ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

ラスト・ワルツ  

ラスト・ワルツ
柳 広司



久しぶりに読んだフィクション。

第二次世界大戦中、日本に「魔王」と呼ばれる結城中佐は、軍の常識を逸脱するスパイ養成組織「D機関」を創設。
そのD機関のスパイたちが、世界各国で暗躍するエスピオナージュである。
これまで、3冊刊行されており、おり、本書「ラスト・ワルツ」は4冊目となる。
映画化もされて好評のようである(公式HP)。

詳しい内容はネタバレになるので省略。
スパイ小説、冒険小説というと、例えば「深夜プラス1 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 18‐1))」など、やはり海外モノが優勢である(この本、何度読んでも良い)。

しかし、本シリーズのように、日本人が活躍し、ネイティブの日本語で綴られた良質な小説は、娯楽として、やはり楽しい。
まだ未読の方は、本シリーズいう新しい作品世界に出会う楽しみが人生に残っているということである。
連休中、ちょっと時間が空いたら読める、短くてテンポが良い本はないかなあ、と思っている方にお勧め。

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そばかすの少年  

そばかすの少年
ジーン ストラトン・ポーター


 自分の本名も知らない、片手を失った孤児の少年「そばかす」。
働き口にを探しに辿り着いたグランドラピッズ木材会社で、彼は原生林の「リンバロストの森」の番人として雇われる。
 木材会社の支配人マクリーン氏、そばかすの下宿先のダンカンとサラたちは、
そばかすの誠実さに惹かれ、彼を優しく見守っていく。
 一方、木材泥棒のブラック・ジャックは、リンバロストの森の木を伐採し、密売しようとたくらんでいる。
 そばかすはリンバロストの森を守ることを使命として、忠実に職務をこなしていくが、
その中で様々な生き物の素晴らしさを知る。
 そして、野鳥写真家バードレディと、一緒についてきていた少女エンジェルとの出会い、
孤独な少年だったそばかすは、いつしか尊敬する人、愛する人のために生きるようになっていく。


本書はリンバロストの森を舞台とした、そばかすの冒険と成長、そしてひたむきな愛の物語だ。
僕はこの本を全く知らなかったが、妻は「あの有名な『そばかすの少年』?」と気が付いた。
ジュブナイルとしては、広く知られている名作とのこと。

読後、確かにその評価が正しいと感じた。

この本に描かれた話は、現代からすればおとぎ話のようだ。しかしそのおとぎ話は、
現代に生きる僕らが忘れつつある、しかし決して忘れてはいけない生き方を教えてくれる。

僕は一日2章ずつ読んだが、それくらいのペースがより楽しめるのではないだろうか。
リンバロストの森を想像しながら、じっくり読みたい一冊だ。
なお、この版の解説では結末が紹介されているので、最初から読むことをお勧めする。

ところで結末もさることながら、この本で特に僕が感動したシーンがある。

そばかすは、美しいオオミズアオという蛾(そばかすは名前を知らない)の羽化に出会った時、思わず嘆く。

「これが何なのか、僕は知らない! ああ、知りたいなあ! 知りたくてたまらないよ!
 何か素晴らしいものに違いない!」


またそばかすが別種だと思っていた青い鳥と茶色の鳥が、
じつは同種の雄雌であることに気づき、その名前などを詳しく知りたいと心から思う。

なるほど、これで決まりだ。青い鳥と茶色い鳥はつがいなのだ。
 またしてもそばかすは、「ああ、知りたいなあ」
とつぶやいていた。


そしてカエルの「ミツ・ケロ! ミツ・ケロ!」という鳴き声に促され、
そばかすは生まれて初めて自分のために本-図鑑を買い、自分で名前を調べることを決意する。

「僕はなんてばかだったんだろう! それだよ、僕がやるべきなのは! 教えてくれる人がいなくても、
自分でできるさ! なんのために人間に生まれてきたんだよ?」
「僕は、鳥と樹木と花と蝶のすべてがわかる本を買うぞ! それから…ああ、そうだ、カエルの本も一冊手に入れよう。それですっからかんになってもいいさ」


そしてそばかすは念願の図鑑を手に入れる。初めて図鑑をめくる時には、指が震えてしまうのだ。

この、世界に様々な「知らない」生き物がいるという驚き。
名前を知りたいという欲求。
そして「図鑑」は、それを教えてくれるんだという期待と喜びは、
多くのフィールドワーカー、ナチュラリストが、最初に抱いたことがあると思う。

僕は今野鳥がメインだが、家にはトンボ、クモ、蝶、コケ、貝、樹木と様々な図鑑がある。
どれもこれも、「ああ、知りたいなあ!」と思って、買い集めたものだ。
これらの図鑑が手に入った時のワクワク感は忘れられない。

そして、今でも初めて出会った生き物の名前が分かったときには、
「わかった!!」という感動が溢れてくる。

こうした感動を見事に描いているのは、やはり作者のポーターの実体験があるからだろう。
フィールド描写、生き物との出会いと感動。
本書は、類まれなナチュラリストの物語でもあるのだ。
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神々の山嶺  

神々の山嶺
夢枕獏・谷口ジロー




原作は夢枕獏の小説である。
刊行当時、「山岳冒険小説の傑作」と、かなり騒がれたような記憶がある。

いつか読みたいと思っていたが、どうも夢枕氏の文体があわないので、
見送っていた。

そんな中見つけたのが、この谷口ジロー氏によるコミックである。
後書等を読むと、夢枕獏氏もコミックにするならこの人、と決めていたようで、
おそらく原作者のイメージに近しいコミックとなっているだろう。
原作とコミックが乖離しているものが多い中で、これは安心できる、と入手。

実際、まるで映画のようなダイナミックな映像は、本書の内容に極めてマッチしており、
小説版に手を出していない人にもお勧めである。
僕が購入したのは文庫版で、全5冊。Amazonとかなら5巻セットでも売っているし、
たぶん1巻だけで終える人はいないので、まとめて入手する方が得と思う。

さて、内容である。
エベレストを初登頂したか否かが不明なまま遭難したマロリー。
物語は、そのマロリーが残したカメラをきっかけに、
日本登山界で異質な存在であった羽生という男を縦軸に、
自己を喪失しつつある山岳カメラマンの深町を横軸として、
エベレストを舞台に二人の人生がめぐりあい、そして山男として昇華する生き様を描く。

マロリーはエベレストに登頂したのか、という謎もさることながら、
羽生という男は何を求めているのか、
深町はどこへ行こうとしているのか、目が離せない物語が展開されている。

それにしても驚くのは、この羽生のような人間が実際に存在したことだ。
その人の名は森田勝。

森田氏の山男ぶりと、
この希有な冒険小説まで造りあげた夢枕獏のストーリーテラーぶりに、脱帽である。

興味がある方は、できれば5巻入手し、
冬の夜、静かに読破されたい。


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パラダイス・ロスト  

パラダイス・ロスト
柳 広司
【楽しめ度】★★★☆

パラダイス・ロストパラダイス・ロスト
(2012/03/24)
柳 広司

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 「ジョーカー・ゲーム」、「ダブル・ジョーカー」に続くシリーズ第三作。

 第二次世界大戦前後の日本におけるスパイ組織「D機関」が中心とした短編集である。

 本巻では、D機関の組織員の話だけでなく、D機関の中心人物である結城少佐の正体を探ろうとするイギリスのスパイの話、またドイツの暗号機「エニグマ」が絡む、前・後編の作品もある。

 よって収録作品は5編あるが、実質は4作。
 ・誤算
 ・失楽園
 ・追跡
 ・暗号名ケルベロス(前・後編)
 
 どの話もじっくり楽しめる、良質のエスピオナージュである。

 なお、「暗号名ケルベロス」では、ドイツの暗号機「エニグマ」、イギリス情報部がドイツ暗号を解読するため、わざとある行為を行なう作戦「庭仕事(ガーデニング)」、また同情報部が暗号解読員スカウトのために、クロスワードパズルを新聞に掲載したというエピソードが取り上げられる。

 たまたま同時に、「暗号解読」(サイモン・シン)を入手しており、本作の後にこれを読んだ。
 すると、エニグマの理論、メカニズム、解読の歴史があり、非常に参考になっただけでなく、
 「庭仕事(ガーデニング)」と「クロスワード」のエピソードが(細部は異なるが)現実にあったことである、ということを知ることができた。
 これをふまえて本作を読み直すと、うまく虚構化したな、と感じることしきりであった。
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ダブル・ジョーカー (角川文庫)  

ダブル・ジョーカー
柳 広司
【楽しめ度】★★★☆

ダブル・ジョーカー (角川文庫)ダブル・ジョーカー (角川文庫)
(2012/06/22)
柳 広司

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 「ジョーカー・ゲーム」の続編。

 スタイルは前作と同じく、短編集である。ネタバレになるので詳細は書かない。
 出張まで残しておくつもりだったが、入手できたので読んでしまった。
 娯楽としての読書という意味で、十分に楽しめる一冊である。
 あと1冊、「パラダイス・ロスト」が残っている。亦楽しからずや。
 しかし来週には読んでしまいそうだ。

 短い感想で恐縮ですが、一級の娯楽小説です。
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