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ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

生きている化石を求めて、深海へ。「生きているシーラカンスに会いたい!」  

生きているシーラカンスに会いたい!
岩田雅光



「カブトガニ、オウムガイ、シーラカンス」の3セットにワクワクする。
もちろん恐竜も好きだが、
こうした「生きていてる化石」には、やはりロマンがある。
カブトガニは、いつか笠岡に見に行きたい。
オウムガイ(の殻)は、いつか買ってしまう気がする。
このうち、現実的に最も縁遠いのがシーラカンスだろう。

だが、コモロ諸島での発見の物語など、ちょっと古生物に興味があれば知っているエピソードも多い。
実は上記3種の中で、一番日本人に馴染みが有るのではないだろうか。

そのシーラカンス、長らくアフリカにしかいないとされていたが、
1997年にインドネシアでも発見されている。
このインドネシア・シーラカンスは、学名はLatimeria menadoensisであり、
コモロ諸島のシーラカンスLatimeria chalumnaeとは別種だ。
「生きている化石」が、実は2種も残っていたなんて、さらにワクワクする話である。

そして本書は、日本におけるシーラカンス研究をリードする、
アクアマリンふくしまシーラカンス研究所の研究者による一冊。

実はシーラカンスという生物そのものについては、同じ著者による
シーラカンスの謎: 陸上生物の遺伝子を持つ魚」(レビューはこちら)の方が、詳しい。

本書はというと、むしろ研究エピソードの記録。
実際に、生きているシーラカンスの姿を観察するというプロジェクトを中心に、
世界中を駆け巡る研究者の姿と、ついに捉えたその姿に対する興奮が綴られている。

調査許可を得ることの難しさ、
多くの人々の協力、
遠隔操作するROVを失いかけるアクシデント。
生きているシーラカンスがどこにいるか、全く分からない中で、
それまでに得られた情報から推測し、大海原を探していく。
そんな試行錯誤の果てに、ついにシーラカンスに出会う。

また一方で、冷凍保存されたシーラカンスを日本に持ち込むというプロジェクト。
まさにアフリカというトラブル続きで、こちらも一筋縄ではいかない。

シーラカンスというスペシャルな対象を研究する大変さ、面白さ。
本書は、それを気軽に実感できるだろう。

ところで今、日本ではシーラカンスの標本が見られる施設があるようだ。
(例えば沼津港深海水族館http://www.numazu-deepsea.com/coelacanthは、5体を展示しているという。)

で、著者が勤めるアクアマリンふくしまでは、
上記の アフリカシーラカンスとインドネシアシーラカンスを同時展示している。
https://www.aquamarine.or.jp/exhibitions/evolution/
実は、この展示が 2019年11月(予定)までという。お近くの方は、ぜひ。

シーラカンスは語る 化石とDNAから探る生命の進化」(レビューはこちら)

【目次】
第1章 「アクアマリンふくしま」に入るまで
第2章 「空ぶり」でも得られるたくさんのめぐみ―いよいよはじまったインドネシアでの調査
第3章 ついに発見!シーラカンスの目が光った!―インドネシアでの第2回目調査
第4章 さらに広がりを見せるシーラカンス調査―インドネシア最東部・ビアック島での発見では幼魚も
第5章 タンザニア調査でもシーラカンス発見!
第6章 標本での奮戦記
最終章 シーラカンスとともに夢を追って






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category: 魚類

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日本の恐竜研究は、新しい時代に入った。「恐竜まみれ :発掘現場は今日も命がけ」  

恐竜まみれ :発掘現場は今日も命がけ
小林 快次



だが何より大事なことは、化石を出てきたその国に留めることが、現地の恐竜研究者を育てることにつながるということだ。
敢えて言おう、恐竜の化石を、ほかの国に持って行く意味が分からない。私にとって恐竜は研究させてもらう対象だ。「してやる」のでは決してない。現地の人と一緒に宝を見つけて、その価値を研究という形で高める。
日本での発掘でも同じ、たとえ私の勤務する北海道大学が発掘をしても、「化石をよこせ」なんてことは決してしない。化石は、それが埋まっていた町や村、市の宝なのだ。後述する日本の恐竜研究史上、最大の発見である「むかわ竜」は、もちろん北海道むかわ町の宝であり、同時に日本の財産に他ならない。
(p93)



恐竜博2019」、行きたいけど、無理そうだなあ。
ザ・パーフェクト―日本初の恐竜全身骨格発掘記: ハドロサウルス発見から進化の謎まで」(レビューはこちら)に詳しい、むかわ竜。
その全身骨格が東京で見られるのは、恐らく今回だけだろう。
また、2.4mの腕だけが発見され、長らく全体像が不明だったデイノケイルス。
こちらも全身骨格が見られるのは、おそらく世界でこの個体だけ。
いずれも発掘自体が近年のものであり、まさに旬だ。

これらの恐竜発掘に関与しているのが、現在の日本における恐竜研究を牽引する著者、小林氏である。
振り返ってみれば、日本には恐竜ファンは多いけれども、
地質学的には恐竜が出る可能性は低く、
動物化石と言えばフタバススキグリュウなど首長竜がメインだった。
そのため、恐竜研究の進展も、海外での成果によって知ることが多かった。

だが、その状況は変化しつつある。
日本に足をつけた研究者が海外へ遠征し、自身で発掘、研究し、その成果を語ってくれる。
しかもそれが、恐竜研究の最前線であるのだから、
追いかけている方は堪らない。

その代表が、本書の著者である小林氏だ。
昨今の恐竜をテーマにした文献、テレビ番組等で、その名前を見ないことはない。

その小林氏が、自身の発掘の状況、研究者になるまでの苦労・葛藤、
そして現在の恐竜研究に対する懸案等を語ったのが、本書である。

前述のむかわ竜やデイノケイルスの発掘話も収録されており、
まさに「恐竜研究の今」を知るために絶好の書だ。

小林氏が活躍する同時代に、その成果を追いかけられることは、
恐竜ファンとして最大の喜びである。

【目次】
はじめに
第1章 恐竜学者と「化石コレクター」のはざまで
第2章 あれほど欲しかった化石が、いまは憎い
第3章 大発見は最終日の夕方に起きる
第4章 恐竜化石を「殺す」のは誰か
第5章 探検家ではなかったはずだが
第6章 世界遺産バッドランドへ乗り込む
第7章 危うく「ネイチャー」誌の掲載を断りかける
第8章 ついに出た、日本初の全身骨格
第9章 恐竜界50年の謎〝恐ろしい腕〟の正体は
第10章 「命を預けて」でも行きたい極地
おわりに

内容紹介
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category: 恐竜

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人類が辿った長い道を、丁寧に遡る。「絶滅の人類史―なぜ「私たち」が生き延びたのか (NHK出版新書)」  

絶滅の人類史―なぜ「私たち」が生き延びたのか (NHK出版新書)
更科功



「ヒトは直立二足歩行を始めたので、手が自由になった。そして手で石器などを作ったので、脳か大きくなった」という話もあるが、それは正しくないわけだ。人類は直立二足歩行を始めてから約450万年間ものあいだ、石器も作らなかったし、脳も大きくならな かったのだから。でも、それはどうしてだろうか。(p125)



人類進化史は、個人的にとても興味深いテーマである。
・なぜ直立2足歩行になったのか
・なぜ、今の「かたち」なのか(脳の増大化や体毛消失等)。
・絶滅した他の人類との系統・関係はどうなっているのか。
・なぜ他の人類は絶滅し、ホモ・サピエンスが残ったのか。

もちろんどの生物の進化史も面白いが、人類が極めて特殊であるが故に、
その進化の謎は、最も深い。
と同時に、現在ほど、このテーマがエキサイティングな時期はないだろう。
近年、新たに発掘されたデニソワ人や、極めて小さいホモ・フロレシエンシス。
(そのエキサイティングな発見は、「ホモ・フロレシエンシス〈上〉―1万2000年前に消えた人類 (NHKブックス)」・「ホモ・フロレシエンシス〈下〉―1万2000年前に消えた人類 (NHKブックス)」(レビューはこちら)に詳しい。)
DNA分析の技術進展による、遺伝子解析によるネアンデルタール人の形態的特徴(肌が白い、というのも明確になった)や、
人類との混血(この研究をめぐるドラマについては、「ネアンデルタール人は私たちと交配した」(レビューはこちら))。

インパクトのある調査結果や、定説を覆す化石や、証拠。
(例えばホモ・フロレシエンシスも、最初は絶滅したのは1万年ちょっと前とされていたが、
近年は5万年程度前とされている。)
目が離せないというのは、このことだろう。

そして、人類進化史の謎の中でも、
・なぜ他の人類は絶滅し、ホモ・サピエンスが残ったのか。
というテーマは最も刺激的であり、例えばタイトルだけでも
人類進化700万年の物語 私たちだけがなぜ生き残れたのか」(レビューはこちら)、「我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち (ブルーバックス)」(レビューはこちら)
などの類書がある。

ただそれぞれに視点が異なり、また拠って立つところも違うので、
それぞれを比較しながら読むのが良いだろう。

その上で本書は、まず日本人の著者によるものであるという利点がある。
訳文ではどうしても届かないニュアンスがあり、本書では様々な(日本人にとってわかりやすい)比喩や例えも使われることで、
理解のうえでは容易である。

また、刊行が2017年と、わりと最新の知見を踏まえていること。
そして「直立2足歩行」「脳の増大化」「ネアンデルタール人の絶滅」といったメインテーマについて、
著者自身の見解から、説得力に富み、しかもかなり冷静な仮説も提示されており、
それだけでも読む価値があるだろう。

どうしてもネアンデルタール人の絶滅については、
人類による直接・間接的な迫害や、混血(交雑)が示す人類による征服的な観点がさきに立ちがちだが、
本書ではそれも出産数という極めてベーシックな点から攻め、
それと様々な出土記録を組み合わせて解説していく。

2足歩行と大脳の肥大化、道具の使用、言語によるコミュニケーションについても、
それらをまとめて論じるのではなく、
「何が最初に進化したのか」「それを促した要因は何か」を丁寧に押さえていく論には、
納得できる部分が多い。

もちろん日進月歩のの世界、もしかすると明日にも新たな化石や遺跡が発見され、
劇的に見解が変わるかもしれない。

だが、それも踏まえて、ぜひ読んでおきたい一冊である。

【目次】
はじめに
序章 私たちは本当に特別な存在なのか
第1部 人類進化の謎に迫る
 第1章 欠点だらけの進化
 第2章 初期人類たちは何を語るか
 第3章 人類は平和な生物
 第4章 森林から追い出されてどう生き延びたか
 第5章 こうして人類は誕生した
第2部 絶滅していった人類たち
 第6章 食べられても産めばいい
 第7章 人類に起きた奇跡とは
 第8章 ホモ属は仕方なく世界に広がった
 第9章 なぜ脳は大きくなり続けたのか
第3部 ホモ・サピエンスはどこに行くのか
 第10章 ネアンデルタール人の繁栄
 第11章 ホモ・サピエンスの出現
 第12章 認知能力に差はあったのか
 第13章 ネアンデルタール人との別れ
 第14章 最近まで生きていた人類
終章 人類最後の1種
おわりに













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category: 進化論

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夏の友達は、謎だらけ。「不思議だらけ カブトムシ図鑑」  

不思議だらけ カブトムシ図鑑
小島渉/じゅえき太郎



子どもの頃、夏の夜にカブトムシを拾いに行くのが楽しみだった。
年に1,2回だけだったが、夜の五色台を父の車で走り、
該当の下に転がってるカブトムシを探したものだ。

また、親になって、子どもが昨夏に飼っていたカブトムシの卵が孵化し、
夜中に羽化した成虫が脱走して驚いた記憶もある。

そんな身近なカブトムシだが、よく考えれば生物としては詳しく知らない。
身近すぎる故、だろうか。
それは誰しも同じようで、現在もカブトムシの研究は案外進んでいないという。
今は台湾、中国、東南アジアのカブトムシも日本のカブトムシの亜種とされているが、
それも詳細な検討によるものではなく、ただ研究が進んでいないだけらしい。

分類ですらそうであるのだから、生態についても同様である。
昆虫としては珍しく、♂の方が♀よりも大きい事実。
北のものは大型、南の方は小型とグロージャーの法則が確認できる種。
また、幼虫が最大体重に達しても直ちに蛹にならないという点。
(チョウなどは最大体重に達したら蛹になる。)
雄と雌の体サイズの差はいつから始まるのか、
北の個体と南の個体の体格差は餌によるものか、遺伝的なものか、
幼虫はどの時点から♂♀識別が可能なのかなど、
改めて問われると、答えに窮するものばかりだ。

本書はかなりユルユル系の装丁と雰囲気を醸し出しているが、
こうした疑問に対し、実際の研究を踏まえて一つずつ回答を見出していく、
極めて真っ当な研究結果を記すもの。
良書が多々含まれている岩波科学ライブラリーに勝るとも劣らない一冊である。

特に興味深いのが本書後半、幼虫の特異な行動を紹介する部分だ。
なぜか集まっていく幼虫。一体何によって、幼虫たちは互いを認識し、集まっていくのか。
そのメリットは何か。
それでいて、蛹化して蛹室を作ると、今度は他の幼虫がそれを避けるメカニズム。
著者の研究によると、それを促すのは蛹が動くことで発生する、一定のリズムを持った振動。
その振動は、実は「ある生物」の発する振動に酷似しているという。

さらに、南から北に向けて順々に進むと思われていた発生のピークが、
実は九州周辺の島や沖縄本島の方が、関東よりも遅いという事実。
その理由は不明だが、
こうしたごくごく基礎的な事柄さえも、これまで見過ごされ、放置されていたことに驚く。
カブトムシという最も身近な昆虫の一つが、
実はこれほど謎に満ちた昆虫だったとは、驚きである。
今後の研究の発展が極めて楽しみになる、充実の一冊。お勧めである。


【目次】
第1章 カブトムシの基礎知識
第2章 オスはなぜ角を持つ?
第3章 大きな成虫に育つための条件
第4章 集まる幼虫、回る蛹
第5章 独自の進化を遂げた島のカブトムシ
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category: 昆虫

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リアルな遺体から、進化を読み取る。「解剖男 (講談社現代新書)」  

解剖男 (講談社現代新書)
遠藤秀紀



パンダの死体はよみがえる (ちくま新書)」(レビューはこちら)に続く、遠藤氏による比較解剖学のトピックスを集めた一冊。
第一章はどちらかといえば「解剖学」という基礎科学への意気込みを語るもの。
第二章は、様々な解剖実績を踏まえ乍ら、著者や先達が、いかに解剖学を「生きた」学問としていくか、
その取り組みを語るもの、と言えるだろう。
そして第三章では骨や歯という「硬い遺体」、第四章は内臓などの「軟らかい」遺体について、
実際の解剖例を紐解きながら、著者が見出してきた事実を紹介していく。

ウマ、イノシシ、キリンなどは、誰もが名前は聴いたことがあるだろうし、
生体を見た事も少なからず有るだろう。
だが、それぞれが「骨」となった時、どのような点に特徴が現れ、
近縁種との比較が可能となるのか。

また、それぞれの種の生態を踏まえて、
いかなる点が「進化」により高度な機能を有しているのか。
生物のデザインは、すなわち進化の歴史であり、機能美の極地である。

また、ガンジスカワイルカなんて、普通の人にとっては縁もゆかりもないだろう。
だが、その気管の「気管支」を遠藤氏が見出したとき、
ガンジスカワイルカとウシとクジラは、
長い進化史において、在るべき位置が見いだされ、
我々が「生物」を理解する重要な知見となる。

パンダの死体はよみがえる (ちくま新書)」を踏まえ乍ら、
ただ重複は上手く避けられているので、続けて読んでも全く問題ない。
独特の「遠藤節」も健在だから、むしろ続けて読んだ方が、すっと理解できるかもしれない。

なお、遠藤氏は他にも多々著書があり、これから読むのが楽しみである。
と思っていたら、「ニワトリ 愛を独り占めにした鳥 (光文社新書)」(レビューはこちら)も遠藤氏の著者だった。
(この本ではそんなに遠藤節は気にならなかったような気がするのだが。)
こちらも、身近な「ニワトリ」の謎に迫る一冊であり、お薦めである。

【目次】
第一章 時々刻々遺体あり
第二章 遺体、未来を歩む
第三章 硬い遺体
第四章 軟らかい遺体
第五章 遺体科学のスタートライン
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category: 動物

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