
シカの食害
オオカミの絶滅や狩猟人口の減少のほか、温暖化も
温暖化により冬期の積雪量が減少=越冬生存率の上昇

p166
南西諸島のウリミバエ、ミカンコバエ 大正中期に台湾から侵入
ウリミバエ:不妊虫放飼法:コバルト60で不妊化したオスを放つ(事前にメスに強い誘引力を示す物質と殺虫剤を入れた誘殺板をヘリコプターで投下)
根絶には20年以上かかり、1993年に根絶

ミコカコバエ:メチルオイゲノールという誘引物質を使用、1986年に根絶

p167
グローバル化によって、すでに定着しているコクゾウムシなど、主要穀物害虫24種は
非検疫有害動物(有害だが検疫の対象外)とされ、撲滅規制がとかれた。
しかしこれは、同一種とはいえ、薬剤抵抗性や繁殖力が異なる系統の侵入を許すことになる

p169
セイヨウオオマルハナバチ:受粉作業用:野外に逃げ出し、在来種のマルハナバチの巣を乗っ取る
また、受粉するトマト以外では、花の横に穴を開けて盗蜜をするため、受粉しない
=在来種の蜜源を奪う、異種間交雑、外国のダニや感染症などが考えられる

p171
自力で飛来して定着する昆虫:近年は南方性昆虫
最も警戒されているのはミカンキジラミ:柑橘類に致命的な被害を与えるカンキツグリーニング病を媒介

p177
全ての昆虫は20-hydroxyecdysoneというステロイド化合物を脱皮ホルモンとして利用
約20年前、化学構造は大きく異なるが、脱皮ホルモン受容体に結合して脱皮ホルモンのような活性を示すジベンゾイルヒドラジンが発見された
→脱皮ホルモンを利用した農薬が研究されている

★構造色 p201
○モルフォチョウの翅
0.1mmほどの鱗粉にたくさんの細い筋があり、1本1本に200ナノメートル感覚で棚のような構造物が規則的に並ぶるこれは青色光の波長のちょうど半分にあたり、干渉により青色光だけ反射される。

○タマムシ
構造色だが、モルフォチョウと異なり、外皮の多層構造。
透明な膜が20層くらい重なり、この層を光が通るときの反射が光沢を生む。
同じ原理はコンパクトディスク。

○コガネムシ
タマムシと同じく薄い層が何層も重なっているが、特定の色だけを反射するコレステリック構造。

p207
スズメバチ:
成虫の胸部と腹部をつなぐ胴の部分は極端に細い。
(腹部を自由に動かして針を刺すため。)
細い部分は液体しか通らないので、
成虫は幼虫に蛾の幼虫などを肉団子にして与え、
幼虫はそれをもとにアミノ酸液を作り、親に与える。
スズメバチ由来のこのアミノ酸化合物は、
発見者である理化学研究所の阿部岳氏によって
「Vespa Amino Acid Mixture」と名づけられた。
(Vespa=スズメバチ)
また、燃焼しにくい脂肪を燃やす作用があることが分かった。
それを使われたスポーツドリンクが「VAAM」。
このスポーツドリンクは、運動する前に飲むことで、
体脂肪の燃焼を助け、疲労を抑える。


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category: 昆虫

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ミミズのいる地球―大陸移動の生き証人  

ミミズのいる地球―大陸移動の生き証人

中村 方子
【やや古い話である度】★★★☆

ミミズのいる地球―大陸移動の生き証人 (中公新書)ミミズのいる地球―大陸移動の生き証人 (中公新書)
(1996/04)
中村 方子

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ナメクジ、ダニ、プラナリア、ミジンコと来てミミズである。

とは言っても、本書は結構昔に読んだことがあり、今回再読した。
時点が古いためか、ミミズの同定が難しい、という著者のなげきが多く、
分子遺伝学を応用した系統解析などは全く未来の話である。
日本におけるミミズ研究の黎明期に、研究者が世界各地でミミズを採集している話、というふうに
捉えるのが良いかもしれない。
ハッタミミズの移入など、やはりミミズでも外来種の話がある。
ミミズコンポスト系の本はいくつか入手しているが、
生物としてのミミズを詳しく掘り下げた本を読んでみたいものだ。


【目次】
ミミズと地球-はじめに
第1章 庭のミミズ
第2章 動物学的にみたミミズ
第3章 ミミズの生態学
第4章 ミミズを追って
・ポーランドでの生態学研究
・富士川河川敷での調査
・ケニアのサバンナにて
・ハワイに行く
・パプア・ニューギニア
・パプア・ニューギニア再訪
・オーストラリア、そしてパプア・ニューギニア
・モンゴルと小笠原諸島
・ガラパゴス諸島でのミミズの研究
・タヒチ島、モーレア島
第5章 ミミズをあなどるなかれ

【メモ】 

p5
ミミズ:環形動物門
生体が自己と非自己を識別する準免疫学的機能を示す動物の中では一番原始的な仲間
4億年以上前から存在

p8
ハワイ:ミミズが自力で到達できなかったため、固有種はいない

p11
ポントドリルス属とミクロスコレックス属Microscolexのミミズ:ガラパゴスでも発見
海水に二次的に適応したらしい

p20
雨後にミミズが大量死=畑井(1931)では、ミミズの坑道中に、大気中を通過する間に多量の炭酸ガスを溶解した雨水が入り、炭酸ガスに弱いミミズが這い出る。それが昼間、紫外線に当たって動けなくなり、日光で乾燥して死亡する、と推測している。
ただし、前夜が雨でないにも関わらず、地表にミミズが大量に出て死亡する場合の理由は不明

p29
ミミズの類の系統と分類[B.G.M.Jamieson,1988]の識別図掲載
※受精嚢、精巣、卵巣その他の器官の位置(解剖学的位置)で分類

p30
日本にはフトミミズ科に属するものが多く、少なくとも155種生息しているといわれる
(口のあるほうから見て、14~16体節目に肥厚した環帯)

石川県八田村のジュズイトミミズ科ジュズイトミミズ属ハッタミミズ
加賀の豪商である錢屋五兵衛(1773-1853)による海外貿易(インド、ジャワ、フィリピン方面)によって持ち込まれたらしい。現在は石川県河北潟と滋賀県近江八幡市で採取。この二地方はかつて交通が頻繁だった地域。
このミミズは畦に穴をあけるため、広がらないよう注意されていた。ただし八田村ではウナギ養殖の餌とするため大事にされていたらしい。

ツリミミズ科:日本で数種あるが、サクラミミズ(固有種)のほかは外来種

p33
世界のミミズ約3,000種

p49
ダーウィン「ミミズの習性に関する観察と、ミミズの働きを通しての有機土壌の形成」
(邦題「ミミズと土」)1881年に出版

p104
サバンナのような乾燥地帯:ミミズのかわりにシロアリが植物遺体の分解を行なう

p144
通常のミミズは一つの体に雌雄の生殖器を有するが、交尾して他個体の精子を得て初めて卵胞を産生できる。しかし汎熱帯性のミミズは交尾せずに単為生殖で繁殖できる。
そのため、熱帯地域の森林は表層が薄くやせているため、人が手を加えると、
たちまち汎熱帯性のミミズが増加し、固有種は駆逐されてしまう。

p168
ミクロスコレックス属Microscolexのミミズ
海水に耐性があり、広い海洋の隔たりを越えられる。

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category: 環形動物

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ミジンコはすごい! (岩波ジュニア新書)  

ミジンコはすごい!
花里 孝幸
【ミジンコだけなら良かったのに。オススメしない度】★★★★

ミジンコはすごい! (岩波ジュニア新書)ミジンコはすごい! (岩波ジュニア新書)
(2006/04/20)
花里 孝幸

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ミジンコなんて全く興味がなかったが、ここしばらくマイナーな生物の本を読んでいたので、
このあたりで読んでおこうと思った。
いくつか新しい発見があったのは収穫である。
まずミジンコが「微塵子」であること。言われてみれば当たり前だが、「みじん」という日本語由来の生物名とは思ってなかった。

次に、学生時代の教科書では横から見た図ばかりで、それにはかわいい目が描いてあったのだが、
実は単眼であること。正面から見るとサイクロプスである。一方向からの図だけ見て、わかったつもりでいた。
反省。

もう1点は、世界で500種程度ということ。
これだけ小さいサイズであり、移動能力もさほどないので、もっと分化が進んでいそうな気がするのだが。これでは日本で記録された鳥類よりも少ないではないか。
なぜこれほど種分化が少ないのかが知りたいところだが、その点についての言及はなかった。
もしかすると著者が推測しているように、野鳥が広範囲に分散させ、種分化しないのかもしれない。
ただ著者は糞での分散を考えているが、糞だとそれほど広範囲には分散しない。
僕としては、カモ類の脚、羽毛の間、嘴の表面などに耐久卵が付着するのではないかと考える。

とまあ以上のように、
日常では全くかかわりのない生物についていろいろ新知見を与えてくれるので、わりと楽しめる。


しかしある箇所で、全くもって筆者のスタンスに納得がいかないので明記しておく。
(本ブログで紹介する以上、僕が同意していない、という点は明確にしておきたい。)


本書後半、小魚がミジンコを食うことでミジンコの構成種や個体数が変化する、という流れで、
筆者はブラックバス問題に触れている。

*p125
「『(ブラックバスによって)湖に魚がいなくなることが生態系の破壊』ということを考えてみましょう」「湖から魚がいなくなっても、『植物プランクトン→ミジンコ→捕食者(無脊椎捕食者)』といった食物連鎖がつくられ、これに分解者であるバクテリアが加わって、きちんと物質が循環する生態系が成立するのです。したがって、『ブラックバスが生態系を壊す』という言い方はおかしなものであり、『生態系を変える』という表現が正しいと私は考えます。」

*p126
「ところで、ブラックバスが生態系を壊すという言い方は、この魚は湖の生物にとっては悪者である、という意識から生まれているように思われます。はたして湖の生物たちはブラックバスを悪者としているのでしょうか。」
「湖のなかには、ブラックバスの侵入を歓迎する生き物とそうでない生き物がいるのです。」

僕としては、こう読んだ。
①ブラックバスは生態系を壊すといわれるが、生産者→消費者→分解者というサイクルは維持される。だから生態系を「壊す」というのは誤りで、「変える」が正しい。

②ブラックバスは悪者だ、とされる。確かに食われる小魚にとっては悪者である。しかしその小魚の捕食圧にさらされていたミジンコにとっては善である(だから悪者ではない、少なくとも善でも悪でもない、という結論は明記されていないが、そういう趣旨であろう。)

これに反論する。
まず①について。

生態系という言葉には、単に生産者→消費者→分解者という役割による物質循環サイクルを示す概念としての生態系のほか、特定の環境・歴史をふまえて特定の種によって構成される、ある土地特有の在来生態系として使われるときがある。
そしてブラックバスをはじめ外来種の侵入については、当然在来生態系が損なわれることが問題とされている。常識的に、誰がブラックバスが侵入したらシステムとしての生態系が崩壊し、生産者も分解者も消滅して死の水域になる、と主張しているだろうか。
よって、「ブラックバスは(在来) 生態系を壊す」という主張は、通常「(在来)」という文言が前提にある。
ところが著者は、「ブラックパスは(システム概念としての)生態系を変える」だけだ、だから「壊す」という言葉遣いは誤っている、と主張している。これは一種の詭弁である。

特にひっかかるのは、「ブラックバスは生態系を壊す」という文章は具体的な出典があるわけでないことである。「在来生態系」という言葉をここで使うと、このロジックがそもそも成立しない(筆者は別の場所では在来生態系という言葉を使っているので、ここでの不使用は故意であろう)。
よって、このロジックを展開するために、あえて「生態系」という言葉を用いたと考えられる。
これは著者による意図的なミスデイレクションである。

次に②について。
ブラックバスが他の特定の生物種にとって善か悪か。そんなのは食物連鎖や生息域等、生態的な関係によるのだから、想定される生物種によって異なって当然である。
この文章も通常、「ブラックバスは(在来生態系の価値を重視する者にとっては、または在来生態系そのものにとっては)悪である」という文意で使われている。
善悪という価値の確定には、必ず価値判断する主体が存在するものであり、ブラックバスは悪だ、と価値判断する主体は、どんなに譲歩しても少なくとも人間であるからだ。
一般論としてブラックバス問題を語るときに、被食者である魚の立場から「悪だ」と主張するような人間はいまい。

しかし著者は、「ブラックバスは(ある生物種Bにとっては)悪である」という文意、すなわち価値判断の主体は人間以外の特定生物だろう、と一方的に決め、その上で「しかし生物種Cにとっては善である」、と主張し、だから善悪は決められない、と感じることを求めている。
価値判断の主体を著者のように決めれば、こういう結論になってあたりまえである。

もちろんブラックバス問題については、様々な立場と考えがある。
しかしその議論はフェアかつ科学的であるべきであり、語句定義という、問題の本質と全く違うところで世論を誘導するものであってはならない。こういう行為を我田引水という。
特に筆者のように湖沼の生態系において重要な役割があるミジンコの研究者であれば、
その主張は科学的見地に立つものと受け入れられると容易に想像できるだろう。
だからこそ、科学者としての説明責任があり、語句定義を利用した意図的なミスデイレクションなどすべきではない。

何よりも僕が問題と思うのは、本書が「岩波ジュニア新書」という青少年を読者に想定したシリーズであり、かつミジンコに特化したタイトル・内容の中であることだ。
読者はミジンコについての客観的事実を説明する中で、著者の個人的主張を、
あたかも科学的な装いのもとで読むことになる。

こういう姿勢を、僕は姑息と定義する。
著者は「自然はそんなにヤワじゃない」というタイトルの著書もあるようだが、
これも在来生態系という特殊事情を、概念としての生態系にすりかえて議論しているのではないかと疑われる。
気持ちよくないので、今後僕は他の著書は読まないことにした。

【目次】
Ⅰ ミジンコに注目
Ⅱ ミジンコの正体
Ⅲ 魚VSミジンコ
Ⅳ 湖の水環境を考える
Ⅴ 水槽で「湖」の生態系を見る
Ⅵ 湖から地球環境を考える

【メモ】
pⅲ
ミジンコ=「微塵子」

p2-
フサカ=ハエ目の昆虫、成虫は蚊に似る、幼虫は透明で水中を漂い、動物プランクトンを捕食
ダフニア・ピュレックス(ミジンコ):体長3mmほど

フサカのにおいに反応し、頭が尖る
反応するのは母親の育房に産み出された卵の時期~胚の時期
生まれたときから頭が尖っている
しかし、3-4齢になり1.3mmを超える頃には、フサカのにおいがあっても頭の尖りがなくなる
=フサカ幼虫が捕食するのは1.3mmまで

p22
ミジンコの採餌
胸の殻の中に濾過脚毛があり、これで餌を漉しとる

p26
湖で春の一時期のみ透明度があがる「春の透明期」という現象
春になる
→低温に適応している植物プランクトンの珪藻類が繁殖
→水の透明度を下げる(珪藻類は茶色なので、茶色く濁る)
→ミジンコ(特にダフニア)が増殖し、珪藻類を捕食
→透明度があがる
→餌がなくなり、ダフニアが減少
→植物プランクトンの増加
→再び濁る
これによって、2~3週間だけ透明度があがる

p30
植物ブランクトン生態学者にとってバイブル的論文
(米:ブルックス&ドッドソン)
湖をしらべると、次の2型に分かれた
A・ダフニアを中心とする大型ミジンコが優占している湖
B・ダフニアが少なく小型のゾウミジンコが多い湖 

アレワイフというニシン科の魚がBの湖にはいて、大型のミジンコを捕食した

p34
ミジンコ:20℃の水温:生後数日で成熟して卵を産む。卵は2日くらいで母親の育房から出る。
親個体は2日に1回産卵する。よって十分な餌があれば、3日で個体数は倍になる。

p50
ミジンコは眼は一つ、複眼構造。光を感じるらしい。なぜこんなに大きいかは不明。

p62
酸素濃度が低い水でのミジンコ:ヘモグロビンを作り、水中から効率よく酸素を取り込む。
(見た目が赤く見える。)
この能力があるのはオオミジンコ、ダフニア・ピュレックス、オカメミジンコ、タマミジンコなど、ほとんどが大型種。

p63
北米や北欧の極地域のダフニア・ピュレックスは黒い
=メラミン色素、紫外線耐性を獲得している

p65
ミジンコは通常メスしかいない:単為生殖
寿命:23℃で1ヶ月程度、1回の産卵数は最大約40個、一生に産むのは400個に達する。
温度が下がると寿命が延びるが成長速度が落ちる
10℃=180日生存

p71
冬が近づき環境が悪化すると、雄に発育する卵を産む
雄が増えると、雌は黒い鞘に包まれた卵を産む。
(黒い卵は減数分裂したもの:半数性)
そして雄と交尾し、受精することで受精卵となる
(ダフニアの仲間は黒い鞘の中に様後は2個)
この卵は固定に沈む(表面張力によって浮くものもある)
すぐに孵化せず、冬の寒さに耐えて翌春雌が発生する
=「休眠卵」、「耐性卵」

耐性卵を産むのは長日→短日の変化、ミジンコの密度増

深いところに沈んだ耐性卵は、水温が上昇しないので孵化しない。
翌春に孵化するのは浅い場所のもののみ

ただし耐性卵は、35年前の地層から得たものでも孵化したことがある


p89
ミジンコ:全世界で約500種
マルミジンコの仲間:約170種=水草帯に生息しているため、多様化が進んでいる

p109
ミジンコ=枝角目(ミジンコ目)
近い仲間:
無甲目(ホウネンエビ目)、背甲目(カブトエビ目)、貝甲目(カイエビ目)
ミジンコは約2億年前に、カイエビの祖先から枝分かれしたと考えられている

p112
ホウネンエビ、カブトエビ、カイエビは全て雌雄があり、産む卵は全て耐性卵
=これらは水田や融雪プール(北海道のキタホウネンエビなど)など、一時的な水たまりに限られている
=魚が生息できない場所
=大型である

もともとは海や汽水域にもいたが、中生代中期(約2億5000万~6500万年前)には、現在と
同様な場所にのみ生息
=魚が進化して生息域を拡大した時期に一致

p118
ダフニアなど大型のミジンコがヘモグロビン生成能力を獲得した理由
=酸素濃度が低く、魚が生息できない場所でも生息するため

*p125
「『(ブラックバスによって)湖に魚がいなくなることが生態系の破壊』ということを考えてみましょう」
「湖から魚がいなくなっても、『植物プランクトン→ミジンコ→捕食者(無脊椎捕食者)』といった食物連鎖がつくられ、これに分解者であるバクテリアかせ加わって、きちんと物質が循環する生態系が成立するのです。したがって、『ブラックバスが生態系を壊す』という言い方はおかしなものであり、『生態系を変える』という表現が正しいと私は考えます。」

*p126
「ところで、ブラックバスが生態系を壊すという言い方は、この魚は湖の生物にとっては悪者である、という意識から生まれているように思われます。はたして湖の生物たちはブラックバスを悪者としているのでしょうか。」
「湖のなかには、ブラックバスの侵入を歓迎する生き物とそうでない生き物がいるのです。」

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ウイルスと地球生命 (岩波科学ライブラリー)  

ウイルスと地球生命
山内 一也
【生き物?としてのウイルスに詳しくなる度】★★★☆

ウイルスと地球生命 (岩波科学ライブラリー)ウイルスと地球生命 (岩波科学ライブラリー)
(2012/04/14)
山内 一也

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ウイルスって、どの分類に入れるのか? 悩んでしまった。
とりあえず、感染症に分類しておく。が、これは結果であって、本質ではない。

さて、ここんとこ感染症関係の本をいくつか読んだので、
そもそもウイルスって何だろう、という観点で手を出した。

ウイルスが生命か非生命か、という議論があることは知っていたが、
細菌よりも大きいウイルスがあることは知らなかった。
自分のイメージの古さに残念である。

また新型インフルエンザなど、病気の原因というイメージしか持っていなかったが、
胎児に対して母体が免疫反応を示さないシステムに、内在性レトロウイルスが関与しているなど、
生物としてはウイルスと共存している部分も多いらしい。

ただやはりヒトという生物種の歴史が浅いこと、その一方で開発により他種の動物種のウイルスに晒される機会が極めて多いことから、今後もウイルスはヒトにとって大きな脅威となり続けるのだろう。

麻疹ウイルスなどが動物ウイルスから派生してきたことや、
イギリスのハイイロリス(外来種)によるアカリス(在来種)の駆逐が、
リスポックスウイルスによるものということなど、初めて知る話も多い。収穫のある一冊だと思う。

僕は今日も口唇ヘルペスを発症している。ウイルスが身近な一日である。


【目次】
序章 あなたはウイルスに守られて生まれてきた
1 ウイルスはどのようにして見いだされたか?
2 ウイルスは生きているか?
3 人のウイルスはどこから来たか?
4 生物界を動きまわるウイルス
5 病原体だけではないウイルスの意外な役割
6 病気を治すウイルスの利用
7 広大なウイルスの世界

【メモ】
p2 
why:ヒトの胎児は母親の免疫反応で拒絶されないか
胎盤の中で母親と胎児の血液循環を隔てる合胞体栄養細胞の層が集まってできた膜で、リンパ球の交換が阻止されている

合胞体栄養細胞が妊娠とともに形成されるメカニズムは謎だったが、
2000年、合胞体栄養細胞はヒト内在性レトロウイルスの被膜(エンベロープ)にあるシンシチンと呼ばれるタンパク質の作用で形成されることが試験管内実験で解明された
→妊娠すると、それまで眠っていたヒト内在性レトロウイルスが活性化されて大量に増加し、その際にシンシチンが作られ、膜を形成。
→ヒツジの動物実験でも明らかにされた。


p23
ウイルスが生命か否か
1935年のタバコモザイクウイルスの結晶化→生物といえないという議論
21cになり、マイコプラズマ(最も小型の最近の一種)よりも大きいミミウイルスが発見され、生物とみなすべきという議論も盛んになってきた

p27
ウイルス:核酸(DNAまたはRNA)がカプシドと呼ばれるタンパク質の外殻に包まれたもの。
ウイルスによって、カプシドのまわりを被膜(エンベロープ)が包んでいるものと、ないものがある。
エンベロープあり:麻疹ウイルス、インフルエンザウイルス
エンベロープなし:ポリオウイルス、ノロウイルス

増殖様式:生物の細胞内でウイルス核酸の複製と、ウイルスタンパク質の合成が行なわれ、それらが集められてウイルス粒子を形成する部品組み立て方式

p34-
ヘルペスウイルス:多くの生物に存在している
全ての脊椎動物
・哺乳類(ヒト、サル、牛、馬、ブタ、犬、猫
・鳥類(ニワトリ、アヒル、七面鳥、オウム)
・爬虫類(トカゲ、コブラ、ウミガメ)
・魚類(サケ、ナマズ、ウナギ)
・両生類(カエル)、
無脊椎動物の軟体動物(カキ)

ヒトは様々なヘルペスウイルスに感染するが、代表的なのは
・単純ヘルペスウイルス
・水痘ウイルス
これらは子どもの頃に感染し、神経細胞に入り込み、増殖せずいわば冬眠状態で潜伏。
・単純ヘルペスウイルス
=風邪や強い紫外線などで眠りから醒め、唇の粘膜の上皮細胞に移動し、増殖して口唇ヘルペス潰瘍となる。
・水痘ウイルス
=免疫力が低下したときに感覚神経に沿って増殖し、帯状疱疹

p38
定住生活とともに、家畜のウイルスが人間に感染するウイルス化
・麻疹ウイルス
牛にだけ致死的感染を起こす牛痘ウイルスにヒトが感染し、それがヒトの間で広がる間に人ウイルスとなったものと考えられている。
8000年前程度に牛痘ウイルスから発生したと考えられていたが、
2010年、東北大学の押谷仁氏のグループは、分子進化の速度から、
11世紀から12世紀の間に発生したと推測している。

おたふく風邪の原因のムンプスウイルス:
ニワトリに致死的感染症を起こすニューカッスル病ウイルス由来の可能性が提唱されている。

p40
動物ウイルスが人ウイルスに進化する段階
1:なし
2:動物からのみ感染
3:動物から人←→感染(2、3回)
4:動物から人←→感染(多数回)
5:人←→人感染

第5段階の最も代表的なもの:HIV
2つのタイプ(HIV-1とHIV-2)があり、全世界にはHIV-1が広がった
HIV-2は主に西アフリカ内
HIV-1は20世紀初めに、西アフリカで一人の人がチンパンジーから感染し、広がった
HIV-2はアフリカ産サルであるスーティマンガベイのウイルスに、20世紀半ばに感染した結果

p58
寄生バチとウイルスの共生
寄生バチにはポリドナウイルスと呼ばれるDNAウイルスが存在
(約7,400万年前にハチの体内に組み込まれたものと推定)
ハチの卵巣の中で増殖したウイルスは、産卵管を通って卵と共に宿主に産みつけられる
このウイルスのDNAには免疫機能を抑制するタンパク質の情報が含まれている
おそらくこのタンパク質が血球の働きを麻痺させ、卵が孵化するのを助けるとともに、
蝶や蛾に変態するのをやめてしまう

p59
東京大学の久保健雄氏のグループ
ミツバチ:働き蜂のうち、攻撃グループに加わるグループの脳には、
特定のRNA配列:ピコルナウイルス科のRNAウイルスの配列:カクゴウイルス
カクゴウイルスがあることで、針を刺して自らが死ぬ攻撃グループに属している

p60-61
20世紀初めに、北米→英国にハイイロリス導入
→在来のアカリスが激減
ハイイロリスの方が活動的なためと考えられていたが、次の3つの理由から、
ハイイロリスに寄生するリスポックスウイルスに感染したためと考えられている
・ハイイロリスが輸入されるまで見られなかった病気で多数死亡している
・生息数が減少している地域のアカリスは、リスポックスウイルスの抗体を持つ個体が多い
・アカリスはリスポックスウイルスで多数死亡するが、ハイイロリスが死亡するのは稀
現在イギリスで残っているアカリスは14万頭以下、その85%はスコットランドにいる
ハイイロリスは250万頭に増加
外来種の導入による減少事例のうち、ウイルスによる例

p64
臓器の異種間移植→豚内在性レトロウイルスは豚の遺伝子のひとつとなっているため、
排除できない
→欧米や日本では、異種間移植の臨床試験の際に豚内在性レトロウイルスの感染リスクを抑えるためのナショナル・ガイドラインを作成している

p84-85
細菌を食べるウイルス=ファージ=特定の細菌にだけ感染して増殖し、その細菌を溶かす
2009年イギリス、抗生物質耐性の緑膿菌による外耳炎・手術の後遺症による耳炎などに対し、
緑膿菌ファージを投与→大部分の患者で症状の改善

食中毒の予防:
2006年:イギリス、食品添加物としてファージを認可
リステリア菌に対する6種類のファージを含むもの
この製品を開発したベンチャー企業は、O157やサルモネラ菌に対するファージ添加物の開発を行なっている
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category: 感染症

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今週のまとめ  

インフルエンザが流行っているようですが、皆様大丈夫でしょうか。
僕はインフルではありませんが、風邪から派生して、
副鼻腔炎・中耳炎と、先週はずっと頭痛に悩まされていました。
(本日月曜日も継続しています…。)

そのため、読書量は減少。
仕事もケアレスミス多発と、ろくなことがありません。

さて、先週読んだ中では、
私たちにできること。 新型インフルエンザとの戦い」ですね。
WHOで活躍する新藤氏の話をもっと知りたいなあ、と思っていたので、
見つけたときは嬉しかった。
おそらく著者が読んでほしいターゲットは女性でしょうが、
WHOという国際機関の中を知ることができる、珍しい本です。

井口清満の心霊事件簿」。
こういう世界に興味があるか否か、
「ある」と思うか否か、ものすごく好き嫌いがありますね。
ですので、興味がある人向けです。

日本の鳥550 山野の鳥・水辺の鳥」は、
野鳥の識別がしたい人必携。
なお、僕はこの本が絶対的に正しいとは言っておらず、
この本に掲載されている点が識別点として考えられていること、
相当な種数を見て、文献も読んでいる著者らはこういう見解であるということ、すら知らないと、
微妙な種の識別において、自分の意見を持つことなんてできないんじゃないの、
と思うしだいです。

さて、本日も1冊読了。でも今週も煮詰まりそうですね。



私たちにできること。 新型インフルエンザとの戦い

ドイツがお手本 シンプル収納・片づけノート

井口清満の心霊事件簿 きつね憑き

・日本の鳥550 山野の鳥(増補改訂版)
・日本の鳥550 水辺の鳥(増補改訂版)

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category: 雑記:今週のまとめ

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日本の鳥550 山野の鳥・水辺の鳥 増補改訂版 (ネイチャーガイド)  

日本の鳥550 山野の鳥(増補改訂版)
日本の鳥550 水辺の鳥(増補改訂版)

日本の鳥550 山野の鳥(増補改訂版):五百沢 日丸、吉野 俊幸 他
日本の鳥550 水辺の鳥(増補改訂版):桐原 政志、山形 則男 他
【まじめな鳥屋なら必携度】★★★★

日本の鳥550 山野の鳥 増補改訂版 (ネイチャーガイド)日本の鳥550 山野の鳥 増補改訂版 (ネイチャーガイド)
(2004/04/30)
五百沢 日丸、吉野 俊幸 他

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日本の鳥550 水辺の鳥 増補改訂版 (ネイチャーガイド)日本の鳥550 水辺の鳥 増補改訂版 (ネイチャーガイド)
(2009/05/22)
桐原 政志、山形 則男 他

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僕が野鳥を見始めた頃は、日本野鳥の会のイラスト図鑑が定番で、
多くの種を掲載した写真図鑑なんて夢だった。

しかし野鳥愛好家人口が増えたこと、
野鳥情報が日本中を飛び交うようになったこと、
そして何といってもデジタルカメラの普及によって、
ほぼ全種写真図鑑が相次いで刊行された。

そんな中でも、日本で唯一のバードウォッチング専門誌「BIRDER」を刊行する
文一総合出版による本図鑑は、多くのバードウォッチャーの期待に応えるものだった。

確か刊行予定と銘打たれてから1年以上延びたような記憶があるが、
待たされただけのことはある。

写真は大きく、ポイントを押さえた記述。
そして何より、
マイナーな種であっても、ほぼ全て国内で撮影された写真で比較できるというのは、
おそろしく識別に役立つ。

残念ながらそのボリュームゆえ、山野・水辺と分かれていて、
携帯にはやや苦労する。
しかしそれだけの意味はある。

むしろ、本書すら手に入れず、珍鳥を追いかけている人を見ると、
本当に自分で識別しているのかという疑問すらわく。
現在の日本における野鳥識別の基礎文献の一つである。

とにかく図鑑を1冊買いたい人には、叶内図鑑「山渓ハンディ図鑑7 日本の野鳥」がおすすめだが、
ある程度慣れたら、本書は入手しておくべきだろう。
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category: 野鳥

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井口清満の心霊事件簿 きつね憑き (ダイトコミックス 316)  

井口清満の心霊事件簿 きつね憑き
永久保 貴一、井口 清満
【罰当たりな行為は慎もう度】★★★★



霊能力者である井口清満氏の活動を、心霊漫画家である永久保貴一氏が漫画化。
2巻目である。
本巻では、大きく2つの事件が取り上げられている。
未読の方は、1巻目の方が、井口氏の考え方、姿勢などがわかって良いだろう。




いずれも、取り上げられている事件はホラー的な恐怖のあるものではないので、
そういうのがお望みの方には向いていない。
一方、昨今の霊現象には様々な理由があり、しかるべき霊能力者はそれらを解決している、
というスタンスの心霊話に馴染みのある方には、お勧めである。

こうした世界の存在や考え方をどう思うかは、全く個人の自由であるので、
僕としてもどうこう書く気はない。

ただ少なくとも、霊の存在の有無を別としても、
死んだ方であれ、人の想いを大切にする、ということは心がけておくべきだろう。
また、神様を冒涜しない、人を恨まない、現生利益のみ神頼みしない、今の人生を頑張るなど、
昨今のスピリチュアル系で語られることは、根本的には当たり前のことばかりである。
それを「スピリチュアル系だから」と排除するのは、ちょっと違うのではないか。
語られる媒体が何であれ、人としての道は同じだと思う。

それにしても、子どもの頃、「あなたの知らない世界」&新倉イワオ氏のTVにどきどきしていた時代から比較すると、こういうスタンスのコミックが何種も出ていることじたい、
日本人の心霊(及び霊能力者)に対する姿勢というのが、大きく変化したなあと痛感。

こうした環境に生きていること自体、大きなうねりかもしれない。

【目次】
黒い祭壇 前・後編
旅の途中
きつね憑き 前編その1・その2・後編その1・その2
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category: スピリチュアル

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シンプル収納・片づけノート  

ドイツがお手本 シンプル収納・片づけノート
giorni編集部
【片付けモチベーション度】★★★★

シンプル収納・片づけノートシンプル収納・片づけノート
(2010/12/11)
giorni編集部

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美しい本である。
ここまで綺麗な家に至るのは大変だろうが、片付け・整理の大きな原則が、
「必要以上に持たないこと」にあることを教えてくれる。
ひとつの理想的な状態を示してくれることで、
モチベーションが高まることは間違いない。

合間にあるドイツのことわざも、とても励みになる。

・考えないで何かを始めると、余計に足を使う
Was man nicht im Kopf hat,muss man in den Beinen haben.

・整理整頓を覚えなさい。そして好きになりなさい。
 それは時間と手間を節約してくれます。
Lerne Ordrung,liebe sie.Sie erspart dir Zeit und Muh.

・時間があるときまで、待ってはいけない
Warte nie bis du Zeit hast.


【目次】
門倉多仁亜さんに習うドイツ流快適生活
ドイツに習うすっきりルール
片づけ、収納術
掃除と洗濯
部屋づくりのこと
毎日きちんとドイツ流家事術


【メモ】
p9
「タイム&スペース」
ドイツでは、「物が少ないほど、時間が多くなる」という意味で使われているそう。

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category: 整理整頓

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私たちにできること。 新型インフルエンザとの戦い (NHKプロフェッショナル仕事の流儀)  

私たちにできること。 新型インフルエンザとの戦い
進藤奈邦子
【前向きになる度】★★★☆



パンデミックを阻止せよ」でも触れられていた、
2010年にはWHOインフルエンザ担当官であった新藤奈邦子氏による本。

WHOでの活動概要だけでなく、新藤氏がなぜ医学を志し、どのような過程を経てWHOに至ったかを照会する。職場としてのWHOの話など、他では知ることができない情報も多い。
WHOの感染症対策がどのような努力と対策によって行なわれているかということも分かる。
数年前の新型インフルエンザの際にも、WHOの対応や方針決定がよくニュースで行なわれていた。
それに対していろいろなコメントがあったが、
本書のような裏話を読むと、その大変さを改めて痛感した。

また本書を読むと、新藤氏が順風満帆にWHOまで到達したのではなく、
様々な挫折と、その中でも続けてきた努力の成果であったことがわかる。
特に女性ならではの苦労も多く、その点を詳しく解説している。
そのため、本書後半は(これから)働く女性へのメッセージブックともなっている。

また、能力さえあればWHOが日本人には開かれた職場であるということも紹介している。

医学・インフルエンザだけでなく、WHOという国際機関について知ることができ、また「働くこと」「生きること」について、良い参考となる。
一読しておいて損はない一冊であろう。

【目次】
プロローグ プロフェッショナルの現場から
1章 私たちが知っておくべきこと
 インフルエンザ・パンデミック
 WHOとはどんな機関か
 21世紀感染症の現状
2章 私たちにできること
 ともに戦った仲間の死
 プロフェッショナルの矜持
3章 私たちは感染症とどうつきあうべきか
 人類と感染症の戦いの歴史
 感染症をめぐる大国の思惑
4章 私を突き動かしてきたもの
 「医師になる」という使命感
 脳外科医としての挫折
 私を勇気づけた恩師の言葉
5章 私が働く人たちに伝えたいこと
 国際機関で働いてみませんか
メンターをもつ
仕事とプライベートの両立

【メモ】
新藤奈邦子氏
2000~国立感染研究所感染症情報センター
2002~WHOに派遣
2009 新型インフルエンザ対策チーム統括

p45
WHO 加盟193国
日本は大口ドナー国(資金提供国)
アメリカ、ビル・ゲイツ財団、イギリス、日本(4位)
全世界のWHO職員 約2,500名、日本の拠出額に見合った職員の敵整数は150名程度だが、
実際は35名、部長職以上の幹部は2名にすぎない

拠出額と職員数でランク分け(A,B,C)
日本はA(5ヶ国のみ)、「アンダー・リブレンテッド」資金貢献に比して職員が少ない国
よって、能力さえあれば日本人に開かれた職場

p72
もともと日本では、インフルエンザは子どもの病気という認識
感染の「増幅」集団である小学生に予防接種しておけば社会全体の感染爆発を予防できるという考え方
=欧米諸国でも注目されている考え方
他の先進国では、インフルエンザは高齢者や免疫弱者の命を奪う病気=高齢者に予防接種
→日本では逆に、高齢者にも予防接種するよう変化した


p80
WHO ジュネーブ、アジア諸国と連絡するときはジュネーブ時間で早朝から昼、朝6~7時に勤務開始
現場がカナダなどに広がると夜間にも対応

p82
SARS 重要な発生情報 ハノイのWHO事務局で働いていたカルロ・ウルバニ医師
新藤氏と連絡を取っていた、高機能マスクが届く前にSARSに感染して死去


p1070-
日本では戦後の公衆衛生学が非常にうまくいき、乳幼児の死亡率も減少
予防接種も効果的だった
(旧ソ連崩壊後、予防接種率が落ちた旧ソ独立諸国では感染症が爆発的に増加した)
予防接種で守られている社会は、予防接種無しには国民の健康を守ることはできない。
現在感染症で命を落としたり、重症の後遺症で苦しむ子どもがほとんどいないのは、予防接種のおかげ。
しかし、世の中から感染症がなくなったかのように考える、認識の欠落がある。

WHO
ロジスティシャンという職種がある
世界中のどんなところでも生活空間をつくりあげる専門職

p17
WHO研修(現場に向かうセキュリティ研修)
Q 長い市街地戦の跡地で、地雷がある可能性が高い地域
トイレに行きたい時はどうすべきか
・道路脇のブッシュ ・道の真ん中 ・近くの村
こうした研修を実際に経験する

Q 国連で指定された危険地域内のホテルで宿泊
 何階に泊まるべきか
A 2~7
1=侵入者の可能性
8~ はしご車がとどかない。また7以下なら、車の屋根めがけて落ちれば助かる可能性がある

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category: 感染症

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