ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

検死記録から、最後のドラマを再現する。「ヒトラー検死報告―法医学からみた死の真実」  

ヒトラー検死報告―法医学からみた死の真実
ヒュー・トマス



1945年4月30日、アドルフ・ヒトラーが死亡した。
近代史に(良くも悪くも)名を残した人物の中では、最大級の人物だろう。
現代のネオナチの活動を見ても、その死が否定されたり、逆に神格化されることによる影響は多大である。
とすれば、遺体や最期の地が崇拝対象にならないよう、 死亡に至る状況と、遺体の処置を明確にすることが、連合国側にとって重要事項であることは間違いない。

ところが第二次世界大戦末期であるが故、また戦後は冷戦に突入したこともあって、
ソ連軍による遺体確認そのものも拙速であったし、
それによって得られた情報も、西側諸国にとっては鵜呑みにしがたい部分もあった。
(これを教訓としたのが、ビン・ラディンの遺体処理だろう。)

通説では、ヒトラーと妻エヴァが、銃と劇薬であるシアン化物により自殺し、
地下壕を出たすぐ近くで火葬にされた、とされている。

これらのストーリーは、ヒュー・トレヴァー=ローパーによる「ヒトラー最後の日々」が底本となっているが、
本書はそれらに採用された様々な証言、ソ連の検視報告書等を踏まえて、
異なる結論を提示するものだ。

まず本書冒頭では、長々と地下壕に潜む頃のヒトラーの肉体的・精神的状況が説明される。
なかなかもどかしい部分だが、ここで構築されるのは、
いかにヒトラーが心身ともに病んでいたか、という点だ。
一方、ソ連の検視報告書では、ヒトラーとエヴァとされる人物の遺体の口から、
確かにシアン化物のアンプルの破片は出たものの、内臓等にはそれを摂取したならば当然認められる独特の臭気の記録が一切ないことを指摘する。

ここから、著者は、心身ともに衰弱していたヒトラーが、シアン化物のアンプルを噛み砕き、
それによる悶絶の最中に、さらに冷静に銃で自殺できるはずがない、と推測する。

また、ソ連軍が撮影した地下壕の写真には多大の出血跡がないこと(特に、ヒトラーの死体を見たというナチス関係者の証言を踏まえ得ればあるべき個所に)、
回収されたヒトラーの遺体の後頭部の頭骨は紛失していたこと、
エヴァとされる遺体の死因は砲弾の破片によるものと考えられること(検視報告でもそうされている)、
特にエヴァの遺体確認には歯のブリッジが証拠となったが、実際はエヴァはそれを用いていなかったことなども、あわせて挙げていく。

そこから導き出された結論は、
・ヒトラーは自殺ではなく、他者に絞殺され、「自殺」とするために遺体を損傷し、口内にシアン化物のアンプル破片を入れらた後に燃やされた。
・エヴァについては、実際は他人の死体と入れ替えられた。
という結論に導いていく。

これらの結論が妥当か否かは、本書による証拠・資料からだけで判断することは危険だが、
こうした推測が成立しても不思議ではない、というのが読後の感想だ。

口絵に、ヒトラー(と言われる者)の頭骨のX線写真、歯の図解、
陥落直前のソ連軍の展開図、
地下壕の見取り図、写真、
マルティン・ボルマンのものとされる頭蓋骨などの写真等を収録。
類書を読む際の基礎資料としても便利かもしれない。
ただ解剖後、顔写真を撮られているゲッベルスの長女、ヘルガ・ゲッベルス(巻き添えで自殺させられた)の写真が痛ましい。

また本書の原題は、「ドッペルゲンガー」。
後半では特に、ヒトラーの側近であったマルティン・ボルマンについて、
その死は偽装ではないか、という噂を踏まえ、
死亡状況等を証言などから再現していく。
本書では偽装説に傾いているが、1998年にはボルマンのものとされている遺骨のDNA鑑定が行われ、
人骨がボルマンのものであることが再確認されたという(ただし遺骨は散骨されたため、再鑑定はできないらしい)。

どこまで行っても平行線かもしれないが、
敗戦直前のナチス・ドイツの混乱の中、
「何があったのか」を、教科書以外で読んで見ることも意義があるだろう。

【目次】
ヒトラー―神話と実像
アドルフ・ヒトラーの精神的特質
神がみの黄昏への序章
総統地下壕
ヒトラーの死
ヒトラーとエヴァ・ブラウンの葬儀と埋葬
死体の発見と法医学的欺瞞
青酸中毒
地下壕再訪
脱出
ボルマンの死をめぐる陰謀と偽情報工作
過去を発掘する
パラグアイにボルマンを追う
展望と結論
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記録文学の舞台裏。「戦史の証言者たち (文春文庫)」  

戦史の証言者たち (文春文庫)
吉村 昭



吉村昭。
丹念な取材と丁寧な筆致、史実を曲げない姿勢と、どうしても分からない部分をフィクションとして書くべき力量。
ヒグマによる未曽有の獣害・三毛別羆事件を描いた「羆嵐 (新潮文庫)」、
僕が尊敬する前野良沢にスポットライトをあてた「冬の鷹 (新潮文庫)」、
岩盤最高温度165度という高熱地帯に、黒部第三発電所に至る隧道(トンネル)を穿つ「高熱隧道 (新潮文庫)」などなど、
多くの歴史小説を刊行した。
また、「陸奥爆沈 (新潮文庫)」や山本五十六が撃墜された「新装版 海軍乙事件 (文春文庫)」など、太平洋戦争の諸事件を題材とした小説では、多くの資料や証言を駆使し、記録文学とも言える極地に達した。
振り返ってみてみると、吉村氏の没後、氏の立ち位置を継ぐような作家は、どうにも思い浮かばない。

もちろんそれは吉村氏の才能や努力もあるが、本書で述べたとおり、
特に太平洋戦争の諸事件については、関係者が高齢により没し、丹念な取材が不可能となったことにある。

その懸念は吉村氏自身が強く感じていたことであり、
膨大な証言を作品に昇華させつつも、「生の声」を埋もれさせることへの危機感も強かった。
そこで刊行されたのが、本書である。

吉村氏の他書と異なり、本書は4つの事件について、関係者へのインタビューをそのまま収録している。
小説のような劇的な展開はないが、関係者だからこそ語り得るディティールも多く、
非常に興味深く、価値ある一冊だ。

取り上げられている事件は、以下のとおり。
 Ⅰ 戦艦武蔵の浸水
 Ⅱ 山本連合艦隊司令長官の戦死
 Ⅲ 福留参謀長の遭難と救出
 Ⅳ 伊号第三三潜水艦の沈没と浮揚
それぞれについて、2~3名のインタビューを収録。
戦艦武蔵の進水作業のカモフラージュ、
伊号第三三潜水艦で事故死した乗組員が腐敗せず残っていた事件等々、
それぞれ短いながら、重い物語が展開される。

吉村昭氏の著作を未読の方は入門編として、
既に読んでいる方は、その補足資料として、しっかり楽しめる一冊だ。













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圧倒的な暴力。「ISの人質 13カ月の拘束、そして生還 (光文社新書)」  

ISの人質 13カ月の拘束、そして生還 (光文社新書)
プク・ダムスゴー



IS(イスラム国)。
一時期はその勢力拡大に関する報道が続いていたが、
ほぼ壊滅といった報道が10月下旬にあった。
だからといって、決して過去の話になったのではなく、
むしろ、ISの壊滅によって分散した戦闘員らによる新たなテロが懸念される事態になっている。

幸いにも日本国内において直接関与したテロは発生していないが、
フリージャーナリストの後藤健二氏らも殺害されており、決して遠い国の話ではない。

さて、その成立経緯や現在の勢力等もさることながら、
僕がISに感じる恐怖は、その暴力におけるプリミティブさである。

第二次世界大戦後の先進国のように高度にコンピューター化された軍隊ではなく、
銃と爆弾と車による戦闘。
僕のイメージかもしれないが、
その「暴力」は、例えば無人戦闘機などを介在する間接的なものではなく、
また組織的に統制された軍隊でもない。
緩やかに統制されたゲリラ部隊とでもいう存在だ。

だからこそ、その末端近くの人間の「思いつき」で、
いとも簡単に戦闘・暴力行為が発生し得る。

本書の主人公であるダニエル・リューは、その犠牲者である。
ダニエルはデンマーク出身の写真家、まだ駆け出しといって良い程度だが、
その彼が思い立ってシリア入りしたことが、事件の発端となる。

当時、ISの勢力は一進一退を辿りながら、やや拡大しつつある時期。
ダニエルには「まだ大丈夫」という思い込みがあったが、既に様々な階層にISは勢力を広げており、
ダニエルも入国直後に拘束されてしまう。
そして、そこから永遠に続くかと思う拷問の日々が始まる。

一方入国直前に先立ち、ダニエルは危機管理のプロ、アートゥアにコンタクトをとっていた。
そのためアートゥアによる捜索活動が開始され、
試行錯誤の末に、ダニエルを拘束しているグループとの接触が開始される。
そこで提示された身代金は、約3億円。
そこから、アートゥアによる交渉、
ダニエルの家族による密かな募金活動が開始される。

本書が刊行されていることからも分かるとおり、
ダニエルは幸いにも救出されるに至ったが、
同時期に拘束されていたアメリカ人らは斬首による殺害されている。

その運命を分けた原因の一つは、
テロリストと交渉はせず、民間人の交渉も認めないというアメリカ政府の方針だった。
デンマークは政府は交渉しないが、民間人の交渉は黙認というものだが、
この点、日本政府の方針というのはアナウンスされているのだろうか。

実のところ、かつて日本は日本赤軍に対して交渉を重ね、
「超法規的措置」による釈放や身代金の支払いなどを行ってきたる
その結果、ダッカ事件など世界各地でのテロを誘発している。

そうした経験からすればテロリストとの交渉など問題外としたいところだが、
自国民の人質がいれば、そこまで断固とした対応ができるかどうか。
テロリストという非道な組織との交渉において、確実な正解と言うのはないだろう。

また、ダニエルの行動が無責任・自己責任との論もあるだろうが、
ISの行動をみれば、いつ自国内の安全な地域でテロに巻き込まれないとも限らない。

唯一確実なことは、
ISという組織に限らず(過去の日本においても)、
思想により組織化された人々が、いかに残虐な存在に成り得るかという事実だ。
思想(とその実現のための金)のためには、
他者に対する圧倒的な暴力も辞さないという行動方法が、世界には存在している。
平和を希求することは何よりも重要だが、こうした現実を見ない判断は、危うい。

【目次】
ジム、誕生日おめでとう
ヘデゴーのエリート体操選手
シリア周遊旅行
首の鎖
小児病院の人質たち
ダニエルとジェームズ
ダニエル、月が見える?
囚人服で見た世界
暗闇からのメール
実験
お母さん、ダニエルだよ
再び自由に
砂漠の死
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わが家で戦争に殺される。「ロングウォーク: 爆発物処理班のイラク戦争とその後」  

ロングウォーク: 爆発物処理班のイラク戦争とその後
ブライアン・キャストナー



著者が戦地に行った後、妻は同じく第二次世界大戦に夫を送り出した祖母に尋ねる。

「あの人がいないあいだ、私はどうすればいいの? 帰ってきたらなにをしてあげたらいいの?」
「帰ってこないよ」祖母は答えた。「戦争に行った男はみんな死ぬのよ、死にかたはいろいろだけどね。あっちで死んでくれたほうが、いっそあんたのためには幸せだよ。生きて戻ってきたら、わが家で戦争に殺されるんだからね。あんたも道連れにして」



著者は、1999年12月から2007年9月まで空軍将校をつとめ、うち2期はEOD部隊の指揮官としてイラクに派遣された。
EODとは、爆発物処理班Explosive Ordnance Disposalだ。
指揮官といっても基地内で指示するのではなく、部隊のリーダーとして実際に作業も行う。

旧イラク共和国が倒された後、イラクはアメリカ・イギリスを中心とする連合国暫定当局(CPA)が統治した。
著者が2期目に派遣されたのは、2005年1月から2007年9月。
その期間のイラクは既に前線は無く、あるのは壁で囲まれた前線基地(FOB)と、それ以外だ。

そして「それ以外」の地域を輸送、連絡、様々な作戦行動のたびに通行する必要があるが、
その路上で米軍を狙って多用されたのが、IED(即席爆発装置)だ。

著者らのEOD部隊は、発見されたIEDを無効化したり、
爆発したIEDや自動車爆弾・自爆テロの現場において、残骸(もちろん人体も含む)の中から、
犯人の手掛かりを探すことが役割である。

映画「ハート・ロッカー」でも見られたが、
安全な地域で爆弾処理するというより、銃弾が行きかう中で解除するケースも多い。

そうした現場の記録としても珍しいのだが、本書はそれだけでなない。

爆風に曝された人体は、強烈な衝撃波を受ける。
EOD部隊であれば、その装備もしっかりとしたものだ。
だから通常の処理の過程で、手足が吹き飛ぶということは無い。
(毎回そうであれば、仕事にならない。)

だが、脳は違う。衝撃は確実に脳も通過し、神経細胞を通過する過程で、
脳細胞を確実に傷つけていく。
PTSDではなく、外傷性脳損傷(TBI)だ。

Wikipediaによると、酷い場合は、記憶力や注意力が低下し、コミュニケーション能力に問題が生じるという。
「外見上、健常人と何ら変化は無いが、社会適応性が損なわれるため、通常の生活が送れずに苦しむ患者は多い。」というのが、TBIの特徴でもある。

著者は、重度のTBIだ。「俺は狂った」と何度も呟く。
笑えない。眠れない。瞼が痙攣する。気が付くと殺す相手を探している。現在の記憶が保てない。
「生きて戻ってきたら、わが家で戦争に殺されるんだからね。あんたも道連れにして」
祖母の言葉通りとなっていく。

本書は複雑な構成だ。
著者がEODを志し、訓練を積んだ時代。最初にイラクに派遣されたが、命令違反により帰国させられた事件。
2度目のイラク派遣。IEDの解除、様々な疑わしい工場の捜査、仲間の死。
こうした過去の戦地の記憶が、明確に、詳しく描かれていく。

それと交錯するように挿入されるのが、現在だ。
健康異常の認識。病院での度重なる検査。PTSD(後にTBI)として診察された時。
それ以降の「狂った感覚」、それに翻弄される日常。

戦場と、戦争によって壊された人間の日常。
自身が記述しているだけに、そこには鋭い刃のような危うさがある。

かと思えば、随所に秘められたキーワード。一体何のことだろうと違和感があるが、
読了近くにその意味が示される。
それを踏まえて読み直せば、狂った著者が、何を日常的に感じていたかが改めて実感できるだろう。

湾岸戦争・イラク戦争のノンフィクションとしては、
アメリカン・スナイパー (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)」(レビューはこちら )、
アメリカン・スナイパー」(レビューはこちら )をこれまで紹介したが、本書もいずれにも劣らぬ一冊である。ぜひ。


【目次】
第1章 混沌の支配する世界
第2章 崩れる砂
第3章 ドジを踏む
第4章 来る日も来る日も
第5章 VBIED六件の日
第6章 カーミット
第7章 GUU‐5/P
第8章 科学とチャクラ
第9章 箱のなかの足
第10章 リッキー
第11章 山









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現代社会に必須となった、新たなビジネス。「民間軍事会社の内幕」  

民間軍事会社の内幕 (ちくま文庫 す 19-1)
菅原 出



本書は、2007年に刊行された「外注される戦争」の加筆修正版として、2010年に刊行された。
それからも、既に6年以上が経過している。
恐らく既に状況は大きく変化しているだろうが、日本では全く馴染みのな無い民間軍事会社(PMC、private military company)がなぜ生まれ、いかに拡大しているかを知っておくことは、極めて重要だ。

誤解されがちだか、そもそもPMCは傭兵斡旋会社ではない。

戦闘という作戦は、もちろん正規軍が行う。
問題は、軍が戦闘行為を行うまでには、単純に舞台の移動、既知の設営が必要だ。
そして人がいるところ、これも単純に食料や廃棄物の処理、装備や資材の運搬も必要である。

食事一つとっても、食材、料理人が必要だ。食材もどこかから仕入れ、運搬する必要がある。
だがその運搬ルートは、最前線までの道である。どこに敵が潜んでいるかは、分からない。

また、最前線は正規の軍が対応するとして、
確保した後方の街では、誰が文官や事務担当者を守るのか。
場所は、戦時下の国。ガードマンでは役不足だ。

様々な圧力によって、軍の予算・人員は縮減されている。
かつては全て軍が対応できていたが、こうした後方支援に該当する部分にまで兵は避けない。
では、アウトソーシングではないか、という発想がある。

一方で、年齢や体力的な理由により軍を退職した者たちには、平和な社会では全く役立たないが、戦地では有用な知識と経験がある。

その能力を活かし、通常の会社とは異なる危機管理能力を備えて、戦時下の後方支援等を請け負う会社。それがPMCである。

本書は、そのPMCの成り立ち、イラク戦争における活動、
また優れたPMCだけでなく、杜撰なPMCによる弊害など、日本では殆ど報道されない事情を詳しく紹介してくれる。

例えば、民間会社であるということは、ニーズに敏感であり、かつ政治的な制約がないということだ。

そのため、人質解放交渉、紛争地で活動する企業の警備(保険とセットだ)、
様々な国の軍隊のスキルアップ訓練、紛争地で取材するメディア向けの危機対応訓練など、軍事会社という言葉から抱くイメージとは全く異なる活動をしている。

本書でもそれらの活動が紹介され、実際に著者がメディア向けの訓練を受けているが、その内容は非常にリアルな現実を見据えたもの。著者も語っているが、日本のメディアがこうした訓練を受けていれば、紛争地での取材はもっと価値あるものになるだろう。

「民間で軍事に関係するノウハウを提供する会社」というだけで、日本では毛嫌いされる可能性が高いが、
既に敵の攻撃を抑止・対処することだけが安全保障ではない。

テロリストの資金追跡、国境付近の人の通行管理、警察や裁判官の再育成、民主的な選挙の支援、
活動する企業等の警備、基地や難民キャンプへの物資輸送。

テロ・内戦・軍事干渉など、世界各地で問題が日々発生しているが、そうした荒れた地域を立て直すという「人道的な行為」は、もはや軍だけでは成立しない。国連からNGOまで様々な立場が関わる必要があるが、PMCもその一人なのである。

そう考えると、世界的にも稀な程に安全である日本において、PMCが正しく認識されていないことは、大きな問題だろう。

何も、軍の活動を想定せよと言っているのではない。
ODAによる紛争地への企業派遣。
紛争地でのNGOの活動。
災害によりライフラインが経たれた地での救援。
世界の報道すべき問題のある地域での取材活動。

実際のところ、そうした活動にこそ、PMCを上手く利用する必要があるし、PMCのノウハウを学び、日本的にPMCが生まれないかを検討する余地もある筈だ。

特に、各国で軍に対する人や予算は削減され続けている。そうすると、紛争地で真っ当に活動したいのなら、良いPMCを確保することが重要となる。

だが、日本、また日本のNGOにそのような対応が可能だろうか。
基地や活動拠点の設営・運営、資材の運搬などを一から十まで自衛隊やNGOが実施し、期待される役割も、本来発揮すべき能力も果たせないまま終わるのではないだろうか。

戦争反対というのは、素直に正しいと思う。
だが、そうした求めるべき未来と、今そこにある問題への対処は別だ。
PMCのような会社が成立し得る現実を直視しなければ、今後の安全保障は成立しないだろう。

【目次】
第1章 襲撃された日本人
第2章 戦場の仕事人たち
第3章 イラク戦争を支えたシステム
第4章 働く側の本音
第5章 暗躍する企業戦士たち
第6章 テロと戦う影の同盟者
第7章 対テロ・セキュリティ訓練
第8章 ブラックウォーター・スキャンダル
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